ようこそクズヒモ男の教室へ   作:妄想癖のメアリー

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 間に合わなかったので朝投稿です。12時とどっちが良いかな? 
 個人的には寝る前に来た感想を見てニヤニヤするのも好きですが、朝起きたときに一気に見るのも乙なんですよねー
 と、そんな僕のキモい悩みは置いておくとしましょう。本編です。

 高評価、感想、ここすきをいただけると作者のモチベーションになります!
これからは感想の返事ちゃんとします!


交差する想い

 

 

 

「────で、こと今回の試験に関してヒモ野郎が問題を作成することは無いと。そう言ってたんだな」

 

 1年生が各クラスの担任から試験についての説明を受けた日、時刻にして夜9時頃、龍園翔はスマートフォンを耳に当てながらそう聞き返した。

 

「うん。不思議だよね? 言い出したのは堀北さんなんだけど、斎藤君本人もびっくりしてたよ。問題作る気満々だったみたい」

 

 その相手は櫛田桔梗。放課後に元Dクラス……現Cクラスの代表者同士で行われた話し合いに参加していた1人だ。メンバーは堀北、綾小路、斎藤、平田、軽井沢、櫛田の6人。

 櫛田からすればこのメンバーに綾小路が交ざっているのが疑問であったが、今までの試験を振り返りいつも通りのことだと納得する。

 

「……綾小路か」

 

「え? どうかしたの、龍園君」

 

「いや、なんでもねぇ」

 

 しかし龍園はそうは思わなかったらしく、小さく疑念の声が漏れた。櫛田には聞こえていなかったらしくそう聞き返されるが、龍園が答えることは無かった。

 しかし彼にとって、綾小路という生徒は違和感を覚える存在だった。

 最初にその違和感に気が付いたのは、無人島試験が終わった後の優待者試験が始まった日。

 

「体育祭後の鈴音周りの関係はどうなってる。特に斎藤、綾小路との関係の変化は無かったか?」

 

「うーん……特に変わりは無かったかな。いつも通りウザい位仲良しだよ」

 

 ────突然だが、ここで今までに行われた龍園とCクラスの争いを振り返ってみよう。

 

 まずは須藤事件。これは斎藤が偽の監視カメラを設営、それに動揺する石崎達の反応を録音し証拠として提出すると脅すことで訴えを取り下げることとなった。

 次に無人島試験。これも同様に、()()()()()()堀北が襲われることを黙認、結果としてその証拠をデジカメで録画することによって契約を破棄。得意とする暴力で圧倒されたこともあり、龍園にとっても苦汁を飲まされた結果だった。

 最後に優待者試験。結果からするとほぼ引き分けのようなものだが、それと引き換えに斎藤と協力した坂柳がAクラス内で盤石な地位を獲得した。

 

 これだけ見れば、斎藤の暗躍が龍園の一歩先を行っていると言っても過言じゃないだろう。龍園自身もその実力差は認めている。

 ────しかしここで彼が気になったのは、常に協力者として立ち回っていた綾小路の存在だった。

 

「気に入らねぇか?」

 

「当たり前でしょ。私の秘密を知っててなおかつ人気者になりそうな堀北さん。運動でも勉強でも何でも一番を取っててムカつく斎藤君。そして屋上の件を見られた綾小路君。この3人が仲良しだなんて、いつ秘密をバラされるか不安で仕方ない」

 

 石崎達を騙したときも、無人島試験で堀北が斎藤に陥れられたときも、綾小路は一切動揺を見せることなく役割を果たしてきた。それこそ無人島試験での作戦は、龍園すら予想が出来なかった悪辣なものだ。目の前で泥だらけになりながら嬲られる堀北を、淡々と録画し続けるなんて、ただの学生が出来ていい芸当ではない。

 ただ綾小路が他人に関心がなく、斎藤が行ったことを気にしていない凡愚という考えもあるだろう。龍園も()()()()()()()

 

「でも、やっぱり綾小路君が運動できることにびっくりした人もいっぱいいたかな。馬鹿な男子は嫉妬してるし、女子も狙いに行ってる子がいるから」

 

「はっ、そりゃそうだ。俺だって完全にノーマークだったからな。ここに来て実力を見せる論理的理由が一切見当たらない」

 

 実の所論理的理由などなくただモテたいだけなのだが……それは置いておくとしよう。

 そう。綾小路がなんの取り柄もない生徒であれば、龍園がここまで警戒する必要は無い。

 しかし、体育祭にて綾小路が見せた実力の片鱗、それも今まで運動が出来るなんて話は全く聞こえてこなかった中であの活躍だ。あれだけ動けるなら噂の1つ位は流れるはずなのに、同クラスで屈指の情報網を持つ櫛田でさえ何も知らなかった。

