転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
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『NEVER』の面々と偽親玉を、『W』と大道克己が抑え込んでいるであろう現在。俺は風都タワーの制御室に向かっていた。
原作ではそこに『エクスビッカー』が設置されていたし、偽親玉の口振りからここに何かがあるはず。そう踏んでのことだった。どうやら俺の読みはビンゴらしく、制御室への一本道を守るように、彼は立っていた。
「よう」
「……君か、黒井くん」
霧彦の表情は依然として厳しく、俺を弱気にさせようとしてくる。だが、俺は決めたんだ。
「そこを通してくれ。制御室に何かあるんだろ?」
「通すと思うかい?」
「……お前を信じてる」
「…………」
『ナスカ』
俺の言葉を否定するように、霧彦は『ナスカ』を起動して変身する。切っ先を俺に向けて、告げる。
『今度こそ終わりにしよう』
ーーフォンッーー
『ナスカ』の背中から特徴的な紋様の翼が展開された。そのまま『ナスカ』は俺の方へ突っ込んできて、脚を掴む。そして、天井に穴を開け、空へと飛翔していく。
「っ」
逆さ吊りの体勢のまま、ぐんぐん高度は上がっていき、やがてタワーの頂上と同じ高さまで到達した。呼吸が少ししづらいのは、きっと気のせいじゃないだろう。高度と恐怖で呼吸はさらに浅くなる。頭にも血が上っていく。だが、俺は変わらず霧彦に話しかけ続ける。
「っ、おいおい。なんだよ、こんな高いところまで連れてきて……吊り橋効果でも狙ってんのかよ?」
『ここまできて、まだ無駄口を叩けるとは。感心するよ』
「ハッ! それが取り柄なんでね」
『………………このまま急降下して、君を地面へ叩きつける。それですべて終わりさ』
彼の宣言が本当に実現するのだとすれば、十中八九俺は死ぬ。ドーパントになれればいいんだが、残念なことに『アナザー』はもう使えない。さっき世界を繋いだ時に破損してしまっていたからだ。
「なぁ、霧彦」
『残念ながら、君が無様に命乞いをしたところで、私はそれを聞き入れない。諦めて死を受け入れたまえ』
命乞い? まぁ、当たらずも遠からずだ。俺がするのは提案だ。
「賭けをしねぇか?」
『賭け?』
「あぁ。お前がちゃんと俺を殺せるかどうかって賭けだよ」
『…………』
「お前が俺を殺せればお前の勝ち……てか、そん時はもう死んでるしな。ただお前が俺を殺せなかったら、俺の勝ち。そうしたら、俺が制御室に行くのを見過ごしてくれ」
『……意味のある賭けとは思えないな』
「まあまあ……で、乗るか?」
『ふっ、いいだろう。君がそれで満足して死んでくれるならね』
「賭け成立だな」
正直、分の悪い賭けだ。だが、今の俺にはそうするしかできない。仲間を馬鹿みたいに信じることしかできねぇんだ。
「さぁ、始めようぜ! 霧彦!」
ーーグンッーー
俺の一声を合図に、急降下する『ナスカ』。速度はぐんぐん上がっていきーー
「あ~~~~~~ッ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅ!?!?」
信じてはいるが、声は出ちゃう。仕方ないね!
反射的に目を閉じてしまう。そして、次の瞬間に、
ーーバギィィッーー
『ぐっ!?』
ーーフワッーー
「へ?」
耳に入ってくる霧彦の呻き声と体を襲う浮遊感。そこで察する。『ナスカ』が俺を放したのだ。つまり……俺、死んだわ。
ーーガシッーー
覚悟はしていた。けれど、地面に叩きつけられる衝撃はいつまでも来ない。恐る恐る目を開ける。そして、目が合った。
「大丈夫か、黒井秀平」
「は?」
照井竜。
彼が空中に放り出されたであろう俺を抱き止めていたのである。しかも、お姫様抱っこで。何が起こったのか訳が分からず、辺りをキョロキョロと見渡す。照井の後ろには、『アクセル』のサポートメカである『ガンナーA』。
「君が『ナスカ』ドーパントに掴まれ、悲鳴をあげていたのが見えた。こいつで迎撃したのだが、問題なかったか」
んー、まぁ、助けてくれたのはいいんだけどな?
