転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
ーーーー裏風都・路地裏ーーーー
『塔』までの道のりは見た目以上に遠い。『歪み』があるせいで、障害物のほとんどない路地裏ですら高低差ができてしまっているからだ。しかも、道中には『ロード』を始めとした理性のない『ドーパント』がうじゃうじゃしている。簡単には辿り着けない。
『こんな風にッ!!』
ーーバギィッーー
立ち塞がった『ドーパント』を殴り、吹き飛ばす。そいつはゴロゴロと転がり、やがて動きを止めた。既に絶命しているみたい。
「……弱っ」
変身を解き、あまりの手応えのなさに拍子抜けしながら、ゆっくりと近づく。顔面に肋骨が貼り付いたようなデザインの仮面を着けた『ドーパント』。体は黒一色。見るからに弱そうだ。
「『マスカレイド』……いや、『ブラキオサウルス』のボーンズかな」
「万灯?」
「『ロード』や他のメモリならまだ看過できたが……『ブラキオサウルス』ときたか」
私の後ろに立つ万灯の表情は変わらないように見える。たぶんそう見えるだけだ。
「……いいや、気にしないでくれ」
「あっそ」
この『街』に入ってから、彼からは激情が見え隠れする。そこまで人の感情に聡くない私でも感じるんだ。たぶん相当頭にきてるんでしょうね。
……ま、知らんけど。私の目的とはたぶん関係ないし。
ーードロッーー
「うげっ、溶けた……きもっ」
「ボーンズは元々『ブラキオサウルス』の体細胞から作られた謂わば魂のない兵隊だ。役目を終えるか果たせなければ消えるそうだ」
「ふーん、使い捨てってことか。だから、こんなセンスのない姿形な訳ね」
特に頭とか最高にダサい。髑髏みたいな厨二丸出しの『ドーパント』になんて死んでもなりたくないわ。その上、弱いとか論外。
「その言葉は……君の父親には言わない方がいい。私も聞かなかったことにするよ」
「う、うん?」
さっきとは別の意味でよく分からない反応を見せた万灯。その反応に困惑しながらも、万灯と共に歩みを進めた。
ーーーー『塔』より15km南・廃教会ーーーー
「着いたよ」
万灯と共に辿り着いたのは、とある教会だった。ほぼ廃墟でツタが張り巡らされているそれは、建物の造りと屋根上の十字架で辛うじて教会だったのだと判別できる。
「『塔』から離れたのはここに来るためだったってわけ?」
「あの場所に普通に辿り着くのは難しい。『ロード』だけでなく、『ブラキオサウルス』もいるようだしね」
万灯は私の疑問を肯定し、さらに補足する。
「休みながら進んでいるとはいえ、君の消耗も相当なものだろう?」
「まぁ……うん」
「少し遠回りをしてでもここに来るべきだと判断した。ここはあの場所の地下へと繋がっている。勿論、ビゼルを持つ者に限るけれどね」
「ショートカットってことか」
「あぁ、そう思ってもらっていい」
なるほど。この『街』を知っている万灯だからこその道だ。
少しだけ感心し直した私は、そのボロボロの教会の扉を開けた。
ーーギィィィーー
重苦しい音を立てて扉が開く。
この『街』に電気など通っている訳はないから、内部は暗いはずだった。けれど、中はそれこそ一般的な建物と同じくらい明るかった。電灯があるわけではない。明るいのは、そこにいる人間が光っていたからだ。
「…………」
跪き、祭壇に祈りを捧げていたその女性。漫画とかで見たことがあるシスターそのまんまの格好をした人がそこにいた。不気味な『街』の雰囲気から、この場所だけ切り離されたような光景だった。
その人はこちらに気づいたみたいで、ゆっくりとこちらを向く。
「どちら様、でしょうか」
穏やかな雰囲気。北欧の血を感じる顔立ち。後光にも見える光り輝く肢体。そして、190はあるだろう高身長。そんなのがどうでもよくなるくらいにーー
「……デ、デカイッッッ!!」
「?」
思わず口にしてしまう。
いやいやいやいや、この状況でこんなところにいる人間のスタイルなんてどうでもいい。今、聞くべきは彼女が何者なのかだ。意を決して、私は口を開いた。
「何カップ、あるの……?」
「えぇと……Jカップですが」
「じぇいッ!?!?」
衝撃。衝撃!!
