既読の方はご注意ください。
「ん…………ぐぅ…………」
「……あれ」
鎮守府提督室の昼下がり、提督が溜まっていた書類と格闘していると、隣に座る少女から安らかな吐息が聞こえてきた。
(比叡さん……)
比叡。先日から連戦に次ぐ連戦でも疲れ一つ見せず敵を撃滅してきた、現在の秘書兼第一艦隊旗艦だった。
しかしこうしてみると陽の光を浴びながら椅子に座り軽く俯いて目を瞑る姿は、戦闘時の姿とは打って変わって整った顔立ちと華奢な体、美少女のうたた寝そのものでしかない。
昨日は夜戦を終えてから鎮守府に帰還し、朝から報告書をまとめるのに付きあわせてしまったため、この寝入りに対しても申し訳なさが先に来てしまう。
(今日期限のものはとりあえず大丈夫だし、無理に起こすのも……そうだ)
書類を一先ずおき、仮眠用にと常備してもらった布団を取り出す。
「比叡さん、こちらにどうぞ」
「んぅ……ねて……ませんってばぁ……」
いつもの比叡なら跳ね起きるところだが、肩を叩いても反応が鈍い。
「……失礼します」
このまま風をひかれても困る。比叡の脇の間へ手を通し、肩から担ぐように布団へと導く。
「よい……しょ」
「ん……金剛お姉さまぁ……」
なんとか布団へ寝かせ毛布をかける。むにゃむにゃと口を動かす姿に思わず笑いをこぼす。そのまま離れようとしたが、比叡に袖を掴まれた。
「あれ」
「んー……お姉さまぁ……」
「ちょっとぉう!?」
そのままぐいと引き寄せられ、体は比叡の隣、毛布の中へ。
「あっ」
「ん……」
(まっまずいっ)
比叡に抱きつかれるような形で頭はすっぽり比叡の胸の中、顔全体に彼女の隠れた豊満さが広がる。
鼻腔には女の子特有の柔らかな香り、もがくとさらに比叡は力を込め足まで絡めようと体をぐいぐい押し付けてくる。
「お姉さまぁ……ぐぅ……」
(だっ誰かに見られたら)
ガチャ。
「ういーす。遠征から帰ったぜ……。わっわりい、邪魔したな」
顔を真赤にした天龍が珍しく空気を読んだ行動を取る。
「天龍さん! 助けてください!」
「!?」
事情を話すと天龍は呆れたように息を吐き、
「お前さあ、男ならそれぐらい引き剥がせよ」
「面目ありません…‥引き剥がしてくれますか」
天龍は提督の顔を見る。目の下には隈ができ頬は少しやつれている。連戦の疲れがたまっているのはすぐに見て取れた。
天龍は目を細める。
(こいつ……)
「書類の方は終わったのか?」
天龍は言いながら机の上の書類の山へ目線を写した。
「? はい、今日の分はあと提出するだけですが……」
「じゃあ俺が届けといてやるよ。お前はこのまま休んどきな」
「なっ……そうはいきません! まだやることが」
「今日やるべきことは終わったんだろ? そんな顔でまだやるってんなら、この状況を金剛や叢雲に見せてもいいんだぜ」
天龍がにやついた笑みを浮かべる。
「う……わかりました。じゃあ書類の方、よろしくおねがいします」
「おう。しっかり寝とけよ」
「天龍さん」
「あん?」
「ありがとう」
「……はっ」
天龍は書類の束を机から抜き取って提督に確認させ、電気を消して音を立てないようそっと扉を閉める。
(がらじゃねえ事しちまったな)
頭の後ろをポリポリとかき、手に持った書類をバサリと腰に当てる。
(……あいつ、ああいうのが好みなのか?)
着任当時から一緒にいる叢雲や好意を隠そうともしない艦娘は存在する、しかし提督本人から熱心に誰かへ恋心を向けているという話はとんと聞いたことがない。
最近だと島風や時雨が提督へ熱っぽい視線を向けていたりするが、その程度のことだ。
今まで浮いた話がなかった少年提督を思い浮かべ、自分の胸元を見る。
「……」
(って、何考えてんだ俺は!)
