ロックマンX SOLID SNAKE   作:赤バンブル

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メインで連載していた作品が滞っていたので途中で止まっていた本作を久しぶりに投下。


メカニロイド

数週間後。

 

シティ・アーベル上空 輸送メカニロイド『ビーブレイダー』

 

『エックス、今回の作戦を伝える。現在市街地で暴走している大型メカニロイドの活動を停止するためにお前には上空からの急降下し、奴のレーダー探知距離外からの狙撃を行ってもらう。』

 

「了解。目標地点に到着次第作戦を実行します。」

 

シグマの指示に返事をしながらスネークは、こっそりタバコを吸う。

 

この体になってから大分慣れてきたが今回のミッションは上空から急降下しながらの狙撃だ。FOXHOUND、フィランソロピー時代も特殊な地形からの狙撃経験こそあるが降下しながらはやったことがない。事前にVRによる訓練は受けたが正直精度に不安がある。

 

「・・・・いくらロボットだからって落ちながら狙撃しろとは随分無茶な命令だな。」

 

尤もスネーク自身無茶苦茶な伝説をいくつも作った男であるが。

 

『降下地点到着。』

 

「時間か。コンピュータ、換気を頼む。タバコ臭かったら隊長に見つかるからな。」

 

『了解。ハッチ、オープン。』

 

ハッチから下を覗くとシティ・アーベルが雲の海の中から僅かに見える。スネークは、タバコを携帯灰皿へと入れると右腕をバスターに変形させて問題がないかどうか最終確認を行う。

 

「右腕は問題なし・・・・パラシュートを付けないのは違和感あるがこれだけは慣れるしかないか。」

 

強風に煽られながら彼は、駆け出して上空へと飛び降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上では既にシグマが現場周辺に部隊の展開を終え、降下してくるのを待ち構えていた。

 

「ゼロ、目標の様子はどうだ?」

 

『はい、今のところ現場から動いてはいないようですが停止させないことには油断できません。』

 

「そうか。エックスが上空からの狙撃で活動停止を試みる。目標が停止次第、お前たちは接近して確保を行ってくれ。」

 

『了解。しかし、シグマ隊長。何故、エックスに狙撃を任せたんですか?上空からなら第6空挺隊に協力を仰げば』

 

「いや、空挺隊はミサイル基地の防衛も兼ねて人員を割くのは難しい。それにエックスのバスターの威力なら約75パーセントの確率で目標を停止することができるとシミュレーションで叩き出している。これは下手に目標に接近するよりも確率が高い。」

 

『・・・そうですか。でも、それなら俺でも問題ないのでは?』

 

「今のエックスを部隊行動させるにはリスクがないとは言い切れんからな。」

 

ゼロの問いに対し、シグマは返事を終えると上空から一点の光が見えたのを確認する。スネークがバスターで狙撃を行おうとしているのだ。

 

 

 

当のスネークは、スパークしている右腕を押さえながら真下にいる巨大メカニロイドに照準を定めていた。

 

「これ以上チャージは無理か。」

 

彼は、ピンポイントを狙って狙撃を行う。

 

限界までチャージした光弾は、勢いよくメカニロイドの上部に着弾し、足を地面に叩きつけた。

 

「こちら、エックス。目標への狙撃を完了。シグマ隊長、状況は?」

 

『よくやったエックス。こちらで目標の機能停止を確認している。これから地上部隊でメカニロイドの確保へと実行する。お前は地上に着地後、B級隊へ合流。サポートに回ってくれ。』

 

「了解。通信を終了する。」

 

通信を終えるとスネークは、右腕のバスターを発砲。反動を利用して向かいにあるビルに手を付けて地上へと降りた。

 

ところが予想に反してメカニロイドは、再起動してハンターたちに牙を向けてきた。

 

「し、シグマ隊長!目標が再び動き出しました!?」

 

「何っ!?」

 

シグマの計算では再起動の確率は低く、できたとしても衝撃によるエラーで動きが鈍ると判断していた。しかし、近年の耐震・セキュリティの強化が祟ってシステムは問題なく作動しているようであった。

 

メカニロイドのアームによって一般ハンターは次々と吹き飛ばされ、頭部ユニットに取り付けられた溶接レーザーは待機させていたパトロールカーを容易く溶断する。

 

「ゼロ、そちらから目標のメインジェネレーターを確認出来るか?」

 

ゼロは、通信を受けるやすぐにメカニロイドの様子を確認する。アームの関節部から確認こそできるが動いていることもあって接近は容易ではない。

 

「見つけました!ですが、奴の動きが早くて近づけません。」

 

報告をしている間にも仲間のハンタ-が捕まり、投げ飛ばされる。

 

「クソ!各員、目標の動きを抑えろ!被害をこれ以上広げさせるな!!」

 

「「はいっ!!」」

 

ペンギーゴは、傍にいるハンターたちに命令すると口から氷弾であるショットガンアイスを脚部に向かって放つ。着弾すると超低温によってメカニロイドの脚部は凍り付き、動きが鈍くなる。同時に拘束用ワイヤーが発射され、身動きを封じた。

