レトロゲームプレイ日記 特別編 ドラゴンクエスト3 そして伝説へ・・・ ~ルイーダの酒場で待っていたのは3人の遊び人だった~ 作:武藤勇城
これまで、安全第一を心掛けてきた僕たちアリアハン道化団。
数ヶ月の間、戦闘を繰り返して経験を積み、また稼いだゴールドで装備を整えた事により、アリアハンの城下町周辺に棲息するモンスター、スライムや大ガラスは、もはや敵ではなくなっていた。
「今日は、橋の向こう側へ行ってみましょう」
「おぅ!」
「あら~。じゃあ~無事に戻って来れたら~、パフパフ~サービスしちゃうわ~」
「ギャハハ! くいいん、ゆうき。お前ら昨晩もヤってただろ!」
「それはそれ~、これはこれよ~」
「ぁのっ! ぇっと・・・」
何か言いたげでも結局言わない、はあとの意見?は無視して、僕たちは橋を渡った。
いざという時すぐに戻れるよう、橋を超えた北側にある近場の森を歩き回る。
ここで暫くモンスターと戦って、様子を見ようという魂胆だ。
「来たわよ~」
「おぅ? 何だありゃ?」
「あれは『いっかくうさぎ』ですね。あの鋭い角に注意して下さい」
「おぅ!」
現れたのは、スライム数匹を引き連れた一角兎だった。
額の先に、長くて鋭い一本の角を持つ、凶暴なモンスターである。
強靭な後ろ足で跳ね、一気に間合いを詰めると、そのままの勢いで獲物を突き殺そうとするのだ。
その角による一撃をまともに喰らっては危ない。
僕の着る旅人の服など、簡単に貫いてしまうだろう。
僕が銅の剣で牽制しつつ、一角兎を抑えている間に、みんながスライム3匹をやっつけた。
手傷を負ったけど、まだ全然戦える。
そのまま全員で一角兎を取り囲むと、一気に片を付けた。
「攻撃力は高めですが、大ガラスと比べて大差はありませんね」
「おぅ! そうだな!」
「ぁのぁの、今は一匹だけだったからぁ、そのっ・・・ターバンせぃすぃ、だょぉ」
「・・・なんて?」
「ギャハハ! それを言うなら、油断大敵だろ」
「ふぇっ!? ぁたし、そぅ言ったょぉ」
「ターバン聖水・・・油断大敵・・・全然違うじゃないですか。何をどう間違ったらそうなるのか?」
「そこが~はあとの~、かわいい~と・こ・ろ~」
「何はともあれ、当分この森でモンスターと戦いましょう」
「おぅ!」
「はぁぃ」
狩場を川向こうの森へ移し、僕たちはまたレベルアップに精を出した。
この森では、アリアハン周辺では見かけなかった新たなモンスターとして、一角兎の他に『オオアリクイ』も出現する。
大アリクイは、一角兎を更に一回り強くしたような相手だ。
一角兎であれば、運が良ければ僕の攻撃一回で倒せる。
しかし大アリクイの方は、銅の剣による一撃だけで、その硬い体毛を突き破って致命傷を与えるのが難しかった。
その他、スライムも群れを成して襲ってくる時がある。
8匹のスライムに囲まれると、レベルが上がった僕たちでも苦労し、特に最後尾に位置するじゃくが集中攻撃を受けた時など、HPがかなり削られた。
それでも、初日のようにじゃくが死に瀕する程ではなく、割合に余裕を持って城下町まで戻れた。
森でのレベル上げに夢中になり、帰宅が夕方を過ぎて、すっかり夜闇に包まれてしまったある日。
アリアハンの町に入ると、心配した母親が家の外で待っていた。
「まあ おそかったのねっ。
でも ぶじで ほんとうに
よかったわ!
「もう うえにいって
おやすみなさい。
「おぅ、ゆうき。あまりカーチャンを心配させるもんじゃねえぜ」
「そうよ~? ほ~らママの胸にいらっしゃい~パフパフ~」
「ギャハハ! お前はゆうきのカーチャンじゃねえだろ」
「ぁのっ・・・ぁの、ぉゃすみなさぃっ」
大人になったつもりでも、母親にとって僕はまだ子供なのだろう。
バラモス退治も、レベル上げも大事だけど、母親を心配させないようにするのも大事だ。
これからは夜になったら、ちゃんと家に戻るようにしよう。
夜になったら、ね。(夕方のうちに戻るとは言っていない)
そう心に誓った。
・・・だってさ、夜の戦闘も少し試したいじゃん?
時間は有効活用しなきゃ。
それに、母親に心配されるのも、ちょっと嬉しいし?
