とある技師と神姫の物語   作:グレイ雪風

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chapter07

 

 アイザック達を乗せた武装車両がしばらく国道を走り、途中のインターで降りると、彼らがいた街同様、荒廃した街の中へ進んでいった。

 周囲には、無惨に破壊された車や、人間の死体が転がっていた。その中には、ネクロモーフも混じっていた。

 そんな中を進み続けると、大きな壁が見えてきた。ここが、コロニーの最先端で、コロニー管理施設の入り口だった。この先を進めば、脱出用のシャトルがあるはずである。

 しかし、本来はセンサーが自動で接近してくるものを感知し、相手の車両の端末に通行手続きを要請してくる筈だったが、その要請が来る気配もなく、扉は閉じたままで、何より静かだった。

「おかしいな・・・機械の故障か?」

 神宮司は、両腕を組んでいつまで経っても通行手続きの要請が来ない事に苛立ちを少々見せながら言った。

「あるいは、システムが全部丸ごとダウンしてるかもしれないな。だとすれば、もうこの中には生存者が居ないという事にもなる。」

 アイザックは席を立ちながら言った。

 それはつまり、この中は既にネクロモーフで汚染されている可能性も考えられた。あるいは、単に先に避難してきた生存者達がネクロモーフが入ってこないように、扉を全て閉じてロックをかけ、システムを全てダウンさせたという可能性もある。だが、どちらにしても、この施設がどれだけ防犯対策がされているか分からなかったので、場合によってはネクロモーフが通気口などを通って内部に侵入し、中にいる生存者達は皆殺された可能性が高い。

「おい、どこへ行くんだ?」

 神宮司は、席を離れるアイザックに訊いた。

「直接、開けられないか見てくる。」

「直接って、システムを通しての手続き以外にはここのIDが必要だぞ。・・・壊すなんてとてもじゃないが無理だ。」

 コロニー管理施設の扉は頑丈に作られており、核爆弾でも無い限りは破壊するなど不可能だった。

「扉を壊したりはしない・・・後で閉められなくなる。ただ、ちょっと電子回路をイジるけどな。」

 そう言ってアイザックは操縦室から出て行った。神宮司はわけも分からず、アイザックの後を追った。

 

 

 

 車両の外に出ると、吹き付ける風の音が妙に大きく聞こえた。それだけ周りが静かだということだった。

 アイザックは、巨大な扉に向かって歩き出した。アイザックに続き、神宮司とカーヴァーが車両から出てきた。カーヴァーは神宮司の話を聞きつけ、彼が心配だからと言って一緒についてきたのだ。

「それで?どうやってこの扉を開けるつもりだ、アイザック。」

 神宮司は拳銃を手に、辺りを警戒しながら尋ねた。

「見てれば分かる。」

「おいおい、"開け胡麻"なんて言ったって開きはしないぞ?」

 そう言っている神宮司を余所に、アイザックは壁面のカバーの部分に触れた。

 すると、そのカバーを力ずくで引き剥がした。アイザックは剥がしたカバーを近くに置くと、両腕を中の基盤の方へと突っ込んだ。

「お、おい!何をやってるんだ!?」

 神宮司は慌てて止めようとしたが、カーヴァーによって引き止められた。

「いいから見てろ。」

 アイザックは、基盤から火花を散らしながら回路の配線を繋ぎ換えていった。少しして、アイザックが一番大きな火花を散らして配線を繋ぐと、閉じていた扉がゆっくりと開き始めた。

「信じられないな・・・アイツは何者なんだ、一体・・・」

 神宮司は、驚いた表情で開いていく扉を見ながらそう呟いた。

「エンジニア、だとよ。流石に、それ以上は俺にも分からん。専門外だからな。」

 カーヴァーは、神宮司の疑問に答えた。だが、神宮司はアイザックのしたことが未だに信じられないでいた。何よりも、こんな強引な方法で回路を組み替えるエンジニアなど見たことがなかった。

「開いたぞ、急いで中に・・・っ!?」

 アイザックは、神宮司とカーヴァーの方へ振り向いてそう言い掛けると、その背後に何かが近づいてくるのを認識した。ネクロモーフの大群だった。

 神宮司は何が起きたのか分からないでいたが、カーヴァーはいち早く状況を察し、武装車両の方へ叫んだ。

「敵襲だ!俺達が奴らの足留めをする。誰か代わりに操縦を頼む!」

「わかりました!」

 応じたのは、穂波だった。

 カーヴァーは、ヘルメットを展開しながらサブマシンガンとグレネードランチャーを組み合わせた銃を構え、射撃を始めた。遅れて状況に気づいた神宮司も、拳銃を手にネクロモーフへ発砲した。

「扉が完全に開いたら、直ぐに発進してくれ!」

 アイザックは、穂波に向かってそう伝えると、RIGの収納スペースからパルスライフルとフォースガンを組み合わせた銃を取り出し、ヘルメットを展開すると、ネクロモーフの掃討に取りかかった。

