最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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前回初投稿ネタを忘れてたので初投稿です。

なんか知らんけど前回いっぱい評価増えました。なんかあったん?
感想、評価、ここ好き、誤字報告。いつもありがとうございまぁす!


日刊51位!感謝!!!評価してくれたみんなのおかげやね!ありがとう!


3-3

 原作主人公君こと神薙ユウとエリック君が鉄塔の森で合流したらしい。その報ヒバリちゃんから聞いたのは、ちょうど鉄塔の森付近の上空をジェット機が通過しようとする直前だった。

 

 思わず神機だけ抱えて、高度を落としてもらった機体からダイブを決行するほどには焦っていたと思う。

 空中を浮遊していたサリエルのコアを捕喰で抜き取り、神機解放状態になってから手ごろなザイゴートを突き刺して、比較的ゆっくりとした落下。

 飛び降りれる高さになったら鉄塔に飛び移ることで着地。

 聞いていた合流予定地にはエリック君。その少し離れたポイントにソーマ君と神薙ユウの姿を認識した時は本当に安堵したものだ。

 

 エリック君の背後に着地し、肩を叩けば即座に正座した辺り、彼も多少やらかした自覚はあるらしい。理由を聞かれても原作知識なんて言えるわけもないから怒ってます感だけで誤魔化したけど……でもまぁ、エリック君が生きててよかった。

 

 聞くところによると、オウガテイルの頭上からの奇襲があったそうだけど、ソーマ君の声に合わせて改良した機雷バレットで迎撃したとか。

 随分とまぁ荒業だけど、原作ブレイク、運命の軛の破壊は達成した。鍛えれば死亡フラグは折れるもの。それが分かっただけでかなりの収穫だ。

 死亡フラグが折れるならグッドエンドだって折れるだろう。

 そもそも原作っていうのはかなりギリギリの結果成り立っているのに過ぎないし。要は特異点(シオ)が地球を喰わないというところのみ邪魔すればいいのだ。

 月があるというならエイジスに屋根をつけよう。

 第一部隊の面々に寄り添うというなら、私が絆を壊そう。代わりに私が地球を喰らうように刷り込んでもいいしね。

 結局ヨハンさんが駆るアルダーノヴァを第一部隊が倒したところで、こっちはゲームオーバーじゃないんだから、最悪私は第一部隊に負けたっていい。終末捕食を止める術があるラケル博士の時とは違って特異点(シオ)の慈悲や気まぐれで地球から月に目標が変わっただけなんだから、焦らなくてもよくよく考えれば勝ち戦なんだよね。

 

 まぁそれはともかくとして、今一番注目しないといけないのは神薙ユウの特異性だ。

 曰く、「たまに光景や人のセリフに既視感を感じる」

 とのことだ。

 多分気のせいなんですけどね。と笑っていたが、私という前例がある以上、他に転生者が居たって何ら不思議ではない。彼が既視感程度にしか感じていないのは何故かわからないが、おおかた転生先がモブだった私と、主人公だった彼とじゃ魂の強度的なものが違って乗っ取れなかったんだろう。あまりにも非科学的すぎて何を言っても妄言の域を出ないんだから、それくらいに受け止めておいた方がいい。

 仮に原作を全て思い出したとかがあれば好都合。この先の救いようのなさを知るなら口説きやすいはずだし、思い出せないんだったら私にアドバンテージがあるというものだ。

 

 ああでも、あの気持ち悪い精神科医の件は彼に丸投げしておきたいから、思い出すならそれ以降だとありがたいかもしれない。

 本部からの帰りのジェット機でモスクワ支部・ロシア支部の支部長とその部下で『心温まる話』をしてきたが、モスクワはそんななのに、ロシアの連中は根が腐ってるのか笑顔からして気持ち悪かったんだよな……。

 今頃まだ見ぬアリサちゃんは最終調整をされてるくらいだろうか。本当に哀れだ。まぁ出来るだけ原作通りに動いてもらわないと、私が特異点を見つけれなかったときに困るから助けたりはしないし、予定通りアリサちゃんにはリンドウさんをフェードアウトさせる役割を全うしてもらわなきゃいけないんだけどさ。

 

「おい」

 

 考え事しながら新型のデータをタブレットに打ち込んでいれば、ソーマ君が肩をつかんで振り向かせてきた。

 

「どしたのソーマ君? 私のお願いを無視したこと謝りに来た?」

 