 

だが、それでも完全に封じることができず、氷が砕けて行くとともにワイヤーが引っ張られる。

 

「なんてパワーだ・・・」

 

メカニロイドの想定以上の力にペンギーゴが絶句する中、ゼロは現場の近くにいるであろうスネークに通信を入れる。

 

「エックス、聞こえるか!?奴の動きを封じるにはジェネレーターを破壊するしかない!援護を頼む!!」

 

『正気か、ゼロ!?あの動きでは狙撃で仕留めるのは無理があるぞ。』

 

「他に手がない。急いで来てくれ!」

 

ゼロは、通信を終えるとバスターを展開して攻撃を開始するがメカニロイドの装甲に対してはあまりダメージにはならず、スネークが現場に駆け付けた頃には拘束は完全に解かれ、ハンターの一人が捕まってしまった。

 

「た、助けてくれ・・・・」

 

「クッ、一足遅かったか!」

 

彼は、バスターを短時間チャージして放つが装甲に弾かれて反撃を受ける。

 

「伏せろ!!」

 

スネークは、呆然と立ち尽くしていたペンギーゴの頭を地面に押し付ける形でアームを避けさせる。我に返ったペンギーゴは、起き上がるなり彼の行動を非難する。

 

「エックス!貴様、俺の顔を地面に押し付けるなんてどんな判断を・・・」

 

「吹き飛ばされるのが本望なら次からはやらんさ。そんなことよりも奴の動きを止めることを考えるのが先だ。っとは言ってもこっちの攻撃にビクともしないからな。流石に骨が折れる・・・。」

 

ちなみのこの直前、ゼロが至近距離からチャージショットを放とうと試みたがアームで突き飛ばされて、現在ビルの瓦礫に生き埋めになっている。当たれば、脚部を破損させることができただろうがこうなってしまっては次の策を考えるしかない。

 

「畜生、ゼロもやられちまった。俺とこの甘ちゃんハンターでどうやって止めればいいんだ~!?」

 

「静かにしろ。何か考えるんだ。何か使えるものを・・・・あの時も」

 

脇で騒いでいるペンギーゴに言いかけた時、スネークの脳裏にふと過去の会話が甦った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねえ、スネーク。ちょっと興味あるんだ。シャドーモセスの時、君は峡谷でレイブンの戦車を撃破したんだよね。一体どうやって倒したの?』

 

『どう?どうって・・・・まあ、グレネードを使ってだが。』

 

『それだけ?対戦車ミサイルなんかは使わなかったの?』

 

『そんなものは無かった。ナスターシャの助言で撹乱にチャフを使ったぐらいだ。』

 

『君に戦い方って・・・・対戦車戦闘のやり方としては相当古典的な方法というか、現代の主力戦車相手に通じる方法じゃないと思うんだよね。』

 

『そういわれても、実際そうしたんだから仕方ないだろう。』

 

『以前、現役の陸軍将校から聞いてみたんだけど歩兵が戦車と一対一で立ち向かうには・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チャフ?そうだ、奴の視界を一時的に奪えばいいんだ!そうすれば回復までに僅かな隙が生まれる。」

 

「お前、一人で何言ってんだ?」

 

閃くや否や彼は、破壊されたパトロールカーの方を見る。あの中にはイレギュラーの視界を一時的に封じるためのチャフグレネードと扉破壊用の粘着式爆薬が常備されてあったはずだ。

 

「ペンギーゴ、氷でできるだけ奴の動きを遅くさせろ!」

 

「B級のくせに特A級の俺に命令するな!!」

 

「そんなこと言っている場合か!?お前、自分の屁理屈でさらに被害を広げるつもりか!!」

 

スネークの剣幕に対してペンギーゴは、思わず身を竦める。以前のエックスなら反抗せず、自分やシグマに判断を仰ぐはずだった。それが今、上の存在であるはずの自分に意見するどころか、命令してくる始末。

 

スネークは、彼の頭を掴んでメカニロイドの方へ向けると指を差しながら簡単にプランを説明する。

 

「捕まっている奴がいる以上迂闊に攻撃できない。お前が動きを遅くしている間に俺は壊れた車両から仕えるチャフと爆弾を取ってくる。そして、俺がチャフを投げたら、少し目を閉じろ。」

 

「そ、そんなんで奴を止められるのか?」

 

「ああいう作業用はいくら頑丈でも簡易的なAIしか積んでいないからな。チャフで一時的に視界が封じられれば確認のために再起動態勢に入る。その瞬間だけは、全ての動作が止まって捕まった奴を放す筈だ。」

 

「それならシグマ隊長に協力を仰いだ方がいいんじゃないか?」

 

「今回線が混雑して繋がらない。被害の拡大を予想して民間人を誘導している可能性がある。俺たちでやるしかない。」

 

「クッ、クウ・・・」

 

納得いかないもののこれ以上の最善策が浮かばない。

 

渋々彼は、指示通りに関節に向かってショットガンアイスを連続で発射する。各部に着弾すると待機の水蒸気を取り込んで氷を生成し、動きを鈍らせる。

 

