転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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お待たせしました。
『A』編開幕です。


第45話 Aを取り戻せ / 歩みを進める者達

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「秀平さんともう一度、話します」

 

 

決意も新たに、わたしは霧彦さんの前でそう宣言しました。

例の一件については、霧彦さんにも伝えてあって。だから、かもしれません。霧彦さんは危険だ、とも言わずに頷いてくれました。

 

 

「問題は彼と会えるか。そして、『テンセイシャ』を排除すると主張する彼らの存在だね」

 

「はい」

 

「探偵事務所の彼らにも声はかけたが、どうやら向こうも佳境のようでね」

 

「佳境、ですか?」

 

「あぁ。ミュージアム……私と黒井くんが所属していた組織にまつわる依頼が届いたようなんだ」

 

「ミュージアム……」

 

 

ディガル・コーポレーションの真の姿。ガイアメモリを流通させたこの街の裏組織。それはわたしの家族を……ううん、それを考えるのはやめよう。

今は秀平さんとどう会うか、です。

 

 

「…………また、連絡してみます」

 

「それしかないだろうね。タワーでの行動から考えるに、黒井くんの意思が強くなっているのかもしれない。雫ちゃんからの呼び出しなら」

 

「はい」

 

「もしまた『テンセイシャ』を排除しようとする彼らが現れたら、私がどうにかしよう」

 

「よろしくお願いします」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

『雫、大丈夫か』

 

「……うん、大丈夫」

 

『なんだ、その……佐奈のこと、悪かったよ』

 

「ううん。だって、『イービル』さんも意思をもったのはわたしのところに来てからなんですよね」

 

『……あぁ』

 

「むしろお姉ちゃんを助けてくれて、ありがとう。きっとお父さんがお姉ちゃんまで手にかけてたら、もっと酷いことになってたと思うから」

 

 

少なくとも、わたしにはお姉ちゃんとの生活の記憶がある。幹夫さんにお世話になって、お姉ちゃんと笑い合った日々の記憶が。

お姉ちゃんの心中は分からないけど、それでもあの時笑えたのは、お姉ちゃんを守ってくれた『イービル』さんのおかげです。

 

 

「最後までよろしくお願いします、『イービル』さん」

 

『任せろ、雫』

 

 

待ち合わせの時間まであと30分。

 

 

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「よう、黒井!」

 

「……田岡」

 

 

約束の場所に黒井は向かってはいなかった。彼の目的地は別にあり、そこへ急ぐ黒井の前に、田岡は立ち塞がる。彼を無視しようと踵を返すも、そちらには吉川の姿があった。

 

 

「どこに行く」

 

「お前達には関係ない。私に付きまとうな、鬱陶しい」

 

「いやいや、そうはいかんのよ」

 

「主からお前を捕獲するように言われている」

 

「…………邪魔を、するな」

 

 

『リバース』

 

『エンジェル』

『ホール』

 

 

『リバース』を挟み込む『エンジェル』。そして、『ホール』。

穴の記憶を内包したガイアメモリで変貌を遂げたのは吉川で、鉛色の細い体とは対照的に太い両腕。拳はなく、その代わりに穴が開いている。頭部はない。というよりも、まるで深く暗い穴のような黒色の頭であり、そこに2つだけ蒼い目玉が浮いていた。

 

 

『あららー、吉川がメモリを使ったってことは、黒井、お前ヤバイぜぇ?』

 

『田岡、無駄口を叩くな。奴を拘束しろ』

 

『へいへーい』

 

 

その言葉で『エンジェル』が飛び立つ。空から放たれるは、光の槍。

 

 

ーーザザザザッーー

 

 

それらは『リバース』を囲うように地面に突き刺さり、

 

 

『囲え!!』

ーーグググッーー

 

 

その一声で形が変化していく。光の槍から光の檻へ。

 

 

『チッ』

ーーグニャリーー

 

 

すかさず檻からの出口を作るために、『リバース』は能力を行使する。地面の反転。風都タワー展望台で使ったものと同じく、反転させた地面から下へ潜ろうとした。だが、それを簡単に許す相手ではない。

 

 

『甘いッ!!』

ーーゾゾゾゾッーー

 

『!』

 

 

反転した地面の下には、巨大な穴がポッカリと広がっていた。それを意図して作り出したのは勿論『ホール』。落ちれば命はない、その脅しを受けて、『リバース』は地面の反転を即座に中止した。光の檻の中に逆戻りしてしまう。

 

 

『変な気を起こすなよー? オレらの使命は『テンセイシャ』の排除だけど、お前だけは連れてこいって言われてるんだ。うっかり殺すとまずいんよ』

 

『…………連れてこい? 誰に言われている?』

 

『田岡』

 

『あ、やべっ』

 

 

檻の近くへ寄ってきた2人を睨む『リバース』。

 

 

『ともかく変身を解け』

 

『…………』

 

『俺は忙しい。余計な手間をかけさせるな』

 

「……これでいいか」

 

 

ここで暴れるのは得策ではないと判断して、変身を解除する黒井。それを見て、吉川も『ホール』メモリを体外へ排出した。

 

 

『吉川~、オレも解いていいか?』

 

「お前はそのままだ。人間のままでは精度が下がる」

 

『うへぇ……』

 

 

そうして、改めて向き合った黒井と吉川。光の檻越しにお互いの表情がよく見える。

 

 

「なぜ私を狙う」

 

「答える必要はない」

 

「お前達に指令を下しているのは誰だ」

 

「…………」

 

「お前達はーー」

 

 

「ーー私の何を知っている?」

 

 

黒井はただ問い続けている。自分の都合を最優先させる黒井秀平の性質がよく現れた行動で。自分の言葉を飲み込まない再三の質問に、吉川は辟易として一瞬顔を伏せた。それがよくなかった。

 

 

『吉川っ!』

 

「っ!」

 

 

『ライアー』

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「っ、おぇっ……」

 

 

黒井は『ライアー』メモリを使うことで、危機を脱した。だが、その反動で強烈な嘔吐感を感じ、胃の中のものを戻す。

 

 

「奴のようには……いかないか」

 

 

奴ーーそれは彼の中に入ってきたもう一人の自分のことに他ならない。本来の黒井秀平には、ガイアメモリに対する特殊な耐性はない。すべて後天的に入ってきた彼の体質であった。だから、勿論、『リバース』というメモリの強力な副作用に、肉体も精神も蝕まれている。

それでも、黒井は歩みを止めない。

目的のために彼は進み続けるだけだ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その日、風都署から1本のガイアメモリが強奪された。

照井竜がミュージアムに関わる案件で出払っていたがための失態であり、この事実は玄道修一郎が隠蔽した。

 

メモリの名前は『メモリー』。

人の記憶を蓄積し、再生するガイアメモリである。

 

 

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元の彼に戻るのはまだ先になりそうです。なぁ、おふざけ成分足りなくないか?

  • 思いっきりふざけてくれ
  • そんなもん書いてるなら続きをくれ
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