仮面ライダーアテランテ   作:湊戸アサギリ

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二号ライダーが出てきます

追記2022.11.24
ダイゴの妹の名前を「ノドカ」から「ノリカ」に変更しました。似たような名前が目立つ気がしまして……(言い訳)


Act.2 過去から来た侯爵

 金髪の少年は時々夢を見る。ある人を探して走り回っていると、黒い影が自分を包み横倒しになる。自分は闇の中に揉まれ、その恐怖に叫ぶ。

――僕を一人にしないでくれっ!! ああああああぁぁぁっ!!

少年はそう叫ぶと夢から醒めた。

「っ!! ……」

少年、イザナはバイクが数台入るくらいの広さのガレージにあるソファに座ったまま眠っていたのだ。

「またあの夢か……」

 

 

 ※

 

 

 夜のネオマリーナシティの中心部は強い街明かりの光で昼に負けないくらいに明るい。そんな中心部から少し離れた星下区はそこまで明るくなく、夜の海らしい風景があった。ダイゴと彼の妹はそこの集合住宅の一角に住んでいた。

「ただいまぁー」

「おー、ノリカお帰り!」

大学から帰ってきた妹、ノリカをダイゴは夕食を作りながら迎える。

「今飯出来たとこだぞ」

「わぁ、今日も美味しそう!」

食卓にあったのはノリカの好物のハンバーグと白米とワカメの味噌汁だった。ノドカはカバンをソファに置いて食卓につく。

「いただきまーす。そういや兄ちゃん、今日もクラーケン倒したっしょ?」

「そうだぜ?」

「大変じゃない? ゴンドラ漕ぐだけじゃなくて害獣退治までしないといけないのって」

ダイゴ達ゴンドリエーレが仮面ライダーとして戦うことはノドカも知っている。

「そんなことねえよ。港町に住む人達を守るのも、海に生きる男の仕事だってうちの支部長が言ってたしな……」

スズキから以前習ったことをダイゴは語る。そうしていると彼はふとある事を思い出す。

「あーっ! 今日『ギャラクシアガイ』の映画の日だ!!」

ダイゴは慌ててテレビを点ける。そこにダイゴの憧れのヒーローがいた。

『大銀河の神が俺をこう呼ぶ! ギャラクシアガイと!』

「あああ! やっぱ良い!」

ギャラクシアガイ。ダイゴが幼い頃から憧れている創作物のヒーローだ。テレビ放送の終わった現在でも人気が高く、映画もいくつかあるほどだ。

「兄ちゃん相変わらずギャラクシア好きだよね」

「当たり前だ! 俺の永遠のヒーローだぜ! ギガメガかっけええだろ!」

ギャラクシアガイの映画を見ながら、二人は食卓のハンバーグを食べる。

「んふぅ、おいしい」

「だろー!?」

父は仕事でなかなか帰らないが二人はいつも食事を共にしていた。

「兄ちゃん、ギャラクシアガイみたいになれてよかったって思ってるっしょ?」

「まあな! 人間一回はヒーローになりたいって思うだろ! 今の俺はそれだよ!」

「兄ちゃんは昔から何回も思ってたっしょ? まあ自分は無いけど」

「へー?」

 

 

 ※

 

 

 「ダイゴ、ドライバーの調子どうだったかい?」

「前よりギガメガ強くなっていますよ!」

翌日のゴンドラステーション内。スズキはダイゴに整備されたアテランテのドライバーについて報告を求め、ダイゴはそれに答える。

「それは良かった。それを報告書にして本部に出してね」

「ううう! それはきっついっす」

「それから、クラーケンと戦って何か変わったことはなかったかい?」

「? 特に何もなかったっすよ。前よりちょっと強いかな、って思いましたけど」

スズキは話題をクラーケンについてに変える。

クラーケンは世界が海に沈んだ後に現れた生物で人間を食することもある。だから仮面ライダーや専門の猟師達が駆除することが多い。かつての地球にいた野生の猛獣のような存在である。

「そうか……クラーケンの目撃情報も出現率も増えて来たから気を引き締めないとな。猟師衆だけじゃ対処しきれないこともある」

猟師衆とはクラーケン等海から来る害獣達を仕留めるために組織された狙撃隊である。

「もちろんっス! 俺に任せてください!」

「よし! じゃあ見回り行ってこい!」

スズキはダイゴをパトロールに出すのだった。

 

 ※

 