などと言い訳をしながら、僕は眠りに就いた。
橋の向こう側で効率よく経験を稼ぐと、程なくしてみんなのレベルが5になった。
それに続いて、僕もレベル4に上昇し、『ホイミ』の呪文を覚えた!
これは大変な収穫である。
LV2になった時に覚えたメラは、正直、あまり使いどころがない。
銅の剣による攻撃と、与えるダメージに差がないからだ。
MPを消費してまで使う意義を感じない。
しかしホイミは、それとは全然違う。
敵に受けたダメージを回復する魔法なのだ。
自分や、傷付いた仲間を癒す事が可能で、これにより戦闘継続能力は一気に上昇した。
ホイミを覚えて余裕が生まれたので、川の向こう側ですっかり真夜中になり、家に帰る頃には夜が白み始める日が増えた。
疲労困憊でアリアハンに戻ると、母親は家の前でずっと待っていてくれた。
そんな時、母親は怒るでも文句を言うでもなく、ただ僕の身を案じ、ゆっくりお休みなさい、とだけ繰り返した。
一角兎や大アリクイとの戦闘に備えて、装備も新調した。
アリアハンの武器屋で売っている『かわのたて』を90ゴールドで購入。
最前線に立つ僕が装備して具合を確かめると、これがなかなか良い感じである。
一角兎の突進も受け止められるし、簡単に壊れない頑丈さもあった。
森での戦闘を繰り返してゴールドを貯め、僕と共に前衛に立つ、はあとの分も皮の盾を購入。
更に数日の戦闘を経て、新しく『かわのぼうし』を80ゴールドで購入し、これは僕が装備した。
皮の盾に比べて、皮の帽子の使用感は悪く、おまけ程度、気休め程度の防御力でしかなかったが、これが命を救う可能性だってあるだろう。
こうしてパーティーの装備も整い、いよいよ隣町を目指す日がやって来た。
「僕たちアリアハン道化団もレベルアップして、川の向こう側でも余裕を持って戦えるようになりました。そろそろ次の町を目指しましょう」
「賛成~」
「おぅ! やっとだな!」
「回復魔法も覚えましたから、『やくそう』は必要ないでしょう。『キメラのつばさ』も要らないと思いますが、どうでしょうか?」
「それでぃぃと思ぅょ」
「全部、アリアハン道化団リーダーのゆうきに任せるぜ。異論はねえ」
「私も~」
「では、すぐ出発しましょう」
アリアハンを出て、橋を渡り、いつもの狩場である森を抜ける。
何度かモンスターと遭遇したが、回復魔法を使うまでもなく撃破。
そのまま北西を目指すと、陽が暮れる前には、海岸線の手前にある集落が見えてきた。
ここがレーベの村である。
「思ったよりも近かったですね」
「そうね~、なんか~拍子抜けしちゃった~」
「俺たちも強くなったって事だぜ!」
「周辺の敵とも戦ってみたいところですが、先に村の中を見て回りましょう」
「はぁぃ」
まずは村の入り口近くにある道具屋を覗く。
品揃えはアリアハンと大差ないが、『ターバン』という珍しいアイテムが売っていた。
初めて見る品なので、これは何かと店主に尋ねると、薬草やキメラの翼のような使い捨ての道具ではなく、頭に装備する防具なのだと言う。
「これは・・・僕には装備できそうもないですね。皆さんはどうです?」
「ギャハハ! おもしれー形してんな! 気に入った、俺は装備すんぜ!」
「ぁのぁのっ、ぁたしも好きぃかもぉ」
「なんか~夜も使えないかしら~?」
「夜?」
「そうね~面白い使い方があればいいわね~。どう? ゆうき、今晩試してみない~?」
「ギャハハ! くいいん、お前は相変わらずだな! 前もコッソリ、スライムの屍骸を集めてただろ? 知ってんだぜ」
「ふぇ!?」
「あら~。見てたの~?」
「おぅ、あれも何かに使ったのか?」
「ん~っと~、ひ・み・つ~」
「ギャハハ! 好奇心旺盛な女だな!」
「で~? ゆうき~、今晩~どうかしら~」
「結構です。そもそも、まだターバンを買えるほどのお金がありません。まずお金が貯めないと」
「じゃあ~お金が溜まったら~、私がサービスして~あ・げ・る~」
「結・構・で・す!」
次に向かったのは武器屋。
アリアハンより小さな村なのに、品揃えはアリアハンよりずっと良かった。
「おお、『せいなるナイフ』ですか。これは切れ味が良さそうです」
「でもぉ、小っちゃくてぇ、短ぃょ?」
「ちっちゃくて~短いの~?」
「ギャハハ! 租チンかよ」
「もぅ、変な言ぃ方しなぃでょ。ぁたし、そんな事言ってなぃょ?」
「とにかく! これなら全員装備できそうですね。戦力アップが見込めます」
「おぅ! そうだな」
「こっちは『くさりがま』ですか。これはどうです? 使えそうですか?」
「そうだな・・・おもしれー武器だな! これも気に入った! 俺は使うぜ!」
「扱えるかどうかの基準は、面白いかどうかなんですね」
「そりゃそうよ! 何しろ俺たち・・・」
「「「「 アリアハン道化団! 」」」」
「・・・だからな!」
・・・はっ!