「チッ。それに関しちゃ俺じゃなくていつまでも喋ってやがったエリックに言いやがれ。……査問会の方は問題なかったのか」

 

 なんでソーマ君があのバカ豚資源統括官との話が気になるんだろう。この私の優秀さを知らないアナグラの人間なんてそれこそ新兵位なものだろうけど……。まさかとは思うが心配してくれてるのかな? あのソーマ君が!? いや彼はもともと根は優しいし、善人だけど、エリック君やユウ君(他の人)のいる前でこんなことを言うことはなかったはず。つまり、

 

「……デレ期なの?」

 

「バカが。もういい聞いた俺が馬鹿だった」

 

「ごめんって! 私が悪かったって! ごめんね。二人きりのときにすべきだったね!」

 

「うるせぇ! 撫でてくんじゃねぇ! 二人きりの時なんてほぼ無いだろうが!」

 

 おーよしよしとフードの上から頭を撫でまわしてやれば振り払おうとしてくるが、私のユーバーセンス()をなめてもらっちゃ困る。本気で動いてるわけじゃないなら、振り払う腕の動きを躱して撫で続けるなど訳もないのだ。

 お姉さんに勝てる年下が存在するわけないでしょうが。

 

「あのーエリックさん、ソーマとニーナさんは付き合ってるんですか?」

 

「僕も怪しんだことはあるが、なんとニーナ君はアレで誰とも付き合ってないらしいよ。ちなみに好きなタイプは『私より強い人』だそうだ」

 

 ソーマ君に構っていたら神薙ユウが馬鹿なことを言いだしてしまった。エリック君もちゃっかり乗ってるし、コレで手を止めて動揺を見せたら負けなのでソーマ君も聞こえてないふりをして腕を振り回しているが、狭いヘリ内でそこまで暴れれるわけもなく、ひたすら動きの起こりを私が潰して撫で続ける。

 徐々に互いにマジになって真顔になっていくのが面白ポイントかもしれない。

 

「なるほど、だからソーマが好きなんですねぇ」

 

「おや新人クン。キミはニーナ君よりソーマのが強いと見るかい?」

 

 だんだんと手の応酬が殺陣じみたものになってきたな。こういうのは稀にやるけど、ヘリの操縦士に怒られないギリギリを見極めながらやるのが肝だなぁ。それに本質はじゃれあいなのでなかなか楽しい。

 

「タイマンの殴り合いでソーマに勝てる人アナグラに居るんですか? こう、身体能力的に」

 

「フフフ実にいい眼だ。だが、最強のゴッドイーターはニーナ君だと思っているよ。極東で最も華麗な人物は僕だがね。喧嘩の場合は……考慮に値しないな、美しくないからね」

 

「なるほど……華麗ですね!」

 

「ふざけたこと言ってないでお前らこのバカ女を引きはがせ!」

 

「今回¨も¨私の勝ちだね」

 

「……チッ」

 

 先に根を上げたソーマ君を煽れば、舌打ちが返ってくるだけなのを見るに格付けも済んだね。ぐうの音も出ないとはこのことだよ。

 

「さて、誰が誰より強いって? 神薙ユウ新兵」

 

「はい! ニーナ少尉が最強であります!」

 

「うんうん。分かればいいのだよっと、冗談は置いといて、これからはユウ君って呼んでもいい? 私のことは公式の場以外だったら呼び捨てでもなんでも好きに呼んでいいよ」

 

「大丈夫です! じゃあニーナ先輩でお願いします!」

 

 ふっ、先輩、先輩か。

 悪くないね。将来的に地球最強生物になる可能性のある彼に敬意を払われるの、凄くイイ。生き残るための審美眼はたしかに持ってるみたいだね。長いものには巻かれるんじゃなく、巻き付きにいくタイプかな。にしても私とソーマ君が万全のタイマンは、彼の目から見ると私が負けちゃうのか。まあ膂力じゃ当然勝てないから間違いではないんだけども。

 

「おお! 靡く相手が分かってる優秀な子だね。先輩……良い響きだね。聞きたいことがあったら何でもこの先輩に聞くと良いよ! 自分で言うのもなんだけど、かーなーり! 物知りだからね!」

 

「はい! じゃあなんでそんなに距離が近いんでしょう! 無駄にドキドキします!」

 

「私が息しやすい距離感だからだよ~。勝手にドキドキしてな~」

 

「いよっ! 魔性の女! ファム・ファタール! 傾国の美女! じゃあそんなツヨツヨなニーナ先輩は『ニーナ先輩より強い人』以外で、好きなタイプはなんですか?」

 

