転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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短め


027 鏡像はx / re:一騎討ち

ーーーー裏風都・管理塔頂上ーーーー

 

 

「っ」

 

 

パパの作り出した沼のような空間を抜けると、そこはあの塔の頂上だった。どうやらパパの能力でワープしたらしい。

 

 

『風華! あかねちゃんを守ってろ!』

 

「りょーかい!」

ーーがしっーー

 

 

パパの指示を受け、私の腰をがっちりと掴む女。それを横目で確認したパパは右腕を振りかぶる。瞬間、その腕が巨大化して、

 

 

 

ーードゴォォォォォッーー

 

 

 

塔の屋根を粉砕し、大穴を開けた。

 

 

「すご……っ」

 

「ふふんっ! アタリマエ!」

 

 

思わず漏れた言葉に、なぜか女が鼻を鳴らしてる。とにかくだ、私達は一瞬でそこに辿り着いた。

 

 

 

『よう、吉川』

 

「……黒井秀平、懲りずにまた来たか」

 

 

制御室の中央に陣取る椅子にその男・吉川零士は座っていた。そいつを視界に捉えた瞬間に、パパは手を合わせる。そして、両手の間に、黒い稲妻を走らせた。

 

 

『あぁ。てめぇを倒して取り戻す』

 

「取り戻せないものもあることを教えてやろう」

 

 

「っ」

 

 

戦闘が始まったのを見て、私は走り出した。

 

 

ーーーーside『S』ーーーー

 

 

『ふんっ!!』

 

ーーバヂンッーー

 

 

作り出した『イービル』の黒雷を奴に向けて放つ。だが、それはいとも容易く防がれた。奴の目の前に突如現れた『穴』によって。それは見たことがある能力だ。

 

 

ーーズズズズッーー

 

『『ホール』……! やはりオリジナルも使いやがったかッ!』

 

「……その言い方は止めろ。俺は俺だけだ」

ーーズズズズッーー

 

『!』

 

 

音が聞こえた。『穴』の音、どこからっ!?

 

 

ーーズズズズッーー

 

『上かッ!』

 

 

すんでのところで左に避ける。さっきまで俺のいた床は見事にポッカリとくり貫かれていた。

 

 

『流石にその能力はやべぇ……なっ!!』

ーーブンッーー

 

ーーゴォォォォンッーー

 

 

俺の腕の振りに合わせて、爆発が奴を覆った。『マスカレイド』に内包する『エクスプロージョン』の攻撃。だが、これで倒せるとは思ってねぇ。

 

 

ーーグンッーー

 

『おらぁぁっ!!』

ーーバギィッーー

 

 

『グラビティ』による引力と『ジャイアント』の拳を重ね合わせた打撃だ。威力は検証済みで、アスファルトの壁なら3、4枚は裕に貫通できる。勿論ーー

 

 

『当たれば、な』

 

「…………無駄な攻撃だ。時間を浪費するな」

 

『うるせぇッ!!』

ーーズズズズッーー

 

「!」

 

 

俺と奴の間にある『穴』。それを逆に目隠しに利用して、俺は次の攻撃を放つ。精神干渉波。これは『オールド』のものだ。奴の死角から迫る精神干渉波は、奴の左腕を見事に包み込んだ。

 

 

「っ、面倒なことを」

 

 

堪らず退く吉川。見れば、『オールド』の影響は確かにあるようで、奴の左腕は細く皺の多い老人のそれに為り果てていた。

 

 

『流石のてめぇも不意打ちは効くんだな。お手々がしおしおだぜ?』

 

「当たり前だ。お前のような化物とは違う」

 

『あ?』

 

「お前のような……メモリの副作用を受けない『チート』とはな」

ーースッーー

 

 

ーーズズズズッーー

 

 

吉川が右手で地面を触った瞬間に、そこを中心に『穴』が広がっていく。嫌な感じを察した俺は、それを『バード』の羽で飛び回避する。さらに追撃。

 

 

ーーズズズズッーー

ーードゴッ、ドゴッ、ドゴッーー

 

『飛び道具かよっ!!』

 

 

『穴』から放たれる無数の瓦礫。『穴』で削ったコンクリートを撃ち出してるのだ。大小様々な大きさの瓦礫の雨。避けるのは、無理だ……なら!

 

 

『『反転』しろォ!』

ーーグニャリーー

 

 

『リバース』の力で俺の目の前に来る攻撃を全て『反転』させ、吉川の方へと弾き返す。残念ながら奴には届かない。

……くそっ、『ホール』の能力が面倒だ。飛び道具はすべて『穴』に消されて、肉弾戦も『穴』がある限りは防がれ続ける。考えろ、俺が取り込んだメモリの中に突破口があるはずだ。できなきゃ、雫ちゃんを助けられねぇ!

 

 

「…………複数のメモリ使用で肉体にも精神にも異常をきたさない。まるでガイアメモリの申し子だ」

 

 

必死に頭を回す俺に、奴は攻撃の手を止めて話しかけてくる。

 

 

『ハッ、簡単に言ってくれる。昔は相当、体に影響はあったんだ。今だって無理矢理押さえつけてるだけだぜ』

 

「……それでも、お前は恵まれている。『白服』や『朝倉風華』、『NEVERの男』、その他大勢の『転生者』を倒し、今まで生きているのがその証拠だ」

 

『…………てめぇ、さっきから一体、何の話をしてやがる』

 

「……………………」

 

 

要領をえない。奴の言が、その意図が分からない。

何かの攻撃のための時間稼ぎか? それとも、まだなにか……?

 

 

「メモリにも愛され、そして、家族をも手に入れた。俺とは真逆だ」

 

『あ?』

 

 

 

「俺はこの世界に転生し、すべてを失った」

 

『っ』

 

 

 

奴の目の色が変わる。さっきまでの感情の読めねぇ目じゃない。昔、見たことがある色。あれは『憎悪』だ。

白音佐奈。

雫ちゃんの姉である彼女が、家族を奪った『黒井秀平』を睨み付けた時と同じ瞳の色をしている。つまり、奴の目的は、

 

 

『…………復讐か?』

 

「いいや、俺はただお前の全てを否定するだけだ」

 

 

俺の問いに首を横に振った吉川は、静かに懐からそのメモリを取り出した。

……そうだ、こいつのメモリは『ホール』だけじゃねぇ。この5年弱で調べはついている。この偽物の『裏風都』を作り出し、雫ちゃんの精神を鏡に閉じ込めた元凶のメモリ・『ミラー』があるはずだ。だから、そのメモリを抑えれば……!

 

 

『は?』

 

「……このメモリは使いたくはない」

 

『…………おい、待てよ』

 

「黒井秀平、お前と同じにはなりたくないからだ」

 

 

吉川の言葉は俺の見た光景が真実であることを物語っていてーー

 

 

 

「だが、これを使い、お前の全てを否定しよう。それが俺の目的の第一歩だ」

 

『マスカレイド』

 

 

 

『俺はこの世界(仮面ライダーWの世界)を破壊する。お前を愛し、俺を拒絶したこの世界を』

 

 

 

ーーーーーーーー




黒井くんのキャラクターイラストが第1話の後書きにあがっています! ぜひご覧ください。
また、近いうちにイービルのキャラクターイラストもあがります。お楽しみに!!
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