転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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018 共闘するh / 内通者

ーーーー霧彦宅ーーーー

 

 

「証拠は!!」

 

 

急に私達のところにやって来た風都署の奴等は言った。

「メモリを流していた内通者の正体は刃野さんだ」と。

真倉の胸倉を掴み上げ、私は吠える。おじいちゃんが私達を殺そうとした奴に『マグマ』メモリを流したなんてあり得ない! 証拠がないとか言ったらぶっとばしてやる!

 

 

「おねえ、落ち着いて」

 

「止めんな、瑠璃! おじいちゃんが内通者とか訳ワケんないこと言ってるのに、落ち着いてられるか! それとも瑠璃はおじいちゃんが内通者だって言われて黙ってられるワケ!?」

 

「それは……」

 

「止めろ」

 

 

ヒートアップする私を制したのは、春奈パパ。鋭い眼光でこちらを見据えてくる。その視線に思わず怯んで、手を放した。

その視線に怯みつつも、次に口を開いたのは瑠璃。その話は変だ、と告げてから話し始める。

 

 

「霧彦さんから内通者は死んだって話を聞いてた。内通者の話はそれで終わりじゃないの?」

 

「『リバース』強奪の際に殺された男のことか。彼も内通者の1人であることは間違いない」

 

「なら」

 

「我々が証拠もなしに、彼を疑う訳がないだろう」

 

「っ」

 

 

春奈パパはそう言って、スマホを取り出し、ある動画を私達に見せてきた。『マグマ』の人が刑務所から脱獄した瞬間を捉えた、防犯カメラの映像だという。春奈パパ曰く、前に内通者だと思われていた男が映ってた映像は改竄されていたようで、今回見せてきたデータが本来のものだって。

風都刑務所。何個もの檻が並ぶその場所には確かに、私達のおじいちゃん・刃野幹夫の姿があった。

 

 

「…………確かに、おじいだ」

 

「この後だ。よく見ておけ」

 

 

春奈パパに促され、注意しながら見る。映像の中心には、おじいちゃんがいて、それを追うようにカメラが切り替わる。牢の中には、私達を襲った『マグマ』の男。そいつに二言、三言話しかけているような口の動きだ。そして、『マグマ』の男は立ち上がり、おじいちゃんの側に移動して、やがて、おじいちゃんはそこの鍵を開けた。

 

 

「あっ……あれ、ガイアメモリ」

 

「っ、なんで……っ」

 

 

確かに渡していた。おじいちゃんは、牢を悠々と出た『マグマ』の男に、赤いガイアメモリを手渡していたんだ。

 

 

「これが証拠だよ。復元してもらったこの映像も調べてもらったけど、これには改竄された痕跡はなかったって。ここに映ってるのは、事実だよ。俺も刃さんが内通者だなんて信じたくないけど」

 

「刃野家には既に彼の姿はなかった。その上、連絡も取れない。我々が動いたのを察知して逃走したと考えるのが自然だ」

 

 

証拠は確かにあった。けれど、音声は入っていないんだ。おじいちゃんの内心はまだ分からない!

 

 

「…………で、でもっ!」

 

「うん。おじいが誰かに脅されていた可能性はある」

 

「そうだ、きっとそうに違いないって!」

 

 

瑠璃の発言に同意する私。それに昔からおじいちゃんは騙されやすかったって聞くし、もしかしたら黒幕的な奴に騙されて、メモリを渡す役にされていたとかいう可能性もある。

 

 

「…………2人とも、残念だけど」

 

 

そう言って、真倉はもう一度、スマホの画面を見せてくる。今度はさっきとはまた違う映像……いや、さっきの続きか。おじいちゃんの後を『マグマ』男が歩いてる。

 

 

「あ、刑務官の人と出会ってる」

 

「うん。この刑務官の人に聞けば、もしかしたらおじいちゃんは無実だってーーえ…………?」

 

 

スマホが映し出していたのは、信じられない光景だった。おじいちゃんは懐から『何か』を取り出した。

そんなわけない。あり得ない。

私と瑠璃がパパたちに連れられて家に行くと、いっつもニコニコ笑顔で迎えてくれたおじいちゃんが。ママには内緒でおこづかいをくれて、その度にバレて怒られてたおじいちゃんが。

そんな大好きなおじいちゃんがなんでーー

 

 

 

「な、なんで…………『ドーパント』になってるんだよ……」

 

 

 

映像の中のおじいちゃんは『ドーパント』になった。腰には例のドライバー・『ガイアドライバーREX』。つまり、『オウル』や『デス』と同じ、悪意をもった奴等の仲間……ってこと……?

