最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます!

ここから先は特異点編とさせていただく。

まずは蒼穹の月ミッションからニーナが帰還したところからですね。


特異点編
4-1


 フェンリル極東支部 第1部隊 隊長職 雨宮リンドウ少尉(以降乙) 作戦行動中死亡(KIA)の報告書

 

 報告者:加納ニーナ偵察少尉(以降甲)

 代筆者:エリック・デア=フォーゲルヴァイデ強襲曹長

 

 状況報告

 報告者である甲は、フェンリル本部から直々に下されていた任務(内容は秘匿情報の為記さず)の最中、ヴァジュラ神族の新種(プリティヴィ・マータと命名)による大量行軍(スタンピード)を発見。

 甲はこの時既に特務の達成が困難であることと、大量行軍による犠牲が未知数であること、加えて極東支部との通信が不安定であり指示を受けれなかったことから、甲の権限内判断で大量行軍の調査及び襲われた人員の救出を目的として行動指針を変更、実行した。

 

 向かった先には極東第1部隊の隊員がプリティヴィ・マータの群れに囲まれていた。

 その中でも橘サクヤ衛生曹長、アリサ・イリーニチナ・アミエーラ狙撃上等兵の2名が錯乱しているのを甲の特質であるユーバーセンスで感知。

 ソーマ・シックザール強襲曹長を先頭に道を切り開かせ、神薙ユウ上等兵、藤木コウタ偵察上等兵に橘サクヤ衛生曹長、アリサ・イリーニチナ・アミエーラ狙撃上等兵をそれぞれ運ばせる形で撤退するよう指示。この時甲は殿を務め、プリティヴィ・マータ計8体を討伐。コアは回収の余裕がなくやむなく破壊する形となった。

 

 その後、天井が崩落した教会の中で乙が未だ戦闘していることを感知した甲は瓦礫の除去を開始。乙の救出を試みる。

 この時捜索、救助部隊を待たなかったのは復旧しない通信と、撤退させた第1部隊の面々が無事逃げれた確証がなかったがゆえである。

 

 なんとか人が通れるだけの隙間をこじ開けて教会に入った甲だが、腕輪を含む右腕ごと自身の神機を新種のヴァジュラ神族(ディアウス・ピターと命名)の中に突っ込み、腕輪ごと食いちぎられた乙の姿を目撃。

 ディアウス・ピターが乙にトドメを刺そうとしたところで、甲は介入。ディアウス・ピターの右目を切り裂く形で間に入ったとのこと。

 

 しかし、腕輪を損傷しながらもディアウス・ピター体内で神器を駆動させた結果、右腕からアラガミ化が侵食していた乙とディアウス・ピターの挟撃にあったため、乙を神機使い葬送規定第7条3項に則り、アラガミとして処分。直後ディアウス・ピターに傷を負わせて撃退。

 

 乙の遺品は通信機器と嗜好品の煙草、ライターのみであり、それ以外はオラクル細胞の捕喰によって消失。

 遺品は提出済みの為遺族に引き渡すことを求める。

 

 これらの報告書は機密レベルを尉官以上とし、それ以下の階級の者及び一般職員には、乙はディアウス・ピターに敗れ死亡したと伝えること。

 また、乙は神機使い人事階級第4条2項に則り、作戦行動中の殉職とし、2階級特進、大尉として葬儀を執り行うようにすること。

 

 また、本件にて乙に致命的損傷を与えた当該アラガミを、危険度から鑑みて第1種接触禁忌種として認定するよう申請する。

 人海戦術による搜索は甚大な二次被害を齎す恐れがある為、これ以上の捜索を禁止することを提言。偵察班各位は偵察網の見直し後、当該アラガミを発見次第第1部隊及び第4部隊に連絡を入れ、速やかに撤退すること。

 

 以上

 

「これは事実なのか」

 

 私がエリック君に代筆を頼んだ報告書を印刷したものだろう。一度握りつぶしたのか皺が目立つ。

 努めて冷静にしようとした振る舞いだが、その眼にはまだまだ激情が迸ってるように見える。

 とはいえ、向こうが仕事の態度を貫くならこっちもそうしないと示しがつかない。

 

「事実ですよツバキさん。

 ヘリの中でエリック君にその旨伝えてからは丸一日医務室だったので、その後の状況は知りませんけども……どうなってますか?」

 

「お前の提言通りだ。コイツ……ディアウス・ピターの捜索は打ち切り、一度偵察班の偵察網の見直し後に再度偵察任務のついでに探すことになった」

 

「そうですか。止めてくれてありがとうございます。防衛班辺りが捜索に出て戦闘してたら多分無駄に死んでました」

 

 ツバキさんの眉間にしわが寄る。

 美人が怒ると本当に怖いんだけど、怒るのも当然なわけで……肉親の死亡はそれだけで周囲への八つ当たりの免罪符だ。

 実際にリンドウさんは死んではないわけだけど、特異点に上手いことあって貰いたいもんだね。

 私をあそこまで誘導したのか、偶然なのかは知らないけど、近くに居ることは確かだ。原作の流れから助けてくれるはずだし。

 

 この虚偽報告は後々になって生きて来る筈……そう思ってやってる訳だけど、リンドウさんが本当に諦めてくれるかは未知数な分怖いところではある。

 実際私がいなくても、どうやってか原作じゃ一人で生き延びてたわけだから、余裕を作ってしまったかもしれない。

 

「……ニーナ」

 

「なんですか」

 

「リンドウは……本当に逝ったのか」

 

「……私がこの手で、これまで同様に。

 言い訳ですが、ディアウス・ピターとアラガミ化したゴッドイーターの両方を相手取る余裕がなく、遺言もまともに聞けてないです。……申し訳ありません」

 