天龍は脳裏に浮かんだ光景を慌てて頭を振って打ち消す。さっさと書類を届けて自分も休もうと思ったその時、
「あんた、あいつの部屋の前でなにやってんのよ」
「……あ」
駆逐艦、叢雲。
「あ……いやあ、な。あっそっそう! 遠征の報告しにきただけたぜ!」
(こいつに今のあいつの状況を見せたらまずい!)
「……?」
変に動揺している天龍を不思議に思い、叢雲はきょとんとした顔で首を傾けた。
天龍は提督室の方をチラチラと見ている。
(……怪しい……)
天龍を見る叢雲の目がジト目に変わる。
(今こいつが提督室にはいったら……!)
酸素魚雷を食らわせるわ。ふふ、冗談だと思ってたの? 残念ね。とかいいながら悲しみの向こうへと行きかねない。
(なんとかごまかせねえと……! そうだ!)
「そうだった叢雲。あいつがお前に本部へ報告書を届けて欲しいってよ!」
「報告書? なんで私が」
「大事な報告書だから、信頼出来る叢雲に任せたいんだとよ」
「信頼出来る……?」
(どうだ……!?)
天龍の頬に一筋の汗が流れる。
「んっんふふ、そう信頼出来る、ね。ふふそれなら仕方ないわね。まったく、あいつったら私を伝令に使うなんて、今度会ったらおしおきしてやるわっ」
叢雲は途端顔を赤くしニヤついた表情で報告書を受け取る。
「任せなさい。この任務、完璧にこなしてみせるわ」
「おっおう」
(あとで口裏合わせしとかねえと)
立ち去る叢雲を見送って一息つく。ここで天龍は重大な事実に気付いた。
(提督にああ言っちまった手前……入ろうとする奴全部ごまかせねえといけねえのか!?)
「……いっいや、俺の知ったことじゃあ」
『ありがとう』
「ぬっ……くっ……!」
(クソがっ! 上等じゃねえか! 日ごろ世話になってる分の借り返し、提督室防衛戦っ天龍様が引き受けてやんよ!)
天龍が無駄に決意を固めている最中、叢雲に続いて第二陣が到着した。
(なっ……!)
「~♪」
ティーセットを持ちながら鼻歌を歌い一直線にこちらへ来る、提督LOVE筆頭金剛型一番艦、金剛。
金剛は危機感を抱いていた。
(このままじゃ提督のLoveを勝ち取れないデース!)
提督は有能かつイケメンで優しくて艦娘達にモテモテ、というのが金剛フィルター。ライバルは多くかつ一人ひとりが強大。
一秒も無駄にはできない。誰よりも先を行かねばならない。
幸い今の秘書艦は提督LOVEの素振りを見せない妹比叡。この機会にポイントを上げれば提督と……。
『ありがとう金剛さん。あなたは綺麗で気が利くし戦闘でも頼れる最高の女性です……。僕と結婚して下さい!』
うぇっへへへへへと怪しい笑い声と共によだれがジュルリ。脳を色取るははくんずほぐれつのR-18妄想。
(いざ、暁の式場へ向かうデース!)