 ネクロモーフの大群はおよそ800体以上もおり、とても3人だけで手に負える数ではなかった。

 3人は、何とか生存者を乗せた武装車両が施設内に入る時間を稼ごうと、必死で戦った。かなり接近してきたネクロモーフを、アイザックがフォースガンで吹き飛ばし、カーヴァーがグレネードランチャーで密集しているネクロモーフを一掃した。

 そんな中、一番威力の低い旧型の拳銃で戦っている神宮司は、殆どネクロモーフにダメージを与えられずにいた。運が悪いことに、大群の殆どがスーパースラッシャーと呼ばれる強化型のネクロモーフだった。

 そんな装備で必死に応戦している神宮司が、いち早く弾切れを起こした。

「っ!?・・・弾が・・・」

 その時、大群のうちの1体が神宮司に向けて飛びかかってきた。アイザックとカーヴァーは、応戦するのに必死で、神宮司の手助けをすることができなかった。

 もはやこれまでかと、神宮司が思ったその時、眩い光と轟音と共にネクロモーフが別の方向へ吹き飛ばされた。

「ご無事ですか、マスター!?」

 ネクロモーフを撃ったのは、アトラだった。左腕に構えているロングレーザーライフルの銃口からは、白い煙が出ていた。

「ああ、助かったよ。」

 神宮司が礼を言っていると、武装車両の方からさらに2体、飛んでくる機影が見えた。1体はルナ、もう1体はベレッタだった。

「加勢します、マスター!!」

「無事か、マスター!?」

 2体はそう言いながら、ルナはアイザック特製のプラズマカッターで、ベレッタはアサルトライフルと大型のマグナムでネクロモーフを掃討し始めた。

「ルナ!」

「ベレッタ!」

 アイザックとカーヴァーは、ほぼ同時にそう叫んだ。だが、ネクロモーフの大群の勢いは止まらない。話をしている暇はなかった。

 2人は、ネクロモーフの足止めに意識を戻し、再び銃を構えた。

 アイザック達が足止めをしている間に、扉は完全に開いていた。シャトルの格納庫へ続く通路の扉も、アイザックのハッキングにより、全て開いていた。

「扉が完全に開きました!あなた方も早く!」

 操縦席に収まった穂波が、アイザック達に大声で呼びかけた。

「先に行っててくれ!俺たちも、後で格納庫へ向かう!」

 神宮司がそう叫んだ、その時だった。扉の奥からさらに80体ほどのネクロモーフがこちらに向かっているのを、穂波が確認した。

「け、警部!施設側からも、ネクロモーフの大群がこちらに向かって来ています!」

 穂波は、パニックになりながら神宮司に叫んだ。

「何!?施設内からも!?」

 神宮司は、マズいなと思った。何故なら、今、自分達はネクロモーフに囲まれているということになるからだ。これでは逃げ場がない。

「穂波、施設側にいるネクロモーフの数はどれくらいだ!?」

 真っ先に口を開いたのはカーヴァーだった。

「えっと、目視で確認できる限りでは、80体くらいです。」

 今、アイザック達が相手しているネクロモーフの大群に比べれば、明らかにそちらの方が少なかった。

「穂波、そのまま突っ込め。」

「えぇ!?」

 穂波は、思いも寄らぬ指示を受け、耳を疑った。

「張り付いてきたネクロモーフは、俺が撃ち落とす。俺とベレッタが車両の上に登ったら、直ぐに発進してくれ!」

 カーヴァーは、そう言いながら武装車両へ近づくと、神宮司の方を向いた。

「神宮司、これを使え!」

 そう言って何かを神宮司に投げ渡した。神宮司は、慌ててそれをキャッチして受け取った。

 投げ渡されたのは、拳銃だった。だが、普通の拳銃とは違い、銃口が縦に細長く、上面のスライドが前後の2つのパーツに分かれていた。

「これは?」

 神宮司が訊く。

「惑星警察制式拳銃だ!使い方は、この世界の拳銃とさほど変わらない。あんたでも使える筈だ!」

 カーヴァーはそれだけ言うと、武装車両の上へよじ登っていった。彼とベレッタが上面に来た瞬間、武装車両は直ぐに施設内へ走り去った。

「アイザック、お前は扉を閉めてくれ。足止めは俺たちでする。」

 神宮司は、カーヴァーに渡された惑星警察制式拳銃を構えながらアイザックに言った。

 アイザックは、特に口論もせず、真っ先に基盤の方へ走っていった。

 その間に神宮司は、ルナとアトラと共に時間を稼ぐべく、ネクロモーフの大群に立ち向かった。カーヴァーから授かった惑星警察制式拳銃の後方の白いスライドを手前に引き、初弾を装填した。そして、銃口をネクロモーフに向け、引き金を引いた。細長い銃口から発射された青白いエネルギー弾が、ネクロモーフの身体に命中する。威力はそれほど強くはないが、先ほどまで使用していた拳銃に比べれば、大分攻撃力があった。

