とある技師と神姫の物語   作:グレイ雪風

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chapter02

 午後7時、マンションのある部屋の玄関の扉が開いた。

「ただいま~」

 早苗とリッキィが、定期メンテナンス及び買い物から帰ってきた。彼女の左腕には、大きな紙バッグを下げていた。

「とりあえず、アイザックさんに似合いそうなのを選んでみたのですが────」

 リッキィがそこまで言って口をとめた。彼女が見た先には、ベッドで寝ているはずのアイザックがなにやらテーブルで作業していた。

「あ、アイザックさん!何しているんですか!?」

 リッキィは慌てて早苗の肩から飛び降り、アイザックの元へ駆け寄った。

「ちゃんと安静にしてないと───!?」

 リッキィはテーブルの上に置かれているものを見て驚いた。そこにあったのは神姫だった。型はアーンヴァルMk.Ⅱ型。その周りにはどこから出したのか、精密作業用の工具が何種類か散乱していた。少なくとも、家の中にあったのを勝手に使ったわけではないようだった。

「ああ、おかえり。すまないな、何時間も寝放しなのはあまりにも退屈だったものでな・・・」

「そんなことより、一体どうしたんですか!?その神姫は・・・」

 まだこの世界に来たばかりのアイザックが神姫を購入できるはずもなく、彼の手元に神姫があるのは不自然だった。

「ああ、実は装備の点検をした後、ベランダで外を眺めていたら、カラスが餌と間違えて運んできた神姫を偶然回収してな。故障しているようだったから、修理していたんだ。」

「回収って、ここ7階なのにどうやってその神姫を回収したの?」

 後ろにいた早苗がアイザックに訊いた。

「カラスが相手と争って落としたところを、コイツで引き寄せたんだ。」

 そう言ってアイザックはキネシスで工具の一つを空中に浮かせて見せた。

「凄い・・・こんなものがあるなんて、アイザックさんのいた時代はどれだけ技術進歩しているんですか?」

「残念ね・・・私もその光景が見たかったわ。」

 キネシス・モジュールの機能に感心しているリッキィと、盲目であるためにその光景を見れず残念に思う早苗とは裏腹に、アイザックはこの装置がMarkerの技術で作られたものだと思うと、それを堂々と自慢する気にもなれなかった。

「それにしても、大分損傷が酷いですね。この神姫。」

 リッキィは横たわる神姫に近づきながら言った。

 その神姫は全パーツが繋がってはいたものの、手足を中心に傷だらけだった。酷く汚れていたのか、近くに置いてあった布は真っ黒だった。

「故障していた箇所は、他の無事な箇所の構造を頼りに修復した。だが、起動の仕方が分からないんだ。」

「えっ、修復したんですか!?神姫を扱ったことも無いのに・・・」

「ああ、故障していたのが部分的で、殆ど手足の片方ずつなのが幸いだったよ。」

「それにしても凄すぎるわ。あなた何者?」

「何。俺は、ただのエンジニアだ。」

 だが、彼の技術力はエンジニアの領域を超えていた。

「まあ、とにかく。各パーツの修理が出来ているのでしたら、あとは修理用データを転送して再起動するだけで良いと思いますよ。」

 

 

