仮面ライダーアテランテ   作:湊戸アサギリ

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ヒロイン(三号ライダー)と戦っています。うちのヒロインはライバル兼三人目の主人公を目指しています


Act.6 賭博の女王の思惑

 ダイゴの目の前に弓に搭載された矢の先がある。それに対して危機感を覚える。

「アーカイブ狙ってるやつら多すぎだろ! 変身!」

ダイゴは自衛のためにベルトを取り出しアテランテに変身する。

『カラシウスアウラティス! アテランテ!』

「ゴンドラ乗りを突き落とそうとした罪はギガメガ重いぜ!」

ダイゴは素早く距離を取ってあえてゴンドラから飛び降りて海に入る。彼女の狙いはアーカイブだ、距離を置いたほうがいいと判断したのだ。潜水し逃げることにした。

「いや、飛び込んでるじゃん」

エマも彼を追って飛び込む。海中で泳ぐダイゴにエマは追い付く。

「え!? お前のスーツも水中向きかよ!?」

「今の時代普通でしょ!」

ダイゴの素早い泳ぎをエマはしつこく追う。しばらくそうしていると、エマはダイゴに少し追いつく。弓から矢のような光弾を出し、ダイゴはそれを避ける。そして弾をハープーンで掃う。ダイゴはうまくエマに近づき、ハープーンで弓を殴る。二人はしばらく武器で殴り合いを続ける。その時一瞬、二人の身体は接近しあう。

「お前も何か願いがあってアーカイブ狙ってるのかよ! なんでベルト持ってるんだ!」

一旦離れたダイゴはエマに叫ぶ。

「願い? 私の目的はアンデルセン・アーカイブそのものよ」

「は?」

エマは答える。

「アンデルセン・アーカイブは地球が海に沈む前の時代からずっと歴史の裏で奪いされてきたお宝なの。だから私、それがすごく欲しい、ただそれだけ」

エマは金そのもの、金目のものや宝石だけでなく、歴史的価値の高い秘宝も好んでいた。

「願いが叶う伝説を持った世界一の宝石がほしいのよ、それがアーカイブだっただけ」

アーカイブを宝石として所持したい。それがエマの目的だった。

「コレクションって持っているだけで嬉しくなるでしょ? 危険物のコレクターだなんて普通にいるんだし当たり前よ」

「マジかコイツ……」

エマの目的を知ってダイゴは驚くしかなかった。

「今持ってるの全部もらうわよ!」

「おわ!」

エマは距離を取り弓でダイゴを打とうとする。しかし、それは叶わなかった。エマのスーツの中からスマートフォンが鳴る。

「は?」

「あ、あちゃー。シーランドの園長との打ち合わせの時間だったぁ」

エマの動きは止まる。

「仕事の時間だし今日はこの辺にしておくわ。じゃあね!」

エマは素早く泳ぎ、元いた停船場に戻っていく。ダイゴはそれを見て少し安心しつつ、海上に顔を出す。

「ふー。……あんの客、仕事中に……もう二度と来るんじゃねえよ! あの魔女!!」

自慢話をしだし仕事を邪魔する魔女のような女。それがエマだとダイゴは認識した。

 

 ※

 

 「――というわけなので俺はあの女NGです!」

「一応客にあの女はやめろ」

変身を解除しゴンドラステーションに帰還し、ダイゴはスズキに報告する。

「あの人も仮面ライダーだったかぁ。上には報告しとくしお前には相手させないようにしとくよ。忙しい時に戦いしかけられたらさすがに困るからな」

「頼みますよ!」

ダイゴはエマへの怒りを語る。

「しかし、エマ・タカハシはどこでベルトを入手したんだ? リブーターズの三人といい……」

スズキはことの異常さに頭を抱えるのだった。

「次あったら本部のブラックリスト入りさせるようにし……あれ?」

ダイゴは制服のポケットにあるアーカイブを確認する。ふたつ持っているはずだったが、ひとつしかない。取り出したものはリトルファイアーだけでジュエルバードがない。

「ぎゃあああああー――!! アーカイブ一個ねええっ!!」

ダイゴはアーカイブがひとつないのに気づく。戦闘時に接近した時にエマに奪われたのだ。

 

 

 ※

 

 「あの赤い仮面ライダー、スーツもだけど本人思ったより体力あったじゃん~船漕いでるだけだしすぐやれると思ったのに! 一個しか取れなかったぁ!!」

翌日の昼。エマはダイゴからさり気無く取ったアンデルセン・アーカイブ、ジュエルバードを見つつ、ややぼやきながら歩道を歩く。

「でもやっぱこれ綺麗~~。一個だけでもこんなに素敵なのに、十一個揃えたら最高じゃないの!」

エマはアーカイブを眺める。危険さと輝きを放つそれは彼女を魅了する。

今日はバイクが走れない運河沿いの道を歩くのが多い。クラーケンが出た時等緊急時に出るバイクの車道はクストーデの仮面ライダーしか使用できない。

「あのゴンドリエーレ以外だと確か……」

エマはベルトをもらった相手から聞かされた自分以外の仮面ライダーをタブレットの画像で確認する。マークイスであるイザナ、ジキルであるヘータ、ハイドであるサトルの写真を見る。