その間にスネークは、パトロールカーの方へと駆けて行き、車両の中から必要なものを探し始める。幸い、誘爆を防止するためのケースに入っていたため、爆薬とチャフは無事だった。

 

「後は、コイツでジェネレーターを壊せればいいんだが。」

 

爆薬を体に巻き付け、彼はメカニロイドの方へと戻る。ペンギーゴは、ありったけのショットガンアイスを放ってヘトヘトになっていたが関節の氷塊はすぐにでも崩れようとしていた。

 

「ハアハア。え、エックス・・・・もうこれ以上は無理だ。早く何とかしろ・・・・」

 

彼は、早速バスターの射撃で目標を自分に向けさせる。

 

「よくやった。少し顔を伏せとけ。」

 

それだけ言うとチャフグレネードの安全装置を外して正面に向かって投げ、炸裂させる。

 

スネークの方を見ていたメカニロイドは一時的にカメラが視認不能に陥り、エラーを修正するために再起動態勢へ移行した。同時に拘束していたアームが解除され、一般ハンターは地面に転げ落ちた。

 

スネークは、スライディングでメカニロイドの下に潜り込むとジェネレーターのカバーに粘着爆弾を張り付け、解放された彼の手を取ると急いで匍匐前進を促して離脱する。

 

再起動するとメカニロイドは、掴んでいたはずのターゲットがいなくなったことに気づき、周囲を見回そうと旋回を始める。

 

カメラには、銃を構えたスネークの姿が捉えられていた。

 

「・・・・」

 

スネークは無言で引き金を引き、放たれた弾丸を粘着爆弾の起爆装置へと命中させる。

 

爆弾の爆発はジェネレーターを破壊するには十分だったようでメカニロイドは、ふらつきながらその場で倒れこむ。彼は、万が一のことを考え救出したハンターをペンギーゴに任せて近づいて確認をする。ジェネレーターは爆発で大きく抉れており、交換しなければ再度動かすことができないほど破損していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロが瓦礫から起き上がった頃には、既に事件は後処理作業へと移っており、怪我をしたハンターたちは次々搬送されていた。

 

「痛・・・・どうなったんだ?」

 

「大丈夫か、ゼロ?」

 

振り向くとスネークが丁度自分を回収しに救護班を連れて来ていた。

 

「エックス・・・・メカニロイドは?」

 

「ジェネレーターを破壊して機能を止めた。ペンギーゴが動きを止めてくれたおかげだ。なあ?」

 

「あ、あっ、あぁ・・・・そうだな、お・・俺様のおかげだな!感謝しろよ!?」

 

話を振られたペンギーゴは、戸惑った様子を見せながらも返事をした。また、彼が何かをしたと思いながらもゼロは、スネークの手を取って立ち上がる。

 

「情けないところを見せたな、最近のお前の活躍には参ったよ。」

 

「そうでもない。ゼロも動いてくれなかったら被害がデカくなっていただろうからな。」

 

「・・・・そうか。」

 

それぞれのメンバーが次の現場へと移動する一方、誘導を終えてきたと思われるシグマが二人の元へとやってきた。

 

「エックス、ゼロ。ご苦労だったな。」

 

「「はっ。」」

 

「今回は後手に回ってしまって済まなかった。お前たちの活躍のおかげで被害は最小限に抑えられた。」

 

「恐縮です。」

 

そう言って敬礼をすると二人は、現場から離れようとする。

 

「エックス、少しいいか?」

 

「うん?何か?」

 

「ペンギーゴから話を聞いてな。何故、バスターではなく攻撃用でないチャフと粘着爆弾を使ったのだ?お前の射撃能力ならあの場でもジェネレーターを撃てたと思うが?」

 

シグマの言葉にスネークは、何か気づかれたのではと感じつつも苦笑しながら答える。

 

「確かにあの場でもジェネレーターは撃てたと思います。だが、照準が少しでもずれれば仲間を撃ち殺すことになっていました。」

 

「それでチャフで撹乱させて時間を稼いだということか。」

 

「メカニロイドの電子頭脳は簡易な作りだからできたことです。尤も仲間が周囲にいる場合は視覚障害が発生しかねますが。」

 

「なるほど、参考になった。よく考えたな、エックス。」

 

「図書館で少し本を齧った程度の知恵ですよ。それでは、俺もこれで。」

 

彼は、頭を軽く下げて離れる。シグマは、現場の後処理を残った部下に伝えると自分も又他の現場へと移動を始める。

 

「・・・・あの本では、手投げの手榴弾のみで圧倒的な存在である戦車を破壊したと書いてあった。流石に私もフィクションだと思ったが・・・・だが、それだけではない。あの本だけがエックスに影響を与えたとは考えにくい。」

 

移動の最中、端末を取り出して図書館アーカイブへとアクセス。

 

類似作品がないかどうかを調べると一件の本が引っかかった。

 

名前こそ不明になっていたが著者は『ハル・エメリッヒ』と記載されていた。

 




チャフグレネードよりもスタングレネードばかり使ってた自分。
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