新田剣丞のマガイ物になったので、悪役ムーブを決めて暗躍したい   作:Hoffnung

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時間が前回から川中島の戦い終盤まで一気に飛んでるので気をつけてください


剣丞、何者かの策略によりピンチに陥るとのこと

突如として鬼の大軍が現れた。

 

そんか知らせを受けたのはこの川中島での美空と光璃の決着がつき、お互いが本陣にへと戻ろうとしていた頃だった。

長尾衆の足軽がそう報告したところ、さっきまでの和んでいた空気は離散し張り詰めた空気へと変貌している。

 

「状況は!?」

 

「はっ!我々長尾衆の本陣方面中心にて大量の鬼が出現致しました!この川中島全体に散発的にも出没しており、物見によるとその数およそ二千!!」

 

「二千だと!?いつの間にそんな鬼が…粉雪!心!お主ら最前線に出ていたであろう、兆候は無かったのか!?」

 

「柘榴!あんたも何か気づかなかったの!?」

 

「全くだぜ!周りには武田と長尾兵以外の存在はいなかったんだぜ!」

 

「こなちゃんに同じくです、鬼の伏兵を警戒して私から探りも入れておりましたが毛ほどもなく…っ、申し訳ございません!」

 

「こっちも同じくっすー!せいぜい武田が風林火山を使って兵の気が変わったぐらいしか変わったところは無かったっすね!」

 

「なんということだ…!!」

 

まるで蜂の巣を突いたかの様な騒ぎだ、美空と春日がそれぞれ最前線に出ていた将たちに状況確認するも芳しくは無さそうだ。

これは別にこの三人の不手際ってわけじゃ無い、鬼達の奇襲を警戒してたのは俺だって一緒だ、剣丞隊の先導を小波に任せてから地中に鬼が潜んでないかの確認をしていたしそれでも何も異常は無かったんだ。

 

こんな事態まず予想なんて出来はしない。

 

「…鬼の大軍が出現したことはわかった、他に特出したことは?」

 

「…あ、はい!それがですね…」

 

そんな混乱している将たちを差し置いて再び報告しに来た足軽に質問したのは光璃だった。

武田のトップに話しかけられるとは思わなかったのか少し反応に遅れるも長尾衆の足軽は再度言葉を紡ぎ始める。

 

「先に交戦した者によるとどうやら幻…?の様な物がいくつも混ざっているようでして…」

 

「幻……?」

 

「はぁ、近づいても対して動かず、切りつけると鬼が手応えも無く霧散して消えてしまうので幻としか表現できないのでありまして…」

 

「それじゃあさっき言ってた二千ってのは…」

 

「流石に聡いですね、その幻も含めた数ですので実際にはもっと少ないのではとの情報が入っております」

 

「でも、幻だけでは無く本物の鬼も混じっている、それが各処複数に出現しているので現在配備している兵だけでは対応が難しい…ということでしょうか?」

 

「はっ!!左様でありますれば…」

 

俺の問いに更に補足するように詩乃が質問してくれたおかげで大体の状況は掴めた。

その幻ってのは厄介そうだけど一刻も争うほどの緊急事態ってわけでも無さそうだな、それでも鬼は鬼。

人間を遥かに超える身体能力を持つ鬼達が徒党を組み、それが幻なんて物を引っ提げて来たんだ、もたもたもしてらんないよな。

 

「あーもうまったく!空気の読めない奴らね…柘榴!至急本陣に戻るわよ!幻なんだか知らないけど出会い頭に三味耶曼荼羅(さまやまんだら)をぶち込んでやるわ!」

 

「おーっす!柘榴も暴れ足りなかったっす!柿崎衆!柘榴と一緒に御大将に続くっすよ!!」

 

『おおーっ!!』

 

怒り心頭といった様子で美空が柘榴を中心として早々に出立してしまった、まぁ自分の本陣方面に現れたってなったら美空ならそうなるか…

 

「お屋形様、我々はいかがしましょう?」

 

「私たちも長尾衆に協力して鬼を殲滅する」

 

「え!?長尾衆と協力するのかだぜ!?」

 

「さっき美空とは話がついた、だから光璃たち武田も兵を導入する」

 

「まさかこんな日が来るとは…お屋形様、どういう布陣に致しましょう?」

 