 神宮司は、アイザックやカーヴァーに教えられたとおりに、まずは片足を攻撃して歩行能力を奪い、次に両腕を吹き飛ばした。これによって、ネクロモーフは行動不能になるのだ。

「閉鎖を開始した。早く施設の中へ入るんだ!」

 アイザックは、足止めをしている神宮司達に叫んだ。

 神宮司達はすかさず、閉まり始める扉へ向かった。入り口を潜ると、ネクロモーフが入ってこないように、扉が閉まるまで大群を攻撃した。

 扉が完全に閉まると、奥で扉を叩く音が聞こえ始めた。

「おい、こっちの扉も閉まってるぞ。」

 神宮司は奥の通路を指しながら言った。これから向かうべき通路は、隔壁で塞がれていた。

「大丈夫だ。ちょっと遠回りになるが・・・」

 そう言ってアイザックは、ロケーターでルートを確認した。青白いレーザーは、端にある小さな扉を示していた。どうやらアイザックは、この事態を想定していた様子だった。

「行こう。」

 アイザックがそう言うと、彼を先頭に4人は扉の中へ入っていった。

 

 

 

 狭い通路をしばらく進むと、エアロックの入り口が並ぶロビーに出た。そこには誰もおらず、特に荒らされた痕跡も無かった。

≪───っ・・・アイザック・・・アイザック、聞こえるか?応答しろ!!≫

 突然、RIGの通信機からカーヴァーの声が響いた。

「こちらアイザック、聞こえてるよ。神宮司達も皆、無事だ。そっちはどうだ?」

 アイザックは、応答してからカーヴァーの状況を訊いた。

≪ああ、乗組員は全員無事だ。今は目的地である格納庫にたどり着いて、生存者達を脱出用のシャトルに乗せているところだ。お前らも早く来いよ。≫

「分かった。ロケーターでルートを確認したら、直ぐにそっちに────」

 アイザックがそこまで言い掛けたその時、大きな窓から見える”あるもの”に目が止まった。彼が見た先には、コロニーの5分の1ほどはあるのではないかと言えるほど巨大な宇宙船が、エアロックの1つに接舷されていた。

≪おい、どうしたアイザック?≫

「石村・・・」

 アイザックは、接舷されている艦の名前を言った。その艦は、彼の運命を大きく変えた、全ての始まりの場所でもあった。

≪・・・はぁ?≫

「石村だ・・・USG石村が、エアロックの1つに接舷されている。」

≪何だと!?・・・USG石村は、タイタンステーションごと宇宙の埃になったんじゃないのか?≫

 カーヴァーは、アイザックから聞かされたことが信じられずにいた。何故なら、USG石村はアイザックと共にタイタンステーションに回収され、その後、リアクターコアの暴発によりタイタンステーションと共に破壊された、と報告にあったからだ。タイタンステーション消滅後の調査によれば、残骸すら残ってなかったらしい。

「ああ、その通りだ。だが事実として、今ここにあるんだ。USG石村が。」

≪どうなってるんだ、一体・・・≫

「もしかしたら、俺達と同じようにしてタイタンステーションが爆発する前にこの世界に飛ばされたのかもしれない。とにかく、一旦そっちに合流後、俺は石村に向かおうと思う。」

「おい、何言ってるんだ!?合流後、お前も一緒にここを脱出するんだ!」

 異議を唱えたのは神宮司だった。

「いや、みんなは先に脱出して、安全域で待機しててくれ。ある程度の距離なら、自力で飛んでいける。」

「駄目だ、ここもいずれはネクロモーフ共で埋め尽くされる。そんな危険な場所に、お前を置いていくことは出来ない!」

「あの艦に・・・石村に、Markerがある可能性があるんだ。」

≪分かった。神宮司をシャトルに乗せ次第、俺と一緒に石村へ潜入しよう。≫

 会話を聞いていたカーヴァーがそう言って了承した。

「おい待て、今はここから生きて出ることが最優先事項だ。ろくに装備を持たず、そんな真似は────」

 神宮司は、なおも抗議した。現状の戦力は、アイザックとカーヴァー、それに特殊部隊の隊員が4人に、射撃に自信のある神宮司の7人で、あとは、ルナとベレッタ、それにアトラが居るくらいだった。穂波は戦闘の経験が浅い上に、彼女の神姫であるアニーも、周りの神姫に比べ、戦闘経験は低かった。早苗の神姫のリッキィも、ある程度バトルで経験を積んではいたものの、武装がアサルトナイフとマグナム銃のみと心許なかった。たったこれだけの人数で大量のネクロモーフを相手にするには、あまりにも戦力が不足していた。そのため、神宮司は一旦退いて、戦力を整えた状態でネクロモーフの殲滅及びMarkerの破壊を行った方が良いと考えていた。

