転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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第47話 Aを取り戻せ / 約束を交わして

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結局、秀平さんは待ち合わせの場所には来てくれませんでした。その代わり、わたしのスマホにはメッセージが届いていて。

 

「すぐに終わる。心配するな」

 

それがどちらの秀平さんからのものかは分かりませんでした。けれど、わたしのことを気にかけてくれているのだけは伝わってきました。少し安心。それでも心配なものは心配なんですけど。

だから、わたしは、

 

「無事に帰ってきてくれるって約束してください」

 

それだけを返しました。返事は一言。

 

「約束する」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

知ってるか? それ、死亡フラグって言うんだぜ?

 

 

「私は既に死んでいる。関係ないだろう」

 

 

ハッ、違いねぇな。

それで例の全身ホワイト眼鏡野郎の居場所は分かるのか? いる場所が分からなきゃどうしようもないだろ。

 

 

「…………」

 

 

なんだよ、なんで哀れな奴を見る目をしてんだよ。

 

 

「居場所など分からなくとも、待っていれば向こうから来るだろう……噂をすれば、だ」

 

『やぁ、黒井。三度目の正直だ。捕獲させてもらうぜ』

 

 

おぉ、ホントに来た。しかも、図ったようなタイミングで。

 

 

「……いいだろう。連れていけ」

 

『え? なになに? どんな風の吹きまわしよ?』

 

「ただの気まぐれだ」

 

『……ふぅん。こっちとしては仕事を遂行できるから、まぁ、いいけど』

 

 

ーーーーーーーー

 

 

連れてこられたのは、『メモリー』で見た例の孤島。記憶だとビルがあったはずだが今はない……って、あぁ、そうか。この場所どこかで見たことあると思ったら『ビギンズナイト』の島か!

『ビギンズナイト』……『仮面ライダーW』が誕生した始まりのエピソード。そこで決着をつけるとは、中々オツなことをするな。

 

 

「…………黙っていろ。頭の中で騒ぐな」

 

 

へいへい。大人しくしてまーす。

 

 

「さて、黒井よー」

 

「……なんだ?」

 

 

不意に、田岡が話しかけてくる。

そろそろつくのか? そう思ったんだが、どうやら違うようだ。手の内でガイアメモリをくるくると回しながら、いつもの軽い口調で続ける。

 

 

「いやな、オレそれなりに優秀なワケよ。そんなオレがここのところ失敗続き。挫折感パネーの」

 

「だから、どうした? 早く私を案内しろ。それがお前の役目だろう」

 

 

『俺』は相変わらずの口調で、そんな言葉を返す。いや、これは俺でもキレるわ。本当にこいつ、合理的というか、あれね。人の心が分からん奴だなぁ。そんなことを考えながら、やり取りを聞いていると、

 

 

「はー、それ。それよ……そういうところがーー」

 

『エンジェル』

 

「ムカつくワケッ!!」

 

 

ほら、やっぱりなぁ。そりゃそうなる。

田岡は『エンジェル』に変わり、飛び上がった。それに反応して、『俺』もメモリを起動する。

 

 

『リバース』

 

 

同時に放たれた光球を反転させて、『エンジェル』へ返す。勿論、それを予測していた奴は躱す。

 

 

『……案内すらまともにできないとは。そんな人間が優秀な訳がないだろう』

 

『ホンットーに頭にクる! いいんだよっ! 半殺しにしてから連れてけばなァ!』

ーービュンッーー

 

 

次に繰り出すは、複数の光の剣。2、3、4……裕に10は超えてるな。それを打ち出してくる。下手な鉄砲数撃ちゃなんとやらだな。

だが、その程度ならばーー

 

 

ーーグニャリーー

 

 

半数が反転し、もう半分の剣にぶつかった。相殺させたのだ。爆発で辺りが光に包まれる。それを予測していた『俺』は動く。

 

 

『くっ!?』

 

ーーヒタッーー

『…………反転しろ』

 

ーーグニャリーー

 

 

『エンジェル』の右の脇腹に触れる。瞬間、反転が始まった。メキメキと音を立てて、反転していく奴の右腹。

 

 

『っ、離れろッ!』

ーーブンッーー

 

 

光の剣を精製した『エンジェル』は、俺のことを払い退ける。それが最適解だ。『リバース』の反転を生物に使うには、触れている必要がある。

 

 

『合理的な判断だな』

 

『っ、いちいちうるさいんだよォォ!!』

 

ーーーーーーギュィィィィィッーーーーーー

 

 

って、おぉ!?