 早苗が自分のパソコンを出して、それに神姫を繋いでアーンヴァルMk.Ⅱの修理用データを転送した。

「CSCに異常なければ、これで動く筈よ。」

 早苗はそう言って実行ボタンを押した。

 神姫へデータの転送が開始された。数秒後にゲージが100%を示し、転送が完了した。しかし、神姫はピクリとも動かない。

「どうかしら?」

「駄目ですね・・・やっぱりちゃんと修理に出さないと無理みたいですね。」

「そうか・・・」

 アイザックは少し残念そうに言った。

「さあ、アイザックさんはおとなしく寝て下さい。ただでさえ重傷を負ってるんですから。」

「あ、ああ。・・・!?」

 アイザックがベッドに戻ろうとした時、彼は急に動かなくなった。

「どうしたんですか、アイザックさん?」

 驚いた表情である一点を見たまま動かないアイザックに、リッキィは不自然そうに尋ねた。やがて彼が見ている方を向くと、すぐにその理由を理解した。

 早苗のパソコンに繋がれた神姫が動いていたのだ。

「わっ!・・・さ、早苗さん!・・・動きました!アーンヴァル型の神姫さんが動きましたよ!」

「本当!?」

 早苗は嬉しそうに言った。

 アーンヴァル型の神姫がゆっくりと立ち上がる。

「FRONT LINE製 天使型アーンヴァルMk.Ⅱ、起動します。」

 そう言うと、神姫はアイザックの方を向いた。

「初めまして、マスター。」

「マスター?・・・俺のことか!?」

「そうですよ、アイザックさん。彼女はアイザックさんが直したんですから。」

 リッキィは戸惑うアイザックに言った。

「マスター、私に名前を付けて下さい。」

「名前・・・そうだな。」

 アイザックは考え込んだ。

 最初、恋人のニコルかエリーの名前を使おうかと思ったが、それでは2人に申し訳がない上、恋人をどちらとも守れなかった自分の無力さに心が痛みそうだったのでそれは却下した。

「名前・・・か・・・」

 神姫はずっとこちらを見ている。

 アイザックは、ふと月を背景に神姫がカラスから落ちた時のことを思い出した。

「そうだ・・・ルナ・・・君の名前はルナだ。」

 アイザックは神姫を見て言った。

「ルナ・・・良い名前ですね。」

「ええ。私もそう思うわ。」

 リッキィと早苗はその名前に賛成のようだ。

「ルナ・・・名前を認識、登録しました。私はあなたのパートナーとして、神姫の務めを果たしていくことを誓います。これからどうぞよろしくお願いします。」

 ルナはアイザックに礼をする。

「あ、ああ。こちらこそ、よろしく。」

 アイザックは少し慌てて礼をする。

「良かったですね。ここに来て早々、自分の神姫が手に入って。」

「そうね。きっと、良いパートナーになるわ。」

 ルナとアイザックの様子を見ながら2人はそう言った。

 

 

 それからしばらくの間、アイザックは殆どベッドに寝込む生活を送った。ルナを修理した次の日に傷口が開いてしまい、そのこともあって行動を制限されていた。

 まだ点検していない装備もあるので、アイザックは早く傷を治して、武器の整備をしたかった。

「マスター、お食事を持って参りました。」

 ルナがサンドイッチを乗せた皿と水の入ったコップをトレイに乗せて、アイザックの元へ運んだ。

「ありがとう、ルナ。」

 ルナはと言えば、リッキィと共にアイザックの看病と早苗の介護をしていた。最初は分からないことだらけで何もできなかったが、すぐに色んな知識を習得していき、今は1人でもアイザックの看病ができるようになっていた。

 アイザックはルナが運んできたサンドイッチを食べた。相変わらず旨かった。

 現在は早苗が使用していなかった部屋をアイザック用に与えられており、家具もある程度揃ってきていた。

 アイザックは、端末を自分で自作した金具で取り付けたキネシスで引き寄せ、神姫に関する情報を見た。傷が癒えた時に、彼女のマスターとして神姫のことを理解しておく為に。

 そんな生活が2ヶ月続き、アイザックはようやく傷が完治し、自由に動けるようになった。

「さて、アイザックさんが回復したことですし、早速、神姫ショップに行きましょうか!」

「そうね。せっかく神姫を持ったんだし、その方が良いわね。」

 リッキィが出した提案に、早苗も賛成した。

「神姫ショップ?・・・武装でも買うのか?」

 アイザックは2人に尋ねた。

「ええ。それもあるけど、その前にやることがあるわ。」

「やること?」

「マスターの登録よ。」

 

 

 アイザックと早苗、そしてリッキィとルナの4人は街中に位置する神姫ショップに向かった。

 中は神姫に関する商品がぎっしり並んでいた。

「いらっしゃい。今日は何の御用かな?」

 レジカウンターにいた店員が4人を出迎える。

「いえ、今日は彼のね・・・」

 店員はアイザックの方を見る。

「ここらじゃ見ない顔だね・・・ここに来るのは初めてかい?」

「ああ。」

「じゃあ、マスター登録もまだしてないんだね?」

「ああ、そのマスター登録をしにここへ来たんだが・・・」

「なら、そこの機械に手を置いて、お客さんの名前を教えてもらえるかな?」

 アイザックは言われた通りに、青白く発光している機械の上に手を置いた。すると、認証を知らせる音が鳴った。

 それから、店員に自分の名前を教えた。

「・・・アイザック・クラークさんだね。あとは、神姫ポイントを・・・」

 店員はそう言って端末を操作する。

「よし、マスター登録完了だ。これでこのショップでの買い物やゲームセンターでのバトル、神姫センターで大会に参加できる。さて、まずは神姫を手に入れなくちゃね。買い物はさっき登録した神姫ポイントを・・・」

