プリティーフロンティアに出るために俺たちは朝早くに起きて走り込みや筋トレを行った。年度末に大会が開催されるので、冬休みはテイオーの家に泊まって朝から晩までトレーニングをするつもりだ。俺も体力には自信があったが、流石に小学生女子の体力についていくことは出来ず、途中でバテてしまった。だがその分成長しているようで、息切れこそすれど2400mを走り切れた。しかし俺はウマ娘の身体能力に慣れていないためか、どうにも足腰のバランスが悪いらしく、テイオーに比べて無駄な動きが多いようだ。そうして毎日を過ごしているうちに年が明け、3学期が始まった。そして始業式当日、俺はいつも通り学校に行くと、隣の席の子に声をかけられた
モブ子「そいえばシルヴァーちゃんってプリティーフロンティアに出るの?」
シルヴァー「あぁ出るよ」
モブ子「へぇ〜じゃあ私応援しちゃう!」
シルヴァー「おう!ありがとよ!」
この子は結構気さくな性格をしている。ちなみに彼女は俺のことを『シルヴァー』と呼んでいる。なんでも名前呼びの方が仲良くなれそうな気がするという理由らしい。
そんなことを話しながら授業を受けていくとあっという間に放課後になり、今日もまたテイオーの家に向かった。するとそこにはもう既に準備万端といった様子のテイオーがいた。
テイオー「遅いぞー!ボク待ちくたびれたんだからね!?」
シルヴァー「すまんすまん。ちょっと用事があってな……」
テイオー「むぅ……まあいいけどさ……。それよりほらっ!早速走ろうよ!!」
シルヴァー「そうだな。それじゃあ行くか!」
2人で軽くストレッチをして体を温めると、そのままコースへと向かっていった。
テイオー「ねぇねぇ!今度のレースは何賭ける?やっぱりお菓子とかかな?」
シルヴァー「おぉいいぜ!その代わり負けた方は勝った方の好きなお菓子とジュース奢りな!」
テイオー「いいよ!あ、でも合計で300円だからね!」
シルヴァー「よっしゃ!白ブドウジュースとカード付きウエハースは俺のもんだ!」
こうして始まった今回の勝負。今回走る距離は2000mなので、俺にとっては丁度良い距離だった。テイオーの方を見ると、やはり余裕があるのかニコニコしていた。
テイオー(ふふん♪今回は勝てるかも?)
シルヴァー(よし、俺の切り札は超末脚だ…落ち着いてスタミナをーーー)
スタートラインに立つと、俺は前傾姿勢を取りながらスタートした。最初のコーナーに差し掛かるところで、テイオーは既に加速しており、一気に差をつけられてしまった。
シルヴァー(まじかよ!!めっちゃ速いじゃん!!!)
内心焦っているものの、まだ序盤ということもあり、ペース配分を考えつつなんとか食らいついていった。しかし中盤に入る頃にはテイオーとの距離を詰めることが難しくなり、結局差は縮まらずにゴールインしてしまった。結果はテイオーの勝利で終わったのだが、正直悔しかった。
テイオーは嬉しそうにしてこちらに向かってきた。
テイオー「やったー!ボクの勝ちだね!」
シルヴァー「くそっ……あと少しだったのになぁ……」
テイオー「えへへ〜♪だってボク最近負けてばっかなんだもん。たまには勝ってみたいんだよ〜」
シルヴァー「ははっそりゃ残念だ。んじゃ約束通り好きな菓子奢ってやるよ」
テイオー「やったー!ありがとう!」
その後俺たちは近くのコンビニで買い食いをした。テイオーはしっかり計算して300円ぴったりになるように選んでいた。そして帰り道ではまた明日も競走しようと誘われた。
テイオー「次も勝つからね!」
シルヴァー「おう!いつでもかかってこいや!今度は負けねー!」
それからというものの、毎日のようにテイオーと競走をしていった。そんなある日のこと、テイオーから俺の家に遊びに来た時のことだった。
テイオー「ねぇねぇシル!プリティーフロンティアまで時間あるしさ、久しぶりに遠くに遊ぼうよ!」
シルヴァー「ん〜……別に構わないぞ?」