と、視界に入ったのは何故か提督室の扉を背に立つ天龍。こちらを見て頬がひくついた顔をしている。
「Hey、提督の部屋の前で何してるの?」
「あーいや、そのな」
天龍がピコンと閃く。
(そうだ、別に嘘をつく必要ねえじゃねえか)
「今あいつ疲れてて仮眠とってるんだ。急ぎじゃねえなら出なおしてくれよ」
全てを言わなければいい。天龍は自然な笑顔で伝える。金剛は残念そうな顔をして、
「む、そうデースかー。じゃあティータイムは比叡でも誘いまーす……」
びくっと天龍の笑顔が強張る。
「あれ、そういえば比叡ちゃんを見ませんでした? 提督が仮眠してるなら部屋に戻ってくるはずデース」
「さ、さあな。どっかほっつき歩いてるんじゃねえか?」
「……?」
金剛は考える。いつも比叡は仕事が終われば真っ先に金剛達に割り当てられた部屋へ戻ってくる。比叡が金剛へ向けている並々ならぬ愛情は金剛だって自覚している。
提督が仮眠中。なら比叡はどこへ。
(うーん? わからないデース)
天龍にとっての幸運は、金剛の想像がまさかあの比叡が提督と同衾しているという事までいかなかった事だろう。
もしこの時秘書艦を務めていたのが叢雲や榛名、他提督に対して上官以上の好意を向けている艦娘だったならば天龍の命運は終わっていた。
(よし、なんとか誤魔化せたな)
が、まだ危機は続く。
「……!」
今度は金剛の頭上に豆電球が光る。
「ずっと提督室の前で訪れる人に対応しているの?」
「お、おう。まあな」
「なら、その役目私が変わりまーす! ティーセットを置いてくるので待っていてくださーい!」
そう言って金剛は早足でその場をあとにする。
「なっ!? おいっ!」
(そうきやがったか! どうする!?)
金剛の目論見は天龍でもわかった。提督室前の対応を引き継ぐと称して寝ている提督にえんやこらする魂胆だろう。
もし金剛が今の提督の状態を見れば……。
『提督ぅ……私もすぐに追いかけますから、ヴァルハラでは一緒になりましょうね……』
(やっっべえ!! どうする? もう起こすか!? いや、なんとか金剛を押しとどめて)
「あらぁ。天龍ちゃんどうしたの? 表情がころころ変わって面白いわよぉ?」
「龍田!?」
龍田はにこやかに笑いながら天龍の近くまでくると、不思議そうな顔をして指を自分の口に当てた。
「提督になにかあったのかしらあ?」
「あ、そうだな」
(龍田になら言っても大丈夫だろう)
天龍は今の提督の状況と金剛が行うであろう思惑を手短に伝えた。
「ふふっ。天龍ちゃんたら提督のお姉ちゃんみたいね。面倒見が良い事お」
「うるせえっ。なんかいい案ないか?」
「そうねえ……」
(普通に提督だけ引き剥がして別の場所で寝てもらえばいいと思うけど……)
それだけでは面白くないといった龍田の顔に天龍は気づけなかった。
「つまり、比叡さんと提督が抱き合ってる姿が見られなければいいんでしょう? だったら……」
「ぬ……く……!」
天龍は少し無理な体制で布団を被りうつ伏せになりながら、肘でと膝で体を持ち上げ空間を作る。
天龍の位置は比叡の横、空いた空間には提督がすぅすぅと寝息を立てている。
他の人間から見れば提督の体をちょうど覆い隠すように天龍は比叡の横で寝ていた。
(オレなにやってるんだろう)
天龍の何度目かわからない自問自答は露と消える。
龍田曰く、
「天龍ちゃんが提督を体で隠せばいいのよお。金剛さんだって仮眠をとってる人をいちいち起こすような真似はしないし、提督がいないとわかればすぐに別の場所へ探しに行くわあ」
「……なるほど!」
龍田は天龍のオツムの足りなさを可愛らしいなあこの娘といった目で見ていた。
「あらあ金剛さん。天龍ちゃんは今中でお休みですよお」
「!? どういうことデース!」
(龍田!? うまく誤魔化してくれよ……!)
有ること無いこと言う事に関しては日々天龍をいじっている龍田の十八番であった。
「――というわけで、提督は別の場所で休憩中なんですよお」
「むう、わかりましたー。じゃあ出直しマース。しかし、これは要注意人物が増えましたネー」
「うん? どういうことお?」
「天龍は中で今頃布団に残った提督の香りをクンカクンカスーハースーハーしてるデース。私は提督本人しか興味ないから構わないですけど、これからは彼女にも警戒が必要デース」
「ふふ、ほんと。天龍ちゃんも困った子ねえ」
(うぉい!? 龍田ぁ!!)
