最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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緩急で言うところの緩の部分なので初投稿です。
前回で平和は終わると思ったらまだ終わってなくて草

感想、評価、誤字報告、ここ好きありがとうございます!


3-8

 第1部隊にレンタルされていたエリック──さん付けは不要だよ歳も近いし、華麗にアラガミと戦う仲間だろう? とのこと──はなんでもフェンリル本部で行われる、アラガミ生態のなんたらかんたらみたいな報告があるとのことで欧州の方に発ってしまった。

 

 そういえばエリックとは一緒によく任務に行ったけど、ニーナ先輩とは行ったことなかったな。忙しそうで誘いづらい所があるんだよね。なんでもめちゃくちゃ強いって第1部隊だけじゃなくて、防衛班からオペレーターのヒバリさんまで太鼓判だったし、神機整備してくれてるリッカも「全神機使いにお手本にして欲しいレベルで神機の扱いがプロ」とか言ってたしなぁ。

 

 でもなぜか他の神機使いは「真似なんて出来るかぁ!」って言ってるんだよね。ターミナルで観れる各種近接パーツの基本的な扱いの教材ビデオのモデルやってたけど、ショートもロングもバスターも結構丁寧にやってた印象があるけど、そんなめちゃくちゃなのかな……? あの丁寧かつ最適なモーションをアラガミ相手にこなすって、大変だけどできなくは無いんじゃ……? 

 

 コウタは1回だけ任務に同行したらしいんだけど、確か「頭の後ろに目が付いてる」って言ってたっけ。誤射しちゃった! と思ったら首だけ傾けて、背後から迫る弾丸系バレットを避けながら突っ込んだとかなんとか。

 そんな馬鹿なって感じで、コウタがいつも見たくちょっと話を盛ってるんだと思うし、最近入隊したアリサも、「旧型がそんな凄いわけないじゃないですか。そんなに強いならもう少し現場に出てもらいたいものですね」って言ってるし、いやコレはアリサの口が悪いだけかも。

 たしか研究職も兼ねてて実際に何もしてない年休は15日位とか言ってたし……働きすぎでしょ。超人なの? 

 

 まあ、今のオレの仕事はアリサとのコミュニケーションだから、先輩の事を気にしたってしょうがない。

 リンドウさん(隊長)からはアリサは精神的に色々大変らしいから、新型同士仲良くしてやれって言われたけど、向こうの壁が高すぎてちょっと取り付く島がないんだよね……。ゆるふわお気楽コミュニケーションが一番好きなんだけど、コウタへの反応を見る限り、まだそういう段階は早そうだし……

 

 ニーナ先輩としたヘリでのあの会話のせいで銀髪美人(アリサ)対応係としてソーマにまで丸投げされる始末だからな……。まあソーマは任務は誘えば二つ返事で手伝ってくれるから助かってるからいいけど、あの場では極東で見たことない人種上げてたはずなのに、なんでこうも裏目に出るんだろうか。

 

「あの、聞いてますか?」

 

 うわっと、運転手の人が上手いせいでジープの揺れに合わせてぼーっとしちゃってた。

 

「ごめんアリサ、ボーっとしてたよ。なんだった?」

 

「はあ……隊長もコウタも貴方も、神機使いとしての自覚が足りないのでは? 任務地の区画までまだ距離があるとはいえ、アラガミはいつどこから出てきてもおかしくないんですよ?」

 

「ごめんって、気を付けるね」

 

「まあいいです。今回の任務、シユウとコンゴウ、グボロ・グボロの3体の中型アラガミの討伐になります。

 コンゴウの戦闘音を聞きつけて参戦する特性を踏まえると、コンゴウから倒すべきですが、先に他のアラガミを見つけたらどうするか、っていう意思統一をしておくべきです」

 

 うーん、思ったよりまじめな話だった。これは俺が悪いし反省だな。

 まあ中型種位なら3体同時に相手取ったって負ける気しないけど……いけないいけない。ツバキ教官に慢心癖を直せって言われてるんだった。

 それに他の人もいるんだし、足並みを合わせないとね。

 

「コンゴウ以外の2体が固まってさえなければ、先に見つけたやつから倒しちゃっていいんじゃないかな。もし2体が固まってるようなら、そこから少し離れたエリアで神機を変形させる音でコンゴウを釣ろう」

 