「ああ、それなら心配ない。神姫なら持っている。」

「その神姫かい?それを使うなら修理しないと無理だね。」

 店員はアイザックの肩に乗っているルナを見て言った。

「これじゃ駄目なのか?内部機構の修理はしてあるんだが・・・」

「確かにその様だけど、神姫バトルするにはちゃんとした修理に出さないと駄目だね。特にこれだと、内部がしっかりしてても、バトル中に外装が破損する危険性があるからね・・・」

「なら仕方ないわね。修理代は私が出すから、あなたはその間に武装を選ぶと良いわ。」

「ああ、すまない。ちなみに、修理はどれくらいかかるんだ?」

 アイザックは店員に修理に要する時間を訊いた。

「殆ど手足の交換だけで済みそうだから、大体30分くらいだと思うよ。」

「分かった。じゃあ、修理を頼む。」

「ええ、新品同然に修理して、お返ししますよ。」

 アイザックはルナを店員に預けると、リッキィと共に店内を見回った。ライフルやソード、ハンマーやビットなど数々の武装があり、その他にも、アーマーやブースター、アクセサリーなどもあった。

「アイザックさん、こういうのはどうでしょう?」

 リッキィが指した先にはレーザー・ソードと呼ばれるものがあった。アイザックはその箱を手に取る。確かに攻撃力が高そうな武器だったが、大きい分、扱いにくそうに見えた。

 今度は銃のコーナーにあったアーンヴァルMk.Ⅱ用のハンドガンを見た。これは連射が効く上に小型なので、非常に使い勝手が良さそうだったが、一発の威力が低いので、あまり相手にダメージを与えられない。

 アイザックはブースターも幾つか見たが、武装や修理キットを買うことを考えると、登録仕立ての3000ポイントでは足りないので、そちらはいずれバトルである程度ポイントを貯めた後にすることにした。

 結局、悩んだ末、アイザックは先ほど見ていたレーザー・ソードとハンドガンを2丁、それにアーンヴァルMk.Ⅱ用のユニコーン仕様のアーマーと応急修理キットを購入した。

 アイザックが買い物を終えた頃には、既にルナの修理も終わっていた。ルナは全身ピカピカの状態だった。

「あ、マスター!」

 ルナはアイザックを見つけると、彼の体に飛びついてきた。

「やあ、ルナ。すっかり綺麗になったな。」

 ルナがアイザックの元へ戻ると、リッキィは早苗の方へ戻った。

「マスター。それ、私の武装ですか?」

 ルナは、アイザックが持っている紙袋を見て訊いた。

「ああ。最初だから今回はあまりまともな装備は買えなかったが、またそのうちもっと良いヤツを買うから、今はひとまずこれで我慢してくれ。」

 アイザックは早速、バトルをしにゲームセンターへ向かうことにしたが、早苗は用事を思い出したと言って神姫ショップにリッキィと共に残った。

 用事が済んだらすぐにそちらに向かうと言っていたので、アイザックとルナは先にゲームセンターへ向かった。

 

 

 

 目当てのゲームセンターに無事に到着はしたのだが、ちょうどそこには上級者のマスターしかおらず、初心者のアイザックは誰にも相手にされそうに無かった。

 ゲーム台が空いたので、それの前に立ったが誰もアイザックにバトルを申し込む気配は無かった。

「誰も申し込んで来ませんね・・・」

「ああ、タイミングが悪かったようだな。」

 アイザックは諦めてその場を立ち去ろうとした時だった。

彼の元に1人の少年が歩み寄ってきた。見たところ、中学生か高校生のようだ。

「対戦相手、居ないんですか?」

「あ、ああ・・・おじさん、まだ初心者でね。」

「良かったら、僕がお相手しましょうか?」

「良いのか?」

「ええ、僕で良ければ。」

 アイザックはお言葉に甘えて、彼と対戦することにした。

「よろしくお願いします!」

「こちらこそ、よろしく頼む。」

 お互いの神姫が赤い円の上に降り立つと、その円が沈んで、機械の中に入っていった。

「この後はどうすればいいんだ?」

 アイザックは向かい側にいる少年に尋ねた。

「このヘッドギアを頭に付けて、ライド・オンするだけですよ。」

 画面に"RIDE ON"という表示が出たと同時に、2人はそのヘッドギアを頭に装着した。

 このヘッドギアは、正式名称をライドギアと言い、これを装着することにより、マスターと神姫の視覚や聴覚、思考や動作を同調して一体化させることができる。これで神姫バトルを行うのだ。