≪確かに万全な状態で戦いに挑むのは効率的だ。だが神宮司、Markerやネクロモーフは、お前が思ってる以上に侵食が早い。少しでも放っておけば、さらに深刻な事態になるかもしれないんだ。それに、奴らとの戦闘経験が無い連中をいくら集めたって、ただ全滅するだけだ。俺達と一緒にいた特殊部隊の隊員だって、半分以上が死んだだろ?だから今、俺とアイザックの手で発信源のMarkerを破壊し、このコロニーにいるネクロモーフを止めるしかないんだ。そうすれば、全てが終わる。≫

 カーヴァーは、神宮司を説得しようと試みた。神宮司が言うように、まともな準備もせずに戦いに挑むのは無謀だった。だが、Markerやネクロモーフは手を休めない。こうしている内にも、Markerがさらに勢力を上げ、ネクロモーフも新たな形態へと変貌してさらに事態が悪化する危険があった。そうなってしまえば、人類がいくら戦力を集めたところで、勝機はない。さらに言えば、ネクロモーフには弱点と言える器官が存在しない為、行動不能にできても、完全に殺すことはできない。だが、それを知らない人間が戦った所で、ただ犠牲者が増えるだけだった。その証拠に、警察組織の人間の内、神宮司で穂波、そしてカーヴァーと神姫が3人、それに僅か4人の特殊部隊の隊員しか生き残れなかった。

 神宮司が、アイザックとカーヴァーの意見を尊重すべきか悩みだした、その時だった。

「カーヴァー、どうやら手段を選んでいる余裕は無さそうだ。」

 アイザックはそう言いながら合成した銃を構えた。カーヴァー達がいる格納庫へ続く通路から、大量のネクロモーフがこちらに向かっていた。

「神宮司、走るぞ!」

 アイザックは、神宮司に手で合図しながら反対側の通路へ走った。

 しばらく進むと、左側にエアロックの入り口が見えた。そこは、石村が接舷されている場所だった。前方からも、ネクロモーフの大群が迫っていた。こうなってしまっては、もう神宮司を一緒に石村へ連れて行くしかなかった。

「神宮司、エアロックの奥へ進め!俺が足止めをする!」

 アイザックは銃を構えながら神宮司に言った。

「分かった。行くぞ、アトラ!」

 神宮司は直ぐにエアロックの中へ進んだ。もう、ここを進む以外に手段は無かった。

「マスターも早く中へ!」

 ルナは、エアロックの入り口からアイザックにそう呼びかける。

 アイザックは、3人がエアロックに入ったことを確認すると、下のコンタクトビームでネクロモーフを転倒させ、素早くエアロックに入って扉を閉めた。

 

 

 

 エアロックの中は、一面が血の海だった。床には、小さな衣類や肉体の残骸らしきものが散らばっていた。

 その中に、四角い端末が混じっていた。アイザックは、その端末を手に取り、記録されていた音声ログを再生した。

≪...私は、コロニー管理施設の最高責任者の天田文隆。我々は今から3年前に、土星付近で謎の宇宙船を発見した。...その宇宙船は信じられないほど巨大で、現代では実現不可能なオーバーテクノロジーで造られていた。我々は、その宇宙船を詳しく調査するために地球圏まで移送...しようとしたのだが、その間に2度、牽引していた艦の乗組員全員が謎の死を遂げるという事態が発生した。...原因は不明、自ら命を絶った者もいれば、不自然な死に方をした者もいた。様々な妨害にぶつかりながらも、我々はこのコロニーまであの宇宙船を移送することに成功した。だが、宇宙船をコロニーに接舷した後、調査のために船内へ向かった調査隊と連絡が取れなくなった。我々は、船内で何らかのトラブルが発生したのだと思い、応援及び救助隊を送った。・・・そしてまた、その応援及び救助隊とも連絡が取れなくなった。社員の間では、これ以上の捜索は危険だ、直ぐに調査を中止すべきだ、という声も上がり始めていた。しかし、私は愚かにも、宇宙船の調査を中断しなかった。あの艦のことを、もっと知りたいが為に・・・そして、とうとう従業員は1人も居なくなり、先ほどまで側にいた助手も、今や私の命を狙う化け物に変質しつつある。もし、このメッセージを誰かが聴いたのなら、コロニー管理施設の従業員の遺族の方々に、私の身勝手により、大切な家族を死なせてしまい本当に申し訳ありませんでした、と伝えて欲しい。...最も、詫びたところで許される話では無────≫

