転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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02 ばらまかれた災厄

ーーーー鳴海探偵事務所ーーーー

 

 

「異常事態だ」

 

 

照井竜の言葉を聞きながら、俺の嫌な予感は当たることを痛感する。最悪の展開を思い浮かべた翌日の正午に、空から『災厄』が降ってきた。『T2ガイアメモリ』が風都の街中にばらまかれたのだ。

緊急事態を受けて、俺や霧彦、雫ちゃんに照井が鳴海探偵事務所に集結していた。勿論、所長である鳴海亜樹子、探偵・左翔太郎とフィリップもいる。風都の『仮面ライダー』揃い踏みである。

 

 

「俺とフィリップも何体か街で暴れる『ドーパント』を倒した。そして、『こいつ』だ。倒した後に、その『ドーパント』の近くに転がっていた」

 

 

左が懐から取り出したのは、やはり『T2ガイアメモリ』だった。普通ならばマキシマムで破壊できるメモリをブレイク出来なかったことに少々困惑しているようだ。そんな彼とは違い、彼の相棒は懐疑的な目を俺に向けている。

 

 

「何か知っているんじゃないか、黒井秀平」

 

 

フィリップの一言で、全員の視線が俺に向いた。俺に質問するな、と返したらたぶん怒られる雰囲気だな、こりゃ。ひとつため息を吐いた俺は観念して、口を開いた。

 

 

「『T2ガイアメモリ』」

 

 

それが、財団Xが秘密裏に開発していた新型であること。そして、その特性について話す。

 

 

「……スロット処置をせず、マキシマムでもメモリブレイクできない新型だって?」

 

「あぁ。しかも、使用者の意志に関係なく、適合率の高い者の体内へ飛び込んでくるってのも性質が悪い」

 

「つまり、何も知らない市民が『ドーパント』に……?」

 

「そういう訳だな」

 

「そんな……」

 

 

俺の話を聞いて、この場の人間のほとんどが絶句し考え込む中、質問をしてくる人物が約1名。

 

 

「相変わらず僕でも知らないことを知っている……本当に、キミは何者だい、黒井秀平」

 

 

知識の権化、フィリップ。先程と変わらず、厳しい眼差しで問うてくる。『転生者』であることを話したのは、雫ちゃんと霧彦のみだ。『転生』の情報を広めることで、この世界に与える影響を考えた結果、より近しい人間にしか話さないと決めてあるのだ。

……さて、どうしよ。

 

 

「フィリップくん。今、それは関係ないだろう」

 

「霧彦」

 

 

と、ここで助け船。流石、霧彦! 頼れる男だぁ!

 

 

「須藤霧彦。だが……!」

 

「まぁまぁ、落ち着けよ、相棒。今は黒井の正体を突き止めるよりも、『T2ガイアメモリ』って代物から、風都を守るのが先だ」

 

「左の言う通りだ、フィリップ」

 

「……っ、分かった。今は我慢しよう」

 

 

左と照井の2人にそう言われたら、流石のフィリップも引くしかない。それに彼自身も『T2ガイアメモリ』の脅威を理解しているから、相棒達の言うことに納得していたんだろう。それ以上は言及せず、話が戻る。

 

 

「現状、問題は誰が何故、メモリをばらまいたのか」

 

「あぁ、なぁ、黒井。このメモリについて、まだ知ってることがあるなら教えてくれ」

 

 

一瞬、思考を巡らせ、答える。

 

 

「俺の予想が当たっているなら、これをばらまいたのは『NEVER』」

 

「『NEVER』?」

 

「世界を股にかける傭兵集団ってのが表向き。その裏は『死人』……奴等は一度死んで生き返ったゾンビ兵士なんだよ」

 

「「ゾンビ……!?」」

 

 

驚いた女性陣に頷き、肯定する。

さらに、奴等のバックにいる科学者・大道マリアの研究の成果が『NEVER』であることや『ミュージアム』が財団から出資を受ける時に、その競合相手が『NEVER』であったことも補足する。

何故そんなことを知っている、というフィリップからの視線は痛いがそんなもんガン無視だ、ガン無視。

 

 

「なるほど。見限った財団や競合相手だった『ミュージアム』の陰が未だに蔓延る風都を狙いに定めたと、そういう訳か」

 

「ついでに、『T2ガイアメモリ』の力で、この街を地獄にでも変えようとしているんだろうよ」

 

「傍迷惑な話だ」

 

 

流石は照井警視様。理解が早くて助かるぜ。と、ここである男たちが口を開いた。

 