どうやら武田勢もちゃんと協力してくれるらしい、ついさっきまで憎まれ口を叩き合っていたもんだから少し心配したんだけどどうやら心配は無かったみたいだな。

 

「春日は今も前線に出ている夕霧の援護に、粉雪と兎々は妻女山(さいにょさん)方面から回り込んで、心は薫の逍遥軒衆と共に各地武田兵の補給に務めて」

 

『御意!』

 

心からの質問に対して光璃は簡潔に無駄の無い指揮を返す、それに武田の将たちは直ぐに返事を返してそれぞれ持ち場へと行ってしまった。

 

「ごめんねお兄ちゃん、薫行ってくるね!」

 

「ああ、今までありがとう薫ちゃん、凄い助かったよ」

 

「えへへ、当然のことをしたまでだよ…じゃあまた後でね!」

 

さっきまで俺たちを先導かつ護衛を引き受けてくれていた薫ちゃんこと武田三姉妹の末っ子である武田逍遥軒信廉(たけだしょうようけんのぶかど)は心と共に出立してしまう、ちなみに次女の夕霧こと武田典厩信繁(たけだてんきゅうのぶしげ)は未だ前線にいるらしいから早く助けに行きたいってのもあるんだろう、どこと無く薫ちゃんから焦りを感じた。

 

(ご主人様!)

 

(!…小波か!どう状況は?)

 

そんなやり取りがし終わると不意にお守り袋を通して小波の声が聞こえてくる、先導を任せたきり連絡が取れてなかったが鬼が出現したことによって状況が変わったことで報告しに来たのだろう。

 

(はっ!長尾本陣を中心にこの川中島に散発的に鬼が出現しておりますがそのほとんどが幻、その為兵達も混乱しているようでして)

 

(ほとんどが幻…?そんなに多いの?)

 

(私を中心に伊賀衆を動員して調べましたが体感四体に付き三体は幻との有様でして…逆に幻だと過信していたら本物だったという被害の方が多いそうです)

 

ってことは小波の報告通りなら実際の鬼の数はせいぜい五百程度で大体四倍ぐらい幻でがさ増しされてるって所か?

本当に妙な鬼の集団だな…

 

(わかった、今のところはそこまで大きな被害は出なさそうだけど鬼達の奇襲には気をつけて、特に地中からの出現とかもわかり次第報告して欲しい、この不測事態だ、小波の目に期待する!)

 

(承知!)

 

そう言って小波からの通信は途絶えた。

 

「主様、余らも引き返すのか?」

 

「そうだな、長尾本陣には綾那と松葉を置いてきてるし、雀と烏だって心配だ、二手に別れて救援に向かおう!」

 

『おう!!』

 

俺の言葉に剣丞隊一同が大きな返事を返してくれる、よし皆んな気合い充分って感じだな。

 

「まずは一葉を中心に幽、歌夜、鞠、雫にころは突破力を活かして正面から本陣まで最短で向かってくれ、可能なら道中の鬼もある程度片付けてくれると助かる!」

 

「うむ!!余に任せておくが良い主様!!!」

 

「ははっ、気合い充分ですなぁ…」

 

「さっき仲直りしたばっかりですからね…」

 

「久々に一葉ちゃんとの共闘なのー!腕がなるのー!」

 

「かしこまりました、剣丞さま」

 

「ちょっ!?この面子の中に私って…ば、場違いが過ぎるような…」

 

三者三様な反応を見せるがこの面子ならまず武力的な心配は無いだろう、…一葉が暴走するんじゃないかと思いはするが大丈夫だと思いたい。

 

「では残りの私たちは…!」

 

「ハニーと共に救援に向かうということですわね!」

 

「ああ、俺たちは周囲の探索も兼ねて海津(かいづ)城方面から遠回りに向かう!長尾、武田と兵士の数が充分に揃っているこの状況で何より警戒しなければいけないのが鬼の奇襲だ!その兆候を見つけしだい直ぐ様各所に報告も出来るように立ち回るぞ!」

 

 

『了解です!』

 

「よし、では出立だ!!」

 

作戦会議もそこそこに俺たちは二手にわかれて救援へと向かった。

 

 

 

 

 

「おりゃりゃりゃりゃーっ!」

 

そんな武田本陣とは真逆の位置に属する長尾本陣では本田平八郎忠勝こと、通称"綾那"が自慢の槍術で突如として現れた鬼の大軍へと交戦しているところであった、しかし…

 

スカッ、スカスカスカスカッ!!!