「……そうですね、わかりました」

 

「……」

 

「……」

 

 仕事のこと以外ホントに喋らないんだよなこの子。仕事に関連する話を振れば少しはノってくれるんだけど、なかなか塩梅が難しい。

 

「そうだ、アリサってバレットエディットはやってる?」

 

「……既存のバレットの射角調整位ならやってます」

 

「オレまったくのからっきしだったんだけど、ターミナル漁ってたらこういうのが出てきてさ、これ使えたら大分アラガミ討伐が捗ると思うんだよね」

 

 そういってアリサに見せるのは対アラガミ殲滅用バレットPVと題された映像。激しい吹雪で映像が見づらいが、シユウ神族と相対している旧型の遠距離神機使い。見たことのない人だから極東じゃない別の支部か本部の神機使いだろう。

 

 撃ち出されたバレットは前ではなく画角上部に上り、そして目の前のシユウの頭部に直撃する。

 狙いをつけるという工程がないようで、滅茶苦茶に撃ってるように見えるが、連射しても全てがシユウの頭部に吸い込まれていく。

 

 射撃の腕が鈍りそうなバカみたいなバレットだが、これならカノンちゃんみたいな人でも誤射は無いだろう。味方に攻撃するアラガミへの牽制なんてことは出来なくなるかもしれないが、新兵の緊急出動にはいいかもしれないなといった感じだ。

 

「……確かにシユウの頭部は的が小さく狙いずらいですから、ボルグ・カムランの針やテスカトリポカのミサイルポッド、辺りにもアラガミごとの調整をすれば結合崩壊が狙いやすくなるかもしれませんね」

 

「だよね! 

 でもこれってどういう挙動設定したらこう動くのかさっぱりでさ……防衛班のカノンちゃんが最近バレットエディタ触り始めたっていうから聞いてみたんだけど難しいらしくて、アリサなら頭いいし分かるかなって思って」

 

「……パッとわかるものではありませんが、少し考えてみます」

 

「うん! 助かるよ、ありがとう」

 

「べつに、私の戦いを効率化するためのついでですから、お礼は不要です」

 

 これが本物のツンデレか……

 バガラリーのピンクが言ってたな「べ、べつにあんたの為なんかじゃないんだからね!」って。

 ソーマといい、アリサといい、アナグラには素直じゃない人が多いなぁ。かわいらしい反応と言えばそうだけど、こういう人たちはそこを弄ると拗ねるので要注意だ。

 

「なんですかその妙に生優しい目は……ドン引きです」

 

「そんなに? ごめんって」

 

 女の子にこれ言われるの地味に傷つくな……

 コウタじゃないけどかわいい子に言われるとなおさらに。

 

「ほら、もう着くみたいです準備してください」

 

「出来てるって、じゃあ今日も生き残ろうね」

 

「当然です。さっさと殲滅します」

 

 アタッシュケースに納めている神機を励起、近接形態にする。

 もっぱらロングしか使わないけど、バスターとかも適正があるらしいし、今後チマチマ試してみても良いかもなぁ。

 そんなこんな馬鹿熱い煉獄の地下街で、目標アラガミ捜索を始めたわけだけど、これがまた、全然見つからないワケだ。

 

 入り組んだ地形の先でアラガミの不意打ちに警戒しながら進むから体力が削られるし、何より暑い。ダラダラ汗を流す程度で済んでるのは神機使いの身体のおかげだけど、早くアラガミを倒して帰らないと丸焼きになってしまう。

 神機をガシャガシャ変形させてコンゴウを呼ぼうとしてるけど全然来ないし、なんかおかしいな? 

 

「目標がいませんね」

 

「だね。区画は既に一周したし流石におかしいね? オペレーターに判断を仰ごうか。

 

 ヒバリさーん、こちらユウです。アラガミが小型含めて全然いないんですけど、心当たりはありますか?」

 

『こちらオペレーター。おかしいですね、第4部隊から提供されてるデータ、偵察班からの報告ともに異常はないはずですが……目標が何らかの理由で移動したのかもしれません。

 帰投ポイント送りますので、そちらまで戻る最中になにか気になることがあったら教えてください』

 

「わかりました。……だってアリサ、許可も出たことだし帰ろうか。暑すぎるしね」

 

「ええ、そうですね。流石にここに長居はしたくありませんし……?」

 

