転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
短め。
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ーーピンポーンーー
それは霧彦とお好み焼きパーティーをしていた時のことだった。前触れもなく、我が家の呼び鈴が鳴った。
「ったく、誰だよ。はいはーい」
日曜の昼。俺の食事を邪魔した罪は重い。
邪魔者の姿を確認しようと扉を開けて、俺は驚く。そこにいたのは2人の人物。
「こ、こんにちは。黒井さんっ」
「雫ちゃん。それにーー」
「やほやほー、おじさん!」
雫ちゃんとその愛犬の散歩仲間・女子高生のアイナちゃんがそこにはいた。立ち話もなんだからと2人を家にあげる。
「おっじゃましまーす!」
「お邪魔します。あ、あの、すみません。せっかくのお昼時に」
「あぁ、いや」
物怖じをせず家に上がり込むアイナちゃんと、自分と彼女の靴を揃えながら恐縮する雫ちゃん。対照的な様子を見て、なぜこの2人が友達になっているのか疑問に思いながら、応じる。
「おや、君は雫ちゃんのお友達かな?」
「おぉ! イケメンだぁー! え、なに? おじさん、このイケメンとドーセーしてんの? えー、どういう関係なワケ?」
にわかに沸き立つアイナちゃん。それを見て、流石の霧彦も困ったような笑みを浮かべていた。それを見ながら、俺は雫ちゃんに訊ねる。
「お好み焼き、一緒にどうだ?」
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「ふーっ、たべたたべたぁ!」
「ご馳走さまでした。ありがとうございます、霧彦さん、黒井さん」
「ごっそさーん!」
な反応を見せる2人。
ふむ。こうして美味しそうに食べてくれると作った甲斐があったな!
……まぁ、作ったの霧彦だが。さて、腹ごしらえは済んだ。本題に入ろう。
「それでどうしたんだ? 雫ちゃんだけならよくあるけど、2人ってのは初めてだよな」
「あ、はい。実は……」
そこで雫ちゃんはアイナちゃんに目配せをした。それに頷き、バッグから何かを取り出すアイナちゃん。コトッ、と静かにそれを机に置く。そこにあったのは、
「ガイア、メモリ……!」
1本のガイアメモリだった。
「ガイアメモリぃ……?」
「やっぱりこれが……っ」
「…………あぁ、前にも話したガイアメモリだよ」
そうか。雫ちゃんとは何回か『ドーパント』と遭遇したことがあったが、ガイアメモリ自体を見たことはなかった。俺も見せたことはない。巻き込みたくなかったからな。
「……アイナちゃん、これ、見てもいいか?」
「いいよー」
許可を取り、それを手に取る。
『F』の文字と涅色の外装。刻まれている記憶は恐らく……。
「『ファクトリー』……工場の記憶か。これをどこで?」
キッチンからお茶を淹れて持ってきた霧彦は、お茶を全員の前に置きながらそう訊ねる。
流石は、元エリートメモリ密売人だな。一目見ただけでメモリの名前を言い当てるとは。
その質問に答えるのは、アイナちゃん。
「実はねー、家に送られてきたってワケなんよー」
「!」
「家に?」
驚いて言葉を詰まらせた霧彦を横目に見ながら、俺は問い返した。
「そそ、一昨日だったかなぁ? 学校に行ってる間に、ウチん家に送られてきたっぽくてさ。ママが郵便受けに入ってるのを見つけたんよ」
「宛名は?」
「書いてなかったよー」
「ふむ」
ガイアメモリが郵便で送られてくる。
そんな事件は聞いたことがない。少なくとも俺が記憶している原作にはなかったはずだ。
近い事件といえば『運命のガイアメモリ』のそれか? いや、あれとはまた別物か。
……ともかく気を付けねぇとな。
「おい、霧彦」
霧彦に声をかけると、彼はとても鋭い眼光で『F』のメモリを睨んでいた。
……そうか。アイナちゃんは高校生だ。
未成年にメモリを渡すのは、
「ルール違反、だろ」
「……あぁ。黒井くん、この件、私も少々介入させてもらおう」
こうして、俺達はこの事件に乗り出したのだった。
ーーーー同時刻・鳴海探偵事務所ーーーー
「これが自宅に……?」
「はい……そうなんです」
鳴海探偵事務所の扉を叩いたのは、鈴木という男性だった。彼の依頼は、自宅に届いた郵便物の送り主を探してほしいという内容だ。その郵便物を見て、探偵・左翔太郎は頭を抱えた。
「ガイアメモリ、か」
「うっそぉ、私聞いてないっ」
今までガイアメモリ関連の事件が舞い込むことはあったが、依頼者が直接ガイアメモリを持ち込むことはなかった。今回が初めてのケースで、翔太郎は困惑する。
「……これ、手にとって見ても?」
「はい。どうぞ」
依頼人の鈴木の承諾を得て、翔太郎はその紫色のメモリを手に取った。そして、試しにと起動してみる。
『スコーピオン』
「…………」
起動しても、鈴木にコネクターが出現した様子はない。勿論、見えない箇所にコネクターが現れる可能性はある。だが、普通はすぐに使えるよう、ある程度露出しやすいところにコネクター手術をするはずだ。
その観点から言えば、恐らく鈴木にはコネクターはなく、確かにそれは送られてきたものなのだろう。
「悪いな、鈴木さん。これ、少し借りてもいいかな」
「えぇ……それは構いませんが」
「明後日、またここに来てくれ。それまでには情報を集めておくよ」
鈴木が帰ったのを確認し、翔太郎は地下への扉を潜った。そこにいるのは、もう1人の探偵・フィリップ。事務所での話は聞こえていたようで、フィリップは既に検索ーー『地球の本棚』に入っていた。
「……どうだ、相棒」
「情報が足りないね。流石に、現時点で送り主を特定はできなかった」
「まぁ、そうだろうな」
予想通りではある。翔太郎は被っていた帽子を軽く触り、検索を中断した相棒に告げる。
「なぁ、フィリップ。これは俺の直感なんだが……この事件、どうも嫌な予感がするぜ」
「……珍しく僕も同感だ。君の言う、嫌な予感を僕ですら感じ取っているよ」
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メモリ案
『ファクトリー』は肘神さまさんより
『スコーピオン』はヴァイロンさんより頂きました。
主人公・黒井くん。彼のメモリは……。
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強いものを使ってほしい
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弱いものを使ってほしい
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今、勇気、インフィニティ!