雷・鳴   作:乙女竜

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私生活に、余裕がない!
ちゃお。お久しぶりです。おそらくまた姿を晦まします。


予想外の出来事

()()()の現場に到着する頃には時刻は21:00を回っていた。

 

都心部まで幾らか距離があったのもそうだが、出遅れた直接の原因は路地裏(補給ポイント)で常用武器を受け取った事だろう。茉莉には学生鞄にオーダーメイドを仕込んであると言ったのだが、それを使えば怪我をすると言って聞かず、そのまま押し切られてしまった。

 

到着してみれば現場には誰もおらず車一台見当たらない。携帯を確認すると、大分前に既に犯行現場を二箇所とも確認し終え、本隊と共に雷火の捜索に当たっているという連絡が他の隊員から来ていた。あらかた事後処理も済んだという。

 

「ごめん、遅らせちゃって……でも、蒼に怪我して欲しくなくて──」

「良い、気にしてない」

 

元より私達二人は隊の中でも直接戦闘と捕縛に優先して育成されている。事後処理や捜索に関しては期待も薄い筈だ。私達が急いだのも雷火が再び戻ってくるのを警戒してのこと。そんなことよりも、私達には今、もっと気にすべき事がある。

 

それは、現場に誰一人居ない事。

 

未だ準備期間のA隊は、異能課本隊や刑事課の補佐として活動しているのだから『全て任せて誰もいない』などある筈がない。仮にそうだとしても、それについて何の連絡もないなんてことは、何かが間違っていなければ決して起こらない。警戒を強めながら、私は茉莉に先行して『KEEP OUT』の規制線を乗り越えた。

 

地に着いた足先から大型ショッピングモールの入口へ、一直線に焼け焦げた痕が続いている。ショッピングモールそれ自体も、全ての窓が割れ、壁の殆どが黒く焦げている。そして、全体が大きく()()()()()()()()()いた。足元を見れば、私のいる場所もまた地面が()()()()()()()()()()()いる。

 

……道中で確認した情報よりも状態が酷い。私達が来るまでの間に、何かが起こったか。

 

後ろで規制線を越えた茉莉も、不安げな声をかけてくる。

 

「ねぇ蒼……何か、変だね」

「……そうね」

 

曖昧に返事を返しながら前へ進む他なかった。

雷火のPSIともまた違う、何か別の力が働いたような破壊痕。意識を削がれた私は、あまり茉莉を気に出来なかった。

 

少しでも、意識を向けていれば良かったと思う。だって、今思い返せば、現場についてから茉莉は、茉莉はずっと、不自然だったから。

 

建物に入ると破壊痕の奇妙さは増し、ひび割れ砕けた痕跡と焼け焦げ溶けた痕跡は完全に独立した箇所で見られるようになった。

 

それに炎の痕跡は何かを探すように直線の痕が各ショップを巡っているだけだが、罅の痕跡は天井や壁、床などあらゆる所に広がって破壊の規模もランダムだった。

 

おそらく、このショッピングモールには、二人のPSIが訪れている。

 

茉莉にもそのように伝え、私が事態を完全に把握するまでの間に本隊に連絡するように言ったが、上の空な、ちゃんと分かっているのかも分からない返事が返ってくるだけだった。ただ私も、それを窘める余裕がない。

 

今まで相関のなかった二つの破壊痕が、ある箇所から重なって伸びている事に気づいたからだ。それは炎に酷く荒らされた玩具ショップから、溶け落ちた窓の方へ一直線に続いている。

 

雷火は、此処から逃げたのか……?

 

痕跡を追って進み、窓の手前二、三歩のところで気がついた。大体1m間隔で断続的に重なっていたひび割れの破壊痕が、つい数歩前から途切れている。遡って足元を確認し、そこに触れる事で初めて私は()()()()()()()()()()()に気づき、

 

「ねぇ、蒼。これ……!」

 

茉莉の視線の先を見れば、大きくひび割れに荒らされたスポーツショップの店内に、圧縮された車とぐしゃぐしゃに潰された多数の人間が投げ捨てられていた。

その全員が、刑事課の、制服を着て──。

 

 

 

「ねぇ、茉莉……。久しぶりだね?」

 

頭上から声を掛けられる。

横目に見た茉莉は、何か信じられないものを聞いたような顔をしていた。

 

 

 




今回短めかつ姉の曇り無しでごめんなさい……m(_ _)m
どうしてこうなったのか私も分かりません…
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