例えば、冨岡義勇が仕掛人だった際   作:聖獅

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大正必殺話。

義勇は錆兎に子供の頃から一目置いており、彼の影響を受けている。

「義勇、宮本武蔵を知ってるか?」

「だれそれ?」

「知らないのか、生涯の果し合いで負け知らず。俺も武蔵みたく強くなるぞ!」

「じゃあ俺もなる!」

「見ろ、これが武蔵が作った鍔だぞ!確かナマコ・・・え・・・あ・・・とにかく、凄いだろ!」(鍔は武蔵作を真似たもの)

「おお、凄い!」

※ 二人ともその鍔が何がどう凄いのか良く分かっていない。

※ 申し訳ございません。錆兎の漢字修正しました。


仕掛の掟

月明りが照り、遠くで鈴虫の音が聞こえてくる。

 昔、漁師が使っていたのか、今は打ち捨てられた然程大きくはない北前船の船内に二人の男女がランプを灯して、話し込んでいる。男は警官の姿をし、女は花柄の着物に頭には白の狐面を被っている。

 

「真菰、標的以外の男を殺そうとしたな?」

  

 警官の男が女に話しかけ、咎めだてしている。

 

「だって!あいつ、あの大臣の片棒を担いでいたんだから、殺したって構わないでしょう?」

 

「俺の調べでは、あいつが実際に行った証拠はないぞ」

 

「あたしの調べでは、限りなく黒!」

 

 その男、錆兎は深い溜息を付き、どう分からせたら良いか逡巡した。

 

「お前だって分かっているんだろう?俺達は依頼された以外の人間は殺さない。やむを得ない場合も極力無くし、万に一つも間違った相手を殺さない。もしそうなったら・・・」

 

「潔く腹を斬るんでしょ?わかってるよ、そんな事。でもでも、あの男もぜーったい、おこぼれに預かって良くない事してるー!」

 

「もう良い、判った。あいつは生きて苦しむ事になるだろう、そんな予感がする。それで納得しろ!」

 

「ぶ~・・・」

 

 まだ不服そうな真菰を制し、もう一人の仲間の合流がまだかと話題を逸らす。

 

「ちょっと、遅いかな?」

 

「俺の見立てでは、威勢の割には大した腕ではない。どうせ、戦場でも後方で命令だけし、免許皆伝も金で買ったんだろ。義勇の敵ではない」

 

 そうこうしている内に、外の気配に気付く。

 

「ああ、戻ってきたね。ええと、今回の仕掛料は500円(大正時代の貨幣価値です。興味ある方は現代換算でお調べを)だから、3人で等分して・・・。あたしの分は200円と・・・」

 

 錆兎がじっと真菰を見つめている。

 

「そ、そんな見つめられると照れちゃうよ、錆兎・・・」

 

 更に白けた目で見てくる。

 

「わ、判ってるよ、もう!でも、義勇はいつも自分の分はほとんどいらないって言うじゃない!」

 

「うるさい!俺が預かっておく」

 

「だけどさ、大臣相手なんだからもっと高くても良いと思わない?」

 

「恨みを持っていても、金を出してまで頼もうとするのは一握りの人だけだ、裕福でもないのにその人のこれが精一杯だ・・・」

 

「・・・・・・」

 

「真菰・・・これは、言うつもりは無かったんだが、その依頼者は、そいつが死んだと判ったら恐らく死ぬつもりだ・・・」

 

 真菰はそれを聞き憤慨し、その人を生かすように説得したが、錆兎はそれは俺達の仕事ではないと切り返し、死にそうな人間を助けようとすればキリがない、それは政府の仕事だと言い、彼女はせめて関わった人は生きてほしいと言い合っていると、義勇が一人を抱えて二人の前に姿を現した。

 

 その姿を認めた二人は、一瞬のうちに柱や物陰に隠れ義勇が抱える者の様子を探った。暗がりの中、ランプの灯りを頼りに、気絶でもしているのか、その者が両足両手を縛られ、目隠し猿轡、耳栓もしている事を確認すると安堵し、彼に声を掛けた。

 

 錆兎は義勇に自分達の仕事を見られたのか?と尋ね、肯定の頷きに苦虫を潰した。

 義勇は抱えている相手、胡蝶しのぶを床に置き、彼らと話すことにした。

 

「義勇・・・お前らしくないな、何故こいつの接近に気付かなかった?」

 

「・・・こいつは俺の表の仕事の同役だ。腕も立つ・・・気配を消されて来られてたら、この女が殺気でも出さん限り、気付きにくい」

 

「言い訳はやめろ!全く・・・真菰、お前も気付かなかったのか?」

 

「あたしは、周りの人間の排除ですし~必要以上にそばにいたら、義勇の邪魔になるから・・・」

 

「うるさい!お前がもっと、周りの監視に徹していたら、私情を挟んで出しゃばるからこうなるんだ!」

 

 本来、真菰は(下準備ではなく)実際の仕事に及んだ際、その周りの無関係な人間の接近を伝達する役を言われていたが、しばしば標的以外の人間でも多少悪事の片棒を担いだ側近も懲らしめていた。

