ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
堀北会長と橘書記の口調がちょっとおかしいかも、おかしいと思ったらやんわりと指摘してください……
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これからは感想の返事ちゃんとします!
「よし! じゃあ二人で一緒に一位を取ろうか! これで全種目一位になったら学年総合優秀賞はほぼ確実だろうし、気合入れていこうぜ!」
「やけにテンションが高いわね……まあ、全力でやるのには変わりないわ。頑張りましょう紡君」
どうも、運営のテントがDクラスの待機所から離れていたことで命拾いした斎藤です。
先ほどの借り物競走の様子を見ていたのは町田君だけらしいので、その3人または先生方が漏らさない限りはバレることは無いはずだ。*1
まあ、総合力で言ったらほぼトップだし、練習通りにやれば問題ないはずだ。そう、バレたくないのは心理的な振れ幅を無くすためだ。当たり前だろ?
「注意すべきはBクラスの一之瀬さんと柴田君かしら。以前偵察に行った時も相当速かった記憶があるわ。実際に柴田君の方はあなた達と被った競技以外全てで1位を取ってるし」
鈴音ちゃんが言っているあなた達というのは俺、清隆君、須藤君の3人だろう。今の所騎馬戦以外全て1位を取っているバケモノ集団だ。
俺と須藤君はマークされていたから良いとして、清隆君の存在がイレギュラー過ぎた。なんせ100m走と200m走の記録は全学年合わせても彼がトップだからね。因みにハードル走は俺が1位だとささやかな自慢を残しておこう。
「じゃあ紐結ぶよ。きつかったら言ってね」
スタート3分前という合図がされたため、少し早いが準備を済ませておく。
少し離れた所では他クラスの生徒が各々準備体操だったり合わせだったりをして時間を過ごしている中、グラウンドの端で座る俺たち。
「……感慨深いわね。入学した当時からは考えられないわ」
「ん、浸るのはまだ早いと思うよ? それは勝った時に残しておかないと」
「それもそうだけど、私が言いたいのは今この瞬間よ。誰かと足並みをそろえて1つのゴールを目指すなんて、昔は想像すらしなかったわ」
どうやら鈴音ちゃんが言っているのはDクラスを率いて体育祭に挑んだことではなく、二人三脚についてだったらしい。
「全部鈴音ちゃん本人の努力だと思うけどね」
「いいえ。私ひとりじゃ成し遂げる事なんて到底無理だったわ」
「そんなこと言うなんて意外かも」
基本的に自分の能力には自信がある鈴音ちゃんがここまで否定するとは驚きだ。
「馬鹿にしないで。私だって自分がどんな人間かは理解しているつもりよ……そこまで驕る気は無いわ」
「あはは、ごめんごめん」
すぐ拗ねるところはまだ変わっていないようだ。成長してなお妹属性は抜けきっていないみたいだね。
そんな鈴音ちゃんだが、ふと顔を上げて遠くを見つめ始めた。その視線の先にあるのはDクラスの生徒たち。30人近い生徒がゴール先で応援のために座っていた。
「ここで一回お礼を言いたいと思ってたの。2人でゆっくり話せる機会なんて早々ないし」
「お礼?」
「ええ。私がここまで来れたのはあなたのおかげ。クラスポイントが0という絶望の中、本気でAクラスに向かおうとしてた私を笑うことなく導いてくれた。だから……ありがとう」
結び終えた紐をキツく締め直し、小さく感謝の言葉を呟く鈴音ちゃん。
体育祭も終盤を迎え前ほどの熱気が無くなって静かになったこのグラウンドで、その言葉は中々心に染みるものだ。
「どういたしまして」
────俺が彼女に手を差し伸べたのは、何も純粋な善意からというわけではない。
絶対的な理想が自分の中にあり、その為なら全てを捨てて1人でがむしゃらに進んできたこの子は、昔の俺によく似ていた。だから放っておけなかったのだ。有栖ちゃんも清隆君も似たような理由である。
だから、そんな邪な理由で手を差し伸べた俺に、純粋な瞳を向けられると何だか複雑な気持ちになってしまう。
「────だから、これは私からの些細なお返し。この試合も、リレーも1位を取って表彰台に上がってきなさい。きっとそこから見る景色は格別よ?」
「ははっ、凄ぇ女だよホント」
思わず昔の口調が漏れてしまった。何というか、ここぞと言う時にクリティカルを出してくることが多い鈴音ちゃんだ。
「そろそろ始まるわね。じゃあ行きましょうか」
そんな彼女が見据える先は、
────俺にとって、そのどうしようもなく澄んだ美しい瞳を直視するのは難しい事だった。
────────────────