ほら、霧彦とかっこよさげに賭けとかしてたからさぁ……。
『なるほど』
「あっ」
少し離れたところに『ナスカ』が降り立つのが見えた。落ち着いた口調。だが、霧彦の性格からして、内心はキレてらっしゃるだろう。
『私を信じるというのはブラフ。彼が来ることを知っていた。それで……賭けは君の勝ちというわけかい、黒井くん』
「いや、えーっとねぇ……」
『改めて、君の軽薄さに失望したよ』
ほら、キレとるがな。まぁ、向こうからしてみれば、あんなやり取りしておいての横槍だしなぁ……。
「いや、聞いてくれ、霧彦くん?」
「黒井」
「あ?」
霧彦と話し合うため歩み寄ろうとした俺を止める照井。邪魔するなという思いを込めて、ガンを飛ばしたが、気にした様子もない彼は言葉を続ける。
「ここは俺が引き受ける」
「いやっ、霧彦との決着はーー」
「道中シュラウドと朝倉風華から話は聞いた。友人を信じて、向き合おうとするのは結構だが、それ以上にしなくてはならないことがあるだろう」
「っ」
「それに、須藤霧彦以上に、君が救うべき人物がいるはずだ。それを間違えるな」
そう言うと、照井は俺の前に一歩、歩み出た。腰には『アクセルドライバー』。
「……助かる」
それだけを告げて、俺は彼らに背を向け、走り出した。制御室へ急げ、俺。
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『待て! 黒井くん!』
その場から駆け出した黒井を追おうとする『ナスカ』。それを阻むのは照井竜。
「お前の相手は俺だ」
『……邪魔をしないでもらおうか。私は黒井くんを排除しなければならないんだ』
そう言って、『ナスカ』は剣を照井に向けた。
「お前たちは仲間だろう」
『…………っ』
「洗脳されていようと、その思いが簡単に消えるとは思えんな」
『っ、黙れ。君に私の何が分かるっ!?』
仲間だと言われる度、痛む頭を抑えながら、『ナスカ』は吠える。
「俺に下らん質問をするな。植え付けられた偽物の感情など分かるわけがない。考えるだけ無駄だ」
『っ』
そんな彼の言葉を照井は一蹴し、メモリを取り出した。
「さぁ、振り切るぜ」
『アクセル アップグレード』
『ブースター』
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辿り着いた制御室。上がった息を整えながら、俺はその扉をゆっくりと開けた。目の前には、原作の『運命のガイアメモリ』で見た光景が広がっていた。妙に広い、まるでここで戦うことが想定されているような部屋だ。原作通り、そこには巨大な剣のよつな形の機械『エクスビッカー』が置かれている。
その前に佇んでいるのは、
「雫ちゃん」
「秀平くん」
俺の最愛の女性。俺は口を開く。
「会いたかった」
「…………止めてください」
雫ちゃんに次会ったら伝えようと決めていた素直な気持ち。それに返ってくるのは否定の言葉だ。だが、大丈夫。俺は彼女を信じてるから。
「早く帰ろう。今日は俺が飯作るよ」
「止めてくださいっ」
「愛してるぜ、雫ちゃん」
「っ、止めてッ!!」
止めて。そう言われたって、止めないさ。
「……雫ちゃん」
「止めてっ! わ、わたしは秀平くんを殺すのっ!」
「……俺のこと、嫌いか?」
「ッ、うるさいっ」
キッとした目つきで俺を睨む雫ちゃん。でも、それが本心でないのは分かる。だって、
「なぁ、雫ちゃん。そんなに止めてほしかったら、その指輪、外して捨てちまえばいいじゃねぇか」
俺にそれを指摘され、反射的にそれを触る。俺が贈った結婚指輪は、確かに彼女の左の薬指に輝いていた。
「っ、こんなのっ!!」
彼女は指輪を外す。その指輪を握った右手を振り上げてーー
「……っ、なんでッ」
力なく座り込む雫ちゃん。右手の掌の中には、捨てられなかった指輪があって。
……あぁ、信じてた。俺と雫ちゃんは繋がってるんだもんな。
「そこをどいてくれ、雫ちゃん。君の後ろにある悪趣味な機械をぶっ壊せば、たぶん全部終わるんだろうよ」
「だ、だめっ……だめっ」
首を振る雫ちゃんは、そのまま力なく『ロストドライバー』を装填した。
「だめ、なの……頭の中にずっとあなたを殺せって、殺さなきゃ……」
「っ!?」
「…………た、たすけて……秀平くん……っ」
『イービル』
『仮面ライダーイービル』へと変身を遂げる彼女。変身前の雫ちゃんは泣いていた。
だから、彼女を安心させるために、俺は語りかける。
「任せとけ、雫ちゃん。俺が君を助けるから」
懐から1本のガイアメモリを取り出し、起動する。それは漆黒の『T2メモリ』。この世界に戻ってきた時に、俺の足元に落ちていたメモリだ。
それはまるで、『あいつ』が力を貸すとでも言っているようで。
……いや、そんなわけねぇか。あの陰湿な野郎に限って。
『リバース』
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可能性の話ですが、見たい主人公は……。
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黒井(暗い方)
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霧彦
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風華
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モブ顔三人衆
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白服