因みに錆兎は今回の仕事では、標的の確認と、広範囲での無関係な人間を立ち入らぬよう、気配り監視をしていた。胡蝶はその目を搔い潜ったわけである。

 

「そんな事言うんなら、なんで義勇が相手に名乗る悪い癖、止めさせないかな!」

 

 錆兎は言葉に詰まり、義勇は明後日の方向に顔を背けた。しかし真菰は畳みかける。

 

「どうせ、男たるもの一対一の勝負に正々堂々名乗り上げるのが礼儀だとか、言うのかな?あたし達の仕事が何か分かってないのは錆兎も同じじゃないのかな!?かなあ!?」

 

「・・・・・・俺は名乗っていない・・・」

 

「見え透いた嘘つかない!」

 

 真菰は途中まで義勇の近くで周りに警戒していたので、それが判っている。そして、彼の額に付ける位の至近距離で彼女は吠える。

 

「もう良い!お前達も、そして俺も甘い所がある・・・俺たちが今日まで生きてこれたのは・・・俺達が強いからではない、運が・・・ただ良かっただけだ・・・そろそろ潮時かもな。俺達も・・・」

 

 錆兎は暗に、自分達の仕掛人稼業を解散しようと言っている。つまり、掟に縛られすぎず、個々人の好きにさせ過ぎるといずれ足が付き、全員共倒れする・・・そうなる前に別れようという事だ。掟にがんじがらめになりたくないとは、人としてならともかく、仕掛人としては三人ともまだ未熟という事になる。

 

「ただその前に・・・義勇、その女の始末はどうするつもりだ」

 

 顔を見られたからには、口封じに始末するのか?と問いている。

 

「二人には迷惑を掛けない、離れててくれ・・・」

 

 いや、もう掛けてるからね?と真菰が軽口を叩くが、錆兎に拳骨を食らう。義勇は船内で胡蝶と二人だけになったのを確認した後に、彼女の目隠しと猿轡と耳栓を外し、背中に活を入れて気絶から戻させる。

実際には胡蝶はそれ以前に気を取り戻していたが、そのフリをしていた。耳栓してたとはいえ、途中から会話の内容も割と大きな声で話した部分は普通に聞こえていた。

 

「冨岡さん・・・、こんばんわ、今日は月が綺麗ですね・・・」

 

「生憎だが、胡蝶・・・今は月が見えない」

 

 二人は互いに腹を探ろうしている。

 

「まさか、この私があっさり捕まるとは・・・ふふふ、柱失格ですね。冨岡さん・・・あなたがこんなにお強いなんて・・・噂は本当だったんですね、ただの噂だと思ってましたが・・・。私と合同任務の時は手加減されてましたね?」

 

「・・・胡蝶、よく喋るなお前は」

 

「はい、喋りますよ。これから一体私はどうなるのですか?縛られたこの縄、解いてくれませんか?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・仕掛人とは一体なんですか?」

 

 義勇に一瞬、殺気が走る。しのぶもそれを悟り、彼女にも緊張が走る・・・数秒時間が流れた後に、

 

「どうやら、私は不味い所を見てしまったようですね。私は口封じに殺されるのですか?」

 

「・・・・・・・」

 

「何とか仰ってください?・・・もう、そんなんだから皆から嫌われるんですよ?」

 

「当然だ、俺はお前達を仲間だとは思っていない・・・」

 

「・・・まぁ、嫌われている自覚だけでなく、仲間だとも・・・」

 

「俺はお前達の集団を利用しているだけだ、俺の仕事の為に・・・。俺は仕掛人の仕事の為に・・・俺にはこれしか出来ん・・・」

 

「・・・?仕掛人とはなんですか?」

 

 義勇は簡単に説明すると、胡蝶はつまりは殺し屋なのかと聞いた。

 

「ただの殺し屋のつもりはない、依頼が無ければ・・・筋の通った依頼で無ければ引き受けない・・・」

 

「それでしたら、私は殺される謂れはありませんよ?なので解放してください。縛られっぱなしで痕が出来たら困ります」

 

 胡蝶は計算なのか戯れているだけなのか、体をくねらせる。

 

「俺達の仕事は誰にも知られる訳にはいかない・・・。知った者は殺さねばならない」

 

「・・・・・・、でも、依頼した人は知っていますよね?」

 

「正体は明かしていない・・・そのはずだ」

 

「・・・ふふふ、過去には例外的に正体を知ったうえで、依頼した人がいたんですね?」

 

「・・・・・・」

 

「では、私も依頼すれば生かしてくれます?」

 

「それは出来ない・・・」

 

「そうですか・・・?残念、残念・・・。仕方ないですね、義勇さんに討たれるのなら、それもまぁ仕方ありません」

 

「・・・・・・・」

 

「では、殺されるのは構いませんが、依頼だけは受けてください!」

 

「・・・受けるかどうかは、聞いてからだ」

 

「殺してほしいのは、鬼の・・・名前は分かりませんが、特徴は・・・」

 

「・・・それで、頼みの筋は?」

 