 ログはそこで終わっていた。

 アイザックは、端末をRIGにしまうと、神宮司の方を向いた。

「神宮司、ここから先は今までとは比べ物にならない程、危険な場所だ。俺から絶対に離れるなよ。」

「そんなことは百も承知だよ、アイザック。」

 神宮司は、アイザックに言う。すると、アイザックは急に視線を落とした。

「・・・すまない。本来はお前達を巻き込むつもりは無かったんだが、こんなことになってしまって────」

「何を言ってるんだ?ネクロモーフが街に出現した時点で、俺達はとっくに巻き込まれてるよ。別に謝ることはない。」

「神宮司・・・」

「たとえここに入るのを頑なに拒んだところで、逃げ場はないんだし、それに、俺はお前の手助けをしてやりたい。これだけ困難なことをお前1人でやるよりも、誰かと2人でやった方が心強いだろ?もしお前が困難に陥った時に、俺が何かしらサポートすることくらいはできる。だからアイザック、何もかも全部1人で抱え込むな。俺にも、お前の手伝いをさせてくれ。」

 アイザックは、神宮司がそう言ってから少し間を置いて口を開いた。

「ありがとう、神宮司。だが、2人じゃないだろ?」

「?」

 神宮司は、アイザックの言った意味を直ぐに理解できなかった。

「酷いですよ、マスター!私とルナさんは、人数に入ってないんですか?」

「っ!?・・・あ、すまない。別にそんなつもりは・・・」

 神宮司は、アトラに言われてようやく意味を理解した。アイザックが言いたかったのは、単にルナとアトラが人数に入ってなかったという事だった。

「とにかく、先を進もう。エアロックの隔壁がいつまで保つか分からないしな。」

 アイザックはそう言って、RIGからプラズマカッターを取り出した。

「全員、準備はいいな?奴らは、扉の反対側で待ちかまえている可能性がある。いつでも撃てるようにしてくれ。」

 全員が頷くと、アイザックは隔壁を開けた。

 扉の奥には、無惨な死体が幾つも転がっており、エアロック同様、通路一面が血の海だった。

 さらに奥の扉を開くと、小さなゴンドラのようなものがあった。アイザックはそれに迷いなく乗り込む。

「それに乗るのか?」

 神宮司は、ゴンドラに乗るのに戸惑いながらアイザックに訊いた。

「もちろんだ。ここからは、このゴンドラを使わないと先へ進めない。」

 アイザックがそう言うと、神宮司は恐る恐るゴンドラに乗った。

「しっかり掴まっててくれ。」

 アイザックは、自分の肩にいるルナと、神宮司とその肩にいるアトラにそう呼びかけると、ゴンドラを発進させた。アイザック達を乗せたゴンドラはゆっくりと加速し、薄暗い通路を高速で走っていった。通路は暗いだけではなく、霧のようなものが立ちこめていた為視界が悪く、床の両端で光るライト以外はほとんど何も見えなかった。

 進んでる間に何かが飛んでくるんじゃないかと神宮司が警戒していたが、何事もなくゴンドラは終点に到着した。

 アイザック達はゴンドラを降りると、目の前にある仮設と思われる入り口へ進んだ。入り口の奥は、周りがビニールシートで覆われたトンネルだった。通路の所々に、何らかの機械が置かれていた。

「変わってないな・・・」

 と、アイザックが呟いた。

「?・・・何か言ったか?」

「変わってないんだ、タイタン・ステーションに接舷されていた当時と。」

 アイザックは、神宮司に答えた。石村の船内は、所々に死体転がっていることや夥しい血痕があることを除けば、アイザックがタイタン・ステーションにいた時から特に変化が無かった。

「一体、ここで何が────」

 神宮司がトンネルの周りを見回しながらそこまで言い掛けた時だった。

───ハチロー・・・

 突然、自分をそのように呼ぶ声が聞こえた。

「っ!?」

 神宮司は、思わず立ち止まった。だが、周囲にはアイザックとルナ、それにアトラと自分しかいなかった。とてもでは無いが、ネクロモーフが言ったとは考えられなかった。

「どうしたんですか、マスター?」

 突然立ち止まって辺りを見回す神宮司に、アトラが尋ねてきた。

「あ、いや・・・誰か、俺の名前を呼んだか?」

「いえ、私は呼んでいませんが・・・」

 アトラは、アイザックとルナの方を見て言った。2人も呼んでいない様子だった。

「そうか・・・なら、いいんだ。」

 神宮司は、そう言って再び歩き出した。だが、その間も自分を呼んだ声の主のことを考えた。

 あの時自分を呼んだ声は、どこか懐かしさを感じた。声は、どちらかというとルナやアトラに似ていた気がした。だが、それ以前にあの声は昔、どこかで聞いたことがあるような気もする。そして、あの声は神宮司のことを"ハチロー"と呼んでいた。声を聞いた瞬間、神宮司はルナかアトラが呼んだのかと思ったが、ルナは神宮司のことを名字でしか呼ばない上に、決して呼び捨てで呼んだりはしない。アトラにしても、神宮司を名前で呼ぶことはなく、「マスター」としか呼ばない。だが、それ以外には思い当たる人物が居なかった。穂波が所有する神姫のアニーですら、少なくとも神宮司のことを名前で呼んだことはない。それ以前に、アニーはここにはいない。脱出用シャトルの格納庫で穂波と一緒だ。

