転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
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「触手プレイは許さねぇぞッ!!」
「はぁ?」
何かの予兆を感じ取り叫んだ俺に、羽原レイカが怪訝そうな表情を向けてくる。
「……わりぃな。発作が出ちまった」
「気持ち悪い」
変なモノを見るような目で、ボソッと吐き捨てた羽原。
正直、このまま罵倒で済めばいいんだけどな……いや、変な意味じゃなくてね? その程度で済めば儲けものだって話だ。だって、この女のメモリは恐らく『ヒート』ーー『W』の中でもトップクラスに火力が高く、遠距離攻撃もできてしまうメモリなのだ。泉京水の『ルナ』ならばまだしも、生身で『ヒート』から逃げきれる気がしない。
「なぁ、お姉さんや。俺とお話する気はねぇか?」
なんだったらお小遣いもあげちゃうよ、なんて冗談めかして言う俺。雫ちゃんへの罪悪感は抑えろ。こうなったらできることはなんでもしてやるよ!
「はぁ?」
「せっかく美人が相手なんだ。少し雑談でもしないかってお誘いだよ」
「…………」
一瞬考える素振りを見せる羽原。これはいけるのか?
「ふぅん、いくら出せるの?」
「! そうだなぁ……いくら欲しいんだ」
「そうね……とりあえず500万」
「ごひゃくっ!?」
がめつぅぅ!?
って、そうか。こいつ、そういや強盗で捕まったとかいう設定だったな。この悪女め、お金に強欲な女はもてねぇぞ!? ひぃ、怖ぇ怖ぇ……。でもまぁ、とりあえずこいつの話に乗るしかねぇか。
「……いいぜ。流石に後払いで頼む」
「ふんっ、嘘に決まってるでしょ」
「なっ、てめぇ!? 俺の駆け引きのドキドキを返せ!」
「そんなの知らないわよ」
俺の言葉を無碍にした彼女は、ジャケットから『T2ガイアメモリ』を取り出した。赤いガイアメモリ。やっぱり『ヒート』かよっ!
『サキュバス』
「は?」
羽原が起動したのは『ヒート』ではなく、『サキュバス』。聞いたことのないメモリだった。
「ちょ、待て待て待て!」
「はぁ、待つわけないじゃない」
「お願いします! 待ってください!!!」
「っ、な、なに……?」
その場ですぐさま土下座。突然の出来事に困惑し、俺も予想外の行動をしてしまった。だが、その甲斐あって、『サキュバス』のメモリを手にしたまま、彼女は止まってくれた。
「……それ、『T2ガイアメモリ』だよな」
「え、えぇ。そうじゃない?」
「…………ふむ」
端子をよく見ると、確かに青い端子だから『T2』に間違いはない。しかし、『サキュバス』? Sの頭文字は『スカル』だったはずだ。大道マリア然り、羽原レイカのメモリ然り、やっぱり原作から大きく流れが違っている。下手をすると、他の『NEVER』のメモリも違うかもしれねぇ。
「……そろそろいいかしら」
「待て。もうひとつ確認だ」
「……ちっ、なによ?」
「そのメモリ、大丈夫……? 『サキュバス』だぜ、『サキュバス』。知ってるだろ、えっちな漫画やらに出てくる淫魔だ。それ使ったら、もしかしたら姿自体はそんなに変わらなくて、衣装だけチェンジしたえっちな格好になるかもしれねぇぞ?」
「なっ///」
どうやら『NEVER』である彼女にも羞恥心はあったらしく、自分の身体を抱くようにして身体を縮こめる。
よし、隙ができた! 『サキュバス』ドーパントがどんな姿になるかは知らないが、どちらにしろ今の俺にできることはひとつ!
「おらぁぁぁっ!!」
ーーダッーー
「な!?」
逃げるべし、脱兎の如く!
「ま、まちなさいっ!」
「はぁぁぁ?? 待つわけねぇだろうがぁぁぁ!!」
恥も外聞もない。命大事に。
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天啓。
雫ちゃん×『サキュバス』。
結論。
えっち。
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「…………ふむ」
とある天啓を受け、俺は歩みを止めた。常人は勿論、生半可な天才でも考えつかない高尚な考えである。それの実現のために、俺は動かなくてはならない。そう、
いや、いやいやいやいや。待てよ、俺。いくら『T2』とはいえ、メモリを雫ちゃんに使うのはなぁ……。でも、こちらには天才科学者・シュラウドがいるんだ。ガイアメモリの効力だけ抽出して、使うことも不可能ではないのではないだろうか。まぁ、多少影響があったとしても、雫ちゃんが『サキュバス』風なえっちになるだけならワンチャン……!