 突然アリサが何かに気づいたように振り返る。釣られてオレも視線を追うけどそこには何もいなかった。

 物音もしなかったと思うけど、どうしたんだろう。視線を感じる的なあれかな。

 

「どうかした?」

 

「裸足で砂を踏むような音がした気がしたんですが……気の所為だったみたいです」

 

「そりゃなにより、さすがにこの区画を裸足はやばいだろうし。歩いてる人が居たなら超人だね」

 

「そう、ですね。時間を取らせました。行きましょう」

 

 喉に何か引っかかるような違和感を感じながらも、周囲を警戒しつつ帰投ポイントに向かう。

 特段目新しいものも無く、回収ポイントで廃棄された閃光弾や銀を拾えたくらいだ。ここまでアラガミが居ないなんてなにかの前兆じゃないといいけど……。

 こういう難しいことは榊博士に伝えとくのが一番かな。下手の考え休むに似たりって言うし、頭のいい人に任せよう。

 

 えっちらおっちら暑い中歩いて帰投ポイントに着くのと同時に、オープンチャンネルから通信が入る。

 

『もしもーし! 聞こえる? 第4部隊 隊長ニーナです!』

 

「こちら第1部隊のアリサです。隊長と言えども無線の私的濫用はどうかと思いますが、なんの御用ですか?」

 

「ちょ」

 

 なんで初対面なのに喧嘩腰なのアリサ!? その人すごい人らしいよ!? 

 

『アハハ、君がアリサちゃんか、元気があっていいね! 君達の状況、というか任務での行動を教えて欲しいんだよね。あ、これれっきとした仕事だからね!』

 

 アリサがこれ以上失礼な口を利く前に、通信権を奪い取るように通信を入れる。ニーナ先輩みたいな、キレたら絶対やばい人のアリサに対する好感度を下げるわけにはいかない!

 

「お疲れ様ですユウです! 煉獄の地下街に来てから約17分が現在経過してます! 元々中型3種の討伐に来てましたけど、区画を1周回っても、目標はおろか小型アラガミも発見できてない状況です。オペレーターに相談したところ、帰投許可が出たので帰投ポイントで待機中です! 怪しいものは何も見てません!」

 

『OK! ナイス報告だよユウ君! ちなみにアリサちゃんも何も見てない?』

 

「……ええ、見てないです、けど……あ、いえ、なんでもないです」

 

『なにか聞こえたとか臭ったとかならそれでもいいよ!』

 

「……人が裸足で砂浜を歩く時みたいな軽い音は1度聴きました。彼は聴こえてなかったみたいですし、そちらの方角を見ても何も居なかったので多分気の所為だと思いますが……」

 

 自分でも馬鹿なことを報告してると思ってるのか、言葉がどんどんしりすぼみになってくアリサだが、どうやらニーナ先輩が求めていた答えだったらしい。快活な先輩が息を呑んだのが、通信越しでも分かる。

 

『……アリサちゃん大手柄だよ。ありがとう。2人はそのまま帰っていいよ。第4部隊案件だから気にせずにね。

 

 ヒバリちゃんも聞こえてるよね? 

 私はこれから携行偏食因子と食料をバックパックに詰めるだけ詰めて遠征だから、私に救援依頼は出せないと思ってて。あと煉獄の地下街は私が次に通信を入れるまで立ち入り禁止区域に設定! 

 エリック君は帰ってき次第、ツバキさんの指揮下で好きに動かしていいから伝えといて! 支部長がエリック君とアナグラ帰ってきたら、私は『お遣い』に行ったと伝えてくれるかな?』

 

『……承知しました。無理はダメですよ! 定期連絡だけはお願いします!』

 

『はいはーい! あ、わかってると思うけどアリアの事だけよろしく! カノンちゃん辺りは今暇だから声かけといて! 多分5日位で帰るから!』

 

 一方的な矢継ぎ早の指示をこっちに下すと、遅刻寸前の人みたいな勢いで通信を切られてしまった。

 

「……私、何を聞いてしまったんですか?」

 

「さぁ……? でも、大手柄らしいし、良かったんじゃない?」

 

 アリサと顔を見合せ、互いに大きな溜め息をついた。

 アナグラには変な人と、変な事が多い。

何事もないといいんだけどな。

 

エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?

  • アーク計画成功。
  • アーク計画失敗。
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