「全員私より年下じゃん……だけど、この子かっこいいじゃないの」

イザナの写真を見てエマはその容姿を褒める。

「確かこの子達も一個持ってるって専務言ってたわね」

イザナ達リブーターズを探してエマは歩く。しかしそれを止めたのは……

「ぶしゃああああ!!」

「!?」

運河の中から現れたクラーケンだった。しかも大型だ。

「どわ! 嘘でしょ!」

「うわあああっ!!」

「きゃああ!」

エマの遠くにいた街の人々もそれを見て逃げ出す。

「やばいねこれ!」

エマは走って離れる。戦うと判断する。

「これはやったほうがいいかも……」

彼女はベルトとフロッピーディスクを出す。

「変身!」

『システムコード・エスポワール!』

エマはエスポワールに変身する。

 

 ※

 

 『大型クラーケンがBエリア22に出現! 仮面ライダー出動要請!』

「この近くかよ! やっぱ最近クラーケン多くないか?」

クラーケンの出現はゴンドラを漕いでステーションに戻ろうとするダイゴのスマートフォンにも届く。ダイゴは自分のゴンドラを降りて自動操縦で走ってきたバイクに乗り、現場に向かう。

 

 ※

 

 「えっとこれどうするんだっけ?」

エマはアンロッカーは何体かと戦っていたが、クラーケンとの戦いはまだなかった。アンロッカーは人間と変わらぬ大きさであることが多いがクラーケンは大きいことが多い。エマはクラーケンから距離を取り弓で射る。弓の矢はあまり効果が無いように見える。クラーケンはエマに殴りかかりエマはそれを避ける。

「やっぱただのでかいタコじゃないわね!」

エマはクラーケンに近づき、弓で殴る。それでも効果は少ない。そこで先程入手したアーカイブ、ジュエルバードを出しベルトに差し込む。

『アーカイブ・ジュエルバード!』

エスポワールとしての姿が変わる。上半身が水色になり、両手に宝石のようなグローブが装備される。

「わぁ!」

エマは関心しつつ、クラーケンを殴ってみる。

――ゴンッ!

「ぶしゃああ!」

クラーケンの動きは止まる。エマはそのまま殴り続け抑えていく。

「すごいわ、しかもこんなに輝いてて私好みよ!」

エマはアーカイブの力を見て更に関心する。そこにバイクで走ってきたのは、ダイゴだった。

「ああっ! あの女!」

ダイゴはエマの姿を見る。ジュエルバードを使っている姿を見て、ジュエルバードを持っていることを確信する。

「あ、なんでいるの?」

「クラーケン駆除するのもウチの仕事なんだよ! 後で覚えてろっ! 変身!」

ダイゴはバイクで走りながらあらかじめ装備したベルトにフロッピーディスクを刺しアテランテに変身する。バイクに乗ったままクラーケンに突っ込み、ハープーンで突き刺す。

ダイゴはアーカイブ、リトルファイアーを出しベルトに差し込む。アテランテの上半身は黄色になり、ハープーンは剣になり赤い火を噴き出す。それを振り回しクラーケンを追い詰める。アーカイブをハープーンに差し込み、技を発動させる。

『リトルファイアーハンティング!』

ダイゴはバイクから飛び降りて高くジャンプし、クラーケンを大きく斬る。

「今日はギガメガに早くキメっぞ!!」

――ドガアアアッ!!

ダイゴの技でクラーケンは消滅する。

「駆除完了っと……」

ダイゴはスタン、と地面に降りて駆除を確認する。

「よかったぁ、クラーケン倒せたぁ」

エマは安心し、変身を解除する。ダイゴもそれを見ながら変身を解除する。

「さぁて……次はお前だ!」

「うわ!」

「待てコラ!」

エマは走って逃げ出す。ダイゴはそれを走って追う。

「お前のせいであの後怒られたんだぞ! アーカイブ返せ!」

「あんたの仕事は知らないわよ! むしろアーカイブ寄こしなさいよ!」

追いかけるダイゴからエマは逃げる。運河沿いの歩道を走る。逃げ足の速いエマにダイゴは追い付く。しかし、彼女は素早く上着を脱いでそれをダイゴにかけるように投げて視界を暗くさせる。

「わ!」

いきなり暗くなりダイゴの動きは止まる。ダイゴは上着を顔から外す。

「ど、どこだアイツ!」

ダイゴは辺りを見回す。エマが建物の高い塀の上に登って座っているのが見えた。

「お前……!」

「あんたなかなかやるね」

「いい加減にしろよこの魔女!」

エマは右手を銃の形にして怒るダイゴに向ける。

「魔女じゃないわよ、私は女王。賭博の女王よ。欲しいものは全部取ってやるわ」

それだけを言って、エマはまた素早く立ち去る。

「……なんだよ?! やっぱ魔女かよっ!」

アーカイブを取り返せずにダイゴは叫ぶのだった。

 

 ※

 

 「ふー、逃げられてよかったぁ」

エマはダイゴから大きく離れられて安堵する。

「あの専務さんが言ってた、もう一人誰かに戦ってもらうっての考えたほうがいいかも。用心には用心重ねないと」

クラーケンと他の仮面ライダーを同時に相手にしないといけない、そう思うと彼女は用心するのだった。

 

続く

 


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