「…………」
「黒井あかね」
「…………」
「はぁ…………見ない顔だ。君は何者かな。ここで何をしているんだい?」
「ハッ!」
一瞬、意識が飛んでいた間に、万灯がJシスターに疑問をぶつけていた。私も頭をブンブンと振り、頭の中をリセットして、答えを待つ。
数秒、間が空いて、彼女は答えた。
「『主』に祈りを捧げていました」
「『主』?」
「はい。無益な殺生をせずに済むように」
ーーゾワッーー
「っ」
彼女が微笑んだ途端に、悪寒が走る。緩んだ気が引き締まる。
「……再度訊ねよう。君は何者だ?」
「わたくしは『番人』です。『主』に近づく者を排除する。それがわたくしの役目」
会話から推測するに、彼女は『塔』にいる人間の部下で、ここを使って『塔』に近づこうとする者を排除するのが彼女なのだろう。
今度は彼女がこちらへ問うてくる。
「あなた方は何故ここに?」
どう答えるべきか。チラリと万灯を見ると、無言で首を横に振った。嘘をつくべきではないということだろう。害意はないことを伝えるのにも、正直に話すことにする。
「私のパパの手がかりを探しに来ただけ。私のパパはこの『街』にいるはずなんだ。ここに来たのはあの『塔』に何か手がかりがあるんじゃないかと思って」
「…………」
「あなたの『主』?をどうにかしようなんて思ってないから!」
敵ではないことを伝える。このシスターは穏やかそうだから、もしかしたら、何かパパの手がかりになることを教えてもらえるかもしれない。そんなことを思いながら、両手を挙げてじっとする。
すると、彼女は口を開いた。
「あなたのお父様のお名前は、なんと仰るのでしょうか」
「……黒井秀平、だけど」
「そうですか」
パパの名前を聞いて目を伏せたシスターは、どこからともなく『それ』を取り出した。そして、胸元を露出させてーー
「申し訳ありません。ここを通す訳にはいきません。『主』に近づく者は全て排除いたします」
『リアクター』
彼女は『リアクター』へと姿を変えた。
「っ、やっぱり『ドーパント』かっ」
『イービル』
攻撃される前にこちらから仕掛ける。そのために咄嗟に『イービル』メモリを起動し、応戦しようとした、のだけど。
ーーガシッーー
「万灯!? 何するのっ!!」
「ここは逃げよう。今の君では『リアクター』には決して勝てない」
「そんなのやってみなきゃーー」
「死にたいのかいッ」
「っ」
聞いたことのない強い声に、私は事態の厳しさを理解した。踵を返し、教会を飛び出した。
ーーーーーーーー
ここまで来れば大丈夫だろう。
万灯はそう言って足を止めた。どのくらい走ったか分からないけど、もうあの教会は欠片も見えなくなっていた。
「彼女が使っていたのは『リアクター』。一度は『仮面ライダー』2人を追い込むほどの能力をもつ超高火力原子炉の『ドーパント』さ」
「原子炉……」
「あのまま殴りかかっていたら、恐らく返り討ち……全身火達磨になっていただろう」
それはぞっとしない話だ。
それなら、あそこを突破するのは無理か。代案を考えないとと言うと、万灯は首を振った。
「じゃあ、どうするわけ?」
「一度、向こうの風都に戻ろうか」
「……なんで?」
「協力者に声をかけるのさ」
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あぁ、ふざけたさ。
色々とデカいシスター……いいよね。
参考までに教えてください。オリキャラは……。
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嫌いじゃないわ
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苦手