転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

74 / 122
05 2対2

ーーーー霧彦sideーーーー

 

 

「君達のような傭兵は、この街に相応しくない。出ていってもらおうか」

 

「…………」

 

 

真剣な眼差しで、霧彦は芦原にそんな言葉を投げかける。紳士的な霧彦には似合わない強い語気であった。そんな霧彦に、芦原は問答無用で銃を向け、

 

 

ーーパァンッーー

 

 

放つ。その弾丸を霧彦は紙一重で避けた。

 

 

「一筋縄ではいかないな」

『ナスカ』

 

「……そちらもだ」

『バレッド』

 

 

霧彦はガイアドライバーで『ナスカ』へ変わる。

芦原は『T2メモリ』である『バレッド』を起動し放る。メモリはそのまま芦原の掌へ入り、彼は『バレッド』ドーパントに変貌を遂げた。

藍色のシャープな肉体。節々に銃の意匠が組み込まれており、胸部にはシリンダーと思しき形状になっている。頭部はまるで銃そのもののようだが、右目だけは獲物を狙うスナイパーのように紅く輝いている。そして、なにより特徴的なのは、両腕の銃口だ。まさに、銃自体が肉体を得たような『ドーパント』だった。

 

 

『…………まずは小手調べだ』

 

ーーパァンッーー

ーーパァンッーー

 

 

『バレッド』の両腕から放たれるは弾丸。2発の弾が『ナスカ』へ迫る。

 

 

『銃主体の『ドーパント』……黒井くんの見立ては当たりという訳か』

 

 

黒井から聞いていた話通り、芦原は銃を扱う『ドーパント』に変わった。『W』と同じ『トリガー』だろうという予想は外れてはいるが、系統に変わりはない。だから、『ナスカ』の『超高速』があれば全ての攻撃を避けきれるはずだ。

 

 

『『超高速』!!』

 

 

弾丸は空を切り、同時に『ナスカ』は『バレッド』の背後へ。そして、ナスカブレードで一閃。決着はあっという間にーー

 

 

ーーギリギリギリギリーー

 

『なに!?』

 

 

剣は『バレッド』の体を捉えてはいなかった。攻撃を防いだのは、ひとつの弾丸。いつの間にか射ち出されていた弾丸が剣を止めていた。

 

 

『余所見をしていていいのか』

 

ーーパァンッーー

ーーパァンッーー

 

『ぐ……っ!?』

 

 

それは背後から。先程避けたはずの2つの弾丸が、『ナスカ』の背を射ち抜いたのだ。堪らず『バレッド』から距離をとる『ナスカ』。

 

 

『誘導弾、か』

 

『正解だ。だが、その判断は良くない』

 

ーーガジャガジャーー

 

 

その言葉と同時に『バレッド』の身体が組み換わっていく。物の数秒でその体勢になる。頭の銃口は『ナスカ』へ向き、胸のシリンダーが回る。

 

 

『それは、まずいッ』

 

 

それが意味することを『ナスカ』は瞬時に理解し、翔んだ。瞬間、『それ』は放たれーー

 

 

『だぁぁぁっ!?!?』

 

『『!?』』

 

 

ーーなかった。なぜなら乱入者がいたからだ。乱入とは言っても参戦しに来た訳ではない。ブッ飛ばされた結果、乱入する形になったというのが正確だろう。

 

 

『くそッ、あいつ、無茶苦茶しやがって!?』

 

 

その乱入者とは黒いボディに真っ赤な眼の『仮面ライダー』。つまり、

 

 

『『ジョーカー』……翔太郎か』

 

『霧彦!』

 

 

『ジョーカー』であった。彼の相手は堂本剛三のはずで、その様子を見るに、倒して助太刀に来た訳じゃない。霧彦の予想通り、堂本は姿を現した。勿論、『ドーパント』になってである。

その『ドーパント』の名は『アイアン』。鉄の記憶を内包するガイアメモリで変貌を遂げた『ドーパント』。その能力は、鋼鉄の肉体と周囲の鉄を自在に操る。駐車場の地面内の鉄分を操り、照井を閉じ込めたのも『アイアン』であった。

 

 

『よう!! 邪魔するぜぇ!!』

 

『場を荒らすな。こちらはトドメを刺すところだ』

 

『悪かったなぁ!』

 

 

悪びれる様子もなく首を鳴らす『アイアン』。そんな彼の性格を知っているからか、『バレッド』はひとつため息を吐き、改めて『ナスカ』と『ジョーカー』に向き直る。

数だけ見れば、状況は変わらない。1対1から2対2になっただけではある。だが、『NEVER』として戦ってきた者と即席のタッグ。チームワークの差は歴然だ。

 

 

『おい、霧彦』

 

『分かっているさ。私も、今の君と同じ気持ちだからね』

 

 

だが、その想いは一致している。彼らは再び構え直し、吠えた。

 

 

『この街に手出しはさせねぇぞ!』

 

『この街に手出しはさせない!』

 

 

ーーーー雫sideーーーー

 

 

「こんな小娘があたしの相手なのかしらっ」

 

「……え、えっと」

 

「むっき~!! 舐められたものね!」

 

 

雫の相手は羽原レイカのはずであった。だが、直前に泉京水と羽原レイカが入れ換わった。完全に計算外のこと。黒井の相手は、彼が逃げきれそうだからという理由で泉京水が選ばれていたのだ。だから、今の雫の頭の中は、羽原レイカから逃げ回っているであろう黒井への心配でいっぱいで。

 

 

「ごめんなさい。あなたに構っている暇はないんです。だから、すぐ終わらせる」

 

『イービル』

 

 

相手は『NEVER』。既に死んだ人間であることは聞いていたから、今の雫に迷いはない。全力で目の前の敵を倒し、夫である黒井を助けに行く。非情なまでの意志は『イービル』の力に変わる。

 

 

「変身」

『イービル』

 

 

黒色の稲妻が走る。稲妻は雫の身体を紫がかった黒のボディへと変えていく。左肩のローブをたなびかせ、その青い瞳で泉京水を睨み、告げる。

 

 

『必ず守ってみせます』

 

 

対峙する京水は相変わらずふざけた口調だが、纏う雰囲気は変わっていた。傭兵としての雰囲気だ。

 

 

「あらっ、なかなかかっこいいじゃない。なら、あたしもっ!」

 

『オクトパス』

 

 

タコの記憶により、8本の触手をもつ『オクトパス』ドーパントへと変貌を遂げる京水。そして、『イービル』へ言い放つ。それは開戦の合図だ。

 

 

『あたしよりおっぱいの大きい女は嫌いヨッ』

 

 

ーーーーーーーー

書けるとは限らないR展開ですが……

  • 雫ちゃんとの新婚生活編、待ってる
  • 『イービル』との一夜編、待ってる
  • 待てない。私が書こう(有能物書)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。