仮面ライダーアテランテ   作:湊戸アサギリ

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今回は誰も変身してません。今後変身しない回もあると思います


Act.13 だって胸が苦しいんだよ

 「やあ、今いいか?」

「! イザナ?」

ダイゴがゴンドラステーションの前にいると、買い物袋を両手に抱えたイザナが現れた。

「なんだよ」

「なんだってゴンドラに乗りに来たんだよ。荷物多いからちょうど良かった」

「お前はバイクあんだろ」

「この辺の道はバイク走れないの、君だって知ってるだろう?」

イザナはそう言いながら水上にあるダイゴのゴンドラに乗り込む。

「Fエリアの僕達のアジト近くの停留所に行ってくれ」

「お前ら、ってお前とあのロン毛と茶髪か?」

「ああ。バイクのガレージで僕達は寝起きしている」

ダイゴはイザナが座るのを確認するとゴンドラを漕ぎ出す。水上の流れは緩やかで漕ぎやすい。

「――僕達三人は余所の街から来たんだ、大事な人を探すために……」

「大事な人?」

「それがどこにいるかわからないが、見つかるまで諦めたくないんだ」

「お前と一緒にいたあの二人もか?」

「ああ……」

イザナはダイゴに自分の事情の一部を話す。

「お前の大事な人ってどんな人? 女? 男?」

ダイゴはやや食い気味に問う。イザナの素性は正直知りたい。

「女の子だよ……。僕と同い年の幼馴染で、ずっと昔に生き別れて以来探している」

同い年の幼馴染の女。それがイザナの探している相手だ。

「……」

ダイゴはそれを知って、なんとなく沈んでしまう。

「……わ、わりぃ」

「なんで君が謝るんだ?」

「だってよう……」

「君が気に病むことではないだろ」

そうしていると、イザナ達のアジトであるガレージ近くの停留所に到着する。ちょうどそこにはヘータとサトルがいた。

「リーダー、荷物お持ちします」

「今日の夕飯はカレーっすよ!」

イザナがゴンドラを降りるとヘータとサトルは荷物を受け取る。その時、サトルとダイゴの目があった。

「ゴンドラの兄ちゃん! ちょっといいか?」

「? なんだ?」

サトルは自分の右手首の上着の袖をめくり、それを見せる。そこには革紐と銀で出来たブレスレットがあった。

「これと同じモンしてる子供見なかったか? 小学生くらいの!」

「? 俺の客、小学生多いけどそんなブレスレットの奴は見たことねえよ」

「じゃあさ! 三年前に、」

「サトル、もう行くぞ」

サトルとダイゴの会話をヘータが遮る。サトルはしぶしぶイザナとヘータに付いていく。

「……」

「なんだったんだ……?」

ダイゴは三人の背中を見ていた。大事な人を探しているらしい三人を。

イザナ、ヘータ、サトルは荷物をそれぞれ抱えてアジトに向かっていく。

「なんで止めたんだよ、あのゴンドラの兄ちゃんなら客商売だし何か知ってるかもしれなかっただろ!」

「俺達の事情に巻き込んでるんじゃねえよ。三年前のアレは新聞にもニュースにも出てねえから知るわけもないだろ」

サトルはヘータに遮られたのを怒る。

「お前らの巻き込まれた事件は報道されなかったんだな」

「そうみたいです……」

イザナが口を挟む。

「三年前のアレで俺もサトルも、何もかも無くしましたよ」

「うん……」

ヘータとサトルの表情は沈む。

 

 ※

 

 「支部長ー!」

「お、ダイゴ」

次の停留所にゴンドラを向かわせるダイゴはスズキのゴンドラを見かける。

「今ちょっと時間いいすか? 業務のことで!」

「いいぞ、なんだ?」

ダイゴは自分のゴンドラをすれ違うスズキのに寄せる。

「支部長は人探ししてる客を乗せたことありますか?」

「? 客と何かあったみたいだな……?」

スズキはダイゴに何があったかは聞き返さずに答える。

「あるよ。昔からたくさんな……忘れたくないものを探している人がやってくる、この町じゃよくあることだ。ネオマリーナの外から来る人はワケアリが多い。海は全ての者を対等かつ平等受け入れる、どんな過去があっても何者であれど」

スズキはダイゴの顔を見てみる。

「お前客と何かあっただろ?」

スズキは笑いかける。ダイゴは頷く。

「ゴンドラ漕ぐだけが仕事じゃねえのは前にも教えたよな。この海でお前はどうしたい?」

「……」

ダイゴはイザナの顔を浮かべる。大事な人を探しに来たという彼を。異国の王子のような容姿の少年が浮かべた、どこか寂しげな表情は忘れられない。

――やっぱアイツが、イザナのことほっとけねえや!

「――よっし! 決めた!」

ダイゴは上を向く。

「ネオマリーナは、この町は俺の海っす! ここに来た連中に俺が出来ることを全部やってやりますよ!」

「おっし! それこそゴンドラ乗りだ」

笑顔が戻ったダイゴにスズキは内心安心するのであった。

 

 ※

 

 「これを使うと願いが叶うのですか?」

黒いスーツを着た男は、数人の自分の客に囲まれていた。初老の男は黒いスーツを着た男に渡された鍵、モンスターキーを見る。

「もちろんです。願い叶うというより、野望を達成させられるとも言えますね」

黒いスーツの男はほくそ笑む。彼の右手の甲には大きな傷があった。

 

 

続く

 

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