フタコイ 作:はちみつレモン
「なによんでるの?」
「えっ?」
「そのほん、かなしそうにしてたから。」
小さい頃の旅行先。義理の兄と絵を描いていて少しだけ時間をかけていたので先に帰ってしまった兄と逸れて探しているとき、とある開けた場所で悲しそうに岩の上で絵本を読んでいた女の子と出会った。
「このえほんのさいごがとてもかなしくて。」
「…さいご?」
「うん。おうじさまがしんじゃうの。おしめさまとはなればなれになって。さいごはおひめさまもしんじゃうの。」
その本を見ると確かに結末が死に別れだったはずだ。悲しそうな女の子を見るとどこかかわいそうで見ていられなくなった。
「せっかくカギがあるなら。…なぁちょっとかしてもらっていい?」
「えっ?」
あの時から絵を描くのは好きだった。色鉛筆と画用紙で本当のエンディングを書き足していく。その女の子は俺を覗きながらじっと完成するのを待っていた。そして数十分後、画用紙と最後のページをちぎりその後ろにつけるとその女の子はもう一度その本を読み直した。
「これでどうかな?」
「わぁ〜!!うん。すごっくすてきなおはなし。」
恐る恐る聞くとその女の子は目を輝かしていた。たったIページをで話をハーピーエンドに書き換えただけなのにその女の子は嬉しそうに笑った。多分これが俺が原点だっただろう。俺は子供だったこともありその女の子の笑顔にドキッとしてしまった。
「あなた名前は?」
「ボク?ボクは一条夜。きみは?」
じっと目を向けられたのが照れ臭くてあの当時は目を背けながら名前を聞いた。
そして名前は未だに覚えている。
「わたしはーーー。よろしくね。よるくん。」
「よろしくね。ーーーちゃん。」
嬉しそうに笑顔であったその女の子に視線が吸い込まれ、顔が赤くなったのを覚えている。そしてそこから兄である一条楽繋がりで多くの人と友達になっていた。そして皆で遊んでいて二人きりの時間はほとんどなかったが、それでも毎日のように遊んでいた。でもいずれ別れはやってくる。
「よるくん。どうかな?」
「それってハズレのかぎだよね?いいの?おにいちゃんのことすきじゃないの?め」
「すきだよ。でもわたしのすきはーーーちゃんとーーーちゃんとはちがうから。」
「……そっか。それじゃあ。ボクからこれ。」
そして一枚の画用紙を切り取り渡す。そしてこさきお姉ちゃんがその絵を見る。
そこにはいつも遊んでいた描いていたはずだった。
「どうかな?」
「…これってわたしたち?」
「うん。やどでかいてたんだ。ちょっとおかあさんにてつだってもらったけど。」
「とてもじょうずだね。すごいよ。でもさんにん?」
「ほんとはみんなのもかいてたけど……みんなはあのものがたりのヤクソクにむちゅうだったから。でもーーちゃんにもあげれたかな」
だから画用紙に描いたきり渡せなかった。結局楽ばかりモテて俺は友達止まりだったのだ。
「…ありがとう。よるくん。ほんとうにうれしい。」
「よかった。」
「そうだ。よるくん。」
「なに?」
「わたしね。よるくんのことがすきだったの。」
その言葉にあの時の言葉は嬉しかった。表情を隠すのが下手だったのでなおさら顔が真っ赤になって回答しよう。
「ボクもーーのこと、好きだったよ。」
「ほんと?」
「うん。」
照れているので話は繋がらなかったのだろう。お互いに顔を見合わせ顔が真っ赤になっていた。
「ねぇ。らくくんとーーちゃんみたいじゃないけど…」
そして連れられた場所は初めて会った場所だった。開けたところにたった一つ大きな岩がありその岩の上で女の子が本を読んでいた場所だ。そんな時親父の声が聞こえてきた
「ヨル!!帰るぞ!!」
「ちょっと待って。ーーちゃん。」
「よるくん。もし、さいかいできたならまた2人でここにこよう!!そしてこんどはヨルくんからスキっていってくれないかな?」
「うん。ヤクソクする。」
これが自分の初恋。そしてたった数週間だったけど…ずっと大切だった思い出であった。そして、中学入学してからも叶うはずがないと思っていた。
でも物語はここから始まるのである。