「圧勝だな。わざわざ応援する必要もなかったか」
200m程の距離を走り終え、それでもなお余裕そうな様子の堀北と紡を見てそんな呟きが漏れてしまう。
「そんなこと無いんじゃないかな? 私も綾小路君が見に来てくれた時凄い嬉しかったもん! 最下位じゃなかったのも、もしかしたらそのおかげだったりして……なんちゃって」
そんな興ざめするようなことを言った俺に対して、隣で試合を見ていた佐倉がやんわりと否定する。
そこまで応援に力があるとは思えないが、嬉しかったのでそういう事にしておこう。
「次が最後の競技か……終わってみるとあっという間だったな」
「まだ終わってないよ!? 一番楽しみにしてるんだから頑張って!」
「そうだな。気が緩んでた。ありがとう佐倉」
「うんっ。私、今までで一番大きな声で応援するね!」
……そう言えば佐倉は意外と大きな声を出せるんだったな。
「ああ。よろしく頼む」
ここで「程々でいいぞ」なんて言わなくなったことに成長を感じつつ、最終競技であるリレーの準備を進めるのであった。
────そして迎えたリレー本番。
ルールとしては1200mを6人で200mずつ走る全学年合同の競技だ。トラックは1周400mだから3週する運びとなる。
「なぁ。あの紡と生徒会長って関係あったのか?」
トラックの向かい側で会話をしている紡と現生徒会長、堀北兄を指さして質問する。
「知らないわ。少し前に一度だけ顔を合わせた事はあったけど、それ以降は話に聞いたこともないし……というか、よく見えるわね。視力には自信あるけど、言われるまで気が付かなかったわ」
質問した相手は堀北。今回のレースでは3走を飾る選手だ。
2人とも堀北とは浅からぬ関係だと思ったが、流石に2人の関係性までは知らないらしい。というか知ってたらちょっと怖い。
「今はどうでもいいだろ。勝つことだけに集中しようぜ」
準備体操をしながら言い放ったのは須藤。今回に限っては彼が正論の為、リレーが終わってから聞こうと思う。
そう決意して軽く体をほぐしていると、グラウンドの周りには続々と生徒が集まってきた。どうやらもうすぐ始まるようだが、全く持って緊張していない。
「頼んだぞ須藤」
「言われなくても分かってらぁ。ブチかましてやるぜ!」
トップバッターを務める須藤が気合を入れる。
因みに走順は、須藤→小野寺→堀北→前園→オレ→紡という順番だ。
須藤で差を付けた後に女子3人が続く形だが、ここで耐えてもらって最後に追い抜くと言う戦法だ。考案したのは紡だ。彼が言うにはこれが最も勝率が高く、そして勝った時に盛り上がるらしい。
『ではこれより3学年合同1200mリレーを行います! 選手の皆さんは位置についてください!』
「「「うおおおおおお!!!!」」」
アナウンスと共に歓声が響き渡る。心なしか実況の先生のテンションも上がっている気がするが、体育祭最後の目玉競技だし無理もないだろう。
「────堀北」
目の前で待機している堀北の肩を叩く。
「何かしら」
敢えて聞くことでもないと思うが、どうしても聞いておきたいことがあった。
「楽しんでるか?」
「! ……ええ、とっても。あなたは?」
「超楽しんでる」
その返事と同時に、周りの生徒達が競技開始の雰囲気を悟って静まり返る。
『On your mark』
位置について。の意味合いの声がかけられる。
そしてピストルの音と共に、12人の生徒が一斉に飛び出した。
────時は遡りスタート10分前────
最後に行われる競技『3学年合同1200mリレー』の準備のため、スタート位置の丁度対角線に来る位置で待機する。
前で同じように待機している集団から外れた場所にいるが、もちろん理由もなくそんな清隆君みたいなことはしない。
「久しいな。こうして会うのは
「お疲れ様です堀北会長。やっぱあなたがアンカーですか」
話しかけてきたのは堀北会長。鈴音ちゃんのお兄さんである。
こうして端っこに1人で居たのは彼と話をするためだった。
「俺から見れば意外だったがな。鈴音がこの場所に立って居ると思ってたが」
「鈴音ちゃんは勝つために引いたんですよ。どうです彼女、カッコよくなったでしょ?」
「正直驚いた。どんな手品を使ったのか教えて欲しい位だ」
意外と素直に認める堀北会長。まぁ、ずっと一緒に暮らしてきた人間からすると、半年近くでここまで変化すれば驚いて当然だろうね。
「無人島試験、船上試験、そしてこの体育祭とお前の活躍はよく聞いている。正直まだ
「あの2人では不満ですか? 今は完璧じゃないにせよ、ポテンシャルは俺なんかとは比べ物になりません」