テイオー「ほんと!?なら行こうよ!ボク行きたいところあるんだよね!」
シルヴァー「わかった。準備してくるから待っとけ」
テイオー「はーい!」
テイオーが元気よく返事をすると、俺の部屋から出て行った。俺もすぐに出かける支度を済ませると、玄関へと向かった。
シルヴァー「お待たせ。それじゃあ行くか?」
テイオー「うん!行こ行こ!」
俺たちが向かった先はテイオーの住む街の隣町。俺から見れば隣の隣の街だな。まず最初に新しくできたショッピングモールに向かった。なんでもここではかなり品数が豊富なウマ娘用のグッズショップがあるらしく、そこで色々見たいとの事だったので、俺もそれに同意した。そろそろ新しい靴が欲しかったところだ。
テイオー「見てみて!これ可愛いでしょ!?」
シルヴァー「おぉ確かに。テイオーが履いたら似合いそうだな。買うか?」
テイオー「うぅ〜どうしようかな……。あっコッチも欲しいしなぁ……。」
シルヴァー「なぁ色違いで同じ種類のシューズ買おうぜ!お揃いってのも良いだろ?」
テイオー「それ賛成ー!じゃあボクはこの黄色と白のシューズね!」
シルヴァー「じゃ、俺は赤と白のシューズにするか」
テイオー「お会計お願いしまーす!」
店員さん「かしこましました!5800円が2点で合計11600円になります!」
シルヴァー(高ぇ!!!)
小学生のお小遣いってのはしょぼいもんだ後は昼飯を食う金くらいしか残ってねぇ!昼飯を抜いて電車で急いで帰るか…?
テイオー「大丈夫だよ!お金はパパから貰ってきたからさ!さっき電話でね、今日は遅くなるかもって言ったらね、『分かった。楽しんできなさい』だってさ!」
シルヴァー「流石金持ち……太っ腹だな……」
そんなこんなあって買い物を終えた俺たちはそのままゲーセンに向かった。そこにはたくさんのクレーンゲームがあった。テイオーはその中の一つの前で立ち止まった。
テイオー「ねぇコレやってみようよ!」
シルヴァー「おぉいいぜ!どれ狙ってるんだ?」
テイオー「あのパカぷち!ボクあれ取りたい!」
シルヴァー「おっしゃ任せとけ!」
俺もテイオーもこういうのは得意な方なので、あっさりと取れてしまった。
シルヴァー「ほれ、プレゼントだ」
テイオー「わぁ!ありがとう!」
シルヴァー「気にするなって。それより次はどこに行くんだ?」
テイオー「そうだなー……
⏰
テイオー「あー!楽しかったー!」
シルヴァー「あぁ満足はしたが、走った後とは違った疲れが…」
テイオー「あはは……ごめんね。でもシルと遊ぶの楽しいからつい夢中になっちゃったよ!」
シルヴァー「ま、俺は全然構わんけどな。お前の笑顔を見れただけで十分だしよ。」
テイオー「えへへ〜♪ありがとシル!」
それから俺たちは帰路についた。帰り道の途中、テイオーがふと何かを思い出したように話し始めた。
テイオー「そういえばシル。最近調子はどうかな?」
シルヴァー「ん〜。悪くはないぞ。ただちょっと物足りない感じはある。」
テイオー「む〜、勝者の余裕ってヤツ?勝ち数が多いからって油断は禁物だよー?今度も勝っちゃうからね!」
シルヴァー「おう、お前相手に油断なんかするもんか。それ以外は油断ではなく余裕というわけだがな」
テイオー「まぁこの辺のウマ娘でボクたちに勝てる子はいないからねー」
シルヴァー「そもそもウマ娘の数が少ないんだ、俺たちは一握りの強者ってわけだ!」
テイオー「選ばれた戦士ってヤツー?なんかシルって男の子みたいな事言うよねー」
シルヴァー「え!?い、いやこんな可愛い男の子がいてたまるかっての!ハハ、ハハハハ…」
テイオー「…可愛いって自分で言う?普通…」
なんだこの気まずい空気ぃ!
シルヴァー「そ、それじゃあまた明日学校で会おうぜ!」
テイオー「うん!バイバーイ!」
テイオーに別れを告げて家に帰った。
⁇?「何が選ばれた戦士だ…絶対に負けないぞ、トウカイテイオー、シルヴァーレヴェルッ!!」
俺たちを見つめる謎の影には誰も気づかなかった。