 

 

「おねえ、顔青い……」

 

「っ」

 

「向こうの部屋行こう。横になったほうが……」

 

「いいっ、まだ話さなきゃいけないことがあ、るっ」

 

 

ときめさんから聞いた話から生まれたあの『街』への疑念。

そして、今回のおじいちゃんが内通者で、私達が襲われる原因を作っていたこと。それ以上に『ドーパント』になって、刑務官を殺していたこと。

色々ありすぎる……あぁ、頭がぐちゃぐちゃだ。

 

 

「あかねちゃん!?」

 

 

……ダメだ。脳が処理しきれない。

意識が、途絶える。

 

 

 

ーーーー5時間後ーーーー

 

 

「…………ん」

 

 

目を開けると見慣れた天井が広がっていた。そこが自分の部屋であることを遅れて理解する。

 

 

「起きた?」

 

「……瑠璃」

 

「おねえ、気を失っちゃって」

 

「私、どのくらい寝てた?」

 

「5時間くらいかな」

 

「5時間……」

 

 

窓の外を見れば、確かにもう日は落ちきっていて真っ暗だった。

 

 

「こんな時間だから霧彦さんも寝てるけど、心配してた」

 

「そっか」

 

 

体を起こすと、瑠璃が支えてくれた。ありがとうと礼を言い、考える。気を失う前のこと。

 

 

「…………瑠璃」

 

「うん」

 

「私、パパを探して連れ戻すんだって言った」

 

「うん」

 

「連れ戻して、ママのことを聞き出して、それからまた4人で暮らす。それでたまにおじいちゃんとも会って、お小遣いとかもらってさ……幸せな家族を取り戻したかった」

 

「うん」

 

「ときめさんや霧彦、翔太郎さん……色んな人に協力するって言ってもらった」

 

「うん」

 

「でも、本当に取り戻せるのかな……」

 

 

思わず溢れた言葉。それとともに、頬を涙が伝っていくのが自分でも分かった。

 

 

「おねえ……」

 

「瑠璃は……どう思う? 本当に前までの家族に戻れるのかな……」

 

「………………それは……」

 

 

その質問に、瑠璃は答えることはなかった。

 

 

 

ーーーー同時刻・廃工場ーーーー

 

 

「よく、ここが分かりましたね、課長」

 

「……情報技術の発展に感謝だな。左よりも早くあなたに辿り着けた」

 

「翔太郎じゃあ、俺は倒せませんからねぇ」

 

「…………」

 

 

照井と向かい合った刃野はそう言って笑う。見れば見るほど、彼だ。照井もよく知るお人好しで騙され上手な刃野幹夫という男だ。

 

 

「なぜ……ガイアメモリに手を染めた? メモリの恐ろしさは知っているはずだろうッ!!」

 

「……課長。俺に質問するな、と課長の台詞をそっくりそのまま返させてもらいますよ」

 

「っ」

 

 

刃野はそう言うと、懐からドライバーと1本のメモリを取り出した。それは防犯カメラに映っていたメモリだった。そのメモリの名前はーー

 

 

『リバース』

 

 

そのメモリを腰に巻いた『ガイアドライバーREX』に挿し込み、姿が変わっていく。白と黒の混じったどこか『仮面ライダー』に似た外見をした『ドーパント』へと。

 

 

「『リバース』メモリ……そうか、やはりメモリを強奪したのは……」

 

『『マグマ』メモリを流していた内通者は、何者かに襲われ、死んで終わり。そういうシナリオにしたかったんだが……そう上手くはいかねぇなぁ』

 

 

その言葉で、照井は確信した。『リバース』メモリが強奪され、内通者と思われていた男が死んだ。死んだ男には確かに疑いは向いていたから、一連の流れは違和感なく受理されていた。

だが、あれは刃野が仕組んだミスリード。確かにその男も内通者の1人ではあっただろうが、謂わばシッポ切りだ。防犯カメラの映像を改竄し、すべての罪を例の男に着せた上で殺害。その裏で『リバース』メモリを手に入れていた真の内通者は、目の前の彼だ。

 

 

「………………」

 

 

照井は目を閉じ、ひとつ息を吐く。

それは覚悟だ。ずっと共に戦ってきた同志と戦う覚悟。再び目を開けた彼の瞳には、燃え上がる闘志が宿っていて。

 

 

「刃野刑事……あなたを倒す。そして、すべてを吐いてもらうぞ」

 

『アクセル』

「変……身ッ!」

 

 

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