叫び声を上げたと思ったら、奴の頭の輪っかが肥大化していく。な、なんじゃありゃ……。

 

 

『大技だろう……だが、こちらの体勢が崩れてもないうちに撃つのは愚策だ。問題ない。反転させる』

 

 

……いやいやいやいや、『黒井』くん? 言ってることはその通りだが、少しは相手の気持ちを考えよっか?

 

 

『どういうことだ』

 

 

事実を言ったら、田岡くんが可哀想でしょ?

……と冗談は置いておいて、たぶんそこまで無策で奥の手は出さんだろ。というわけで、あれは受けるな。

 

 

『……一理あるか。仕方がない』

 

 

そう言うと、『俺』は目の前の大気を反転し始める。『エンジェル』の輪が撃ち出されるまで大気を反転し続ける。作り出しているのは衝撃波。それをーー

 

 

『消し飛べッ』

ーーーーーーギュィィィィィッーーーーーー

 

『ふんっ』

 

 

『エンジェル』が放った光輪にぶつける。正面からではなく斜め下から。軌道を変えるためだけに放ったのだ。その目論見通りに、光輪の軌道はズレる。

 

 

『その火力を相殺できるとは思わない。軌道さえずらせばーー』

 

ーーーーーーギュィィィィィッーーーーーー

『甘いんだよッ!』

 

 

光輪はまるでブーメランのように背後から迫る。

なんと!? そんな狙いがあったのか!?

……まぁ、そんなもんだよな。

 

 

『だから、黙っていろ。不快だ』

 

 

大気の衝撃波と光輪の間を割いて、『俺』は既に移動していた。俺の視界には『エンジェル』の背中が見える。手を伸ばして。

 

 

ーーグニャリーー

 

 

その綺麗な翼を毟り取った。

 

 

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「生きているか」

 

「……まぁ、どうにかなぁ」

 

「あの高さから落ちたなら生きているだけマシだ。幸運だったな」

 

「ハッ、違いない……」

 

 

『俺』は田岡の横に座る。メモリも壊れた。もう起き上がれないだろうと踏んでの行動だ。さらに先程までの殺意も感じない。油断ではなく、客観的な判断。

 

 

「それで奴はどこにいる」

 

「こっから100mくらい東に進んだとこに地下に繋がる扉がある。鉄製で、地面に着いてるからそのまま開けて、階段降りれば着くよ」

 

「……そうか」

 

 

そう言って、『俺』は立ち上がる。

 

 

「じゃあなー、黒井。元気でやれよー」

 

「私はもう死んでいる。元気な訳ないだろう」

 

「……ハッ、ホントに頭にくる奴だ」

 

 

その場を離れる『俺』に、田岡は吐き捨てるように呟いた。きっとその声は『俺』には聞こえていない。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「やっぱり来たな」

 

『命令違反にメモリの破損。ここまでだな』

 

「ん」

 

『主の命により、お前を排除する』

 

「あー、そうしてくれ。メモリが壊れちゃ、オレはもう今までみたいに歩けないし。まぁ、空も飛べた。オレの人生は十分だろぉ」

 

『…………』

 

「吉川に殺されるなら本望だ。頼むから、楽に殺してくれよ~?」

 

『あぁ』

 

「あーあ、別れの言葉もなしかよ。吉川はホントに仕事熱ーー

 

 

ーーーーーーーー




『エンジェル』田岡退場。

アンケートがあります。
投票の上位2人で、ネット版AtoZのオマージュ書きます!

ネット版AtoZオマージュ。上位2名でふざけます!

  • 黒井秀平(主人公)
  • 刃野雫
  • 園崎霧彦
  • 白音佐奈
  • イービル
  • 黒井秀平(暗い方)
  • 佐山
  • 田岡
  • 吉川
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