転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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04 風都タワーの決戦

ーーーー同時刻・工場跡地ーーーー

 

 

「誰かいるかい」

 

 

検索をしていたフィリップの元に連絡が入った。相手はシュラウド、つまり彼の母親である園崎文音からであった。『ミュージアム』壊滅後、以前より友好な関係を結んできた母子。だから、彼とシュラウドが連絡を交わすのは変なことではない。

 

 

「約束通り、1人で来たわね」

 

「……キミは、羽原レイカ」

 

 

フィリップは検索により彼女の情報を知っていた。元々は連続強盗事件の犯人で、死刑執行が決まっていた脱獄犯。脱獄の際に死亡し、『NEVER』となった女。

 

 

「間違いないね?」

 

「ふん」

 

「何故キミがシュラウドの……母さんの携帯を?」

 

「これが答えよ」

 

 

そう言って、レイカは物陰から縄で縛られたシュラウドを連れてきた。

 

 

「っ、母さん!」

 

「来人っ! 逃げなさいっ!」

 

「動くな。動いたらこの女を殺す」

 

「っ……キミの目的はなんだ」

 

「ここで大人しくしていて。そうすればこの女は殺さない」

 

 

この女は元々死刑囚、約束を守るとは限らない。だから、最善手は隙を見つけて、彼女を拘束すること。そのためにはーー

 

 

「動くな、と言ったはずよ」

 

「くっ」

 

 

一挙一動に注視され、翔太郎への連絡は勿論、『ファング』と『エクストリーム』すら呼べない。かと言って相手は傭兵だ。戦闘経験の少ないフィリップでは、彼女には勝てないだろうことは予想できる。そうなれば、シュラウドの身が危ないのは事実。ならば、自分にできることをするだけだとフィリップは思考を切り替えた。

 

 

「キミの言う通り、抵抗はしない。だから、これは僕の独り言だ」

 

「…………」

 

「キミ達がばらまいた『T2ガイアメモリ』。それでキミ達はテロを起こすつもりだろう。『エターナル』にはメモリの力を収束させる性質がある。それを利用して、エネルギーをこの風都に拡散させ、街の人間をキミ達『NEVER』と同じ存在にする。違うかい?」

 

 

それが黒井秀平が予想したという話だった。にわかには信じがたい話だったが、こうして『NEVER』が出てきたとなれば、その情報の信憑性は上がるし、そもそも敵の情報が少ない今、黒井の言葉を信じるしかなかった。

 

 

「…………」

 

 

フィリップの問いに、レイカは答えない。そのままゆっくり近づき、シュラウド同様にフィリップを縄で縛っていく。その間もフィリップは話し続ける。

 

 

「キミ達のボスと話をしたい」

 

「…………」

 

「大道克己。彼と話をさせてくれ」

 

 

検索にあった『NEVER』の設立者・大道克己。彼と話をすれば、何か進展があるかもしれない。そう思ってのことだったが……。

 

 

「……大道……克己?」

 

 

レイカの動きが止まった。彼女の反応がおかしい。

 

 

「大道……克己……っ、知らない……そんな奴……なのに、なによこれっ!?」

 

 

まるでその名前を知らないかのような反応。

 

 

「何が起きてる……?」

 

 

ーーーー風都タワー展望台ーーーー

 

 

「昨日から照井さんと連絡が取れないそうです」

 

「こっちもフィリップが電話に出ねぇ……くそっ、何が起きてやがるっ」

 

「落ち着きたまえ、翔太郎。私達が今やるべきは、ここに来るという『NEVER』を倒し、街の人々を守ること、だろう?」

 

 

俺達4人は風都タワーの展望台にいた。

照井とフィリップ。2人と連絡が取れないことに焦る左を霧彦がなだめる。

正直、俺も例の白服の件や大道マリアの件など、原作と違う事態に戸惑ってはいる。だが、ここで作戦を変えるわけにはいかない。幸い俺以外の3人は戦えるんだ。だが、これは……。

 

 

「ちっとキツいな……」

 

「でも、やるしかないんですよね」

 

「あぁ、頼む」

 

 

危なくなったら逃げるんだぞ。そう雫ちゃんに念押しして、その時を待つ。

 

作戦はこうだ。

原作通りにいけば、今日ここに『NEVER』が現れるはず。敵は5人。

大道克己。羽原レイカ。芦原賢。堂本剛三。泉京水。

大道克己が『エターナル』を持ち、他のメンバーはそれぞれが『W』と同じメモリと引き合っている。『NEVER』を引き離し、各個撃破していくしかないが、制御室に向かうであろう大道克己を除いても相手は4人。1人足りないのだ。

 

 

「…………霧彦」

 

「あぁ、早めに君と合流するよ」

 

 

俺が1人を引きつける間に、霧彦か左が1人を倒す。戦闘経験が多い2人ならきっとできるはずだ。

 

 

「じゃあ、各員健闘を祈るぜ」

 

 

そして、その時は訪れた。風都タワーのイベントの開始とともに、銃声が響く。その場にいた全員がそちらを見ると、いた。『NEVER』だ。

羽原レイカ。芦原賢。堂本剛三。泉京水。そしてーー

 

 

「は?」

 

 

肝心の人間がいない。『NEVER』のリーダー・大道克己が。

くそっ、どうなってる? いや、制御室に単身向かっているのか? まただ! また原作と違う展開、どうなってやがるんだ!?

 

 

「ハーッハッハッ、逃げろ逃げろォォ!!」

 

「…………」

ーーパァンッーー

 

 

堂本が吠え、芦原が無言で空へ発砲する。客は逃げ惑い、散っていく。大丈夫、大丈夫だ。上手くいく。

 

 

「……これでいいワケ? 客を人質にしてもよかったんじゃない?」

 

「いや、時間の無駄だろう。俺達の目的はあくまで制御室だ」

 

「えぇ、それに……まだいい男が残ってるわぁ」

 

 

『NEVER』の4人の視線は、逃げずにこの場に残った俺達へ。

さぁ、こっからが正念場だ。

 

 

「頼むぜ。左、霧彦、雫ちゃん!」

 

「あぁ」

「勿論だ」

「はいっ」

 

 

作戦通り、それぞれがそれぞれの相手へ向かう。

左は堂本剛三と、霧彦は芦原賢と、雫ちゃんは羽原レイカと。

そして、俺は泉京水と。

 

 

「……ゲームスタート」

 

 

芦原のその声で、それぞれが戦闘を開始した。

 

 

ーーー風都タワー制御室ーーー

 

 

「始まったか」

 

 

風都タワーの制御室に、その男はいた。椅子に座り、4台のモニターに映した監視カメラの映像を眺めている。『NEVER』のジャケットを肩に羽織った男は、おもむろに懐から『T2ガイアメモリ』を取り出した。

 

 

「面白いものを見せてくれよ、黒井秀平」

 

 

黒井の名を呼んだ男は手元の『E』のメモリを起動する。

『T2ガイアメモリ』に、各文字を冠するメモリはそれぞれ1本しか存在しない。つまり、

 

 

『エラー』

 

 

『T2』の『エターナル』は、この世界に存在しない。

 

 

ーーーーーーーー




『エターナル』が認めるのはただ1人、大道克己のみ。

書けるとは限らないR展開ですが……

  • 雫ちゃんとの新婚生活編、待ってる
  • 『イービル』との一夜編、待ってる
  • 待てない。私が書こう(有能物書)
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