仮面ライダーアテランテ   作:湊戸アサギリ

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リブーターズの名前は「リヴートスターズ」に変更します
過去の分も随時修正もしていきます


Act.10 その懐かしさは……

 『私の仕事を手伝ってよ』

ナツメはエマに言われた言葉が気になっていた。その時に見せられたベルトも。

『私今、すんごいお宝を探してるのよ。それをちょっと手伝ってほしいわ』

彼女はそれだけを言ってその場を去っていったのが引っ掛かっていた。

「お宝って何かしら……? それよりあのベルトは何?」

ナツメはぼんやりと考えながら、職場に向かって歩いて行った。

 

 ※

 

 「前に見た金魚野郎、あれから全然見つけられねえよ。出てもすぐ倒して帰っちまう!」

「クストーデの仮面ライダーはクラーケンがいないと出てこねえからな」

ネオマリーナシティ内。リヴートスターズの三人は、アンデルセン・アーカイブを持つ仮面ライダーを探していた。バイクを止めて一旦はたむろしている。サトルとヘータはアテランテを見つけられずにいた。彼の正体がダイゴであることもクストーデの仮面ライダーは普段ゴンドリエーレであることもヘータとサトル、そしてイザナも知らない。イザナはブラッドシューズのアーカイブを出す。

「……アーカイブが無くても僕達の大切な人達が見つかる方法があればいいんだがな」

イザナをヘータとサトルは見る。

「……俺達のはともかく、リーダーの大切な人はアーカイブを使わないと会えない相手かもしれませんよ?」

ヘータは出来れば、アーカイブを全て集めて自分達の大切な人達に会いたい。生死の分からない相手と出会うためにはそれしかないと思っている。

「……かもしれないな」

イザナは少し下を向く。三人がそうしているとまた、『あの歌』が聴こえてきた。

近くの運河からダイゴの歌声が聴こえる。

「こないだのゴンドラの奴ですね。ここにも来るなんて」

「でけえ声してんなぁ。あの兄ちゃん」

ヘータとサトルはダイゴを思い出しやや呆れる。

「……」

そんな二人を余所にイザナはダイゴの歌が気になった。

「ちょっと行くか」

「え?」

「ちょ! リーダー!?」

ダイゴの歌が聴こえる方向にイザナは歩いて行った。

 

 ※

 

 ――見上げた先には 水に塞がれた太陽 水の上に出れば その光に届くのか

運河を行くゴンドラを漕ぎながらダイゴは歌う。客に歌う事はゴンドリエーレの仕事のひとつだが実際に歌う者は少ない。それもあってか、ダイゴの歌はシティ内に響きやすかった。

「また歌っているのか」

「!」

機嫌よく歌っていたダイゴを呼び止めたのは歩道にいたイザナだった。

「なんだよ。邪魔するんじゃねえよ」

「君の歌を近くで聴きたくなってね」

いきなり出てきたイザナにダイゴは戸惑う。自分がアテランテだと知られるのは危険だと思い、警戒してしまう。

イザナは大きな紫の眼でダイゴをじっと見つめる。その視線はかなり強かった。

「……全部聴きたきゃ料金出して乗りな! ゴンドラ乗りの歌は高いんだぞ」

視線の重さにダイゴは叫んだ。

「ああ、いいぞ」

イザナはそのまま、ダイゴのゴンドラに乗ることになった。

 

 ※

 