「いきなり止まるなッ!」
ーーブンッーー
「っと」
後ろから追ってきた羽原の飛び蹴りを寸でのところで躱す。『ドーパント』じゃないとは言っても、相手は『NEVER』だ。当たれば一溜りもないのは明白。ふぅ、危なかったぜ。だが、これでーー
「羽原レイカ!」
「っ、なに……?」
「メモリを渡せ」
「はぁ? なに言ってんの」
「お前はそのメモリを使えない。『サキュバス』になるのは嫌なんだろう」
「っ/// 黙れッ!」
こりゃあ図星だな。徐々に感情を失っていくという『NEVER』だったが、思ったよりこの攻め方に効果があったようだ。
俺は手を差し出したまま、歩み寄る。
「近づくなッ! ド変態ッ!!」
ーーブンッーー
「せいっ!」
ーーヒョイッーー
またも躱す。ギリギリだが避けることができる。ここまで戦ってきた経験値は確実に俺の身になっているようだな。生身ならーー
「フンッ!」
ーードスッーー
「~~~~~~~~ッ!?!?!?」
油断!
そう、俺の隙を突いて、彼女の蹴り上げが俺の急所にヒットする。死ぬ。助けて。
「あ……がっ……」
苦悶の淵で俺は思い至る。天罰、なんだろうな。愛する奥さんにメモリを使おうとした俺への天罰。だがーー
「くたばれ、下衆が」
「…………」
「ふんっ、メモリを使うまでもなかったわ」
「………………メモリを」
「え?」
「メ"モ"リ"を"わ"た"せ"ェェェ!!!」
それでも、俺は
「わ"た"せ"ェェ!」
「ひぃぃぃぃっ!?」
俺の形相に驚いた羽原は『サキュバス』を落とした。今だっ!!
必死に手を伸ばす。あと数センチ! そこでーー
ーーにゅるんっーー
『何してるのヨッ!!』
「!?!?」
俺の手は空を切った。眼前の『サキュバス』は触手に奪われる。
「て、てめぇっ!!」
『アンタの叫び声を聞いて駆けつけてみれば、なにヨ、この状況!?』
タコの化け物が羽原に駆け寄る。あの動きと口調……泉京水ィッ!
って、おい。待てよ、奴の相手は雫ちゃんだったはずだ。ということは、まさかっ!?
「おいごらぁっ! 雫ちゃんはどうしやがったッ!!」
『……あの小娘なら』
「雫ちゃんを傷つけやがったら許さねぇぞッ!!」
『あ、あの……秀平くん……わたし、無事です///』
激怒する俺の後ろに立っていたのは『仮面ライダーイービル』……つまりは雫ちゃんであった。
「無事なのか!」
『は、はい。女の人の悲鳴と同時に、あの人がこっちに向かっただけなので……』
「そっか。ともかくよかったよ。愛しの雫ちゃんが無事で」
『は、はい///』
『むっき~ッ、ナニアレ!? 見せつけちゃってェェ!!』
「ホントなんなのよ、あいつ」
なにやら外野がうるせぇな。まったく俺と雫ちゃんのイチャイチャタイムを邪魔するとは許しがたい。
「…………はぁぁぁ、ホントイヤ。ほら、これアンタが使って。私とは合わないから」
『ん? もう、仕方がないわね』
変身を解いた泉京水は、羽原レイカからそのメモリを受け取り、タコ、恐らく『オクトパス』のメモリを渡した。やっぱりこっちもメモリが変わってやがったか。本当にどうなって……。
「ん?」
待て。待って、ねえ待って。
今、羽原は『あれ』を泉京水に渡したよね?
……えっ? ってことはーー!?
「さ、いくわよ~~!」
「止めろォォォ!!!」
『サキュバス』
「おぇぇぇぇぇっ」
この世には見てはいけないものが存在することを俺は今日、思い知った。
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どんな場面でもふざけるのが黒井くんのいいところです。
勿論、本人は本気なんですが。
でも、仕方ないでしょう。
『サキュバス』ですよ?
『サキュバス』ですよ?(重要)
サキュバス雫ちゃん、見たい? 私は見たい。
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見たい
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その癖は分からん
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私が描こう(有能絵師)