最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
これに感想未だにくれる人いてガチ嬉しみです。さんきゅ。好き。
あと普通に時系列訳分からん人いると思うので超簡易年表載せときます。
2067年
本作開始ニーナ極東支部入隊
2068年前期
捜索回収専門部隊の第4部隊設立、加納ニーナ階級が少尉になり隊長就任。
真壁ハルオミ隊員着任
2068年後期
エリック•デア•フォーゲルヴァイデ着任。真壁ハルオミはグラスゴー支部へ転属←イマココ
2071年原作開始
まだ入社1年しか経ってないのに、
超昇進して2つ名付いて現場だけでなく研究職でも基幹職に就かせるブラック企業があるらしい。
極東支部アナグラ内にある会議室の1つ。
部屋の壁に設置された大型ディスプレイの前に私が立ち、見やすい様にある程度離れた位置にエリック君が席に着く。
「じゃあ通常任務の割合が、支部長から報酬で比較的減ったので、エリック君の技能熟練及び知識向上を目的としたスーパー座学期間が始まります!」
ハイ拍手~! といえば盛り下がらない程度の慎ましい拍手をエリック君はしてくれた。
それ満足げに頷けば、早速エリック君が挙手をして発言を求める。
「ニーナくん早速で悪いんだが、座学のジャンルとその範囲を教えてほしい」
「神機に関しては基礎~パーツごとの強化理論、アラガミに関しては極東でよく見るアラガミ全ての生態、弱点、落とす素材、素材回収時に必要な結合崩壊可能部位とその効率的な攻撃方法だね。あとはよく出すことになるアラガミ討伐の報告書、地形データの作成手順、亡くなった神機使いの神機回収要綱等々、この第4部隊が担当している回収任務に関するところは全部かな!」
「り、了解した。ちなみにどれほどの期間で終わらせる予定かな」
「最初は神機に関しての教育を1日半、アラガミに関しては私が作った専用の資料を見て暗記するだけだから宿題ね。大体1週間で全部覚えてくれればいいよ。あと第4部隊の仕事は実際にやらないとわからないところもあるし、実際にやる時もう一回教えるけど、一通り流しで説明するのに1日。こんな感じだから大体3日間の座学期間です! お勉強は得意でしょ? 頑張ろうね」
「ふむ……かなり気合を入れる必要がありそうだね」
この量は狼谷学園の専門課程で本来1ヶ月以上の時間をかけて教育する内容であるが、現場職であること、彼が貴族の出であることを考慮してギリギリ行けるかな? と読んでの詰め込み教育になる。
実際ハルオミさんがグラスゴーに転属になった今、元々複数の部署を兼務する私の負荷は甚大どころではなくなることが予測されているワケなので……
このままでは任務と研究、資料の作成それらの間や移動時間に辛うじて睡眠が挟まる程度になる。資料の作成をエリックが担えるようになるだけで、どう足掻いても死ぬ地獄が幾分かマシな地獄に生まれ変わるだろうと言う算段だね。
「私の仕事を減らす為だけに教育研修やるようなもんだから、気楽に構えてよ。この3日間で大体を教えるけど、完璧に出来る様になる必要はないから。7割くらいの完成度を目指して欲しいかな」
「これでもフォーゲルヴァイデの長男だからね、浅学の身ではあるが君の助けとなれるように華麗に修めてみせるとも!」
若干冷や汗を流しながら目が据わった様にも見えるが、貴族の男子に二言は無いだろう。気軽に期待しておこう。もしかしたらコレはパワハラなのかもしれないな? いや時代が時代だから大丈夫かな。平成や令和なんていう和暦は消えた世界だし一周まわってハラスメントなんて存在しないのかもしれない。セクハラは残ってるけど。
「ちなみに自分で言うのもアレだけど、私はそこそこ知識が豊富だからね。エリック君以外にも手が空いてる各隊の人員が教導研修に来ます。今日はソーマ君だね、この前の歓迎会で挨拶してたよね? 仲良くなれそうだった?」
「ああ、少しばかり壁は感じたが根は優しそうな人だったよ。華麗に仲良くなってみせるとも!」
ポジティブ具合を見る限り大丈夫そうだ。まあ女性に弱音を吐けない! っていう男心で耐えてるだけかもしれないけど。
エリック君と雑談していれば、ソーマ君が会議室もとい研修室に入ってきた。壁掛けの時計を見れば丁度0900と9時ちょうどになった。
無駄なしな完璧な時間管理だなソーマ君。扉の前で少し開けるの躊躇してたのを知ってるお姉さんからすれば微笑ましいぞ。
「おはようソーマ君! 今日の座学は神機基礎だよ〜。使い方が荒いと整備班からよく苦情が来てるから話をしっかり聞いて日頃の戦闘に活かしてね」
「……お前の
「そりゃあ私は理論値みたいなもんだからね! でも、強制じゃないのに来てくれたってことは改善してくれる気があるんでしょ?」
「元々興味があった内容だってだけだ。誰かに教えてもらう機会がなかっただけでな」