自分にとんでもない属性が付加されているが今は拒絶の叫びができない。
しばらくして金剛が提督室の前をあとにするのが聞こえ、天龍はとりあえず一息つく。
(よし、もうこれで)
「司令官はいるかしら?」
「ご報告に上がったのです」
(なにい!?)
「あらあ。今提督は――」
起き上がろうとした矢先、今度は外で暁と電の声が聞こえてくる。
(くそっいつまでこうしてりゃ、はぁ、まあ龍田がうまく追い返してくれるか。……別に常にこの体勢でいる必要ないよな)
天龍は楽な体勢で提督の横に肘をついて寝転がる。比叡と提督は抱き合いながら相変わらず規則正しい寝息を立てていた。
次いで提督の顔を見る。いつもの年齢にそぐわない包容力と意思がこもった瞳は閉じられ、いつもは見せない歳相応の顔があった。
天龍は軽巡洋艦の中でも最古参だが、提督のこういう表情を見るのは初めてかもしれない。
(……人の気も知らねえで)
天龍は提督の顔を見て、配備された当初のことをふと思い出した。
『よろしくお願いしますね。これからは天龍さんに旗艦をお任せします』
(あの時の叢雲の顔すごかったな。まあすぐにフォローしてたが)
天龍が秘書艦を努めた期間はそう長いものではなかったが、提督がどういう風に仕事に取り組むかは理解できた。
誠実かつ真面目、しかし決して堅苦しくはない。艦娘達の不安や不満を見逃さず、彼女たちが全力で任務に望める場を提供するために尽くす。
天龍が遠征を主に務めるようになった今でも、時間さえ合えば必ず出発を見送り、帰還を笑顔で出迎える。
(もっとガキっぽいとこ見せろっての)
提督が比叡の胸の中で少し身じろぎすると、天龍はいたずらごころが沸いたのか提督の顔へ手を伸ばす。
(へへ)
提督の頬をぷにぷにと指で押し、指の腹で撫でてくすぐる。
その度に提督の顔の弾力が伝わり、天龍は面白がって繰り返す。
突然、提督の顔の向きが変わる。頬を押していた天龍の指はパクリと提督にくわえられた。
「!?」
提督は寝ぼけているのかもごもご指をしゃぶりはじめると、天龍の指先を舌でくすぐりだす。
(ちょやめっ!?っ~~~~~~~!!!!)
「んっ!……んんう!んっ……!」
慌てて引き抜こうとしたがあまりのくすぐったさに脱力してしまう。声が出そうになり、天龍はもう片方の手を自分の口元へ持っていき声が出ぬよう指を咥えた。
悶える天龍をよそに提督の口撃は続く。
(ばっばか! っそんなっ、はげっしく……!!)
「んっ…!うんっ……!んあっ」
天龍にもわからない。体の奥の底の芯から沸き上がる感覚は。きっと他のやつにやられたら殴り飛ばしているだろう。なぜそれができない?
「くっんっ……! やめっ……ん!」
ただ指をしゃぶられているだけなのに自分でも信じられないような、体中に電流が走るような感覚に支配される。
(本当に……まず……!?)
提督はまもなく指を口から離した。
天龍は荒い息を吐いて脱力し、体を布団へ預ける。
(こ……この野郎っ、起き……てんじゃ……)
天龍が紅く恨みがましい顔で提督を見る。次いで指を見ると、唾液でてらてらと光っている。
「……」
(……)
いや、それはだめだ。いくらなんでもそれは。人としてだめだろう。そう思いが先行する。しかし、
(あい……つの……)
天龍には初めての感覚だった。娘として等しく備わっている純粋な機関、そこに初めて今火が点いてしまっている。少々アブノーマルではあるが。
ごくりと天龍はつばを飲んだ。
指をゆっくりと自身の口へ導く。
「ん……ちゅる……」
少し酸っぱかった気がした。
「………………」
(や……やっちまった……)
変態かオレはと今更ながらにがっくりと頭を垂れる。
(おっおまえがオレに変なことするから!)