 だとすれば、一体誰が呼んだと言うのだ。そう考えていると、ある人物が思い浮かんだ。そして、神宮司のことを"ハチロー"と呼ぶのは────

 だが、神宮司は直ぐに被りを振った。そんなはずはない、彼女はもう、この世には・・・

 

 

 

 トンネルの一番奥には、リフトがあった。アイザック達がそのリフトに乗って上へ上がると、フライトデッキに出た。その周辺は、フライトラウンジ(休憩室)へ続く道以外、暗くて何も見えなかった。

「タイタン・ステーションにいた時のままなら、フライトラウンジにコンピューターがあるはずだ。そこで船の状態を調べられる。」

 アイザックは、フライトラウンジへ向かいながら言った。

「船の状態を調べて、どうするんだ?」

「必要な場合は修理する。特に、トラムが動かなければまともに身動きが取れないからな。」

 アイザックと神宮司がそう話している間にフライトラウンジの入り口にたどり着き、扉を開いて中に入った。室内も、先ほどのトンネルのようにあちこちがビニールシートで覆われ、赤いテープで所々が留められていた。ここで何らかの殺人事件があったということは、警察である神宮司にも分かった。

「お前が言っていたタイタン・ステーションの人間は、ここで一体何をしていたんだ・・・?」

 神宮司は、室内のあちらこちらを見回しながら言った。

「威信としてタイタン・ステーションに置いたんだ。殆ど修理もされずに・・・」

 アイザックは、船体の状態を確認するために室内から出て、外に備え付けられているパネルへと向かった。休憩室側の窓越しに備え付けられたパネルを操作すると、数秒後に石村の状態が空間に表示された。メインエンジンは燃料切れにより停止しており、現在は補助電源で動いていた。重力発生装置は、アイザックがタイタン・ステーションに居たときに修理していた為、正常に稼働していた。接近してくる小惑星などを撃ち落とすためのADS(Asteroid Defense System)砲の制御回路は、最初に石村へ来たときにハモンドが修理した筈なのだが、何故か一部の主砲の制御回路が故障していた。もし、小惑星が石村とコロニーに接近した時は、また主砲を手動で動かなければならないだろう。トラムシステムは正常に稼働していたが、通路の途中を何らかの障害物が塞いでいるため、医療区画までしか行けなかった。

「やっぱりな・・・思った通りだ。」

 アイザックは、石村の状態を見て呟いた。

「何がだ?」

 神宮司が訊く。

「メインエンジンが動いていない。未だ補助電源で賄っているんだ。」

「何かマズいのか?」

「恐らく、石村は俺がタイタン・ステーションに回収された時から補助電源で稼働している。分かると思うが、補助電源はあくまで非常用だ。それから5年間もそのままの状態だとすると、もう補助電源はいつ切れてもおかしくない・・・もし補助電源が止まれば、俺達はこの石村の中に閉じ込められたのも同然だ。」

 石村内の隔壁や扉は殆どが電動式で、旧型艦でありながら非常用の手動開閉装置が備え付けられていなかった。つまり、電源が切れると全ての隔壁や扉が開かなくなり、アイザック達は、その場に閉じ込められることを意味していた。

「じゃあ、どうすれば・・・」

「神宮司、コロニーのエアロック付近に給油設備はあるか?」

「給油設備?・・・一応あるが、この船の給油口に合うかどうかは分からんぞ。」

「あるならそれで充分だ。合わなければ、合うように加工するまでだ。」

 と、アイザックは窓の向こう側にいる神宮司に言った。とてもエンジニアが言う台詞ではないなと、神宮司は思った。

「ですがマスター。それだと、先ほどの道を引き返すことになります。」

 アイザックの肩に乗っているルナが言った。

「いや、引き返したりはしない。少々遠回りになるが、機関デッキにエアロックがある。そこから外に出られるはずだ。」

 アイザックはそう言いながら室内に戻ると、もう一つの大きな扉を開いて奥へ進んだ。あとの3人もアイザックを追おうとすると、神宮司の足下に何かが当たった。

「何だ、これは?」

 神宮司は、それを拾い上げながら言った。足下に当たったのは、半透明なオレンジ色のカードのようなものだった。

「creditだ。それがあればSTOREで武器や弾薬、スーツをチャージされてる分、購入できる。」

 アイザックは、神宮司の方に振り向きながら言った。神宮司は、拾ったcreditをコートの上ポケットにしまうと、アイザックの後を追った。

 アイザック達は、扉の奥にあったエレベーターに乗って下のトラムステーションに降りた。エレベーターを出て直ぐ右側にSTORE、左側の奥にはBENCHがあり、プラットフォームにはちょうどトラムが停車していた。

