転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

110 / 122
022 sの憧憬 / その男、最強につき

ーーーーーーーー

 

 

「はぁぁぁんっ♡ シューヘイくんのがはいってくるよぉぉ♡♡」

 

『黙れ、ボケ』

ーーベシッーー

 

「イタっ」

 

 

『ドクター』での治療を終えた風華を軽くどつき、俺は再び『スクリーム』と向き合う。ここは、そうだな……。

 

 

『おい、風華。ここにいても邪魔だ。メモリ能力が使えるようになったら、雫ちゃんのところに向かえ』

 

「…………殺しちゃうかもしれないよ?」

 

『それはねぇよ』

 

「……ちぇっ」

 

 

この『スクリーム』は厄介だ。全方位攻撃に加え、想定以上の攻撃範囲。恐らくあの絶叫は反響し、向こうで戦っている万灯たちへも影響する。なら、こいつを最短で倒し、俺は雫ちゃんの元へ戻ればいい。その間、風華に守らせる。これが最適解だろう。

 

 

『行け!』

 

「うん!」

 

『すぅぅぅぅ……』

 

 

風華が走り出したと同時に、『スクリーム』が大きく息を吸い込んだ……って、させるかよ!!

 

 

『食らっとけ!!』

ーーバチッーー

 

 

撃ち出したのは『ライトニング』による稲妻。音よりも速い光は『スクリーム』に直撃する。あくまで火力よりも速度に特化した能力だ。案の定、またすぐに深呼吸を再開しやがった。だが、関係ねぇ!

 

 

『こいつは時間稼ぎだよ!』

 

 

一気に距離を詰め、振りかぶる。同時に『ジャイアント』で巨大化した拳を、

 

 

『ごらぁぁっ!!』

 

ーーバギィィッーー

 

 

『スクリーム』に叩き込んだ。物凄い勢いで、吹き飛ぶ『スクリーム』。勿論、ここで終わらせない。追い討ちをかけるぜ!

 

 

『ふんっ!』

 

ーーザリザリザリーー

 

 

空間を削る能力は『スコップ』メモリの能力だ。殺傷力自体は低いが、これで削れた空間は固定される。

 

 

『ウッ、アァァッ!!』

 

『暴れても無駄だ。削り取ったんだ、動けねぇよ』

 

『スゥゥ……』

 

 

爪での攻撃ができないことを理解した『スクリーム』はまたも息を吸い込んだ。馬鹿の一つ覚えかよと思うが、こいつには対抗策がないんだろう。多少哀れみながらも止めを刺すため、再び『ジャイアント』を呼び起こした。

メモリブレイクはできないから、とりあえず気を失わせて、メモリを排出させるしかねぇ。

 

 

『ちっと痛いから、歯を食いしばれや!!』

ーーグッーー

 

 

『ーーッ、アァァァァァァーー』

 

ーービリビリビリビリーー

 

 

『なっ!?』

 

 

 

不意打ちのように放たれた『絶叫』は、俺の体を捉えた。

チッ、呼吸が浅かったから油断したぜ。あの叫び声の威力は肺活量に比例する。吸った酸素が多ければ多いほど威力も範囲も上がる。裏を返せば、一瞬相手を拘束するだけならば、呼吸は浅くてもいいってことだ。

 

 

『っ、五条一葉にはなかった芸当だな』

 

『にぃぃぃぃ』

 

 

一瞬でも拘束されたせいで『スコップ』が解け、体の自由を取り戻した『スクリーム』。得意気に笑っているのが分かる。俺の体がまだ痺れているのを確認して、

 

 

『すぅぅぅぅぅぅ……』

 

 

再び息を吸い込んだ。今度は邪魔できねぇな。ならーー

 

 

 

ーーーーーーアァァァァァァァァァーーーーーー

 

 

全力の『絶叫』は、空気だけでなく地面をも震わせ、周りにいた耐久力の低い『ボーンズ』は弾けた。それほどの威力だった。勿論、その攻撃は俺にも直撃していた。

 

 

『ぐ、が…………』

 

『ひ、ひひひ……にぃぃぃぃぃぃ』

 

 

倒れ込んだ俺にウキウキで近づく『スクリーム』。長い腕で俺の足を持つと、宙吊りにしやがった。

 

 

『すぅぅぅぅ』

 

 

余裕ぶって、これ見よがしに俺の眼前で息を吸い込む『スクリーム』。これがこいつの癖なんだろう。動けない相手の絶望する顔を見ながら、至近距離で『絶叫』するのがよ。

いやはや、本当にーー

 

 

ーーガシッーー

 

『悪趣味だな、あ?』

 

『!?!?!?』

 

 

俺はだらしなく開けた口を掴んでやった。

動けるわけがない。そう思っていたんだろう、『スクリーム』は理解できなさそうに慌てふためいてやがった。

答えは簡単だ。

 

 

『『音』を操るのが、てめぇだけだと思うなよ?』

 

 

目には目を、歯には歯を。『(スクリーム)』には『(エコー)』を、だ。

逆位相の音をぶつけてやれば、音ってのは簡単に消えるらしいぜ。勿論、簡単なことじゃねぇが、生憎この『エコー』との付き合いは長いんでな。このくらいはできるようになってるさ。

って訳で、

 

 

ーードンドンドンドンドンドンドンドンーー

 

『終わりだぜ』

 

ーードゴッーー

 

 

不可避の音は『スクリーム』の体内で反響し、内側から強烈な打撃を繰り出した。

 

 

「とりあえず、これでいいか」

 

 

バタバタと足掻いていた『スクリーム』も、ピタリと動きを止め、体から力が抜けていた。辛うじて生きてはいるそいつを適当に放り投げ、ひとつ息を吐く。

 

 

「ふぅ……早く雫ちゃんのところへ行かねぇとな」

 

 

ふと見上げれば『ブラキオサウルス』も消えている。どうやら万灯たちも上手くやったみたいだな。

 

残る戦力は有象無象と『奴』だ。

有象無象はきっとミズハが倒してくれる。あとは『奴』のみだ。

監視カメラに移った映像にいたドーパントは『リバース』。『奴』が『リバース』だと考えて間違いないだろう。

 

 

「最終局面だな」

 

 

ーーーーーーーー

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。