 ガハハ。ここまで適当なノリでほめ殺されることは中々ないからシンプルに気分がいいな。ユウ君は本当に他人の懐に潜り込むのが上手いねぇ。良い意味で八方美人だな感じがする。

 にしても、たしかに私が挙げていた私より強い人って確かに最低条件ってだけで好きなタイプってわけじゃないもんな……。

 

「ん~。あんまり考えたことなかったけど『主人公』みたいな人は好きだよ」

 

「主人公ですか? こう、バガラリーみたいな?」

 

「そう、主人公は誰にも負けないし、道半ばで何度か負けても最後には勝ちそうじゃない? ヒロインに私が据えられるなら私も死なずに済みそうだしね。

 でもバガラリーみたいな普段はダメダメな主人公じゃなくて、孤独でも、孤高でもいいけど天才で、強靭で、強烈に痛烈なそんな主人公みたいな人は、きっとすごくかっこいい。そういう人に、私もなりたいと思ってるし、そういう人となら素直に好きって思うんじゃない? 後は、まぁイケメンだよね! 結局顔かも!」

 

「なるほど……だってソーマ! 応援してる!」

 

「そこで俺に振ってくるな……!」

 

「アハハ! 私的にはソーマ君大分アリなんだけどね、ソーマ君は私のことは人間的に好きでも女として好きじゃないみたいでさぁ。悲しいことに何度か振られてるんだよねぇ」

 

「えぇ!? こんな可愛いニーナ先輩を!? もったいないなぁ。フリーだったら絶対受け入れちゃうのに」

 

「ユウ君……君は本当にできた後輩だねぇ! エリック君もソーマ君もこの可愛い後輩を見習いったほうがいいよ? いつもさらっと流すんだから! 偶にはホラ! こういう風にわかりやすいヨイショして!」

 

「「……」」

 

 可愛い後輩の頭をワシワシ撫でながら二人に話を振ればエリック君はニコリと令息スマイル、ソーマ君はフイと窓の外を眺める形でガン無視を決め込んできた。この男たちは良い性格してやがるよ本当に……! 

 

「無視しないでくれる!? 私がスベった恥ずかしい人みたいじゃん!」

 

 そこまで言って、ようやくみんなして笑いだす。荒廃した世界の空中散歩中とは思えない程、気さくで平和な新たな日常だ。

 にしてもちょっとだけとはいえ、ソーマ君が新人の前で笑うなんて思わなかったな。よほどエリック君と私の陽キャパワーに感化されたのか、それともユウ君の主人公パワーがなせる業か。どちらにせよ、ここまでユウ君のコミュ力お化けっぷりは予想外だ。私はアナグラ内じゃかなりの人気がある筈だけど、この調子じゃすぐ影響力は変わらなくなりそう。まぁ、彼一人こっちに口説ければそんなこと関係ないだろうけど、最悪は想定しなきゃね。

 

「ていうか色々聞いてくるユウ君はどうなワケ? 彼女とかいないの?」

 

「彼女ですか? 今は居ないです。けど」

 

 三人の視線をたっぷり独り占めにした後、ユウ君は無駄なキメ顔で宣った。

 

「……オレ、銀髪の美人と付き合うのが夢なんで! すいません! 死にたくないです!」

 

「フッ振られたな」

 

「ああ、振られたね」

 

「え、いま私が振られたの? 告白した訳でもないのに?」

 

 酷いなぁ、告白してもないのに振られるって男子の役目じゃないの? 

 少なくとも女子でこの役目になってるの見たことなかったんだけどな……。ま、まあこれも親しみやすさのなせる業ってやつよ……。なんか無駄に悔しいな? 

 おのれ神薙ユウ……銀髪美人と言ったな? その言葉忘れないからな……!




神薙ユウ
外部居住区の中でも外側のスラムに近い所で育ったからか、フィジカル的強さを見る目や、逆らっちゃいけない人を見極めたり、どこまでの弄りならマジギレされないかを読む能力に優れている。
生粋のコミュ力お化け。
初手で恋愛の話ぶち込むのはヤバいだろと思うが、作者の友人のコミュ強曰く下ネタと恋バナに類する話はどんな年代の人とも仲良くなれる魔法の話題と言っていた為採用。

新型神機使いは?小説は読んでないからスマンがナシです

  • 漫画版(加賀美リョウ)
  • 原作ゲーム版(仮称神薙ユウ)
  • アニメ版(空木レンカ)
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