「ハイハイ、じゃあそういうことにしとくよ。てか遠いよ! エリック君の隣座ってくれない? 視線をあっちこっちさせるの無駄なんですけど!」
「……」
あ、不貞腐れた。またまだこういう所がお子ちゃまだなぁソーマ君は。
仕方ないのでため息をついてはじめようとしたところで、エリック君が立ち上がり、ソーマ君の隣に座った。
ソーマ君はギョッとした顔をしているが、エリック君は得意気だ。
「ニーナくん、これで問題ないかな?」
ニカッと笑う彼に思わずコレコレ〜! と言いそうになるがぐっと我慢。
サムズアップをエリック君に送り、ソーマ君の不満げな顔を黙殺して講義を始める。
最初の単元は神機についてだ。
──まずもって神機誕生までの簡単な歴史だけど、現代の神機はアラガミのコアをベースに製作される。最初の神機はアラガミを無理やり狩るために、オラクル細胞を手当たり次第に集めて圧縮して無理やりコア擬きにしたみたいだね。
勿論そんな状態が安定していない武器がまともに運用できるわけもなく、普通に一回使い切りの武器だったみたいだね。使用者も神機も使い切りなわけだからほとんど自殺だね。
当時の人のメンタルは使命に燃えてたのか、はたまた無理やり使わされたのかは資料に残ってないからわからないけど、まあきれいな理由じゃないから資料に残ってないんじゃないかな。
そんなこんなでそういう神機のプロトタイプ擬きで何人も捨て身特攻した結果、当時の人類は現在と比較して非常に小さいオウガテイルの討伐と、コアの確保に成功したみたい。
今みたいに捕喰機構なんてもちろんないから、研究者も最前線まで出張ってコアの持ち帰る。この時はめっちゃ分厚い容器に移して、容器がコアのオラクル細胞に捕喰されきる前に新たな容器へ移し替えるバケツリレー方式で運んでたみたい。
今以上に偏食研究が未発達だったからかなり力技で運んだらしいよ。
まだこんなことしてた時期から20年も経ってないんだから科学力? の発展はすごいよね。
ちなみにこれやってた第一人者ペイラー・榊博士らしいよ。ますます尊敬しちゃうよね。たまに距離近くて引くけど。
まあそんなこんな持ち帰ったコアを基に今の神機のプロトタイプ、拳銃型神機が開発されたワケだね。
今みたいに適合が安定している訳じゃないから、この時も大分適合者探しに苦労したみたい。この辺はエリック君の神機使い基礎動作教官してた百田ゲンさんが当事者だと思うから、もし興味があるなら聞いてみると良いかもね。気持ちいい話じゃないと思うから、オススメはしないけど。
拳銃型神機使い達の活躍もあって、安定して小型アラガミが倒せるようになってきた。ここでより効率的な研究のためコアの大量確保の手段が模索されたんだ。
そこで出てきたのがソーマ君やハルオミさん、リンドウさんに私なんかが使ってる近接型神機使いだね。
そこから近接型神機使いの活躍によって集められたコアから今の遠距離型神機、エリック君やツバキさんが扱ってる奴が開発されていきましたよという背景がる。──
さて、ここからが大切なところなわけで
「そんな文字通り血と命のバトンで作られた神機を荒く使う人が多いんだよね。シールドじゃなくてブレード部で攻撃を受けたり、遠距離型が敵が近いからって、神機で直接殴ったり。二人はこれからはそんなことしないでね~?」
「ボクの武器。では話が通じないわけだね。整備の人たちにも出来るだけ失礼が無いよう気を付けるよ」
「……善処はする」
「うん、もちろん命あっての物種なわけだから、どうしよもない場合は躊躇せずにやっていいけど、そもそもそういう状況に陥らないような立ち回りや各種アイテムの活用をしていこう」
エリック君は勿論、普段から悲壮感を抱えてるソーマ君も思うところはあるのか、頷いてくれる。彼が素直になれないのは相変わらずだけど、根が善性なんだよな。微笑ましい。
「じゃあ、基礎背景はここまでにしてこっからパーツの強化理論の概要をかみ砕いて説明するよ。正直今日の講義はこれが伝えたいことの9割だから! しっかり聞いてね! ホントに! アナグラの神機デザイン課と開発課の死活問題なんだから!」
ちょっとオーバーに真剣みを出しつつ、二人の意識を再びディスプレイに向けさせる。
まずは神機の製作過程の説明からだ。
先ほど説明したように神機はアラガミのコアをベースに設計、製作される。
強いアラガミのコアであればあるほど、神機使いの適合率が下がる──高い適合率を出せる人材が少なくなる──代わりに、適合できた人には強力な武器になる。
遠距離型神機ならベース機能のオラクルポイントの自動回復量が多かったり、最大値が多かったりする。その代わりブラストは平常運用できてもスナイパーだとリコイルが大きくなったりとかの癖は出てくるけど、所謂特化機体みたいなものができやすくなるわけだね。
ソーマ君の神機もこれに当たって、多分だけどショートブレードとかだと神機が思った以上に振りすぎちゃうとか、あるいは捕喰形態への移行が緩慢とかになるからバスターブレードなんじゃない?