 ゴンドラの進む方向を背にする側にイザナは座り、ダイゴは向かい合わせの形になる。

「行き先は?」

「さっきいたところから一周してくれ」

ダイゴとイザナを乗せたゴンドラは動き出す。

「さっきの歌の続きを歌ってくれ」

「お、おう」

ダイゴは先程の歌の続きを歌う。運河の高い位置の橋をくぐりながら。

――あなたの住む楽園を 私はうまく走れない 私の愛する海を あなたはうまく泳げない

――世界の違いに いつだって 押しつぶされてしまうそうになるんだ

人間に恋をした人魚を歌った曲。ネオマリーナシティのある海には大昔人魚がいたという伝説を歌に起こしたものだった。

――あなたが綺麗だと言った花も しなやかと言った踊りも 私には不似合いなもの

――それでも あなたのそばにいたい あなたの笑顔を見つめていたい

ゴンドラを進ませながらダイゴは歌う。

「……いい曲だな」

歌い終えたダイゴにイザナは笑みを見せながら率直な思いを語る。

「だろっ! 歌もゴンドラ乗りの仕事だぜ!」

ダイゴは誇らし気になる。

「ネオマリーナって不思議な街だな。ここは海の上、なんだろ?」

「おうよ! この街自体が海みてえなもんだ!」

ネオマリーナシティの所在は日本の関東の海、それも過去の時代にも島や大陸のない位置に存在している。海中に巨大な水槽があるような構造の海中の都市『アクアリウム』の上部にネオマリーナシティはある。端的に言えば水中に重しを入れた水槽を浮かべるようなそれは25世紀でも珍しいものだった。

「世界のほぼ全部が海に沈んじまったけど、人間はそんな世界でも、世界の全部が海になっても生きていけるってのを証明するため、200年前にネオマリーナは造られたんだ。誰が誰に証明したいのかはわからねえけど、俺はネオマリーナがギガメガに好きだぜ! ここは俺の海なんだよ」

ダイゴは自分の生まれた街を愛していた。幼い頃は海中の『アクアリウム』で育ち、今はゴンドリエーレとして海上にいる。

「そうか……」

「なんだよ。お前さっきから」

イザナの返しが複雑そうにダイゴには見えた。

「いや、僕はここで育ったわけじゃないのに……なぜか懐かしさを覚えるんだ。特に」

「懐かしさ?」

「……君の歌も聴いた事ないはずなのに昔聴いた事あるように思えてしまうんだ」

イザナは右腕で自分の膝に肘をついて寂しげな目線をダイゴに向ける。

「俺がお前に会ったのは、こないだ助けた時が初めてだぞ?」

「それは僕もだ。だから不思議なんだ」

「……」

イザナの発言にダイゴも黙る。

「……もう一周したぞ。降りろ」

ダイゴのゴンドラはイザナに会った場所に戻ってきた。

「じゃあな」

イザナは料金を渡してゴンドラを降り、元いた場所に戻っていく。

(……俺を見て懐かしいって言ったのはどういうことなんだ? ギガメガわかんねえよ)

ダイゴはイザナの『懐かしい』がどうもひっかかるのだった。

 

 ※

 

 「リーダーどこ行ってたんすか?!」

「ああ、ちょっとあのゴンドリエーレの歌をだな」

「あの兄ちゃん声でけえんだからわざわざ行く事なかったでしょ!」

戻ってきたイザナにサトルは問う。

「……アイツが少し気になってな。アイツの歌も声も、なぜか聞き覚えがあるように思えるんだ」

「え?」

「?」

サトルとヘータはイザナの発言に引っ掛かる。そうしていると、制服を着た一人の警察官が自転車に乗ってやってきた。

「おー、坊主達! ここはバイク駐車禁止だぞ」

「あ、マツザキさん」

ヨシオ・マツザキ。ネオマリーナシティの中年の警察官だ。イザナ達とは既に旧知の関係である。

「マツザキさん、ちょっと休むくらいいいだろう?」

「そーだそーだ!」

イザナとサトルは言い返す。

「俺ら見張る以外にも仕事あるだろ?」

「そうもいかねえよ。この街に迷い込んだ子供を見てやるのが俺の仕事なんだよ」

「俺ら子供じゃねえっての」

ヘータもマツザキに言い返す。

「外からネオマリーナに来た連中はみんな、迷い込んだか何かを探してる奴等ばかりだ。お前達は……人を探して迷い込んだんだろ?」

「……」

マツザキに言われイザナ達は黙る。

「お前達の探してる人達はウチの署でも捜査中だ。必ず見つけてやる。だから駐車ルール守れよ!」

そう言ってマツザキはそのまま自転車で行った。

 

 ※

 