 

 

「うにゃーっ!また幻だったです!どれが本物なんですかー!?」

 

「つべこべ考える必要は無い、数はそんな多くないから…」

 

綾那が槍が当たった側から霧散して消えてしまう幻の鬼を相手に憤ると同じく本陣にいた松葉こと甘粕景持(あまかすかげもち)がそういうと獲物である朱傘(しゅがさ)明星(みょうじょう)を振り上げ、近くにいた鬼へと振り下ろす。

 

グシャッ!!

 

『グギャアアア……!』

 

「…ん、あたり、その内倒せる」

 

「なるほどです!そういうの綾那大得意ですよーっ!!」

 

「…知ってる」

 

事は単純だと理解した綾那が目を輝かせると嬉々として槍を再び振い始めた。

そんな綾那の様子に松葉は思わず呆れ顔だ。

 

ついさっきまで時間稼ぎのためとはいえ激闘を繰り広げていた2人とは到底思えないやり取りである。

 

「にしてもこれが鬼…思った以上に硬い」

 

「あれっ?松葉は鬼って初めてだったですかー?」

 

「…春日山では鬼は出てきて無いし、九頭竜川じゃ御大将が三味耶曼荼羅(さまやまんだら)で片付けたから」

 

松葉が初めての鬼との戦闘に感想を漏らすと、綾那が意外そうに尋ねてくる。

実際、春日山では鬼が出現するという噂は立っていたけれども結局剣丞達が越後にくるまでは噂程度の存在であったし、初めて鬼を見た九頭竜川でも美空のお家流でサクッと片付けていたから鬼との戦闘経験は未だに無かったのだ、恐らく同じ事情で秋子や柘榴だってそうだろう。

御館の乱の時には空と名月との立場を考慮して中立にしなければいけなかった為、戦には参加してはいなかったからだ。

 

「そうなのですかー、でも今ここには綾那がいるです!だから何も心配することなく戦えるですよ!どーん!」

 

「…わかった」

 

「任せるです!どやっ!!」

 

恐らく愛菜にモロに影響されたであろう口調で自信満々にそう言うと綾那はさっきまでと同様に自慢の槍術で鬼達を攻撃し始める。

 

 

「うははははーっ!!」

 

 

スカッ!スカッ!スカッ!グシャッ!スカッ!

 

 

「殺って殺って殺りまくるですよーっ!!長尾衆も綾那に続くですーっ!!」

 

『おおーっ!!』

 

まさに東国無双(本人曰くまだ予定)とも呼べる圧倒的な武力で鬼を殲滅していく綾那は瞬く間に本陣に残っていた長尾衆とも打ち解けてしまったらしい。

外様であるはずの綾那の指示に迷う事なく従っていた。

それにしても随分と楽しそうに鬼を殺すものである。

 

「…甘粕衆は、刈り損ねたヤツを仕留める、一匹も逃がすな」

 

松葉はそんな綾那を見てますますジト目になると冷静に自身の持ち部隊に指示を飛ばすのであった。

 

 

 

 

 

「周辺に異常は?」

 

「特にありませんわ、至って正常でしてよ」

 

「お頭ーっ!こっちも問題ありませーん!」

 

「よし、じゃあ探索はそこそこにして救援へと早めてもよさそうだな…!」

 

武田本陣から二手に別れて出立した俺たちは予定通り遠回りからの探索も兼ねて長尾本陣方面へと応援に向かっていた。

因みに面子は俺、ひよ、詩乃、梅の四人、戦闘力が高いメンバーは正面突破組の一葉の方に回してしまったから少し不安ではあったが…今のところ特に問題は無い。

 

道中確かに鬼には出くわしたがどれも数体程度のもので、しかもほとんどが幻。

この分ならさっさと合流してしまって纏まった戦力で一気に鬼を殲滅する方向で問題は無いだろう。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「詩乃、大丈夫か?」

 

「へ、平気です…心配をおかけして申し訳ありません…」

 

「気にする事無いって、詩乃は頭脳労働担当だもんな」

 

「そうですが、一応武士の端くれとして恥ずかしい限りです…」

 