 

「どちらにせよ、お前は綾小路をただの金魚のフンだと思わない方が良い。恐らく斎藤ほどでは無いだろうが鈴音と同等の実力を有してる可能性もある」

 

「綾小路君が? まぁ、別に良いけど」

 

 龍園の忠告に対して懐疑的な反応を示す櫛田。

 確かにクラスでの様子を見てたら、到底頭がキレる人物とは思えないだろう。

 しかし、綾小路が自らの存在を隠し通せるだけの実力があることを龍園は半ば確信していた。

 

「櫛田。もしお前が誰かを駒にして指示を出せるとするなら、その駒には何を求める?」

 

「えー、何だろ……従順さとか?」

 

 何とも櫛田らしい答えだろう。彼女は何よりも不確定要素を嫌う。自らの地位が脅かされる要素をすべて排除しようと躍起になているのがその証拠だ。

 

「それも悪くはねぇが少し足りない。駒に求められるのは、咄嗟の事態に対して機転が利くかどうかだ。その点で俺は石崎よりも伊吹を買っている。無人島試験で反感を抱く伊吹をスパイにしたのもそれが理由だ」

 

「ふーん。じゃあ私は良い駒になるかもねっ。従順かどうかはさておきだけど」

 

「そうだな。そろそろお前も我慢の限界が近いんじゃねえか? ま、今回の試験ではしっかり働いてもらうから安心しろ」

 

「ふふっ。良かった……やっと潰せる時が来たんだね」

 

 龍園の言葉に上機嫌に笑う櫛田。

 無人島試験の前と後で、龍園が変わった所が浮き彫りになる会話だった。

 

「じゃ、詳しい話は録音したデータを送るから。おやすみ龍園君」

 

 そう言って電話を切る櫛田。前回直接話し合った時と比べて楽しげな様子だった。

 宿敵である堀北を潰せるチャンスが回ってきたという理由も大きいだろうが、それとはまた別の理由も大きかった。

 

「ククク……面白れぇじゃねえか。体育祭の分も含めて返してやるよ」

 

 龍園は良くも悪くも、他者を()()()()()()()()()()()()()()を手に入れようとしていた。

 それは彼にとっては些細な嘘。『期待している』や『お前が最適だ』等、耳ざわりの良い事を一言述べるだけで、クラスメイトの士気は格段と上がっていた。

 もちろん未だ彼に反発し続ける生徒も多いが、体育祭で圧倒的な結果を残したCクラスに続いて2位の記録を取ってからはその声も小さくなった。クラスこそ下がってしまったが、正攻法でも他クラスに勝てるという事実は、少なからずDクラスに良い影響を与えていた。尤もこの勝利自体龍園が参加表をCクラスとAクラスからスパイを通じて抜き取っていたのだが。

 奇しくも、斎藤が坂柳に与えた影響と全く同じものを龍園は受けていたのだ。何分普段の態度がアレなためその効果は抜群。リアルDV彼氏のような、絶妙な飴と鞭の使い方は天性の才能でもあった。

 

 

 

 ────その鋭く研がれた爪が、裏切者と共にCクラスに向けられようとしていた。

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 特別試験の説明を受けて早1週間。6時間目のホームルームの開始後、茶柱先生は即座に教室を後にした。きっと試験の対策を話し合う時間を与えてくれたのだろう。

 そんな彼女の意思を汲み取った平田と堀北が教壇に立つ。体育祭からクラスの取りまとめを行うこととなった堀北。40人近い生徒の視線を受けてもその力強い瞳は揺らがない。

 

「今日のホームルームは明日の小テストに向けての作戦会議を行いたいと思うんだ。茶柱先生には許可を得ている。ホームルームの時間は好きに使って構わないと言って貰えた。まずは堀北さん、いいかな?」

 

 今や堀北と平田の2人体制に文句を言う生徒は居ない。昔だったらともかく、今の堀北は他人を尊重することの大切さを知っているからだ。彼女にそれを教えた紡は、俺の後ろで上機嫌にその様子を見つめてる。

 

「まず、この場を借りて皆に伝えたいことがあるわ」

 

 非常に重苦しい出だしだ。動揺こそ見せていないが、言葉の節々から感じる初々しさについ口元が緩みそうになるが、それをぐっとこらえて話を聞く。

 

「この前の体育祭。私達が勝てたのは皆のおかげよ。私が提案した案を飲んでくれた皆のおかげ。ありがとう」

 

「そ、そんなっ。よくよく考えればクラスが勝つために協力するのは当たり前じゃん! 私とか最初嫌がっちゃったし……」

 