 「今日は予約客いないし通学グループはミキヤさんの担当だからゆっくり出来ると思ったのにぃ……」

ダイゴは自分のゴンドラをこいで運河を行く。橋にも細い道にも人は少なく、風も小さく海の揺れも小さい。

「……」

久々に見た穏やかな風景。ダイゴはそれらを見て、歌を歌い出す。ゴンドラ乗る者達が長年歌い続けたカンツォーネを。雄々しくも優しい歌声が周囲に響く。その歌を聴いて建物の窓から顔を出す者がぽつりぽつりと出てくる。イタリア語で直接的な歌詞の意味はわからないが、その歌に聞き惚れる。

その歌は、高い位置にある陸橋をバイクで走っていたある少年の耳にも届いた。

「? なんだろう? 歌か?」

少年、イザナはバイクを止めてヘルメットを取り、歌声の聴こえる場所を探してみる。聴こえる方角を見ると、ダイゴがゴンドラで歌う姿が見えた。歌の意味は分からないが気になってしまう。

「ゴンドリエーレの歌か」

イザナはその歌を聴いたことはなかったが、なぜか懐かしさを覚える。

「やっぱりここはほとんど『海』みたいだな……」

しばらく聴いていると、イザナはヘルメットを被り直しバイクに乗り、再び走り出す。

ダイゴはそれとほぼ同時に、歌い終える。

「……ふー」

「ブラボー!」

「良かったよダイゴ!」

ダイゴの歌を聴いていた街の人々は称賛し拍手する。

「おー! あざっす!」

ダイゴは人々に手を振る。

 

 

 ※

 

 

 イザナは陸橋を降りて運河のなく車道や歩道の多い区域に到着する。そこは古い電化製品や鉄骨の積もった場所だった。イザナはここに隠れている盗賊を探しに来たのだ。盗賊を見つけ次第捕まえるのは彼の今の仕事だ。

イザナが歩いていると、彼の気配を感じたその盗賊の男が姿を現す。

「なんだ坊や? こんなところに来るなんて迷子か?」

「いや、貴様に用があってな。『モンスターキー』を使って強盗をするお前を捕えろってな」

「は?」

モンスターキーとは使用した人間を人間では無くす、つまり怪物に変えてしまう鍵。人体のどこかに付けられた鍵穴の入れ墨に刺すことでそれが成立する。

「なんだよ、俺がキー持ってるの知ってるのかよ……じゃあ、ぶっ壊れろ」

盗賊の男は懐から鍵、モンスターキーを出し腕に彫られた鍵穴の入れ墨に差し込む。その力で男の姿は岩石が擬人化したかのような怪物の姿になる。

「潰してやるよぉ!」

怪物になった男はイザナに殴りかかる。イザナは素早く避ける。男の殴った地面は大きく穴が開き、周囲の古い電化製品の山や鉄骨は崩れる。殴るのを避け続けるイザナは男から離れる。離れたイザナは、あるベルトとフロッピーディスクを取り出す。

「悪いが付き合っているほど僕は暇じゃないんだ」

イザナはベルトを腰に装着しフロッピーディスクを高く上に上げて差し込む。

「変身!」

『システムコード・マークイス!』

イザナの身体は黒い鎧の騎士のような姿に変わる。そこにいたのは、黒と緑と紫の色をした戦士、仮面ライダーマークイスだった。

『ロードオブ! マークイス!』

「……殺せるなら殺してみろ、僕を阻むことは誰もできない!」

マークイスとなったイザナは銃剣を振りかざし男と交戦する。剣の部分で切りかかる。男は岩の拳でイザナを殴り続けるがイザナも止まらずに剣の部分で切り続ける。男は転がっている鉄骨を持って投げる。イザナはそれを軽々と避けて男に向かっていく。銃で撃ち、剣で斬る。そうしていくと男はダメージが溜まっていき、動けなくなっていく。

イザナはベルトのフロッピーディスクを取ると、銃剣に差し込む。

『マークイス・ファイナルアタック!』

「これで終わらせる」

『ドラグーン・シューティング!』

イザナは銃を向けて大きな紫の光の弾を撃つ。それは男に命中し、爆発する。男は元の人間の姿に戻りその体内からは先程のモンスターキーが出てくる。それはヒビは入り効果を無くしていた。

「……ふー、終わったか」

イザナはモンスターキーを拾う。そうしていると、ブレス型の通信機に連絡が入る。

『リーダー、盗賊野郎の盗んだ宝石は全部見つけて回収しました』

『そいつの仲間はオレらがボコっときましたよ!』

イザナと行動を共にする二人の少年からだ。長い黒髪で右目を隠しているのがヘータ、赤茶色の短い髪をしているのがサトルだ。

「ああ、大義だった。アジトでシズクさんに渡しておいてくれ」

イザナは通信を切る。シズクという女性から与えられる任務を遂行する、それがイザナ、ヘータ、サトルの仕事だ。三人はそれが『自分達の願い』の手がかりになると信じて行っている。

 

続く

 

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