転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
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黒井一派と吉川零次の戦いより1ヶ月後。
彼らの日常はーー
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階段を下りると、ジュージューと卵焼きが焼ける音が聞こえてきた。そして、キッチンに入るとベーコンの香りもしてくる。うん、わたしの好きな朝の匂いだ。
「おはよう、ママ」
「おはよう、瑠璃」
キッチンで朝食を作るママにおはようを伝えると、ママも笑顔を返してくれた。いつもの、幸せな光景だ。どうやら今日もわたしが一番乗り。それもいつも通り。
「手伝う?」
「ううん。大丈夫よ、もうできるから。それよりも2人を呼んできてもらえる?」
「ん」
手際のいいママは粗方朝食の支度を終えているみたいで、わたしにミッションをくれた……うん、ミッションだ。少し気が重いな。
パパの部屋は一階の奥でおねえの部屋は二階の私の部屋の隣。わたしは迷いなく階段を上がる。
おねえの部屋の前。今日は大丈夫かなと思いながら、ノックをーー
「ぎゃぁぁぁぁっ!?!?」
ーーしようとして、部屋の中から悲鳴が聞こえてきた。
「はぁ……またかぁ」
ため息を吐いて、ドアを開ける。そこにいたのは、
「人が寝てる顔を写真に撮るな、ボケェェッ!!」
「ダメぇぇぇ、壊さないで、あかねちゃぁぁぁんっ!!」
パパを踏みつけながら激怒するおねえの姿だった。
「2人ともステイ。今度はなに?」
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「パパ、人の寝顔を撮るのは良くない」
「だって!! 娘の可愛い姿を撮っておくのは父親の義務だぜ、瑠璃ちゃんッ!!」
正座をしながらもパパはそう力説していた。
「シネシネシネっ!!」
「痛っ!? 痛いって、あかねちゃんっ!?」
「おねえ、ちょっと落ち着いて。パパからはわたしからちゃんと説教するから」
「フーッ! フーッ!」
「おねえ、ステイ、ステーイ」
キレるおねえを羽交い締めにしてどうにかパパに飛びかかるのを抑えるわたし。その様子を見ながら「姉妹仲がいいのは良きこと良きこと」と言ってニコニコしてるパパには、更なる説教が必要。
……ともかくおねえを落ち着かせたわたしは、再びパパに告げる。
「いい? パパ、いくら娘でも無許可で撮るのはダメ。しかも、おねえは思春期だから、そんなことをしたら余計に反抗期が悪化する」
「……う、うーむ」
「それに……やってること、風華さんと変わらないけど」
「なん、だと!?」
キラーフレーズでパパは固まる。相当な衝撃だったみたいで、この世の終わりみたいな表情をしていた。
「パパも寝顔を風華さんに撮られたら嫌じゃない?」
「死ぬほど嫌ッ!!」
「そういうこと」
事件後も未だにストーカー行為を止めない彼女を引き合いに出すと、パパも納得してくれたようである。まぁ、そのストーカーもストッパー役のミズハさんがいるおかげで、大分マシになってるけどね。
「……でもさぁ、瑠璃ちゃん。ああいうことがあった後だからな? やっぱり大事な娘の写真は撮っておくべきだと思うんだ」
「まぁ、一理はあるけど」
「だろ? まぁ、そう……そう! これは記録! 愛娘の成長記録なんだ! だからーー」
滔々とどうにか許可を得ようと言い訳を重ねるパパ。でも、パパは気づいていない。
「ねぇ、パパ」
「ん? なんだ、瑠璃ちゃん? 許可する気になったかい?」
「後ろ」
「へ?」
「秀・平・く・ん♡」
言わずもがな、パパはママに怒られた。すげぇ怒られた。
うん、やっぱりウチの朝は騒がしい。
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朝から色々あったけど。
みんなで朝食を食べて、今日もその時間はやってきた。
「瑠璃、準備できた?」
「うん。おねえもオーケー?」
「おっけー!」
ひとつ伸びをするおねえと玄関の鏡で前髪を整えるわたし。
「お、もう時間か。パパが学校まで送ってこうかー?」
「もうっ! 秀平くんはまた……気をつけてね、あかね、瑠璃」
懲りないパパと呆れながらも優しく微笑むママの声を聞きながら、わたしたちは玄関の扉を開けた。そしてーー
「「いってきまーす!!」」
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黒井秀平。
黒井雫。
黒井あかね。
黒井瑠璃。
黒井家の日常は相変わらず騒がしく、それでもあたたかく続いていく。
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以上で『転生したらミュージアムの下っ端だった件』
『風都探偵 ~15 years later~』編、完結になります。
途中失速してしまいましたが、こうしてひとつの完結まで書き切れたのは、皆様の応援あってこそです。
本当に長い期間のご愛読と応援ありがとうございました。
後日談も書きたいとは思いますが、一旦ここまでで物語自体は終わりです。(ちなみに、R版は気の済むまで続きます)
もし感想等いただけましたら、泣いて喜びます!!
では、また。