と天龍が再度提督を見ると、それ以上に大変なことになっていた。
「んん……姉様ぁ……んちゅううじゅるるるちゅぱちゅるる」
抱き合っていた比叡が突然頭を下げ、自身の口を提督の口へ突撃させた。
比叡の唇と提督の唇はぴったりと合わさり、舌をつき入れてるのがいやでもわかるひどい粘着質な音を立て始める。
「んんむっ……んんっ!? んー!! んー!!」
提督もさすがに目を覚まし、自身に起こっている異常事態に体をばたつかせ精一杯救急シグナルを送る。
「おま!? なにやってんだあああ!!」
天龍が慌てて引き剥がしにかかった。
「んみゅうっ……ふぁ……?」
「ぷはっ! はぁっはぁ……!?いっ……な……えっ……!?」
引き剥がされた提督は混乱の極みにあり、顔は赤く息荒く、呆然とした表情で比叡を見つみる。
対して比叡は体を起こさずに寝ぼけ眼でぼうっとしており、徐々に意識を鮮明にさせていく。
(あれ……私寝ちゃって……? 提督なんで、……口から糸? あれ、私にも……)
「ん……?」
「おっ……おまえ……!」
天龍は提督を守るように抱きしめ、比叡を真っ赤な顔で睨みつけていた。
比叡は提督の口から伸びている糸を巻きとってあげようと手をのばそうとしたが、それが自分の口元までつながっていることに気がついた。
自分の唇の手前からすくってみる。糸ではないと気づいた。
自分が見ていた夢。比叡と提督をつなぐ粘度を帯びた液。かつてないほどうろたえて顔を真赤にしている提督と天龍。
ここから導き出される答えに、比叡は気づいた。
「おっ!? …………おやすみなさいぃぃ………………ひぇぇぇぇぇぇぇ……!!」
毛布に潜り込み恥ずかしさに混乱するしかなかった。
「てめええ!! ごまかすんじゃねええ!!」
天龍が毛布をひん剥き比叡に躍りかかる。
布団が跳ねまわる中、ドアが開き龍田が提督へ優しく語りかけた。
「あらあ提督、おやすみはもう終わりですかあ? 遠征に行ってた子達を呼んできましょうかあ?」
「……お願いします」
明くる日の提督室。
「それでは、今回の出撃についてですが……」
提督の前には、金剛、比叡、叢雲、隼鷹、加賀、北上といった今日の第一艦隊の面子が揃っていた。
提督の説明は滞り無く進んだが、不意に提督と比叡の目があった。
「!」
「!!」
視線は瞳、唇と写り、互い同時に恥ずかしげな顔をしながら視線を逸らす。
「……」
「うっ………」
提督はポリポリと頬をかき、比叡は少し俯いてもじもじしている。ここに天龍がいれば釣られて顔を赤くしていただろう。
事情を知らない他の艦娘はいきなりの提督と比叡の動作に訳がわからなかった。が、金剛と叢雲は敏感に察した。
「比叡ちゃあん。お姉ちゃんはちょっと聞きたいことがありマース」
「ひえ!?」
「あんた、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はっはい!?」
長い痴話喧嘩が始まる。最近地味に増えてきた光景だった。
蚊帳の外にいた隼鷹たちは面白そうに眺めている。
「なーなー。あの二人何があったと思う?」
隼鷹がにやつきながら加賀と北上に話を振る。
「別に、興味ありません」
加賀はいつもの仏頂面。
「うーん。寝ちゃった、とか?」
北上は本気なのか冗談なのかよくわからない声で答えると、
「っ!」
加賀が一瞬ピクリと動いた。
そして金剛と叢雲は冷えきった声でシンクロする。
「何か隠してることない?」
「ひええ!?」
提督と比叡の悲鳴が木霊する。鎮守府は今日も平和であった。
「天龍ちゃん。提督のお味はどうだったぁ?」
「っ!!??」