 当時堀北の案を渋っていた篠原が堪らんと言った様子で両手を左右に振る。自分の都合でクラスが勝つ可能性を低くしていた過去を恥じているのだろう。

 

「いいえ。篠原さんの考えは至極まっとうだったわ。クラスポイントを得るための私の我がままに付き合ってもらったと言っても間違いじゃない。実際数名の生徒にペナルティを負わせてしまったわ」

 

「まあ赤点は結局出なかったし。Cクラスにも上がれたし、お小遣いも凄い貰えてるし? そのくらいは別に良いんじゃない」

 

 そう軽井沢がフォローする。

 

「だから、協力してくれたあなた達には最良の結果を返したい。それは今回の試験でも同じ」

 

「ほぼ毎年Dクラスは退学者が出てるんでしょ? 今はあたしたちCクラスだけど、ちょっと不安よねー」

 

 クラスの緊張を強めるよう敢えてハッキリと語る軽井沢。

 上手いな。今ので弛緩していた空気が程よい緊張感へと変わった。事前に打ち合わせをしていたわけではないだろうが、軽井沢は持ち前の他人の意思を汲み取る能力で堀北のサポートをこなしている。この短いやり取りの中でも、Cクラスのリーダー格は高い完成度を誇っている事を示している。

 

「そこで私から皆にやってもらいたいことがあるの。確実に退学を阻止できるであろう方法が一つだけあるわ」

 

「そ、そんなのがあるのかよ……速く教えておくれよ~堀北」

 

 池が調子よく両手を合わせている。いつも通りだな。

 

「その方法は、ペアの法則を解明することよ。学力が高い人と低い人を組み合わせれば、まず間違いなく退学は阻止できる」

 

 動揺するクラスを尻目に、堀北と平田はペアの法則を説明した。

 

「────つまり、次にやる小テストを0点にすれば、俺は斎藤と組めるって事か! 助かったぜー」

 

「極端な例だけどそういう事よ。これまでのテストの結果を踏まえて、点数に不安のある生徒たちを重点的にカバーしつつ、成績上位者と計画を立てて組ませたいと思ってるの。個人的に不安を抱えている生徒もいるでしょうけど、全員をカバーできないのが実状よ」

 

 中間テストで満点を除いて平均80点以上だった生徒は11人。90点以上となれば6人と激減する。比較的簡単だったテスト内容を思えば喜ばしいことじゃない。好成績者はクラスの半数に届かない。

 その逆に60点以下の生徒が多いことを踏まえても、全員を理想的なペア……つまり高得点保持者と組ませられないのは現実として見えている。

 そこで堀北は上下の10人ずつを強制的に組ませることで安定を図る狙いのようだ。

 黒板に成績下位の生徒の名前を記載していく。

 

「ここに書かれた成績下位の10人は、小テストでは名前を書くだけでいいの。逆に成績上位10人には必ず85点以上を取ってもらう。そして残った間の生徒20人も、同じように10人ずつに振りわける。そうすることで、期末テストに向けたバランスの良い組み合わせが自動的に出来上がるはず。ただし後できちんと詳細確認をするわ。事故が起こる可能性もあるから」

 

「そうすることで成績下位の生徒同士が組まないようにするということか」

 

 幸村の確認に頷く堀北。どうやら作戦の内容は伝わったらしい。

 異論のある生徒が居ないか確認した後、堀北は締めくくるようにこう語った。

 

「じゃあ明日のテストはこのような形で進めるわ。ペアを組んだ後の勉強会についても考えてあるから、それも追って説明するわ。ひとまず明日の小テストを乗り切りましょう」

 

「おう! やってやるぜ!」

 

 池の返事を皮切りにやる気に満ちた様子を見せるCクラス。────そこには、かつて不良品と呼ばれていたクラスの面影など欠片も残っていなかった。

 

 

 




 
DクラスとCクラスを対称となるように描写しました。クラス順変わりましたが、各クラスをどう呼称すればいいかは悩みどころですね…

 モチベ=投稿頻度なので、まだやってないよって方は高評価や感想、お気に入り登録をしてくれると超嬉しいです!!
 週2投稿を目指します!



 ふと昔小説を調べていた時のように総合評価順に並べてみましたが…まさか5番目にランクインしてるとは…ビックリです笑
 思えば、小学生の時にこのサイトを発見してから訳7年が過ぎました。
 よう実にハマったのは某人間賛歌様の作品を読んでからです(名前出しちゃまずかったら消します笑)。

 飽き性の僕が四半期近くも更新を続けられたのも、ひとえに応援していただいた皆様のおかげです! 本当にありがとうございます! これからもよろしくお願いします!

 長々と語ってしまいました。もし僕のあとがきがウザかったら、設定から非表示にできるのでそれで勘弁してください笑

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