最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます!
アンケート結果ほぼ五分五分で笑いました。
協力ありがとうございました!
エンディングは決まってるんですが、気力があればIFも書いても良いかもと思っています。
とある区画からアラガミが消失するというのは、極稀に極東でのみ一時的に起こることが観測されている。
この現象はなぜ起こるのかは公には明らかになっていない。
仮説としては主に二つある。
これらの仮説は両方とも結果としては正しい。
周囲一帯からアラガミがほぼ同時消滅することで、大気中にオラクル細胞が霧散する。その結果アラガミが大量に同時発生したり、普通のアラガミよりオラクル細胞濃度が高い強度なアラガミや新種のアラガミが発生しやすくなるわけだ。
だが、これらはあくまでアラガミが同時消失したら起こる現象であって、アラガミが消失したら起こる現象ではない。
結局のところ実際にアラガミ消失が起こるのは、神機使いが頑張って掃討したうえでアラガミのコアを分離後放置するか、終末捕喰に向けた情報集積体である特異点が、辺り一帯のアラガミを食いつくすことによっておこる現象なわけだ。
情報集積体という特性上、もっといろんなものを喰うのかと思っていたけど、色んなモノを喰っているアラガミを喰えば情報集積ができるらしいね。加えて、一度大量捕喰をするとしばらく集積した情報の消化──解析ともいう──に当たるため捕喰が止むらしい。
というのが、以前榊博士とヨハンさんとおっかなびっくりしながら話したときに出た結論だった。
つまり、煉獄の地下街にて掃討作戦が行われてないにもかかわらず、アラガミの消失を確認できたということはそこに特異点がいるということ。
榊博士の方で特異点を迎える準備ができていない今、特異点の使い方は私が逃したふりをしてヨハンさんに匿わせれば勝ちだ。逃がし先はロシア支部が完全にヨハンさんの傀儡だからどうにかなる筈。
特異点を捕縛、そのあとは5日の帰還を目一杯使って、ヨハンさんからの緊急通信を待つ。
ガハハ! この勝負、私の勝ちだ!
と、言う考えを巡らせてアナグラを飛び出してから4日が経過した。
「特異点いないじゃんっ!」
アリサちゃんの報告から絶対裸足で歩く白髪の女児型特異点だと思ったのに! どうせのんびり歩いてるんだろうなと思ったのに!
消音スキル積んでいる対貫通バックラー改まで装備してきてるのに! まるでこっちの行動が見えてるか聞こえてるみたいに、ユーバーセンスに引っかからない範囲で無限かくれんぼで遊ばれてるみたいだ。
一応、足跡とか戦闘痕や食べ残しといった手がかりを見つけて何とか追ってはいるけど、ぜんっぜん追いつけない! 煉獄の地下街は2日目の時点で区画から外れちゃったし、今となっては贖罪の街近辺まで来ちゃったし!
流石に神機使いの体力とはいえ、歩きすぎで疲れてしまった。
一応生存報告の定時連絡を入れるタイミングで煉獄の地下街の立ち入り禁止は解除して、アラガミの異常発生の検知を偵察班の人に任せてるけど大丈夫かな。異常に強いアラガミが目の前で生成される可能性もあるから気を付けてもらいたいところだ。
にしてもユーバーセンスを全開にして痕跡探しに活かしてるけど、いい加減これは頭が爆発するな……
まさかここまで見つけれない物とは思わなかったし、普通に想定外だ。
情報の消化中は動けない何てことはないと思っていたが、動きすぎでしょ……。携帯用偏食因子は戦闘しなければ残り4日分くらいはあるけど、携帯食料の方が底が見えてきたな。こういう時は自分の燃費の悪さが恨めしい。あと川で水浴びくらいはしてるけど、いい加減ちゃんとしたシャワー浴びたいな。
携帯端末に送られてくる、ヨハンさんからの暗号通信は5日間はあきらめずに探せだったし、人使いが荒すぎる。
内心愚痴りながら、ビル陰で日差しから逃げながら小休止していたわけだけど、ユーバーセンスに引っかかるものがあった。
「……ん? なんだこれスタンピード?」
4足歩行の大型アラガミの群れが、贖罪の街へ押し寄せてる……? 普通アラガミが押し寄せるなら人のいる場所だと思うけど……ってこれアレじゃん! 蒼穹の月の時に誘導されていたディアウス・ピターとプリティヴィ・マータの群れじゃん!
そろそろだとは思ってたけど、ヨハンさんさては私を関わらせたくなくて、私に帰投許可を出さなかったな……?
高所に登って双眼鏡で群れの戦闘を見れば、挑発フェロモンをぶっ刺した半殺しのザイゴートを大型車で引きづってるな……。人の心がまるでない。絶対あの車操縦してる人この後消されるじゃん。
あーでも私がこの位置にいると、私が誘導したみたいに見えるかな……?
