転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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新章開幕。


最弱と進展
第25話 Dは盲目 / 恋と温泉の香り


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「あ、あのっ、黒井さん」

 

 

いつものように、雫ちゃんを誘ってラーメンの屋台で夕飯をとっていた時のことである。雫ちゃんが俺の名前を呼んだ。無論、それ事態はよくあることだが、なにやら彼女の様子が変だ。何か意気込んだような気合いすら感じる呼びかけで。

 

 

「どうした?」

 

「あ、えっと、そ、そのっ!」

 

 

俺はいつも通り、雫ちゃんの言葉を待つ。引っ込み思案で人見知りをする娘だってのは分かってるし、今さら驚くようなことは言ってこないだろう。そう、高を括って、俺は目の前のラーメンをすすった。

 

 

「わたしとっ、温泉旅行にいきませんかっ!!」

 

 

あまりに突飛かつ大胆な誘いに、俺は麺を吹き出した。

 

 

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「行ってくればいいじゃないか」

 

 

事も簡単に霧彦はそう答えた。こいつ、他人事だと思ってーー

 

 

「別に相手が未成年ということもない。ならば、自己責任だよ。君も分別のつかない人間でもないだろうしね」

 

「そうは言うがなぁ、恋人でもない相手と温泉旅行は……」

 

「彼女の気持ちに流石の君でも察してはいるだろう?」

 

「…………まぁ、な」

 

 

知り合った当初は気づいていなかったが、何度か出掛けたり飯を食ったりして、鈍い自覚がある俺でもなんとなく察してはいる。

彼女が俺に向ける好意には。

 

 

「折角、内気な彼女が誘ってくれたんだ。女性に恥をかかせるものじゃないよ」

 

「うぐっ」

 

 

霧彦の言葉に俺は何も返せなかった。

てか、ウインクをするな、気味が悪い!

 

 

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その後、俺は雫ちゃんに電話をかけた。

返事はもちろんオーケーだ。

 

この世界で生きていくのだ。そろそろ、そういう相手のことも考えてもいいのかもしれねぇな。

 

 

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「お待たせ、雫ちゃん」

 

 

待ち合わせ場所にした行くと、そわそわした様子で雫ちゃんは既に待っていた。

 

 

「すまんな、待ったか?」

 

「い、いえ、その……30分くらいしかっ」

 

「いや、30分はずいぶん待たせちまったな。乗ってくれ、行こう」

 

 

レンタカーで申し訳ないが、早速2人で件の温泉に向かう。宿の手配なども俺の方でしようとしたんだが、どうしても雫ちゃんが選ぶと言って聞かないので、お任せしてしまった。その代わりに、

 

 

「なんか、すみません……宿代出してもらっちゃって」

 

「いや、このくらいはな。その代わり道中の飯代は折半な」

 

「も、もちろんですっ」

 

「ふふっ」

 

 

ふんっと鼻をならす雫ちゃんを見て、思わず笑ってしまう。

なにか変なこと言いました? そう聞かれてしまう。ひとつ謝ってから、

 

 

「なんか雫ちゃん、張り切ってるなぁと」

 

「っ///」

 

「あぁ、すまんすまん。楽しみでいてくれるなら嬉しいよ」

 

「~~~~っ!」

 

 

そう言うと余計に雫ちゃんには恥ずかしがってしまう。横目で見れば、顔が真っ赤だ。

……うん、こうして改めて見ると、本当に可愛らしい娘だ。

綺麗で艶のある長い黒髪。メイクは薄いようだが、それが余計に彼女自身の整った顔立ちを引き立てている。本人は気にしていると言っていたが、たれ目なのも彼女の少し引っ込み思案な性格を表しているようである。あと、胸もある!

 

 

「黒井、さん……? その、何かわたしの顔についてます、か?」

 

「っ、いや。ただ雫ちゃんの顔を見てただけだ」

 

「っ、運転に……集中……」

 

 

ください、まで聞こえない。ボソボソと恥ずかしそうに呟く雫ちゃん。

まぁ、うん……かわいいよな。

その後、旅館につくまでの1時間半ほど俺達の間にはあまり会話がなかったが、チラリと見ると、雫ちゃんの機嫌は悪くないようであった。

 

 

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雫ちゃんが宿をとったのは、有名な温泉街の中の旅館であった。

温泉旅館でチェックインすると、俺達は和室に通された。窓からの景色は並みだったが、それはいい。ここからの景色より楽しみなのは温泉街の街並だ。

俺達は早々に旅館を出た。

 

 

「おぉ!! すげぇ!」

 

「……ほんと、ですね!」

 

 

2人で温泉街の中心まで歩き、その光景に感動する。

足湯や饅頭屋、土産屋など、まさにザ温泉街な街並も勿論よかった。それ以上に、この温泉街といえばという景色が目の前に広がっていたのに感動した。源泉を冷ますため、だったかな? 街の中心に源泉が木製の桶の中を流れており、まるで温泉の川のようであった。そこから硫黄の匂いが辺りに充満している。

改めて温泉街に来たことを実感させてくれる光景だ。

 

 

「温泉のにおい……」

 

「だなぁ……それになんか色がすごいな、緑色っていうか」

 

「温泉の成分が長い期間をかけて沈着してる、らしいですよ」

 

「ほえー」

 

 

その後、街を見て回って、饅頭やら濡れおかきやらを食べ歩いた後、俺達は旅館に戻った。

夕食まではまだ時間があるし、旅館の大浴場にでも行こうか。そう誘ったのだが、返ってきた言葉は予想外の言葉で。

 

 

 

「…………貸し切りのお風呂、いきませんか?」

 

「へ?」

 

 

それって、まさか……?

 

 

「混浴……なんですけど……っ///」

 

 

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次回、急展開!
R18展開にはなりません(断言)

主人公・黒井くん。彼には……。

  • 幸せになってほしい。
  • 幸せになってほしくない。
  • いちゃつけいちゃつけ
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