最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます!
神に感謝やね。

いつの間にか評価9が折り返していて驚いてます。
あんな色になるんだ……。
だいぶ人を選ぶモノ書いてて、しかも一人称の特性上+私の文章能力上ものすごい速さで話を進めているので着いてきている人に素直に驚いています。
あくまで自分の自己満足の為にやってるので……承認欲求満ち満ちで嬉しいんだけどさ……


4-3

「第1部隊の隊長権くれませんか?」

 

「病床から上がったばかりだと言うのに、随分と元気なことだね」

 

 アリアと幸せな午後を過ごす半休が終わって翌日、私は早速支部長室にて直談判をしに来ていた。

 昨日エリック君に任せた仕事の進捗確認がてら、執務室に顔を出したけどどうやら榊博士に意見を求めに行ってる最中っぽかった。

 つまり今なら榊博士が不意に来ることもないし、話し放題というわけだ。

 

 前回特異点を私が捕えられなかった時点で、半ば確信したことだけれど個人の力(私1人)じゃ多分捕まえられない。

 エリック君1人いても変わらないだろうし、リンドウさんが居なくなった(隊長職に空きができた)今第1部隊を乗っ取るチャンスでもある。元々私は第1部隊所属でもあったし、原作じゃエリック君も第1部隊。適性はあるしなにより捜索・回収班(第4部隊)は元々特異点捜索のための部隊なわけだ。かなり理に適った判断だろう。

 

「私には何一つ知らされてませんでしたが、今回の第1部隊隊長殿の件はヨハンさんの、ああいや、貴方達フェンリル上層部の仕業ですよね?」

 

「さて、なんのことか分からないな。少なくとも今回の件は様々な要因を孕んだ事故だと認識しているがね。偵察班、整備班、通信班各位に再発防止策、神機使い統括のツバキ君にも不慮の事態における撤退マニュアルを書いてもらっている。今後は二度とこんなことが起きないようにね」

 

「まあ、過ぎたことなのでどーでもいいですけど。私リンドウさん気に入ってたので、今後こういう事があるなら共有してくださいってだけです。

 あと、特異点は私一人じゃ捕まえられないです。マンパワーがいる。その為にアナグラ郊外で使いやすい第1部隊を使わせてください」

 

 備え付けのソファに背を預けながら、文句と真剣な話を混ぜ合わせつつ投げかける。少しばかりバツが悪いと思ってるのか知らないけれど、ヨハンさんは一向にこちらに視線を合わせない。

 代わりに、デスクに置かれていた書類を手に取り私に見せるように掲げる。人事書類、任命書だ。

 

「残念だが、新型神機使いのデータをより広く取得することが決まっていてね。感応現象保有者たる新型神機使いの旧型神機使いを含む部隊メンバーへの影響調査だ。

 なのでニーナ君には苦労を掛けて申し訳ないが、次の隊長は神薙ユウ君ということになる」

 

 昨日にアリアを振りほどいてきてれば別だったかもしれないけど、遅かったか。1日くらいも大丈夫じゃないとはさすがのスピード感だけど、ツバキさん辺りが猛反対するでしょ。

 とはいえ、もう決まってしまったことは覆しようがないか。

 サポート位置からハイエナすることに注力する方向に切り替えだね。

 

「……じゃあ特異点はどうするんですか?」

 

「ペイラーが上手くやるだろう。幸いにして私が特異点は既に極東に居ることが分かっている。

 私に隠れて回収を目論んだところで、極東、アナグラに居るのであれば、ニーナ君の力をもってすれば奪取は容易いだろう?」

 

「まぁ、可能か不可能かで言えば無論可能ですけどね」

 

「であれば何の問題もあるまい。特異点はペイラーが勝手に回収する。我々はそこから徴収するだけだ。

 ペイラーはあの性格から必ず特異点を自身の目で見る事に拘る筈だからね」

 

「……はぁ、わかりました。

 じゃあ、ユウ君が隊長職に任命するにあたって私を教育係として付けといてください。第一部隊の面々の能力を直に把握しておきたいですから」

 

「イイだろう。正式展開は1週間後だが、それまではどうする気かな」

 

「あ~ツバキさんとかサクヤさんが上を大分怪しんでるので、大車ダイゴをアリサちゃんのそばから外して即座に本部に送り返しましょう。送りの護衛は私がします。ヘリ一台廃車にする予定(…………)ですが、内部の鬱憤を晴らす必要経費ですから、ご了承ください」