 実際にリンドウさんと別れてからエリック君と合流するまでの間に、利き腕と反対の腕を瓦礫で挟んで圧し折っておいただけなのだが、常にほぼ無傷の私がここまでのけがを負う以上この話の信憑性は高くなる。流石に適合試験の時並みに痛かったから不覚にも泣いてしまった。

 

 そういうワケなので、ここで私に八つ当たり気味に発散してくれたほうが心苦しさもないんだけど……ツバキさんはそんなことしないんだよね、本当にできた人だ。

 

「お前のせいではないだろう。

 だが、今回の件はおかしなところが多すぎる。なんでもいい、知ってることは無いか。お前の受けてた特務は本当に関係ないのか」

 

「……ご存知でしょうが、特務に対する関係者以外への口外は禁じられています。ですが、私の特務はあるモノの捜索でした。その痕跡を辿って行ったらたまたまあの現場に居合わせただけだと、私は考えています」

 

「そうか……」

 

 悔しそうに歯噛みするツバキさんだけど、ここで勝手に動かれてまたぞろ暗殺計画でも立ち上がったら困るしな……。

 ツバキさんに対して餌と枷がいるか。

 

「ツバキさん。アリアのことお願いしてもいいですか? 本部の方に私も探りを入れてみますから」

 

「ダメだ。やるとしてもそれは私がやるべきだろう」

 

「適材適所ですよ。

 確かにツバキさんは今弱点の無い人ですが、本部に対するコネクションは私に比べたら少ない。私は結構豊富ですし、恩も結構売ってきました。

 私の弱点は知っての通り一つだけですから。妹を守っていてくださるなら、私が半年を目途に真相ってやつを探り出してきますよ」

 

「……なぜ真相が本部にあると思うんだ。正直なところ、支部長も疑わしく思う」

 

 ツバキさんの目が揺れる。誘いに乗るべきか迷ってるな。

 腕を抱いて伏し目がちにして警戒反応、私のことも若干怪しんでるのかな? 考えすぎかもしれない。これは試し行動ってやつには変わらないし、そこの払拭が第一だ。

 

「今回の件、怪しいところは色々あるでしょうが、とどめの一撃はアリサちゃんの錯乱が起因してます。

 なのでアリサちゃんの人事に関わった人間が怪しい。まあ支部長も怪しい部類でしょうが、単純に新型の研修協力として極東で受け入れてたってだけなのに対して、派遣された新型がアリサちゃんという爆弾だった可能性もあります。

 

 ですが、アリサちゃんの運用を考えたであろうロシア支部長、本部の人事担当、それから精神科医が居たと思うんですが、この辺はほぼ黒と見ていいと思います。その辺の調査に使えそうなコネクションを持ってますし、査問委員会なんてツバキさん経験ないでしょう? その辺の経験も私はありますから、ここは一度ドーンと任せてほしいですね。私の知らないところで勝手なことしてきてるのに、私自身も思うところがありますから」

 

 まぁ、動くことなんて当然ないわけだけど。

 あったとしてももう用済みになった大車ダイゴとかいうキモイおっさんの尻尾切り位かな。下手に生き残らせても不愉快だし。

 

 今極東に居るなら、ロシア支部か本部へのヘリの輸送中にアラガミに襲われる不慮の事故だってできるだろうから方法何ていくらでもあるから、人事のタイミングで処理に噛ましてもらおう。幸い私の腕も回復錠やらの諸々の治療でくっついてるし、安静期間が終わるまでの2日間は実質的なフリーだ。

 今頃まだアリサちゃんは泣き叫んでる頃合いで、感応現象は起きてないはずだから、間に合うはず……。なんか原作始まってから本当に忙しいな? 

 3ヶ月くらいでアーク計画まで行ってるんじゃないかコレ。余りにもスケジュールが殺人的すぎる。

 

「……わかった。だが、無理はするな。私の代わりにお前を忍ばせておいて失ってはお前の妹にもあの世で愚弟にも合わせる顔もない」

 

「あはは、大丈夫ですよ。息苦しいところも住めば都ってやつでして、だいぶ慣れてきましたし。強いて言うならサクヤさんを……いやユウ君のがいいですかね。アリサちゃんがメンタル落ち着いたら原隊復帰すると思いますから、ソッチに注力してあげてください」

 

「はぁ……お前はいつの間にやら私よりよほどマトモに隊長をしているな。正直、立つ瀬がないがこれ以上恥の上塗りをするわけにもいかん。他のことは任せておけ、病み上がりに悪かったな」

 

 こちらの言い分に納得できたのか、少し険の取れた顔をしている。

 ツバキさんには不平不満が激しいだろう今のアナグラ神機使い達の弁としての役割がある以上、余り負荷はかけちゃだめだと思うんだよね。ソーマは私が死んでないから多分後で大丈夫だとして、一先ずヨハンさんのところで化かし合いだな。

 次が無いのは知ってるけど、釘だけは刺しておかないと、どこまでも進みかねないからね。大義っていうのは本当に麻薬だよ。際限がなく何処までも徹底できちゃう。アナグラにはいい人が多いから、出来るだけアリアと一緒に船に乗ってもらいたいんだよね。

 

 私の考えが正しければ、リンドウさんも最後に縛り上げてでも船に乗せちゃいすれば、アラガミ化も解消される(・・・・・・・・・・・)筈だしね。みんな、私が描く幸せを受け入れてくれたらいいのに。本当に馬鹿ばっかりなんだから。

 




全然関係ないけどみんなも交通安全には気をつけましょう。
飲酒運転するやつがいたら止めてやってください

エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?

  • アーク計画成功。
  • アーク計画失敗。
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