最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
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凄い今更なんですが、『エリナ』『アリア』『アリサ』辺りで頭が混乱する。誰だ愛妹の名前をアリアなんてしたやつは!誤字報告でいつも教えてくれる人マジサンキューです。
「今日も一日お疲れさん!」
「か、カンパーイ?」
アナグラ内設食堂の隅、そこで私とリンドウさんは配給権と交換した酒を片手に座っていた。
いや、本当になんでだろう。アナグラ内ではそこそこの危機を乗り越えた時とか、歓送迎会の時とかで大勢で呑むっていうのは稀によくあるが、サシ呑みというのは中々レアだ。
「……リンドウの奴サクヤからニーナに乗り換えか? 」
「この前サクヤにえぐい詰められかたしてたからなぁ」
お陰でほら、あってはならない噂が立ち始めている。サクヤさん私は欠片もそんな気持ちでこの場にいません。
だから怒るならリンドウさんだけでお願いします。
美人のキレは本当に怖いのだ。ブチ切れられるにしてもそれはもっとこう、最終決戦の主張ぶつけ合いフェーズでならともかく、今なんて余裕でパッション負けしてしまう。
これに関しては何も私悪いことしてないのにな……
「いやぁにしてもニーナが第1部隊去って以来じゃねぇか?
あのころは一緒にメシ食うとかのついでに呑んでたりもしたもんなぁ」
「殆どリンドウさんしか呑んでなかったと思いますよ。確かあの頃はまだ神機使いの飲酒喫煙に関する法改正が済んでなくて呑めなかったので」
「そうだったか? 時間が経つのが早すぎて覚えてねぇな……妹のアリアちゃんもこの前見かけたが随分デカくなったろ」
「それはそう! なんですよ! いやぁ私の天使があっという間に大きくなっちゃって! あ、この前エリック君の妹のエリナちゃんのお誕生日会に招待頂いたので行ってきたんですが、彼女も中々可愛かったですねぇ。2人そろうと……なんていうか、楽園が垣間見えました。あ、コレ写真です。見て見てホラ! 見て! ソーマ君が見てくれなかった分まで見てください!」
「うぉっ、そういえばお前こういう奴だったな……。まあ、たしかに可愛らしいじゃねぇの、そのまま健やかに成長してもらいたいもんだ」
うん? 今なんか引かれた気がするな……? まあいいけど。って、いけないいけない。アリアの名前を出されてつい興奮してしまった。
いや
「それで? リンドウさんは急に誘ってきてどうしたんですか? サクヤさんに振られました?」
「余計なお世話だよ。……まぁアレだソーマのやつも心配してたからな。最近っていっても今更だが、支部長から受けてるだろ、専用の任務的な《アレ》だ」
「ああ、リンドウさんで言うところの
別に私としても知識欲が満ちるというか研究が進むところあるので、ある意味ウィンウィンってやつですよ」
「俺と姉上は何度か支部長に進言したんだぞ。
「……なんですか? もしかして純粋に心配して愚痴があるなら聞いてやるぞ~っていうノリですか?」
「そういってんだろうが」
なんだろう。リンドウさんが良い人すぎて死にたくなってきたな。
それもそうか、この人からしたら私は唯一残っている妹のために文字通り身を粉にして働く苦労人か。それも年下の女ともなればまぁ、心配してくれるのか。
「で、どうなんだ」
「ありがたいですけど、リンドウさんに話せることはないかもですねぇ」
「オイ」
「だって、ほら守秘義務があるじゃないですか。デートにしろ御遣いにしろ。
でもまぁリンドウさんが言うところの命のやり取りにはだいぶ慣れたのはほんとですよ。
多分、他の人に任せる位なら私が一番効率的に対処できますし、なにより人殺すのって最初だけちょっとキツイですからね今更他の人がやるより私がやった方が健全でしょ」
「誰かがやらにゃならんのはそうだがな。いや、お前のやってきたことを否定してるわけじゃない。ただ、もうちょっと休んだり周りを頼ってもでもいいんじゃないかって、そういう話だ。
ニーナがソーマの奴に昔言ってたことがあったろ、『私は貴方の仲間だ』って、俺らだってそうだ、お前の仲間だぞ」
「あはは、私より隊長になるの遅かったのに生意気だなぁ」
「せっかく心配してやってんのにお前と来たら」
コンコンと、お説教じみた話を聞きながら酒を吞む。コレは良くない流れだな。『仲間』か。私がかつてソーマ君に言った仲間は私はソーマ君との作戦行動中に死ぬ気がない、って意味だったけど。
リンドウさんは違うんだろうな。きっと、悪徳支部長に操られてる哀れな小娘Aなんだ。だから一緒に
「気持ちはありがたく頂戴しますけど、『仲間』っていうのは私が、リンドウさんの仲間なんですか? それともリンドウさんが私の仲間なんですか?」
「それは、同じ意味だと俺は思ってるんだが、ニーナの中じゃ違うのか」
「似たような意味ではあるんじゃないですか?