「確かに、話を聞くに綾小路も鈴音も荒削りだが才能はある。お前らのクラスを見て酷く実感した。だが、お前はその2人にはないものを持っている」
────堀北会長が言う『あの話』を説明するためには、2か月ほど話を戻す必要がある。
「失礼します。一年D組の斎藤です」
豪華客船での旅を終えてすぐ、俺はとある人物に呼び出されていた。
『生徒会室』という札が掛けられた豪勢な扉をノックする。
『入れ』
扉越しだがはっきりと聞こえたため入出する。
そこには、椅子に座った状態でこちらを見つめる堀北会長と、先輩であろうタブレットを持った女子生徒がその隣に立っていた。
「わざわざ休み中に済まないな。夏休み後でも良かったのだが、いかんせん周りの目が鬱陶しくてな」
「まあどうせ暇ですし気にしないでください。それで、話って何でしょうか?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ! 私すっごい気まずいですっ。まずは自己紹介しましょうよ!」
……そりゃそうだ。ごめんね先輩。
「初めまして。私は3年Aクラスの橘茜です! 生徒会では書記をやらせて頂いてます! これから長い付き合いになると思うのでよろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。1年Dの斎藤です……というか、長い付き合いって?」
「え? だって生徒会に入るって話じゃないんですか?」
滅茶苦茶ネタバレするやん。これも計画の内ですか会長?
そう思って堀北会長の方をチラッと見るが、ため息をついて頭を抱えている……うん、計画外だね。
「それを今から説明するんだ」
「はっ! そ、そうでした……すみません……」
会長と並んでいるときはあんなに凛々しい表情だったのに……面白い人だな。
「手間が省けて丁度いいだろう。単刀直入に言う。斎藤、生徒会に入るつもりは無いか?」
「……一応聞いておきますが、どうして俺に? 以前お会いした時に全生徒の経歴を見ることが出来るとおっしゃっていたと思いますが、それなら俺が過去何をやったか知ってますよね? 生徒会なんて真面目な組織に入れるとは思えないんですが……」
「過去はさして問題ではない。俺の判断で入会させることになるんだ。文句は言わせない」
「はぁ……」
いくら優秀だとしても、ママ活に未成年賭博してた奴が生徒会はマズいんじゃないか?
「そうですよ! 先生方からのお話はたくさん聞いてますし、過去の非行だってそんなに……何ですかこれ!?」
まだ見てなかったのか、恐らく俺の情報がまとめられているであろうプリントを捲って確認する橘さん。
うん、知ってた。そりゃそういう反応になるよ。
「って、思い出しました! この子先輩や同級生からお金貰ってデートしてる斎藤君ですよ! クラスの方が紹介してくれたのを覚えてます! *2」
……気まずすぎるだろ。会長もちょっと面食らってるじゃん!
「……生徒会に入ったらその活動は控えてもら「やりませんよ!?」……ならいいが」
前回会った時より空気が余りにも緩すぎる。一体どうしてくれんの橘さん。
「それでどうする。お前には後に生徒会長になってこの学校を牽引してもらうつもりだが」
超重要な事小出しにするねアンタ。
……まあ、自分の実力が認められたのは嬉しい。それも鈴音ちゃんが羨ましがるほどの天才にね。でも……
「提案は凄く嬉しいのですが、お断りさせていただきます」
「どうしてですか!? やっぱり女性からお金貰ってデートしたいんですか! この女の敵「橘、落ち着け」……すみません」
咎められても尚俺に鋭い視線を向ける橘さん。君はいい加減そこから離れてくれ頼むから。
「理由を聞かせてもらおうか」
脱線しつつある空気を必死に戻そうとする堀北会長。ここではぐらかすのは悪手だと判断し正直に答える。
「まず第一俺はそういう人を引っ張ってく質の人間じゃありません。せいぜいクラスをまとめるのが精一杯です。それに……会長は俺の実力を買ってくれたんでしょうけど、残念なことに俺は
そう強く言い放つ。少し感情が出てしまった為か、橘さんの顔がこわばるのが見えた。
「……そうか。だが全く成長しないと言う人間はいないだろう。何故そう言い切れる」
「
昔は兄の背中を、今は俺や清隆君の背中を一切視線を逸らさずに見つめ続けている。有栖ちゃんだってそうだ。
いつ追い抜かれるか分かったもんじゃないし、もしかしたら抜かれてしまっているかもしれない。
「お前は……」
そう語る俺を見てどう思ったのか、珍しく言葉を濁す堀北会長。
「で、でも斎藤君って凄い成績良いじゃないですか! 運動だって体育の記録ですが日本新記録を出してますよ! この前の試験だって「それが何になりますか」えっ?」
