転生したらミュージアムの下っ端だった件(完) 作:藍沢カナリヤ
ーーーー風見埠頭ーーーー
万灯に言われ、やってきたのは風都・風見埠頭。ここにあの『リアクター』のシスターを倒せる協力者がいると言われてやってきた。ちなみに、当の万灯は他にも用があると、私に任せていなくなった。
「……もう時間なんだけど」
埠頭では、おじいさんや若い女性、子供なんかも釣りをしている。約束の人物らしき人は見当たらない。
「本当に適当だ、あの野郎」
『マグマ』との戦闘といい、副作用の件といい、中途半端にしか事情を説明しない。その上、それを指摘すると「そうは言わない」と否定する。
「なんなんだ、あいつ」
ボソッと毒づきながら、埠頭の端っこに座り込む。
「何か悩み事ですか」
「ん?」
そんな私に話しかけてきた声。隣を見ると1人の子供がいた。さっき見た釣り人の中にいた子だ。年不相応な落ち着いた雰囲気の少年。さらに、釣りをするにはおおよそ合わない正装を着ていた。周りには親らしき人物はいないようだけど。
「…………まぁ、そんなとこ。最近、色んな事がそれはもう、めちゃくちゃでさぁ」
気づけば、私は色々と吐き出していた。勿論、詳細は語らずぼやかして話す。初対面の子供に何を話してるんだとは思うけど、不思議と話を受け止めてくれる感じがして。
「それは大変ですね」
「そ。行方不明だったパパに会えるかもしれないとか、パパを探しに変な『街』で化け物と戦う羽目になるとか」
「化け物、ですか」
「まぁ、信じてくれないだろうけどね」
「いいえ、信じますよ。風都には昔からその手の話は付き物でしたから」
少年は水面から目線を外さずに、私との会話を続ける。
「昔? 見てきたみたいに言うね」
「……そんな噂を聞いたことがあるだけですよ」
「ふーん」
高校生である私ですら聞いたことのない話だったのに、見た目小学生の少年はそう言う。このどこか大人びた雰囲気といい……。
「それで、ここには気分転換に?」
「あ、いや。パパを探す手伝いをしてくれる人と待ち合わせしてたんだけど……」
キョロキョロと辺りを再度見渡しても、それらしい人は誰もいない。本当に約束してあるんだろうな、と万灯への恨みが沸々と湧いてきた時だった。
「あなたは……父親を恨めしくは思わないんですか?」
少年がそんなことを訊ねてきた。
「あなたの父親は、あなたと妹さんを置いて出ていった。事件に巻き込まれたかもしれないとは言っていましたが、あくまで可能性の話。しかも、そのせいで『ドーパント』との戦いに巻き込まれてしまって……父親のせいであることは間違いないでしょう?」
「まぁ、そうだね」
「なら、わざわざあなたが危険を侵してまで、父親を探す必要はないと思いますが」
「…………」
パパのこと、ムカつかないと言ったら嘘になる。
私たちが小さかったとはいえ、なんの事情も話さず行方不明になって。その上、私の中に『イービル』メモリを埋め込んでったのもたぶんパパだろう。
そりゃ、むかつく。むかつくからこそーー
「パパに会いたいんだ」
「会って、一発ぶん殴らなきゃ気が済まない!」
話はその後で聞いてやる。私は『街』にいた2週間でそんな決意を決めていた。
「フフッ……」
私の言葉を聞いて、少年は笑った。何がおかしいのかと聞くと、笑いながら彼は立ち上がり、それに答える。
「あなたのように、割り切れたなら僕も少しは楽だったんでしょうね」
「??」
「いえ、こちらの話です。それより改めて自己紹介させてもらいましょう」
少年は私に向かい合い、名乗った。
「僕は千葉秀夫」
「万灯さんの協力者です」
ーーーー喫茶店ーーーー
「無事、秀夫くんと合流できたようだね」
「こんな子供が協力者なんて聞いてない! 本当に大丈夫なのっ!?」
少年・秀夫くんは隣で静かに珈琲を飲んでいる。まぁ、確かにこの落ち着き方からは大物感を感じるけどさ! それでも子供は子供だ。こんな子供を危険な目に遭わせるのは……。
「落ち着いてください、あかねさん。僕のような子供では頼りないでしょうが、『リアクター』についてよく知っているのは事実ですから」
「あぁ、彼は昔、『リアクター』の適任者の選定にも携わってくれていたから、その特性についてもよく知っている。彼以上の適任者はいないよ」
「昔……?」
「万灯さん」
「失礼。失言だった」
「?」
謎のやり取りを交わす2人。訝しげに思いながらも、とりあえず文句は飲み込むことにする。この子が戦う訳じゃないんだろうし、今は話を進めなきゃ。
「それで、どうやってあの『リアクター』とかいうシスターを倒すの?」
私の疑問にまず答えたのは、秀夫くん。
「『リアクター』は非常に扱いの難しいメモリです。特に、メモリ使用後に体内に残る超高熱の処理が問題で、体外へ熱を排出できなければ死に至ります。その点は?」
「恐らくクリアしているだろう。光くんと同じ、蒼い炎を纏っていた」
「となると厄介ですね。正面突破も絡め手も難しい。万灯さん、『ブラキオサウルス』はまだ残っていますか?」
「残念ながら」
「……そうですか」
ここまでの問答を受けて、秀夫くんは考え込んでしまった。時間にして2、3分ほど。やっぱり無理なのかと思ったその時、彼は再び口を開いた。
「高熱に耐性があったとしても、その逆はどうでしょうか」
「ど、どういうこと?」
彼の言っていることが分からず、問い返すと、秀夫くんはにこりと笑って解説してくれる。
曰く、メモリ特性は人それぞれで、『リアクター』の超高熱に適応できる人間は稀有だと言う。だからこそ、それ以外のメモリへの適正がない。特に、冷気に弱い可能性が高い。
それが秀夫くんの策であった。つまり、
「あいつを冷やせばいいってこと?」
「簡単に言えば、そうですね」
なるほど。
「冷気を操るメモリーー例えば『アイスエイジ』は存在しているが、それを使っただけで『リアクター』を突破できるとは思えないな」
「はい。だから、『リアクター』自身の熱を利用します」
「利用?」
「万灯さんなら聞いたことがあるでしょう」
万灯の言葉にひとつ頷いた彼は、言葉を続ける。
「あらゆる事象を反転させるメモリーー『リバース』」
「それで『リアクター』の超高熱を反転させます」
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『リバース』
『リアクター』を倒すためのメモリを手に入れるのが、私たちの当面の目標となった。
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y編終了。
次回、新章。
そして、話が大きく展開し始めます。
参考までに教えてください。オリキャラは……。
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嫌いじゃないわ
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苦手