 

「……許せねぇ」

 

「同感だ」

 

 

左翔太郎。そして、須藤霧彦だ。見れば、メラメラと怒りのオーラが見えそうな気迫である。風都を心の底から愛しているこの男たちにとって、『NEVER』がやらかそうとしていることは到底看破できるはずがねぇよな。

 

 

「翔太郎!」

 

「おう、霧彦!」

 

 

2人はすっと立ち上がり、足並みを揃えて、事務所出口へ。

 

 

「翔太郎くん!? どこいくの!?」

「霧彦さん!? どこにいくんですか!?」

 

 

「「メモリを回収してくる」」

 

 

女性陣の制止を振り切り、2人は鼻息荒く事務所を出ていった。

 

 

「はぁ、似た者同士め」

 

「まったくだ」

 

 

俺の呟きに同調するフィリップと目が合う。あいつらのお陰で、ちっとは猜疑心も晴れた、か?

 

 

「ともかくだ。左達の言うことにも一理ある。俺も街を見回って、『T2ガイアメモリ』を探そう。黒井」

 

「あ?」

「は、はい!」

 

 

照井に名前を呼ばれ、思わずユニゾンする俺と雫ちゃん。なんだか照れるなぁ、へへへ。

 

 

「……妻の方だ」

 

「あ、はい!」

 

「君はこのまま彼と一緒に直帰していい」

 

「え、でも……」

 

「捜索は一筋縄ではいかない。俺と交代できるように、少し休め」

 

「っ、分かりました」

 

 

そう言って、雫ちゃんに指示を出す照井。なんかちょっとジェラるが、今は我慢だ。なにより、雫ちゃんの安全も考えた上での判断だってのも分かるからな。

 

 

「フィリップ。俺や左たちがメモリの捜索をしている間に、敵の情報をもう少し知りたい。検索を頼めるか」

 

「あぁ、任せたまえ」

 

「所長もここにいてくれ。いざというときはすぐに駆け付ける」

 

「うん、竜くん」

 

 

照井はそのまま鳴海……照井亜樹子の頭を軽く撫で、事務所を出ていった。ぐぬぬ、悔しいが、かっけぇ旦那である。

 

 

「秀平くん?」

 

「あ、いや、なんでもねぇ」

 

 

複雑な内心を取り繕い、改めて雫ちゃんに向き直る。さて、そんじゃあーー

 

 

「帰ろうか、雫ちゃん」

 

「はい、秀平くん」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

俺と雫ちゃんはその日はそのまま帰路に着いた。

正直な話、『NEVER』の襲来に最初こそ動揺していたものの、今の俺はあまり不安を感じていなかった。何故ならば、原作よりもこちらの戦力が強化されているからだ。

 

本来、『NEVER』は本編中に襲来したはず。だが、今は本編よりもずっと後。『アクセル』には『強化アダプター』があるし、霧彦・『ナスカ』だって生存している。戦わせたくはないが、雫ちゃんだって『仮面ライダーイービル』になれるのだ。確かに『エターナル』はチート級のバケモンとはいえ、草々負けはしないだろう。

 

 

「……それにしても『T2ガイアメモリ』……あれがそうだったなんて」

 

 

ポツリと隣で雫ちゃんが呟いた。

 

 

「ん? なに、雫ちゃん、『T2ガイアメモリ』見たことあるのか?」

 

「あ、はい。実は昨日、照井警視から捜査写真を見せてもらってて……」

 

 

そう言って、雫ちゃんは捜査資料らしき写真を見せてくれた。それには1本の『T2ガイアメモリ』。って、おい!? これ!?

 

 

「っ、雫ちゃん! これ、誰が持ってたって……」

 

「え、あっ、えっと……この女の人です」

 

「見せてくれ!!」

 

「は、はい。ボロボロの状態で、風都署の前に倒れていたそうなんですが……」

 

 

雫ちゃんの手から写真を受け取る。

おい……なんだよ、どういうことだ……? なんで、この女が風都署に? おかしいだろ、今回の件が『運命のガイアメモリ』と繋がっているのなら、この女がボロボロの状態で倒れてたっていうのがあり得ねぇんだ。なんでだっ!?

 

 

 

「大道、マリアッ」

 

 

 

ーーーーーーーー

書けるとは限らないR展開ですが……

  • 雫ちゃんとの新婚生活編、待ってる
  • 『イービル』との一夜編、待ってる
  • 待てない。私が書こう(有能物書)
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