 

「……そうか。事故(……)に気を付けて帰ってくることだ」

 

「承知しました。明日の夜発で調整お願いします」

 

 肩を落として支部長室を後にする。

 思った以上にヨハンさんは融通が利くようで効かないな。支部長という立場だと本部側に決定に逆らいきれないみたいだ。加えて本部のコチラ側につく連中がアーク計画をサブプラン程度にしか考えてないのかな。

 その辺は分からないけど、一先ず私が今からやるべきことは3つ。

 

 ①リンドウさん暗殺(生きてるけど)を大車に罪を擦り付けるために排除。

 

 ②第1部隊の新隊長ユウ君の教導役として第1部隊の面々と交流を深めて、能力把握と信用のさらなる積み立て。

 

 ③榊博士が特異点をとらえたの察知した段階で、ノヴァの建設が終わり次第奪取。

 

 っていうところだね。

 ノヴァの建設進捗を鑑みて最速で2か月位かな。

 ②と③の段階でおそらく榊博士が私を特異点の件から排斥するか、協調させようとするかの接触が来るからだろうから、その辺は臨機応変ってところかな。

 暫くはユウ君がサクヤさんとアリサちゃんのメンケアしてるだろうから私はソーマとコウタ君をトレーニングと称して仲を深めるのが安牌かな。

 ともあれ一先ずは①のカバーストーリーの作成と事故の用意だ。

 アンチジャミング剤と挑発、偽装フェロモンの開発資料に確か特定アラガミの発生分布があったはずだからコクーンメイデンが発生しやすい地域を通るルートの選定からかな。一番楽なのは嘆きの平原を通るルートだけど……? 

 

「あれ、ユウ君じゃん。どうしたの?」

 

 自身の執務室に向かう途中、医務室の前のベンチでぼんやり座ってるユウ君がいた。感応現象体験はもう1.2日後だと思ってたけど、どうしたんだろう。今日はまだ面会謝絶でとんぼ返りするくらいのはず……? 

 

「こんにちはニーナ先輩。アリサが心配で、なんか担当のお医者さんもこう、信用ならない感じの風体だったので……まあオレに出来ることなんてないのは分かってるんですけど」

 

「へぇ、やっぱ銀髪美人だと気になるんだ」

 

「な!? ああ、いや、そういうわけじゃなくて単純に仲間だし……リンドウさんからも新型のよしみで面倒見ろって言われてたので」

 

 一瞬顔を赤くしたけど直ぐに落ち込み出しちゃった。

 にしても……ふ〜ん? 

 義務感だけじゃなくてちゃんと心配してるんだ。照れ隠しにリンドウさんの言葉を遺言みたいに使ってるのは若いししょうがないか。

 普段だったらもう少し弄りたいところだけど、今日は流石に勘弁してやろう。上官が死んだと思ってまだ日が浅いしね。

 

「そっかぁ、アリサちゃんとは会えたの?」

 

「ああ、はい。といっても、寝てたんですけどね。手握ったら急に目覚めてびっくりしまし……先輩? どうしました?」

 

 いくらなんでも早すぎるでしょ、手を出すのが。

 え、ていうかなんでもうそんなところに来てんの? まだツバキさんがアリサちゃんに質問してパニックな日……私が探るのを止めてたから、アリサちゃんへの事情聴取が先送りになってるのかな? 

 

「……いや、なんでもない。寝てる女の子の手を握ったら目覚めるなんて王子様みたいだなって思っただけだよ」

 

「王子様は無視させてもらいますけど、アリサはそのあとすぐ気絶しちゃいましたよ? ……でもなんか変な幻覚? を見たんですよね」

 

「へえ? どんなの見たのさ」

 

「……黒いアラガミが人を捕食したり、多分アリサ? がベッドの上で大車先生らしき人に、なにかを言い聞かされながら色んなアラガミの映像見せられてて、最後に、リンドウさんの映像が映ってました……なんて! 見たこともない光景なんでありえないですよね。オレも疲れてるんですかね?」

 

 ハハハと乾いたように笑うユウ君を見て、感応現象の発生を認識する。まさか本当にこうも詳細が知られるとは驚きだけど、この調子じゃ、記憶やその時映っていた映像、資料なんかの文字とかまで本人以上に認識できそうで怖いな。