その代わりソーマ君の身体能力と合わさってチャージクラッシュとかはまさに一刀両断! って感じで爽快だよね。
反対に私の神機は弱いアラガミのコア、ザイゴート種だったかな? それが使われてるみたいで、何かに特化はしてない代わりにどのパーツも満遍なくそこそこの性能が発揮できるんだ。
さて、コアごとに向き不向きのパーツがあるのは分かってもらえたと思うんだけど、パーツ、神機の強化には知っての通りいろんな素材が要ります。
神機デザイン課と開発課の方でアラガミごとに強化に使えそうな素材を選定して現場の神機使いに依頼、集まったら試作、実証試験を経て作られるわけだね。
この時、素材はガチで湯水のように消えるんだよね。図面引いてる段階である程度これは成立しないだろう、みたいなのは弾けるんだけど、結局生体兵器の生体パーツなわけだから図面ではちゃんとくっつくはずだけど、実際に組んでみると拒絶反応を起こして破綻! とかがよくある話なのです。
あとアラガミの素材ってコアからの再生機能を利用した採取だから、取れる量は限られてるし、結合崩壊させないと絶対取れない素材もあるんだけど、この開発以外に整備や壊れた神機の修繕にももちろん使われるから、どんだけあっても足りないんだよね。
日夜進化するアラガミに神機使いが優位に立ち回れるように、強い神機を完成させるためガンガン開発していかないといけないし、神機が使えないから出撃できない。なんてことが出来るだけ起きないように常に修繕用の素材は確保しておかないといけない。
これを両方やらないといけないのが今のフェンリルの辛いところだよね。
「と、いうわけで皆にはただアラガミを討伐するだけじゃなくて、アラガミの結合崩壊可能部位を全て崩壊させた上で討伐いただきたいわけだね。勿論出来るだけ意識して程度でいいから。
ボルグ・カムラン神族……あサソリ型の大型アラガミね? それの盾や針なんかは性質とか位置的に壊しにくい武器種があるかあったりするし、無理はしない範囲でいいからさ。OK?」
「凡そはね。ところでニーナくん質問なんだけど、パーツの拒絶反応と言っていたが、それはアラガミの神族ごとに起きたりするのかな? 例えばヴァジュラ神族とあー先日見た戦車みたいな、クアトリガ? だったかな。これらは併用できないが、ヴァジュラとその堕天種なら相性がいい。みたいな」
「いい質問だねエリック君。
確かに神族ごとに神機パーツは組むのが基本だよ。シナジーみたいなのがあってね、反発が少ないんだ。
だけど機械、鉱物をベースに組むパーツとか一部中型種位までなら割と他神族の素材を混ぜても平気な場合があるかな。
でも結局一番強いのは多分一種のアラガミで素材を固定することかな。純化じゃないけど所謂特化パーツが出来るから、器用貧乏になるよりかは、全属性それぞれの特化パーツを持っておくことをオススメするよ。時間とお金は相応に溶けるけどね」
「おいエリック、例え同じ武器種でもパーツが変われば重心が変わって細かい扱い方が変わる。
ニーナがいうのは理論的には正しいが、ポンポンパーツを変えるのは命がけの仕事をする中では危険行為だ。
まずは一つの武器を習熟した方がいい。ソイツはあらゆるゴッドイーターの中でも外れ値だからな。参考にはしても真似しようとするなよ」
「ソーマ君の言う通りだね。器用貧乏とは言ったけど、そもそも神機がうまく扱えないんじゃ全部無駄だから。やるからには相応の訓練時間がいることを忘れないでほしいな。
補足ありがとうねソーマ君!」
「フン、当然のことを言っただけだ」
「いや素晴らしい助言だった。ボクのこれからの華麗な活躍に、君の言葉は生きるだろう。
ありがとうソーマ」
「……いいから。さっさと次の講義に進めよ」
エリック君の真剣な? 尊大な? 感謝の言葉に思わず居た堪れなくなったのか先に話を進めるように言ってきたので、しょうがないので話を先に進めてあげることにする。
にしても、エリック君の押せ押せ作戦はホントにソーマ君に対しての最適解だったんだな。初対面のころからやっといてよかった。
次回(明日)、エリック強化。デュエルスタンバイ!