転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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第33話 風が呼ぶG / 二者択一

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ーーコトッーー

 

 

自宅に帰った俺は、机の上にそれを置く。キッチンで晩飯の用意をしていた霧彦もそれに気づいたようで近寄ってくる。

 

 

「これは?」

 

「井坂が俺に、だとよ。『ジャイアント』のメモリだそうだ」

 

「…………」

 

「奴曰くメモリの副作用はそこまで強くない。奴が俺に施したっていう処置でどうにかできる程度、だそうだ」

 

「……そうか」

 

 

神妙な顔つきで霧彦は顎に手を当てる。

まぁ、信用できないのは全面的に同意する。だが、強いメモリというのであれば、これ以上のものもないだろう。それに『ウェザー』一本でメモリパワーは十分だから、単なるパワー系のメモリを奴はあまり好まないような気もする。

 

 

「なにか機会があれば使ってみてもいいが、その時は私も近くで見守らせてもらう。いいかい?」

 

「……機会がないのが一番だけどな」

 

 

そうもいかないだろう。モブ顔3人衆がいるのだ。いつかはその機会は訪れるはず。

……って、そういや。

 

 

「霧彦も出掛けてたんだよな。どこ行ってたんだ?」

 

 

指名手配されている身である霧彦は余程のことがない限りは外に出ない。食材の買い出しだって、買い出しメモを渡されて俺が行ってるくらいだからな。

そして、余程のこととは、大抵がガイアメモリ絡みである。だから、今回もそういうことなのだと思ったのだが、どうやら俺の予想は当たっていたようで。

 

 

ーーコトッーー

 

「っ、おい、これ!」

 

 

霧彦が机に置いたもの。銀色の装置。それには見覚えがあった。

これは……。

 

 

「ガイアメモリの強化アダプターじゃねぇか!」

 

 

ガイアメモリに装着することで、内部の記憶をアップグレードし、本来の3倍ものの力を引き出すというミュージアムが秘密裏に開発している代物だ。これは確か原作完結後に登場したはずだが、それがなぜ今ここに?

 

 

「やはり、君はこれを知っているんだね」

 

「うっ、まぁな」

 

「今さら君がなぜ知っているのかは聞くまい。どうせはぐらかされるだけだからね」

 

 

ふと霧彦を見ると、なにかを迷っている表情で。数十秒後、彼は意を決した様子で語り出す。

 

 

「私は、君が話していたシュラウドと接触したよ」

 

「!」

 

 

シュラウド……!

あいつ、井坂や照井だけじゃなく、霧彦にまで目をつけていたとは……いや、霧彦は本来ならば途中で退場するはずだった。ミュージアムを潰しうる動機がある今ならば利用価値を見出だすのも納得はできる。

なるほど、とにかくこれで合点はいった。

霧彦が再び『ナスカ』を使えるようになったのは、シュラウドがガイアドライバーを調整した結果なのだ。

 

 

「それでそのアダプターを貰ったわけだな」

 

「あぁ。それから私に『仮面ライダー』になれともね」

 

「……そうか」

 

 

霧彦が『仮面ライダー』。

ビジュアル的にはあり得るだろう。テレビの前の奥様方も納得のイケメンだからな。だが、恐らく……。

 

 

「無論、断ったよ」

 

「だろうな。だからこその強化アダプターなんだろ。『仮面ライダー』ではなく、『ドーパント』としての『ナスカ』を強化するために」

 

「…………」

 

「とにかくそいつは霧彦が貰ったんだ。ぜひ活躍してくれたまえよ」

 

 

ただでさえ強く、可能性に満ちた『ナスカ』だ。アダプターでアップグレードすれば、きっとあのモブ顔3人衆も怖くない。

……さて、話は終わりかな。

そろそろ腹も減ってきた。時間を見れば、10分ほどが経っており、いつもならば圧力鍋での調理が終わる頃だ。

 

 

「霧彦、飯にーー」

 

「ーー待ってくれ、黒井くん」

 

 

飯にしよう。そう告げようとして、霧彦に遮られる。

どうやら霧彦は何かを俺に言おうか悩んでいたようで、今、その決心がついたようであった。

なんだ? そう聞くと、霧彦は再びあるものを机上に置いた。

 

それはガイアメモリ。

表面には、見慣れた『M』の文字。

紛れもなく『マスカレイド』のメモリだ。だが、俺の持つものとは明らかに違っている。色が……。

 

 

「銀色……シルバーメモリ、なのか?」

 

 

そもそも『マスカレイド』は戦闘員用の量産型のはず。それがシルバーランク? そんなわけないだろ? なんだよ、これ?

 

 

「……これは君でも知らない代物なんだな」

 

 

混乱する頭で、そのメモリの観察を続けていた俺の様子を見て、霧彦は静かに呟いた。

当たり前だ、知らないものの方が多い。そう返すとなんでも知っているものかと思っていたよ、なんてからかわれる。

 

 

「これもシュラウドから?」

 

「あぁ。そして、これは君が持っていてくれ。私には必要はないし、『マスカレイド』なら君の方が相応しい、だろう」

 

「…………あ、あぁ」

 

 

霧彦に言われるがまま、俺はシルバーの『マスカレイド』を手に取った。

 

 

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ーーーーーーーー

 

 

「黒井くん……?」

 

「っ、あぁ……」

 

「どうかしたのかい? ボーッとしていたが……?」

 

「……いや、なんでもない。それより飯にしようぜ」

 

「…………そうだね」

 

 

そうして、俺達は日常に戻る。

少しだけ、本当に少しだけ違和感を感じながら。

 

 

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溜め回です。
ちなみに、この裏ではWがエクストリームに到達しています。
次回、新章。

以下覚書
黒井くんのメモリ
『マスカレイド』『エコー』『ライアー』
『ジャイアント』『Sマスカレイド』『リバース』

霧彦のメモリ
『ナスカ』(強化アダプター)『ガイアドライバー』
『ナスカ』『ロストドライバー』

雫ちゃんのメモリ
『イービル』

黒井くんと雫ちゃんのごにょごにょ見たいですか?

  • 見たい! 書け!
  • なくていいよ
  • むしろ私が書こう(有能絵師or物書き)
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