転生したらミュージアムの下っ端だった件(完)   作:藍沢カナリヤ

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18 俺の居場所は

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『下がってな、雫ちゃん』

 

「はいっ」

 

 

雫ちゃんを背に隠すように、俺は『エラー』と対峙する。これ以上、彼女には手を出させないという意志の現れだ。

 

 

『世界の『欠陥』が調子にーー』

 

『おらぁぁっ!!』

ーーバギィィッーー

 

 

先手必勝! 奴が言い終わる前に、顔面をぶん殴る。自分で思ったよりも速い。シルバーメモリの『マスカレイド』よりも圧倒的に。

 

 

『……浅い!』

ーーブンッーー

 

『っと!?』

 

 

破壊力にはやや難あり。いや、『エラー』の防御力が高いのか、『エラー』は殴られたのも構わず、巨剣を振るってきた。それをギリギリで躱して、

 

 

ーーベシンッーー

 

 

今度は重心を落とし、足払い。狙い通りに、奴の体勢が崩れる。

 

 

『この程度で崩したと思うなッ』

ーーザクッーー

 

ーーブンッーー

 

 

剣を軸に崩れた体勢を戻し、蹴りへと転じてくる『エラー』。咄嗟に両腕を上げ、攻撃に備える。だが、それがブラフだと分かるのは、奴が俺の腕を足場に飛び上がってからだった。そして、

 

 

『エラー マキシマムドライブ』

 

 

巨剣の柄にあるスロットに『エラー』を装填して放つマキシマム。メモリの力が目に見える形で剣に集まっていく。これはやべぇっ! 単純な防御は厳しい。だからといって、避けたら近くにいる雫ちゃんも巻き込んじまう。なら、やることは1つしかねぇよな!

 

 

『真っ向勝負といこうぜっ!!』

『マスカレイド マキシマムドライブ』

 

『『欠陥』風情がッ! メモリの格が違うッ!!』

 

 

激昂した奴が巨剣を振るうのに合わせ、俺も拳を振り抜いた。その瞬間、衝撃がーー

 

 

ーーグニャリーー

 

『!?』

 

 

ーー反転する。

この『マスカレイド』はシルバーランクのそれと同じ。メモリ能力を付け替えながら攻撃できる。その種類は俺が今まで体内に取り込んだメモリの数と同じ。その上、マキシマムの音声自体は『マスカレイド』のまま。

不意打ち。騙し討ち。まさに俺のためのメモリじゃねぇか!

 

 

『狙いはてめぇじゃねぇよ!!』

 

 

『リバース』の能力で反転した衝撃波は、奴の後ろの『エクスビッカー』へ流れ、剣先に当たり破損した。全壊とまではいかないが、それでもこれで光線は打てないだろう。

 

 

『格が違う? そうだなぁ。流石じゃねぇか、メモリのパワーで最終兵器が壊れちまったぜ』

 

『~~~~ッ!! 『欠陥』風情がッ!!』

 

『語彙がそれしかねぇのか! ああっ!!』

 

ーーバギィィッーー

ーーバギィィッーー

 

『『ぐうっ!?』』

 

 

お互いの拳が腹に入る。だが、ここで怯んだら終わりだ。

 

 

『エラー マキシマムドライブ』

 

『修正されろっ、黒井秀平ッ!』

 

 

マスカレイド(ライアー) マキシマムドライブ』

 

『うるせぇ! てめぇは足元のぬるぬるローションで滑ってろ!』

 

ーーつるんっーー

 

 

不意を突いた『ライアー』の嘘。そのせいでマキシマムを透かした『エラー』はバランスを崩す。この好機は逃さねぇ! 俺は奴の上へ飛び上がり、三度スロットを叩いた。

 

 

マスカレイド(ジャイアント) マキシマムドライブ』

マスカレイド(ジュエル) マキシマムドライブ』

マスカレイド(ライトニング) マキシマムドライブ』

 

 

大きくて固くてビリビリする拳で、ぶん殴る。

 

 

『ぐぅぅうっ!?』

 

『らぁぁぁっ!!』

ーーバギバギバギッーー

 

 

拳を振り抜き、奴が地面に叩きつけられた。『ライアー』の効力はもう切れており、ダメージはもろに入ったようだ。ゆっくりと立ち上がる奴に、立て直す時間は与えない。

 

 

マスカレイド(ユートピア) マキシマムドライブ』

ーードクンッーー

 

『お前の希望吸い尽くして、終わりだ!』

 

 

奴に接触し、『ユートピア』で奴の精神力を吸う。

 

 

『舐めるなッ』

『エラー マキシマムドライブ』

 

『!』

 

 

密着した状態で奴の左足にエネルギーが溜まっていく。そして、俺の右横から蹴りを放ってきた。一瞬反応が遅れ、防御が遅れる。骨が折れる感覚。それでも『ユートピア』で力を吸っていたからか、だいぶマシだな。

 

 

『放すかよ……ここで終わらせるっ』

 

『何故……何故、倒れないっ!? お前、お前たちはこの世界にとって『欠陥』そのものでしかない。この世界にとって、お前たちが『欠陥(フィクション)』が生き残るなどあり得ないッ』

 

『フィクション? 『欠陥』? そんなもん知らねぇな。俺はただ、面白おかしく、大切な人たちがいるこの世界で生きてくんだよ』

 

『戯言をッ』

『エラー マキシマムドライブ』

 

 

今回の件で再認識できた。

誰になんと言われようが、俺はこの世界で生きていく。ここが俺の居場所だ。それを奪おうって言うならば、俺はそれを許さない。この悪感情を全部目の前の鬱陶しい奴にぶつけてやるよ。

 

 

マスカレイド(イービル) マキシマムドライブ』

 

 

黒い稲妻は俺の右脚へ。飛び上がり、奴の巨剣に蹴りを放った。

 

 

『『らぁぁぁぁぁ!!』』

 

 

メモリの力はこちらの方が下。だが、

 

 

ーーバギィッーー

 

『なっ!?』

 

 

俺の感情は性能を越える。巨剣を打ち砕いた俺のキック。そのすべてのエネルギーが『エラー』の胸部へ叩き込まれた。

 

 

『何故、何故ッ』

 

『価値観が違えんだ。言っても分からねぇだろ、永遠にな』

 

 

膨れ上がっていく奴に背を向け、俺は一言だけ告げる。

 

 

 

『俺の居場所は俺が守る。消えろ、棚上げ野郎』

 

 

 

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次回、エピローグと……。

可能性の話ですが、見たい主人公は……。

  • 黒井(暗い方)
  • 霧彦
  • 風華
  • モブ顔三人衆
  • 白服
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