 これだから催眠術なんてチャチな方法で暗殺の実行役を仕立て上げるのは良くないんだよな。どこから捲れるかわかったもんじゃないよ、まったく。感応現象バレは予想外だろうけど、普通にアリサちゃんが正気になる可能性もあるだろうに、本部の連中もヨハンさんと同じで意外とガバガバ計画というか、柔軟性に富んだ計画というか。

 

「ソレは感応現象ってやつだね。

 その見た内容、しばらくの間内緒にできる? ちょっと私の権限つかって色々調べてみるよ。

 ユウ君は当面の間、サクヤさんとアリサちゃんを気にかけてあげてほしいな。感応現象についても、今度また教えてあげるから。イイ?」

 

「……わかりました。内緒にしときます。でも、無理はしないでくださいね。これが原因で何かあったらソーマに殺されかねません」

 

「え? うーん、そんなことはないと思うけどな。

 まあ言わないでいてくれるならなんでもいいや。じゃあ、他にも仕事あるから私は行くよ。二人のことよろしくね」

 

 納得のいってなさそうな顔のユウ君を置いて、ひらひらと手を振りながら執務室へと入る。エリック君はまだ戻っていないようだった。

 ターミナルに腕輪を接続し、無人ヘリの予約と携帯食料の発注を済ませて、アリア宛に時間差で届くメールを出しておく。

 アラガミ分布の資料を見る感じ、やっぱ嘆きの平原近辺がコクーンメイデンが多いかな。

 

「まあ今回は大体2.3日で戻ってこれるかな……?」

 

「大怪我したばっかでまたどこか行くのか」

 

「わひゃぁ⁉」

 

 突如執務室で背後から声がかけられた。執務室には誰もいなかったし、私は入ってきてるのを認識していない。過集中なんてことはないはずだし、ユーバーセンス持ちの私が知覚できないなんて本来ならばありえない。

 ギギギと首を回し後ろを見れば、フードを被ったソーマが扉にもたれかかって立っていた。

 

「ソ、ソーマ? どうやって私の背後を……」

 

「あん? ……偽装フェロモンの改良型の試作を試させられてたんだが、まだ効果が落ちてないのか……にしてもおまえのユーバーセンスを貫通するとなると随分強力らしい。普通に神機使いじゃ不調が出るかもな」

 

「へ、へぇ。榊博士そんなのまで作ってるんだ。偵察班も大助かりだねぇ」

 

 集中すればたしかにソーマがそこにいるの知覚できるけど、気を抜いてるときにやられたらマジで気づけないな。透明になるわけでも、無音無臭になるわけじゃないっぽいから、気配が薄まるというか、周囲と同化させるだけなんだろうけど、ユーバーセンス頼りの私には随分と特効だ。

 神機使いになってからは、背後を取られた日なんてなかったからやけに心臓が早い。

 問題は、ソーマがいつから私の近くにいたのかってことだけど、ターミナルの画面はただのアラガミ分布とヘリの申請画面だけ。

 安全そうなルートと、かかる時間のリスクヘッジをしていただけと言い訳は出来る。

 

「で、腕を折る大怪我までしてきたニーナは次はどこに行くんだ」

 

「怪我したのは流石に私も疲れてたからだし、万全だったら負けるわけないじゃん」

 

「どこに行くんだって聞いてるんだ」

 

 言い逃れを封じるように、フードの奥から昏い眼が覗く。

 嘘をついたっていいけど、今付ける嘘は絶対数日以内で捲れるちゃうからなし、内緒とか言って誤魔化したいけど流石にブチギレそうだし……。

 

「ただの仕事だよ。本部の方に行って来るだけだって」

 

「何をしに行くんだこんな時に」

 

「リンドウさんの葬儀はディアウス・ピター殺した後にするんでしょ? なら第1部隊が万全になるまでに出来ることをするんだよ」

 

「また1人で行くのか」

 

「うん。腹芸が出来ない人は来ても意味ないし、事故にあった時、1人のが楽だしね」

 

「俺も邪魔か」

 

「……どうしたのさ、らしくないよ」

 

 リンドウさんっていう身近が死んだのが、私の想定以上にメンタルに来てるのかな。原作を見る限り、リンドウさんが居なくなった時も、エリック君が死んだ時も、落ち込みはしてもこっちが吐き出させない限り、弱みは見せないのがソーマ・シックザールの筈なんだけどな……?

エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?

  • アーク計画成功。
  • アーク計画失敗。
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