ついつい、一緒にポーズを決めてしまった。
じゃくのペースに、すっかり巻き込まれている!?
「とうぞくのカギは
てにいれましたか?
はい
→いいえ
「このむらの みなみの もりにも
ナジミのとうに つうじる
どうくつが あるとか……。
武器屋と道具屋以外にも、村を少し歩いて有益な情報を入手した。
ナジミの塔、というのは、アリアハンの真西、川の向こう側に見えている大きな建築物だ。
いつも狩場にしていた森から西へ、岬をぐるっと回って洞窟を抜ければ行けるが、北側にあるこのレーベの村の近くからも入れるという。
ナジミの塔の攻略に向かうのは、もう少しレベルアップして、装備も整えてからになるが、その際に役立つ話だった。
「レーベの村はあらかた見て回りましたね。陽が暮れる前に、周辺の敵とも戦ってみようと思うのですが・・・」
「おぅ! 良いんじゃねえか? だが死にそうな目に遭うのは勘弁だぜ」
「分かってます。十分に安全マージンを確保した上で、様子を見ましょう」
という訳で、レーベの村の周辺の敵の強さを調べる。
近くを歩き回ってみると、川を超えた森の中に出るモンスターと大差はなかった。
スライム、大ガラス、一角兎、大アリクイ・・・。
これなら特に問題は無いだろう。
アリアハン付近の方が、いざという時すぐ家に帰って休めるので、僕たちはいつもの狩場へ戻り、それから一ヶ月ほどは経験とゴールを度稼ぐ日々を送った。
やがて遊び人たちは全員レベルが6になり、それから暫く経って、僕もレベルが5になった。
僕の装備品として、アリアハンで皮の鎧を購入し、それまで着用していた旅人の服はくいいんへ手渡した。
「んっ~。ゆうきの甘酸っぱい~か・お・り~」
くいいいんは、僕の着ていた服に顔を埋めて、上気した頬と、うっとりした瞳で言う。
変態さんかな?
続いて、貯まったお金で皮の盾を購入し、くいいんが装備した。
ここまで順調に成長を続けてきたアリアハン道化団。
しかし全員レベルが7になったところで、遂に、遂にッ!
恐れていた事態が起きてしまった。
・・・まあ、その話は、また今度にして。
今回は、はあとの新装備品としてターバンを買ってあげた事と。
そのターバンの防御力が半端なく高かった事。
次の目標は、くいいんにもターバンを買ってあげる事。
強力な武器を新調する事。
それから、僕のレベルも6に上がって『ニフラム』という使えない呪文を覚えた事を、冒険の書に記す。
なまえ:ゆうき
そうび:どうのつるぎ、かわのよろい、かわのたて、かわのぼうし
呪文 :メラ、ホイミ、ニフラム
レベル:6
19:ちから
13:すばやさ
15:たいりょく
11:かしこさ
7:うんのよさ
32:さいだいHP
13:さいだいMP
31:こうげき力
34:しゅび力
510:EX
なまえ:じゃく
そうび:どうのつるぎ、ぬののふく
レベル:7
9:ちから
17:すばやさ
14:たいりょく
16:かしこさ
69:うんのよさ
24:さいだいHP
0:さいだいMP
21:こうげき力
12:しゅび力
510:EX
なまえ:くいいん
そうび:どうのつるぎ、たびびとのふく、かわのたて
レベル:7
7:ちから
14:すばやさ
13:たいりょく
14:かしこさ
67:うんのよさ
30:さいだいHP
0:さいだいMP
19:こうげき力
19:しゅび力
510:EX
なまえ:はあと
そうび:どうのつるぎ、たびびとのふく、かわのたて、ターバン
レベル:7
7:ちから
15:すばやさ
13:たいりょく
15:かしこさ
84:うんのよさ
29:さいだいHP
0:さいだいMP
19:こうげき力
27:しゅび力
510:EX
所持金:102ゴールド
プレイ時間 (執筆時間を含む):約370分
累計プレイ時間:約890分