この中で一番体力が無い詩乃が息を切らし始める、馬ってのは実際に乗るとわかるが以外と体力を使う物だ。

早く走る分、衝撃や揺れだってするし、それから振り落とされない様に制御する技術や、何より行き先を見失わないように適度に指示を出して上げなければいけない、俺も最初乗り始めたときは苦労したもんだしな。

馬の扱いについて妙に詳しい姉ちゃんが複数いたからある程度は慣れるのが早かったけどそれでも最初は怖かった思い出がある。

 

「詩乃のこともあるし、周囲の探索はこれくらいで切り上げよう!急いで合流して一気に鬼を叩くんだ!」

 

『御意(ですわ)!』

 

 

馬に再度合図を出して方向転換させ長尾本陣方面へと疾走を開始する。

本陣にはあの綾那がいるんだからそこまで心配はしていないが…それでも鬼を相手にするのに人数は多いに越したことはない。

 

「よし!このまま一気に…!」

 

 

 

 

ーーーーーそう思った時だった。

 

 

ゴゴゴゴゴ…!!!

 

 

「っ!!?皆んな!一旦止まれ!!」

 

 

まるで地震でも起きたかの様な轟音がなったのだ。

 

焦って指示を飛ばして隊を急停止させ周囲を確認する、すると…!

 

 

ガラガラガラガラッ!!!!

 

 

「うっ、嘘だろ!!?」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「地滑り!?土砂崩れ!?こ、こんなときにぃ!?」

 

「ひよさん、そんな事言ってる場合ではありません、避けませんと!」

 

「ハニー!急いでこっちに来てくださいまし!」

 

「ああ!すぐにそっちに…」

 

 

バババババンッ!!!

 

 

「うわっ!!?」

 

梅の言うとおりに直ぐ様逃げようとすると、まるで()()()()()()()()()目の前で何かが炸裂したかの様な音が響き砂埃が舞う。

 

な、何て酷い砂埃だ、完全に向こう側の景色が見えない!

更に…!

 

 

ガラガラッ!ゴシャ!ガラガラガラガラゴッシャーンッ!!!

 

「そ、そんなぁ!?」

 

ひよの悲痛な叫び声が聞こえる、この轟音はまさか…!!

 

「クソッ!やっぱりかよ!!」

 

砂埃がある程度落ち着き、視界が少しは良好になって見えた景色に俺は思わず悪態をつく。

崩れ落ちてきた岩石は完全に道を塞いでおり、俺とそれ以外の三人を完全に分断してしまったのだ。

俺は直ぐ様岩石によって完全に隔離されてしまった剣丞隊メンバーに声をかける。

 

「そっちは無事か!?」

 

「はい、大丈夫です!服が汚れたくらいで問題はありません!」

 

「剣丞さまは!?そちらこそご無事ですか!?」

 

「こっちも似たような物だ!視界は砂埃で悪いけど怪我はしてない!」

 

「よ、良かったです…!」

 

お互いの状況を確認するために岩石の近くによって声をかけるとひよと詩乃の声が返ってくる、どうやら両方とも土砂崩れによる被害は同じ様な物らしい。

 

しかし、何だこの不自然な土砂崩れは…両端の崖の崩れ具合から見て明らかに土砂と岩石の量が合ってない、あまりにも不自然なまでの高さに積もった土砂は最早バリケードの様になっていてとてもじゃないが自然発生した物にしては余りにも完成度が高すぎて自然現象による物とは到底思えなかった。

 

ーーーそしてこんな所業が出来る存在に俺は心辺りがある。

 

 

ドサッ!!

 

何か重たい質量の物が複数落下した様な音が背後から聞こえた。

ええい、やっぱりか!!

 

『グルルル…!』

 

バッと俺が振り向くとそこにいたのは案の状鬼、しかも複数体いて俺はバリケード化した土砂に挟まれて完全に囲まれていた。

だよなぁ!こんな現象、第三者が仕組む以外あり得ないよなぁ!!

 

 

「みんな聞こえるか!こっち側に鬼が発生した!この土砂崩れも鬼達の仕業に違いない!ちょっと俺の手に余るから何人か応援を頼めないか!?」

 

すぐに囲まれてる状況を確認した俺は再び声を出す。

さて、誰が来てくれるか…流石に俺1人で捌くのはキツそうだからな…

 

 

……

 

………

 

…………あれ?