「神宮司、この先無重力空間や宇宙空間に出ることが多くなると思う。ちょうどそこにSTOREがあるから、今のうちにさっきのcreditでスーツを購入しておいてくれ。」

 アイザックにそう言われると、神宮司は言われるがままにSTOREへ歩み寄った。

 STOREは、その名の通り、武器や弾薬などのアイテムを購入する設備で、外観は円柱型の試着室のような形をしていた。

 神宮司がある程度STOREに近づくと、上部から表示及び操作パネルが自動的に降りてきた。パネルには、色々な種類の武器や弾薬、スーツが表示されていた。神宮司は、まず一番重要なスーツに目を向けた。パネルに表示されていたのは、エンジニアスーツ、セキュリティスーツ、ヴィンテージスーツ、アドヴァンスドスーツの4つだった。価格は、エンジニアスーツが1000credit、セキュリティスーツが20000credit、ヴィンテージスーツとアドヴァンスドスーツが40000creditだった。

 神宮司は、先ほど拾ったcreditの金額を確認しようとした時、まだcreditを差し込んでいなかったことに気付いた。右側に細長い差込口があったので、神宮司は上ポケットからcreditを取り出し、そこに差し込んだ。案の定、そこがcreditの挿入口だったらしく、creditは正常に機械の中に入り、creditの残額表示が0から5000に変わった。

「5000か・・・これじゃあ、エンジニアスーツしか買えんな。」

 神宮司がそう言いながら下にスクロールすると、まだ他にスーツがあった。ライオットセキュリティスーツ、アークティックセキュリティスーツ、ソルジャースーツ、パトロールスーツの4種類だった。しかも、それらは0creditで購入することが出来る上にエンジニアスーツよりスロット数(RIGの収容スペース)が多かったので何かと都合が良かったが、どれもセキュリティスーツの色違いだった。

 神宮司は、ライオットセキュリティスーツとパトロールスーツのどちらにするか悩んだが、最終的に、警察らしくパトロールスーツを選んだ。

 パトロールスーツのアイコンを押し、確認の表示の"OK"を押すと、"Thank you Have a nice day"という表示と共にパネルが上部に折り畳まれ、正面のハッチが縦に開いた。

「この中に入ればいいんだよな?アイザック・・・」

 神宮司は、BENCHで装備を強化しているアイザックに訊いた。

「ああ、そうだ。だが、アトラは外に出しておけよ。彼女までお前と一緒にスーツの中に入ってしまうからな。」

 アイザックがそう言うと、神宮司はアトラを肩から下ろし、STOREの中へ入っていった。

 神宮司が身体を出入り口に向けると、左右の扉が閉じ、スーツの装着が始まった。上から眩い光が放たれ、ゆっくりと下へ向かって動き出した。その光が神宮司の頭から順に照らしていき、光が一番下まで移動した頃には、神宮司はパトロールスーツを着た状態になっていた。装着完了と同時に、左右の扉が開いた。

 神宮司は、STOREから出て、スーツのスラスターなどの各部機能をチェックをすると、ヘルメットを展開して装着した。神宮司がSTORE側に向くと、正面のハッチが閉じ、上部から再びパネルが降りてきた。パトロールスーツを購入したことによって消費しなかった5000creditは、惑星警察制式拳銃のマガジンとヘルスパックを購入するのに使用した。用事が済むと、"Thank you Have a nice day"という表示と共にパネルが上部に折り畳まれた。

「マスター、凄く似合ってますよ。」

 神宮司がSTOREでの買い物を済ませるのをずっと待っていたアトラが、彼のスーツを見てそう言った。

「そうか・・・だが、ヘルメットを被ってると周りが結構見えづらいな。しかも、何故かスーツの外観がパネルに表示されていた画像と少し違う。」

 神宮司は、あちこちを見回しながら言った。

 本来、パトロールスーツは、色が違うだけで、外装はアイザックが着ているセキュリティスーツと全く一緒の筈なのだが、神宮司が着ているパトロールスーツは、ヘルメットの外装が通常のパトロールスーツとは少し違っていた。通常は横に細長い水色のセンサーが縦に2つあるのだが、神宮司が着ているのは、右側のみにオレンジ色の丸いセンサーが、縦に2つ並んでいた。

「射撃戦特化のスーツってことか・・・?」

 神宮司は、惑星警察制式拳銃を構えながら言った。センサーが右側にしかない為、位置的に少々見えづらさがあったが、精密射撃がやりやすくなっているので、射撃に自信のある神宮司に適したスーツだった。

「スーツの着用は終わったみたいだな。」

 BENCHで装備の強化を済ませたアイザックが、神宮司に歩み寄る。

「ああ、画像のものと少し違うようだがな。」

「RIGスーツの種類は数え切れないほどあるからな、恐らくそれも、パトロールスーツのバリエーションの1つだろう・・・各機能に問題は無いな?」

「ああ、問題ないと思う。」

 神宮司がそう言うと、アイザックは念のためにと、神宮司のスーツの各部機能を確認した。

「よし、異常ないな。」

 アイザックが確認を終えると、4人はトラムに乗り込み、機関デッキへ向かった。

 