リンドウさんが助けてくれって言ったら私は助けてあげますよ。私が助けてって言ったときに、私みたいなやつのことだれかが助けてくれるかは知りませんけど。
わかんないからこそ、私がSOSを出した時に皆が拾ってくれる可能性を少しでも上げるために『施し』てあげてるんですよ」
自然と言葉が熱くなってしまう。これじゃまるで私に疚しいことがあって、それを隠すための威嚇みたいだ。珍しく酔いが回ってるのか? 酒に強い私が? なにか、違和感がある。なんだ、でも無味無臭で感情的にする薬を盛られてる? そんな都合のいいものは聞いたことがない。
「ニーナの事はみんな慕ってるし可愛がってるだろ。そんな意地悪ないい方しなくたって助けてくれるさ」
「うそつき。どうせ私とサクヤさんが同時に窮地で片方しか助けれなかったらサクヤさんを助ける癖に」
「それは……質問がズルだろ。というかそうなる前に俺が最初にした命令を思い出せよ」
火照る頭で反芻して、思い出す。ああ、あの数が数えれないリンドウさん特有の持ちネタか。新人の緊張を解すために言ってるんだろうな。
「……もう助からない状況に陥るなってことが言いたいんでしょうけど、そんな状況でもないなら助けてなんて言いませんよ。
それに誰かに助けを求めたところで……私でどうしようもない事を、他の誰かがどうにか出来るわけもないじゃないですか」
「……ソーマの言ってた通りか。なぁニーナよぉ、本当に俺や姉上、サクヤとソーマじゃ力不足なのか? 戦力分析は得意だろ? 俺たちはお前とアリアちゃんの幸せの為なら喜んで協力するつもりなんだ。なにで悩みがあるか正直分からんが、話してみろよ」
ああ、ほんとになにを言ってるんだ私は。正気じゃない。
そういえばココ最近月のモノも来てないな。ホルモンバランスの乱れから来る感情の不制御? 本当に女の身体は面倒だ。こんなこと言ったって意味ないのに。信頼の積み重ねを、いい後輩を演じて、大事な局面を任されて、私が怪しげな事に関わってるなんて夢にも思わないような、そういう信用を築かないといけないんだ。
アーク計画のことは絶対言えない。リンドウさんが何時から怪しんでたのか知らないけど、私がきっかけになるなんて失態はあっちゃダメだ。
適当な、適切な真実を話す。話さなきゃ。話して、誤魔化す。
「……アラガミは、オラクル細胞は常に進化を続けています。なぜだか知ってますか」
「いや、捕喰特性があるのはともかく理由までは詳しくないな」
「オラクル細胞っていうのは、地球が、資源がなくなり尽くす前に自死して、1から環境をやり直そうっていうアポトーシス、簡単に言うと物語とかで出る不死鳥みたいな死にそうになったら生まれ変わる。そういう星の機能なんだと、私は考えています。
リンドウさん、インフルエンザって知ってますか?」
「ああっと旧時代に流行ってたらしい感染症だろ? ガキの頃に聞いたことある気がするぜ」
「そう、まあソレです。
簡単に言うとインフルエンザってのはオラクル細胞が世間に出回る前までは毎年少なくない人間が罹患してました。毎年ワクチンが出るんですけどね。ワクチンがあっても毎年インフルエンザに罹患する人が多かったんです。
これ、インフルエンザが、ワクチンに適合、翌年には違う形になって同じ症状を起こしてるわけなんですけど、オラクル細胞が、というよりアポトーシスたる星の意思を反映させてくると今後どうなると思いますか?」
私がするのはまだこの世界では誰も知らない未来の話。ナンバリングが進んでも解決の手口は見えない現代の大多数を救った結果訪れる、絶望的悲劇の話だ。まぁ私は
「……神機使いに適応したアラガミが出るとかか?」
「かもしれませんね。
もう少し具体性のある予想をするなら、まずアラガミが進化します。これまで通り新種がバンバン出るのは勿論、コアが抜かれても復活するアラガミとか、神機を機能不全に陥らせるアラガミが出るかもせれませんね。こういうのなら榊博士とかリッカちゃんとかが頑張ればなんとかなると思います。