ヨハンさんの思惑から外れるわけにもいかないし、アリサちゃんを使った謀略完了後に合流できるくらいの位置にいるか。私がいたせいで、リンドウさん以外の無駄な犠牲が出ても嫌だし。撤退戦の殿くらいは勤めてあげよう。
一応言い訳も作っとこうか。
「あーあー、こちら第4部隊ニーナです。聞こえる?」
『こち……レーターで……-ナさ……電波が……ないです』
「アハハ、まるで聞こえないね。多分コクーンメイデンのジャミングだ。贖罪の街近辺でスタンピード並みのアラガミの群れを発見。救援要請が出てるかどうか私の装備じゃ確認できないから、今から向かうだけ向かうから、もし待機中の神機使いがいればそっちからも向かわせてね。じゃ」
言うだけ言って通信を切る。
邪魔されないように、通信力がカスな代わりにバッテリー持ちがイイのを持ってきてた甲斐があったかな。
こっちが電波拾おうとしない限り、こっちの位置情報の誤魔化しが効く。ジャミングなんて贖罪の街では実際ないけど、コクーンメイデンのせいにしとけば追及は不可能だからね。なんせ地面に潜るから。
これで私は特務中に偶々スタンピードを見て、もしかしたら救援が必要な人が居るかもしれないから様子を見に来たら、第一部隊が襲われたのを見つけて助けた人ってわけ。『施し』らしい立ち回りで違和感もないね。
特異点探しはもう諦めて、いつも通りの戦闘用に思考を切り替える。
中央教会の中は下手したら出れないかもしれないので、入らないようにしなきゃね。
アサルト特有のバレット連射音と、建物が崩落するような音がすると同時に、第一部隊を囲うプリティヴィ・マータのさらに外側から陣取るわけだ。
「第1部隊! 大丈夫? 通りすがりに助けに来たよ!」
「ニーナか! 俺が道を開く! 撤退を手伝え!」
「あいよ~!」
ソーマの返事が聞こえるのでソーマの動きに合わせて、囲いの薄いところに居るヤツの首を落とす。
プリティヴィ・マータ、初めて実際に戦ったけど思ったよりも柔いな。
「状況はユーバーセンスで把握した! ユウ君、コウタ君、鎮静剤使ってサクヤさんとアリサちゃんを大人しくさせたら二人を担いでソーマについて撤退! 殿は私がやる! 強制解放剤も惜しみなく使うんだよ!」
コウタ君とユウ君に第4部隊の標準装備である鎮静剤を投げ渡して、泣き叫ぶサクヤさんとパニックを起こしてるアリサちゃんを大人しくさせて担がせる。
すれ違いざまにアリサちゃんのインカムを回収して、耳に付ける。あとでこれ使って回収してもらわなきゃいけないけど、今は電源オフでいいな。
プリティヴィ・マータの数はあと8体。
手持ちのスタングレネードは2個、回復錠4個と強制解放剤が5個……無理だな。足手まといさえ居なくなれば行けるけど……。
「ソーマ! アナグラとの通信が回復したらツバキさんと支部長に状況報告! 捜索隊としてエリック君を臨時捜索隊長として偵察班から2名引っ張らせてきて!」
「わかった……お前は死ぬなよ!」
「アハハ! 私もリンドウさんもこの程度で死ぬわけないじゃん!」
顔は見えないけど絶対怒ってるソーマを笑いつつ、第1部隊5人の撤退を完了させる。さて、久々だね。最近は書類仕事が多くてお腹減ってるだろうし、悪影響もあるから捕喰は控えてたんだけど、リンドウさんと軽く話したくもあるし、今回はファストフードとして喰い荒らそうか。
とびかかってきた1体の喉元に捕喰形態の顎を喰いつかせる。
「喰事の時間だよ」
『イタダキマス。デモ辛イナラ辞メトケバ?』
「黙って仕事しろ生体兵器が」
『ヒドイゾ、同ジ釜ノ飯ヲ喰ラウ仲間ダロウ』
「誰がだよ」
本当に、両親が死んだあの日から聞こえるのはおかしいと思っていたが、最近は特に流暢だ。捕喰して神機解放する度にべらべら喋りやがって鬱陶しい。
なんか最近一人で歩いてるときに話しかけてきて思わず返事しちゃうときとか、他人に見られたらどうするつもりだ。こっちはアタオカキャラで売ってないんだよな。そのうち実体化するんじゃねえだろうなと危惧している。おしゃべりな神機にアーク計画リークされました! なんてシャレにならない。
氷槍を飛ばしてくるやつ、噛みついてくるやつ、着地点に氷柱を生やしてくるやつ。無駄に連携を取りやがってうざってぇ。
「頭が高ぇんだよ」
噛みついてくるやつの頭を上から貫き地面に縫い付ける。神機を捻り飛び上がりつつ、頸を一緒に捻じ切る。お、コアが露出したな。コアの捕喰は考えなくていい。結合崩壊も狙う余裕はないしな。さっさと露出したコア破壊して終わりと。
こういうときに本当に新型がうらやましくなるな。
メテオの便利さが懐かしいよ。
「まずは1匹」
さっさと終わらそう。ソーマたちが撤退後、アナグラからこっちに来るまでどれだけ早く見積もっても20分はかかる筈だけど、20分しか猶予がないと考えるべきだな。
「この後にかける時間が10分しかないと考えたなら、お前らは後7分だ、さっさと死んでくれ」
1匹1分もかけれる時間があるなんて贅沢な話だ。首捻じ切ればコアが露出することが分かったし、あとは単純作業だ。
氷槍を避け、氷柱を盾で受け流し、噛みつきをスウェーでスカして神機で頸を落とす。露出したコアを貫いて殺す。
一体減れば攻撃の隙が出来て楽になり、もう一体減ればさらに楽になる。きっとソーマもこれくらいは出来ると思うんだけど、ソーマはアレで回りを気にしちゃうからなぁ。
まあ誰かを守りながらってのは私も苦手だし、気持ちはわかるけど。
そうして数分戦っていれば、ここを囲っていたプリティヴィ・マータは全滅した。
強制解放剤は使い切っちゃったけど、ノーダメだし中々よさげな戦果だね。返り血で赤くないところがほぼないのが残念だけど。
リンドウさんの方は……
「ディアウス・ピターと戦闘中か」
瓦礫を上の方だけ除去して合流、だね。
エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?
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アーク計画成功。
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アーク計画失敗。