 

返事が返ってこない。

 

え、ちょっとこの反応は予想外だぞ、流石に全員で来るとか言い出したら救援に向かってる意味が無いだろとは言おうかなって思っていたけどさ。

 

「おーい!俺の声が聞こえてるかー!?返事をしてくれー!!」

 

先程よりも声を張り上げて叫ぶ、まさか聞こえてなかったんだろうか?

それにしてもさっきまで聞こえてたのに妙だな…

 

「え!?剣丞さま大丈夫なんですか?」

 

「私たち何人かもそちらに応援に向かった方がよろしいのでは…?」

 

おお!良かった!聞こえてた!

 

「そうなんだよ!とりあえず人手が欲しいから誰が来てくれると助かる!」

 

「…わかりました、剣丞さまを信じます」

 

…?え、何がわかったんだ?信じるって何を?

 

「増援が来てるなら私たちは先に行きますね!」

 

「わかりましたわハニー!後のことはわたくしたちにお任せくださいまし!」

 

…ん?なんか会話が噛み合って無いような。

寧ろ応援に来てくれって頼んだはずなんだけど…

 

「いや、全員じゃなくても1人か2人くらいこっちにこれn「()()()()()()()()()()()()()()()()()!」いか…って」

 

………は?

 

ここに来て違和感が最高潮に達した。

小波?何を言ってるんだ?俺はそんなこと一言も…ていうか小波は剣丞隊へと合流する際に先導してもらってからは小波の句伝無量を活かすために戦場の状況を把握してもらうべく別行動を取っていたはずだ。

 

…近くにいる?小波が?

 

(小波!小波!!俺だ!聞こえたら返事をしてくれ!!)

 

句伝無量に使われるお守り袋を握って小波へと連絡を掛けてみる。

…ダメだ、返事が返ってこない、もし小波に句伝無量が通じる距離にいるのならば直ぐに返事が返ってくるはず、何だったら近くにいたら「お側に」って言って直ぐにでも俺の隣に現れてくれるはず。

超一流とも言っていい忍びの小波が通じる距離に居ながらも返答を返さないなんてそんな不手際をやるとはまず有り得ない。

 

即ちこれは現在、句伝無量が届かない距離に小波がいるという確固たる証拠だった。

 

「小波ちゃーん!剣丞さまをよろしくねー!!」

 

「小波さん!剣丞さまを頼みましたよ!」

 

「ハニー!あまり無理はしないで下さいまし!」

 

「え!?いや小波は今ここにはーーーー」

 

『グルルル……』

 

!!!

 

 

ブゥンッ!!

 

 

「くそっ!もう少しぐらい待ってくれても良いじゃないか!」

 

唸り声と共に後ろから鬼の剛腕が俺に向かって振るわれたのを間一髪で避けて刀を抜き放つ、上手くカウンターが決まって鬼が胴体から断ち切れた。

 

…馬の蹄の音が遠くなっていくことからもう剣丞隊はこの場から離れたと見て良いだろう。

助けは期待出来無さそうだ、やむを得ない、俺1人でこの鬼の群れをどうにかするしかないか…!

 

……多いぞ、確実に10体以上に囲まれてる!!

 

正面を見てみれば俺の逃げ道を塞ぐように点在する鬼達の姿。

見た感じ下級の鬼しかいないってのが唯一の救いだろうか。

前は鬼、後ろは土砂…参ったな、背水の陣ってやつじゃないのか?いやこの場合だと袋の鼠って表現の方が正しそうだ。

 

「………っ!!」

 

改めて状況を把握すると刀を構え直す、その刀身は鬼に反応し蒼く眩く輝いている。

 

綾那達の様な飛び抜けて優れた武を持っているわけでもない俺からしたら鬼に対して大きな効果を発揮出来るお前が頼りだ、頼むぜ相棒…!!

 

ジリジリと鬼達が近づいてくる、みんなが行ってしまった以上行くしかない!

 

「うおおおおおっ!!!」

 

『グギャアア!!』

 

俺はそう咆哮を上げながら鬼達に向かって突撃した。

 

こうなりゃヤケだ、やるだけやってやるぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 




やっぱ会話出来る人数が多いと筆が進むなぁと思ってしまう…

感想とか高評価、お気に入りしてくれるだけでもモチベ上がるんでお待ちしてます!
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