 

 

 機関デッキに到着すると、アイザック達はトラムを降り、周り中がビニールシートで覆われた暗い通路を進んでいった。奥の扉を開き、室内に入ると、真っ直ぐにエアロックの入り口へ向かい、扉を開けて中へ入った。

「全員、準備はいいな?」

 アイザックは、後ろにいる神宮司とアトラ、そして、自分の肩にいるルナに確認を取った。全員が頷くと、後方の扉が閉じていることを確認してから、前方の隔壁を開いた。

 アイザックが隔壁を開けると同時に、エアロック内の空気が物凄い勢いで宇宙空間に吸い出された。

<Entering vacuum.>

 アイザックがシールドを抜けると、肩と脚部のスラスターを展開し、重力靴をOFFにして宇宙空間へ飛んでいった。

<Entering zero gravity.>

 神宮司もアイザックに続いて後を追いかけた。彼は、宇宙空間に出たのは初めてだったため、姿勢やスラスターの制御がうまくいかなかったが、それでも何とかコツを掴みながらアイザックについていった。

 アイザックは、神宮司がついてきていることを確認した時、いつの間にか肩に居たはずのルナの姿が無かった。辺りを見回すと、アイザックより少し上の位置で、手足をジタバタ動かしながら各スラスターを使って何とかその場に留まろうとしていた。ルナも宇宙は初めてだったため、姿勢制御がうまくいかない様子だった。

 アイザックは、そんなルナを掴まえると、再び自分の肩に乗せ、「しっかり掴まっていろ。」と言ってコロニー側へ向かった。

「どうせこういう機能があるんだったら、赤いスーツがあれば良かったのにな・・・」

 神宮司は突然、そんなことを言い出した。それは、RIGスーツのスラスターを展開した時の姿が、今から約40年前にあった映画のアイアンマンに似ていたからだった。

「無いこともないが、RIGスーツはお前が思ってる程の性能は無いぞ?」

 アイザックは、神宮司が思っていることを察して彼に言った。RIGスーツのスラスターは、あくまで無重力空間を移動するための装備であって、重力下での飛行ができるほどの出力は無く、アイアンマンに比べれば耐久性もさほど無かった。さらに言えば、アイアンマンのようなパワーアシストも無い。

───私を置いていくの?ハチロー・・・

 神宮司がアイザックと共にコロニー側の給油設備に向かっている途中、また誰かの声が聞こえた。後を振り向く。誰も居なかった。その声は、やはりどこかで聞いたような声だった。だが、それが誰の声なのかは断定できなかった。

───本当は分かっている筈よ。あなたにとって、私は人生を変えるきっかけであって、あなたは、あの日私を救えなかったことを後悔しているんだから、忘れられるわけが無いわ・・・

 その声は、神宮司が考えていることに反応したかのように囁いた。

 神宮司は、それを訊いてある人物を思い浮かべた。だがしかし、その人物はとっくにこの世にはいない。今、ここに居るはずが無いのだ。

───あなたはただ、そうやって理由付けて、事実から目を背けようとしているだけ。目の前にある事実を認めてしまうことを恐れているだけなのよ。・・・大丈夫、何も恐れる必要なんて無いわ、ハチロー。むしろ、これはあなたの無念を晴らすチャンスなのよ。それを逃せばあなたが後悔することは、あなた自身がよく分かっている筈よ・・・

 それきり、その声は聞こえなくなった。

 神宮司は、その後もその声の主のことが気にかかった。もし、自分の推測が正しいのなら、何故、彼女はここに居るのだろう。既にこの世には居ないはずなのに、どうしてここに居るのだろう。たとえこれが事実だとしても、それを素直に受け入れられないだろう、と思った。

「どうされたのですか?マスター。」

 肩に掴まっているアトラが、なかなか先へ進まない神宮司に訊いた。

「っ!?・・・ああ、いや、何でもない。」

 神宮司は我に返り、自分がしばらくその場に留まっていたことを悟ると、既にコロニーの外装着地しているアイザックの方へ向かった。

≪神宮司、いつまでそこにいるんだ!?スーツの酸素はそう長くは保たないんだぞ!≫

 通信機を通して、アイザックが神宮司にそう怒鳴りつけた。神宮司が、空間にスーツの状態を表示すると、酸素残量がいつの間にか40%を切っていた。

「ああ、すまない。今、行く。」

 神宮司は、アイザックに謝ると、燃料パイプのある場所へ彼を誘導した。だが、神宮司はその間にも、あの声のことを考えていた。

 彼女は、メイリーなのか・・・?、と。




 アイザックさんは、ついに全ての始まりである石村へ再び降臨しました!
次回、アイザックさんを苦戦させたあの存在が、ルナを襲う・・・!
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