 「ほおら、ついたぞ」

その日の夕方。ダイゴはいつものように小学生達をゴンドラで下校させ、停留所で降ろす。

「お兄ちゃんじゃあねー」

「おう! また明日な」

ダイゴは小学生達を見送る。その時、スズキから連絡がきた。

『ダイゴ、クラーケンが出たぞ! お前の近くの、Dエリアだ』

「おっす! すぐ行きます」

ダイゴはゴンドラを止めて降りて自動操縦で走行してきたバイクに乗り、現場に向かう。

 

 ※

 

 中型のクラーケンが歩道の上に上がり、周囲の建物に火を噴き建物を燃やす。それを見た人間達は逃げていく。

「きゃあああ!」

「わあああ!」

そこにバイクで駆け付けたのはダイゴだった。

「うわ! 火を噴く種類かよ! 早く止めねえと!」

ダイゴはベルトとフロッピーディスクを出し、アテランテに変身した。

「変身!」

『カラシウスアウラティス! アテランテ!』

「ギガメガにしとめてやるよ!」

ハープーンでダイゴはクラーケンに向かっていく。クラーケンは火を噴きダイゴはそれを避ける。

「あっちぃんだよ! しかもあぶねえ!」

ダイゴはハープーンを強くクラーケンに刺す。クラーケンの動きは止まる。

「よっし! そうだ、火消さねえと」

ダイゴはハープーンの火で燃えている周囲の建物を見る。

「火を消すなら水鉄砲だろ」

ダイゴはハープーンの柄を折り曲げ、銃形態にする。すると、柄の一番下からホースが自動で伸びすぐ傍の運河の海に入る。ダイゴは火に銃形態のハープーンを向けて強い水圧の水の弾を撃つ。すると、建物の火は瞬時に消える。

「こっちもよし!」

火が消えたのを確認したダイゴはクラーケンを見る。

「お前に恨みはねえが、お前は人の海域の掟を破った。人の掟に従い、お前を仕留める!」

ダイゴはベルトのフロッピーディスクを裏返しに差し込み、ダイゴの周りの水がダイゴの身体を高く持ち上げる。

『アテランテ・マリンスプラッシュ!!』

ダイゴはそのままクラーケンに向けてキックする。

――ドシャアアアア!!

クラーケンはそのまま消滅する。

「ふー、駆除完了っと!」

ダイゴはそれを確認する。そうしていると、

「ようやく見つけた」

「え?」

イザナ、ヘータ、サトルの三人である。

「逃がさねえぞテメェ」

「アーカイブ寄こしな金魚野郎!」

ヘータとサトルはイザナの横でダイゴを睨む。

「僕だけで行く。お前らは手を出すなよ」

「はい」

「うっす!」

イザナはヘータとサトルにそれだけを言って自分のベルトとフロッピーディスクを出し装着する。

「変身」

『システムコード! マークイス!』

イザナはマークイスに変身した。

「今持っているアーカイブをもらうぞ」

「おわ!」

向かっていくイザナの銃剣をダイゴはハープーンで受け止める。

「お前なんでアーカイブが欲しいんだ!? 願いのためか!?」

「お前には関係ないことだ。余計な戦いをしたくないと思うなら大人しく渡せ」

「俺だってアーカイブは仕事で必要なんだよ!」

打ち合いながらお互いは叫ぶ。

「あーら、やってるじゃない!」

「!?」

そこに横やりを入れたのは、エマだった。ダイゴとイザナがすぐそばの建物の高い柵を見上げると、そこに座っていた。

「あんた達のアーカイブ、私がもらうわよ! 変身!」

エマは柵から飛び降りながらベルトにフロッピーディスクを差しエスポワールに変身する。

「このギガメガ忙しい時に!」

「なんだあの女!?」

ダイゴはやや怒り、イザナは見知らぬ女の乱入に驚く。

 

続く

 




 ミキヤは別のエリアでクラーケン退治をしてました。その辺もうまく本編で出せたらいいなぁ……書くのって難しいんだよ

マツザキさんはダイゴの隠れファンだったりします
「やっぱ良い曲歌うな……」
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