 相手の神姫はルナと同じアーンヴァル型で、ヘッドパーツ以外はフルアームズ装備だった。

<READY GO!>

 それと同時にゲームがスタートした。

 相手の神姫が先に攻撃を仕掛けてきた。レーザー・ソードを手に取り、ルナに切りかかる。ルナもそれに対抗して、レーザー・ソードで受け止める。

 ルナの方にブースターが無い分力押しされたが、相手のレーザー・ソードを弾き返して離脱し、すれ違いざまにハンドガンで撃つ作戦に出た。数発は命中したが、半分以上は避けられてしまった。

 ルナは地面をレーザー・ソードで切り、砂埃を立たせた。

「その手には乗りません!」

 相手の神姫がレーザー・ソードで砂埃を切り裂き、ルナを攻撃しようとしたが、そこには誰も居なかった。

「どこに・・・」

 その神姫は上に気配を感じて、後方に避けた。さっきまで神姫が居た場所に、ルナが降り立つ。彼女は、砂埃を切り裂かれると同時に、上へジャンプしていたのだ。

 相手の神姫は、透かさずルナに攻撃を仕掛けてきた。

 ルナは相手に切りつけられる寸前の所で左に転がりながら回避し、その途中で相手のレーザー・ソードをハンドガンで右手から弾いた。

 相手の神姫は直ぐに武器をロングレーザーライフルに持ち替えた。

 ルナはロングレーザーライフルの砲撃をレーザー・ソードで防いだ。ソードが爆発する前に、ルナはそれから手を離す。

 相手のロングレーザーライフルのチャージが完了する前に急速接近して、ライトセイバーでライフルを破壊する。

 相手の神姫は、一旦距離を置いて、弾き飛ばされたレーザー・ソードの代わりにライトセイバーでルナに対抗する。

「なかなかやりますね。」

 相手の神姫がルナに言う。

「当然です。今、私とマスターはひとつになっているんですから!」

 今、アイザックとルナのシンクロ率は、初戦でありながら高い数値を出していた。

 2人がお互いに後方へ下がると、相手の神姫の方が背中のバックパックの主翼にマウントしていたビットを展開し、ルナに向けて攻撃を仕掛けた。

 ルナは武装をライトセイバーからハンドガンに持ち替えた。最初に何発かダメージを受けたが、相手のビットは2機とも彼女の手により破壊された。

 ルナがビットに気が向いている隙を狙い、相手の神姫はルナのハンドガンをライトセイバーで破壊した。だが、ルナが左手にライトセイバーを握っていたことに遅れて気づき、相手の神姫は彼女の攻撃を直撃で食らった。

 時間はいつの間にか1分を切っていた。

「時間がない、一気に決めるぞ!」

 相手のマスターが神姫に言う。

「はい!」

 それと同時に、相手の神姫のバックパックが分離して、ラファールと呼ばれる形態に変形した。

「これこそ、天翔ける天使の騎馬、グランニューレ!」

 ラファールの上に神姫が飛び乗り、ルナに向かって突撃してきた。これをまともに食らえば、まだレベルが低いルナは一撃で倒されるだろう。

 しかし、ルナはラファールに衝突するすんでのところで右に回避した。

「そんな・・・!」

 相手の神姫が見た先には、ルナが隠し持っていたもうひとつのハンドガンをこちらに向ける姿があった。

 彼女はルナの砲撃を受け、まだ殆ど減速していないラファールから転げ落ちた。

 ルナは、透かさずそこに落ちていた相手の神姫のレーザー・ソードを手に取ると、武器の出力を最大にした。そして、体勢を崩した神姫に向かって突進する。

「いっとーりょーだーん!!」

 ルナはその掛け声と同時にレーザー・ソードで相手の神姫を斬りつけた。

 

 

 

