転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
ーーーーーーーー
結局、秀平さんは待ち合わせの場所には来てくれませんでした。その代わり、わたしのスマホにはメッセージが届いていて。
「すぐに終わる。心配するな」
それがどちらの秀平さんからのものかは分かりませんでした。けれど、わたしのことを気にかけてくれているのだけは伝わってきました。少し安心。それでも心配なものは心配なんですけど。
だから、わたしは、
「無事に帰ってきてくれるって約束してください」
それだけを返しました。返事は一言。
「約束する」
ーーーーーーーー
知ってるか? それ、死亡フラグって言うんだぜ?
「私は既に死んでいる。関係ないだろう」
ハッ、違いねぇな。
それで例の全身ホワイト眼鏡野郎の居場所は分かるのか? いる場所が分からなきゃどうしようもないだろ。
「…………」
なんだよ、なんで哀れな奴を見る目をしてんだよ。
「居場所など分からなくとも、待っていれば向こうから来るだろう……噂をすれば、だ」
『やぁ、黒井。三度目の正直だ。捕獲させてもらうぜ』
おぉ、ホントに来た。しかも、図ったようなタイミングで。
「……いいだろう。連れていけ」
『え? なになに? どんな風の吹きまわしよ?』
「ただの気まぐれだ」
『……ふぅん。こっちとしては仕事を遂行できるから、まぁ、いいけど』
ーーーーーーーー
連れてこられたのは、『メモリー』で見た例の孤島。記憶だとビルがあったはずだが今はない……って、あぁ、そうか。この場所どこかで見たことあると思ったら『ビギンズナイト』の島か!
『ビギンズナイト』……『仮面ライダーW』が誕生した始まりのエピソード。そこで決着をつけるとは、中々オツなことをするな。
「…………黙っていろ。頭の中で騒ぐな」
へいへい。大人しくしてまーす。
「さて、黒井よー」
「……なんだ?」
不意に、田岡が話しかけてくる。
そろそろつくのか? そう思ったんだが、どうやら違うようだ。手の内でガイアメモリをくるくると回しながら、いつもの軽い口調で続ける。
「いやな、オレそれなりに優秀なワケよ。そんなオレがここのところ失敗続き。挫折感パネーの」
「だから、どうした? 早く私を案内しろ。それがお前の役目だろう」
『俺』は相変わらずの口調で、そんな言葉を返す。いや、これは俺でもキレるわ。本当にこいつ、合理的というか、あれね。人の心が分からん奴だなぁ。そんなことを考えながら、やり取りを聞いていると、
「はー、それ。それよ……そういうところがーー」
『エンジェル』
「ムカつくワケッ!!」
ほら、やっぱりなぁ。そりゃそうなる。
田岡は『エンジェル』に変わり、飛び上がった。それに反応して、『俺』もメモリを起動する。
『リバース』
同時に放たれた光球を反転させて、『エンジェル』へ返す。勿論、それを予測していた奴は躱す。
『……案内すらまともにできないとは。そんな人間が優秀な訳がないだろう』
『ホンットーに頭にクる! いいんだよっ! 半殺しにしてから連れてけばなァ!』
ーービュンッーー
次に繰り出すは、複数の光の剣。2、3、4……裕に10は超えてるな。それを打ち出してくる。下手な鉄砲数撃ちゃなんとやらだな。
だが、その程度ならばーー
ーーグニャリーー
半数が反転し、もう半分の剣にぶつかった。相殺させたのだ。爆発で辺りが光に包まれる。それを予測していた『俺』は動く。
『くっ!?』
ーーヒタッーー
『…………反転しろ』
ーーグニャリーー
『エンジェル』の右の脇腹に触れる。瞬間、反転が始まった。メキメキと音を立てて、反転していく奴の右腹。
『っ、離れろッ!』
ーーブンッーー
光の剣を精製した『エンジェル』は、俺のことを払い退ける。それが最適解だ。『リバース』の反転を生物に使うには、触れている必要がある。
『合理的な判断だな』
『っ、いちいちうるさいんだよォォ!!』
ーーーーーーギュィィィィィッーーーーーー
って、おぉ!?
叫び声を上げたと思ったら、奴の頭の輪っかが肥大化していく。な、なんじゃありゃ……。
『大技だろう……だが、こちらの体勢が崩れてもないうちに撃つのは愚策だ。問題ない。反転させる』
……いやいやいやいや、『黒井』くん? 言ってることはその通りだが、少しは相手の気持ちを考えよっか?
『どういうことだ』
事実を言ったら、田岡くんが可哀想でしょ?
……と冗談は置いておいて、たぶんそこまで無策で奥の手は出さんだろ。というわけで、あれは受けるな。
『……一理あるか。仕方がない』
そう言うと、『俺』は目の前の大気を反転し始める。『エンジェル』の輪が撃ち出されるまで大気を反転し続ける。作り出しているのは衝撃波。それをーー
『消し飛べッ』
ーーーーーーギュィィィィィッーーーーーー
『ふんっ』
『エンジェル』が放った光輪にぶつける。正面からではなく斜め下から。軌道を変えるためだけに放ったのだ。その目論見通りに、光輪の軌道はズレる。
『その火力を相殺できるとは思わない。軌道さえずらせばーー』
ーーーーーーギュィィィィィッーーーーーー
『甘いんだよッ!』
光輪はまるでブーメランのように背後から迫る。
なんと!? そんな狙いがあったのか!?
……まぁ、そんなもんだよな。
『だから、黙っていろ。不快だ』
大気の衝撃波と光輪の間を割いて、『俺』は既に移動していた。俺の視界には『エンジェル』の背中が見える。手を伸ばして。
ーーグニャリーー
その綺麗な翼を毟り取った。
ーーーーーーーー
「生きているか」
「……まぁ、どうにかなぁ」
「あの高さから落ちたなら生きているだけマシだ。幸運だったな」
「ハッ、違いない……」
『俺』は田岡の横に座る。メモリも壊れた。もう起き上がれないだろうと踏んでの行動だ。さらに先程までの殺意も感じない。油断ではなく、客観的な判断。
「それで奴はどこにいる」
「こっから100mくらい東に進んだとこに地下に繋がる扉がある。鉄製で、地面に着いてるからそのまま開けて、階段降りれば着くよ」
「……そうか」
そう言って、『俺』は立ち上がる。
「じゃあなー、黒井。元気でやれよー」
「私はもう死んでいる。元気な訳ないだろう」
「……ハッ、ホントに頭にくる奴だ」
その場を離れる『俺』に、田岡は吐き捨てるように呟いた。きっとその声は『俺』には聞こえていない。
ーーーーーーーー
「やっぱり来たな」
『命令違反にメモリの破損。ここまでだな』
「ん」
『主の命により、お前を排除する』
「あー、そうしてくれ。メモリが壊れちゃ、オレはもう今までみたいに歩けないし。まぁ、空も飛べた。オレの人生は十分だろぉ」
『…………』
「吉川に殺されるなら本望だ。頼むから、楽に殺してくれよ~?」
『あぁ』
「あーあ、別れの言葉もなしかよ。吉川はホントに仕事熱ーー
ーーーーーーーー
『エンジェル』田岡退場。
アンケートがあります。
投票の上位2人で、ネット版AtoZのオマージュ書きます!
ネット版AtoZオマージュ。上位2名でふざけます!
-
黒井秀平(主人公)
-
刃野雫
-
園崎霧彦
-
白音佐奈
-
イービル
-
黒井秀平(暗い方)
-
佐山
-
田岡
-
吉川