コア抽出時に再生阻害を打つとか、理論上存在する感応現象の応用とかそういう形でね。あぁ感応現象についての説明は博士に聞いてくださいね?私が詳しい訳じゃないので。
それでその次ですが、アラガミじゃ殺し切れないと業を煮やした星は何をするでしょう。水質汚染あたりかなと私は予想してます。
人間は水がないと生きていけないので、触れたら死ぬ水辺りが湧くなり降るなりするかもですね。
汚染物質を仮に取り除けたり洗浄機構が各支部に配備されたら次は何でしょうか、大気汚染、地殻変動くらいは来てもおかしくないかなと考えてます。
リンドウさん、ことこの段階まで来ちゃったら、私たち人間に出来ることなんてきっとないですよ。宇宙研究を進めて、別の惑星に移住することを研究する方がよほど現実的です」
「……お前のその予想が仮に現実に起きることとして、そりゃどれくらい先のことなんだ?」
「うーん、どうでしょうね。でも、アリアが大人になることは難しいんじゃないかなって思ってます。
ざっと5年以内に水質汚染に類するナニカは起きますよ。この星は我慢強くないですから。
ここまでわかってる私が何もできることはないって言ってるんですけど、それでも何とかしてやるっていう人が居るなら……きっと私は縋っちゃうでしょうね。
どうですか? リンドウさんや、ソーマ君は、アリアのこと、助けてくれそうですか?」
「……」
難しい顔をして黙って考えるリンドウさん。本当にいい人だ。普通、こんなの陰謀論とかそういうレベルのうさん臭さが入るけど、私が話してるからか、私が本当にこのままの世界の先に失望してるのが伝わってるからか、真剣に考えてくれてるんだろう。
考えたってどうせ答え何て出ないのに、何時までもゲーム感覚でアラガミと戦う私とは違う。
日々を懸命に生きる人達特有の不撓の精神。絶望してる姿が似合わない人っていうのはいるものだけど、リンドウさん以上に絶望によって折れない人を私は知らない。普段は自堕落に生きてるって言うのにね。
「難しい話だな、俺の頭は生憎ニーナほど良くない。
恐ろしく過酷な現実がきっとお前さんの言う通り、これから大挙として押し寄せてくるんだろう。
人類は抗う術を持たないかもしれないし、それが神の決めた運命なのかもしれん。
だが、だけどだニーナ。俺たちはゴッドイーターだ。そんなクソったれな運命に牙立てて生きていくのが俺達の仕事だ。
お前と榊博士とリッカの奴が手を組めば俺はなんだって出来る気がしてる。それが成るまでの時間稼ぎだったら幾らでもしてやるさ。『
「は、ハハ」
まさか、ソレをここで聞けるなんて思わなかった。
今のは原作主人公が、他ならぬリンドウさんに向けて言う筈の所謂名言だ。
こんなところで廻ってくるとは、運命っていうのは分からない。もしかしたら私がどれだけ足掻いたって意味がないという、世界からの警告かもしれないな。ミーハー心みたいなのが久しぶりに刺激された気もする。
「あはは、はぁ、おかしい。
……リンドウさん、ありがとうございます。お陰でちょっと元気が出ました。逃げろって言われたり逃げるなって言われたり、ずいぶんと都合がいい言葉だなぁとか思いますけど、そうですねぇ。リンドウさん、私も余裕がある時は助けてあげるので絶対に、逃げちゃダメですよ」
「おう、まったく、伝わってるかどうかわからんやつだな。まあ、元気が出たならいいが、無理すんなよ。俺でもソーマでもサクヤでも姉上でも誰でもいい。頼れる時はしっかり頼れ」
ガシガシと乱雑に頭を撫でられ、リンドウさんは自分の酒だけ持って去っていく。
ああいう人が、少しでも方舟に乗ってくれたらと心から思う。きっと、遺された人類の希望になる筈だから。
熱くなっちゃったな。これからはこっちの感情を燃やしに来るエキスパートだろう主人公君が来るんだ。少し気を引き締めるために、今日は休もう。明日になればまたみんなに愛想と助けを振りまき施す。いつも通りのニーナちゃんだ。
光の男リンドウ。夕昏れの女ニーナ。
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