<WIN!>

 結果は、ルナの勝利だった。

「やりました!私、勝ちましたよ!マスター!」

 ルナは嬉しそうに、アイザックがいる方向を向いて叫んだ。

「ああ。よくやったな、ルナ。」

 アイザックはライドギアを外して、画面に映っているルナを見て言った。

「いい腕ですね。本当に初心者ですか?」

 ライドギアを外した相手のマスターがアイザックに尋ねた。

「ああ、神姫バトルっていうのをしたのもこれが初めてだし、試合中の動作も、ほぼ直感によるものだ。」

「そうなんですか・・・」

 相手のマスターは少し驚いているようだった。

「君だって、なかなかの腕だ。君とはまたバトルをしたいな・・・」

「すみません。残念ですけど、僕、明日には地球に帰らないといけませんので・・・」

「地球に帰る?」

 ちょうどその時に、ゲーム台の中からお互いの神姫が戻ってきた。

「はい。ここには、観光で来てましたので。」

「そうか・・・残念だな。」

「あなたは、このコロニーが出身なんですか?」

「あ、ああ。」

 本当は地球育ちだったが、この世界の地球にはまだ行ったことが無かった。さすがに未来から来た、異世界から来た、などと言うわけにはいかなかったので、ここで育ったことにした。

「それなら、いつか地球にも来て下さい。こっちにも、色々名所がありますし、そこでまた会えるかもしれませんので。」

「ああ、考えておくよ。」

 アイザックはこの世界の地球に興味があったので、いつか自分で稼げるようになったら、そうしようと思っていた。

「なあ、君の神姫の事なんだが・・・」

 アイザックは相手のマスターに尋ねる。

「?・・・何ですか?」

「そのヘッドパーツ、君が作ったのか?」

 相手のマスターの神姫がつけているヘッドパーツは、神姫ショップにも、メーカーの特注品にも無かったものだった。

「はい。僕が初めての神姫バトルで勝利したご褒美に、彼女に作ったものなんです。・・・渡す形は、あんまりよくありませんでしたが。」

「そんなことありませんよ。私はマスターにまた会えて嬉しかったですよ?私にとって、これは大事な御守りのようなものなんです。」

 神姫は自分のマスターからアイザックに向き直りながら言った。

「そうなのか・・・なるほど。」

「どうしたんですか?」

 彼は、アイザックが何かを思いついた表情をしたので、気になって尋ねた。

「いや、何でもないんだ。」

「あ。僕、そろそろ行かないと・・・」

「ああ、また会おう。」

「はい!」

 2人はお互いに手を振った。

 彼が入り口から出た直後、早苗とリッキィが店内に入ってきた。

「あ、居ました!・・・アイザックさーん!」

 リッキィは早苗を補助しつつ、アイザックに向かって叫んだ。

「2人共、随分遅かったな。」

「すみません。早苗さん、私の新しい武装を買おうとして・・・選ぶのにかなり時間を掛けてしまったんです。」

「2人も神姫バトルをやってるのか?」

「ええ、だから今からでも私達が───」

「いや、今日はやめておこう。ちょうどバトルを終えた所だしな。」

 早苗が話し終える前にアイザックは断った。

「そうなんですか。でも、今、ここにいるマスターって皆かなりの上級者ですよ?さすがに適わなかったんじゃ・・・」

「いや、初戦でありながら勝利したよ。相手もなかなかの腕だったが。」

「凄いですアイザックさん!私と早苗さんだって、最初は馴れてなくて、なかなか勝てなかったのに・・・」

 リッキィは驚いていた。早苗もそんなアイザックに感心している様子だった。

「凄いんですよ、マスターは!最初のバトルでいきなりシンクロ率がほぼ100%でした!」

 ルナは自慢げに言った。

「これはF1バトルで優勝するのもそんなに先の話じゃなさそうね。」

「早苗、何だ?そのF1バトルというのは・・・」

 アイザックは早苗に尋ねた。

「ある条件を満たすと出場できる大きな大会よ。優勝商品もあって、結構豪華なのよ。ただ、あなたの場合、F1バトルに出場するにはF3から優勝していく必要があるのだけど・・・」

「早苗さん、さすがにF1は無理だと思いますよ。何せ、あのF1チャンピオンだった葉月さんが倒されてから9年間、未だに彼を超えた人はいないんですよ?」

「どうかしらね?この調子で行けば、彼を超えるのも夢じゃないと思うけれど・・・」

 リッキィは早苗にそう言ったが、彼女はアイザックを高く評価しているようだった。

 




 大分投稿が遅れてしまいました。
 何かおかしい表現、誤字等ございましたらコメントで指摘して頂ければ幸いです。
 今後もよろしくお願いします!
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