 一呼吸を置いた後、しのぶはかつての、いや、普段は笑顔で隠しているそのやるせない怒りを表に出し初め、自身が心底敬い、優しかった姉を殺された事を話した。

 

「・・・胡蝶カナエ・・・そうか、お前の姉か・・・」

 

 義勇は実は、胡蝶しのぶよりも後に鬼殺隊に入隊・・・潜入し、そして彼女よりも後に柱になっている。

よって、胡蝶カナエの事は、柱と産屋敷家の者達にのみ許された書庫で文献を漁り、その中の戦死者一覧で覚えていた。

 同じ胡蝶姓の為、もしやとは思っていたが・・・。

 

「その依頼は受けられない・・・」

 

「・・・!?何故ですか?」

 

「人間が熊を殺すのは、食べたり毛皮を取るためだ。鬼も食べる為に人間を殺すという行動自体は俺達人間とやっている事と変わらない。・・・フッ・・・俺も鮭大根をよく食うからな、そいつらには相当恨まれているだろうな・・・」

 

「に、人間と、他の生物は違います!」

 

「確かにそうだな、だが、恨みという点では同じだ・・・特に理由もなく、どこの世界に喜んで自分の身を捧げる生物がいる?」

 

「・・・・・・」

 

「その鬼も人間も、食べられただけによる恨みなら、俺達仕掛人の仕事ではない。俺達の仕事は理不尽な暴力や権力に踏みにじられた、正当な方法では裁けない恨みを肩代わりする事だ。当義殺(正当防衛)は依頼に当たらない」

 

「貴方も鬼殺隊士でしょ!」

 

「俺は、自分の仕事の為に、ここの隊士になった方が都合が良かっただけだ。お前達とつるむ気も無い」

 

 しのぶは彼に対して未だ見せた事の無い怒りの表情で睨みつけた、そんな人だとは思わなかったと。

 

「好きに思え、話はこれで終わりだ」

 

 義勇は腰の日輪刀を抜き放ち、しのぶに向けて逆手で構える。彼女も死の覚悟はできていたが、このまま姉の仇を討てないまま、死ぬのが心底怖かった。自分は一体何のために、今日まで生きてきた・・・ああ、蝶屋敷に残した子達は・・・自分は居なくても皆立派にやっていけるはずだ。だから、唯一の心残りは・・・。

 

 次の瞬間、しのぶの拘束は解かれた。不思議な顔で義勇を見ると、彼から彼女自身の日輪刀を投げて寄こしてきた。

 

「・・・一体何の真似です?まさか、縛られた相手を斬るのは忍びなくて、一対一で勝負する気ですか?」

 

「・・・・・・、依頼を受けない代わりにお前の命は一時預かる。もし、今夜の事を他言すれば・・・分かっているな?お前だけではない、話を聞いた相手も消えて貰う」

 

 しのぶは自身の安全を確認した後、義勇に先程とは打って変わってにっこり微笑んだ後に一言残してその場を後にした。

 

「ふふふ、分かりましたぁ♪」

 

 一瞬、義勇は酷く嫌な予感がしたが、深く考えるのは止めた。

 

 船の外では直ぐ近くで中の様子を注視ならぬ注聴していた錆兎と真菰は義勇の判断に安堵と殺さず逃がして本当に良かったか?の複雑な思いが交錯していた。

 

 今夜は大物を始末したのだ、その後の追手が来ないか警戒、工作も必要だ。胡蝶一人にいつまでも時間を掛けていられない。

 とはいえ隠による提出書類にあったその書庫の内容には、胡蝶カナエの生前の行動、鬼にも情けを掛ける姿勢・・・人としては悪くはない。カナエはその鬼が騙し討ちしたでもなく、一対一の殺し合いだった。複数の鬼が惨たらしく、一思いで殺せるものを遊びながら惨殺したのなら、義勇も依頼を引き受けたが、そうではない。

 胡蝶しのぶの言う事も分からないでもない。上弦の鬼を一人始末すれば、これから何百人の人間が助かるだろう・・・だが、戦争扇動者を一人始末すれば、何千人の人が或いはそれ以上の人が拷問や虐殺で死なずに済む。

 鬼よりも人間の皮を被った真の鬼の方が性質が悪い。そういう意味では、仕掛人・義勇にとって鬼の首魁、鬼舞辻無惨もある意味そいつらに比べれば可愛いものだと思っていた。

 

 






 仕事や政治、地域の事柄、色々あります。世の中を良くするにはどうすれば良いか?
 先ずは自分の事をしっかりさせるなど。他、仕事に専念や幾分でも良心的な政党を補佐したり、身の回りの体が痛いなどの困っている人への気配り、そして、自己の成長、鍛錬をする方が、良いのではないか?こういう2次小説を書くのは、時間の無駄ではないかと自問してます。
 パンとサーカスという言葉がある通り、人間、娯楽と食料さえ満たせてたら、政治には無関心になりやすく、いずれは強烈なしっぺ返しが来ます。
 とりあえず、今の所は、趣味の範囲で書きたいから書いてます。いずれは止めますであろうその日まで。
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