慰めてくれた橘さんの言葉を遮るように言い放つ。
「それが何になりますか? 今の俺は、例えるなら芯が腐った大木です。堀北会長やあなたの妹、各クラスを牽引するリーダーたちは、今は小さいかもしれませんが、これからどんどん大きくなっていきます」
いくら面だけデカくても、中が腐ってたら枯れていくだけだ。
そう言い終わると同時に、『またやってしまった』という罪悪感だけが胸の奥に残り、その場には気まずい沈黙が流れる。
「ご、ごめんなさい。私そんなつもりじゃ」
「謝らないでください。分かってますから……そうだ会長。断った立場で何を言ってるんだと思うかもしれませんが、僕と取引してくれませんか?」
「取引だと?」
突然提案された取引に食いつく堀北会長。訝し気にこちらを見る彼に、俺は指を立てて説明した。
「絶賛大成長中のあなたの妹と、Dクラスの綾小路ってやつを生徒会に入れてみてはどうでしょう? あの2人のコンビは息ピッタリですよ?」
死んでいる空気を戻すために、あえて少し明るめのトーンで提案する。
「……取引と言ったが、お前からは何を要求する」
「鈴音ちゃんともう1人、
「……橘。データベースから綾小路清隆の情報を持ってこい」
「は、はい! 分かりました!」
手に持ったタブレットで何かを調べる橘先輩。表示した画面を堀北会長に見せると、会長は興味深そうにそれを見ていた。
「なるほど、こいつかお前の言っていた綾小路というのは」
「知ってるんですか?」
「ああ。入試試験ですべての教科50点の生徒が居れば記憶にも残るだろう。まさかお前と鈴音と関係があるとは思わなかったがな」
「じゃあ話が早い! 鈴音ちゃんを生徒会長で、清隆君を副会長にしましょう! 条件だって未来の副会長候補をみすみす退学にさせたりしないでしょう?」
ちょっと見ただけだけど、この人は冷たそうに見えてその実優しい人だ。鈴音ちゃんの事を常に気にしている辺り容易に想像できる。
しかし、俺のお墨付きということで快諾してくれると思ったが、そう上手くはいかないようだ。
「……仮にお前の提案を飲むとしても、まずはこの2人がどのような生徒かは見極める必要がある。特に鈴音は人の前に立つ柄の人間じゃないからな」
「だったら見ていてあげてください。俺の自慢の友達をね」
────という流れで今に至る。
「あの二人に無くて俺にはあるもの、ですか?」
「意外か? 自らの長所には気づきにくいタイプの人間だとは思わなかったぞ」
長所は気づいてるよ? 顔が良くて運動出来て一度見たものは大体なんでも覚えられるし、コミュ力だって清隆君300人分くらいはあるつもりだ。
ただまぁ……致命的に性格が終わってるから……
「じゃあこうしましょう。今回のリレー、会長が勝ったら生徒会に入ってあげます。────その代わり僕が勝ったら、
「……良いだろう。その言葉違えるなよ」
少しだけ口角を上げて話す会長……こっわ、鈴音ちゃんそっくりやんけ。
「体育祭など楽しむものではないと思っていたが……ふっ、俄然やる気が出てきた。
そう言って同じクラスと思われる生徒の所に向かう会長。心なしかその背中からの圧力も大きく感じた。
因みに体育祭で俺がやったことを上げると以下の通りになる。
・100m走で1位を取って女子にチヤホヤされる
・有栖ちゃんの応援を貰った後、棒倒しではしゃぎすぎて鈴音ちゃんに怒られる
・二人三脚ではしゃぐ有栖ちゃんに癒される
・高育のマイキーになって清隆君を助ける
・勢いで有栖ちゃんとキスをする
・男女二人三脚で鈴音ちゃんの成長に感動する
・堀北会長に宣戦布告する ←今ココ!
「うわぁ…」
やっぱ性格終わってるわ。間違いない。
修羅場を期待した方ごめんなさい!正直に言います、展開が思いつかなかった……
最後の7行だけでこの小説の体育祭編説明できるかもしれん。
一応裏話ですが、堀北をここまで成長させてくれた人なので、会長は斎藤に滅茶苦茶感謝してます。そりゃもう次の生徒会長になって欲しいくらい。
実際適正としては一年生全員と比べても頭一つ抜けてます。
紡君が勝ったら何をお願いするのでしょうか?お楽しみに!
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話の進むテンポについて
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もっとサクサクでもいいよ
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今のままで良いよ