最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
社内規定のたたき台つくったら想像の7倍叩かれましたが、私は元気です。
※本文にてあまりにも恥ずかしい間違いがありましたが、誤字報告とご指摘のおかげで致命傷ですんだ。すいません。修正しました。
誰やねん妃のモルガンて
「……どうしたのさ、らしくないよ」
困惑、予想外の事態みたいな顔をして、苦笑いを浮かべながらガキをあやす母親みたいな声をかけてくるコイツに、自然と腹が立ってくる。
俺が今まで惰性でアラガミを殺し続けてきてる間に、アナグラで無為に時間を消費してる間に高め続けてきた知識、コネクション、経験から、俺とコイツの間に絶対的な差があるのは理解している。
だが、全部自分で抱え込んで共有も相談もしてこねぇで終わってから事後報告っていうスタンスが気に喰わねぇ。
「お前がやればいいことは多いだろうけどな、お前は何も言わずに物事を進めすぎだ。お前が今後ろで予約してるヘリのやつもそうだ。本当にお前じゃなきゃダメなのかよ」
「アハハ、なになに? 心配してくれるんだ。年下の癖にナマイキだねぇ」
「茶化してんじゃねえ」
こっちが真剣に話してるっていうのに笑って流して飄々とターミナルを弄りだす。
コイツのこういうところが嫌いだ。
周りの人間の為に動いてる風を振りかざして、あたかも余裕があります見たいに振舞って、他人に自身の助けをさせないように徹底する。
しいて言えばアリアの世話を長期任務中の間だけ頼むくらいで、仕事で絶対SOSを出さねえ。
リンドウのやつが死んだときも、殿をするといって頼んできたのは、救援要請じゃなくて逸れたリンドウのやつの捜索部隊の要請だ。
しかも俺に足手まといの引率をさせて撤退させた後なら、コイツ自身いつでも引けたはずなのに一人で突っ込んで大怪我して帰ってきやがった。
命があったからよかったものの、リンドウだけじゃなくてニーナ自身も死んじまうところだった。
そんな状態に俺だけじゃなくエリックのやつもかなりキレていたし、アイツの策略で昨日はアリアを使って、ディアウス・ピターに対する知識の引継ぎを済ませてからは強制的に休ませたが、まさかもう働き出すとは思わなかった。何の反省もしてやがらねえ。
ハルオミのやつがコイツと組んでた時にネチネチ注意してたことらしいが、このバカ女はソレを直す気がないらしい。
「茶化してるわけじゃないよ。実際問題私じゃなくてもいいんだけどさ、他人の仕事なんて一番信用できないからね。少しの間出撃禁止されている以上、こういう面倒なことは他人に任せず今のうちに処理しとくのが大事ってワケ。
……お分かりかなボウヤ」
「ぶっ飛ばすぞおまえ」
俺の反応を見て遊ぶような語り口に思わず強い言葉が出る。それでもニーナはクスクスと含むように笑うだけだ。
頭が固い馬鹿の相手は疲れると、いつの日かこいつは本部を相手にしていた時口にしていたが、頭の固さはコイツ自身も負けちゃいねぇ。
「じゃあなにさ、リンドウさんを助けれなくてメンタルにも来てるだろうから、私自身もグダグダ休むべきだって言いたいの?」
「そうじゃねえ。キツイと感じてる奴は現場に出るべきじゃねえのはその通りだが、少しは他人に負荷を分けろって言ってんだよ。アラガミじゃなくて過労で死ぬぞ」
「あ〜過労死ね! 昔はあったらしいね、よく知ってるじゃん。ソーマってば物知りだねぇ……よしっと」
ターミナルでするべき申請が終わったのか、艶のある赤い長髪を靡かせて振り向けば部屋の灯りを受けて光る。極東特有の黒髪でも無いのになんであんなに光るんだか……
タタン、と最近踏むようになった独特なステップの音を部屋に響かせたかと思えば、瞬きの隙に目の前まで来ていて抱き着いてくる。
昔は肩を組むとか、後ろから飛び乗ってくるとかが精々だったが、あの日以降こういうことも増えた。
そんで、こうすることで俺の意見を黙殺しようとしてくるのもニーナのいつもの手口だ。
「じゃあ寂しん坊のソーマの為に本部から帰ったら今度はちゃんと休日取るから、休み合わせてよ。制度としては一応有給存在してるし、神機だけ持ってアナグラの外にデートしよっか」
「誰が寂しん坊だ。……ったく、分かった。生きて帰れよ」
「アハハ。誰に言ってんの。アリアが大きくなるまでは死なないし、次の二つ名が【不死身】になるくらい生き残ってやる気だから安心して」
「ハッ、そりゃ傑作だ。【死神】の隣にいても死なない女ってか?」
「そういうこと。私もソーマみたいに響きと字面がかっこいい二つ名が欲しかったからね。矮小で可愛い私の【怪物】な【死神】が持ってるジンクス位跳ね除けなきゃね」
挑戦的な笑みでそんなことを宣ったニーナは、外部居住区でたまに見かける犬のマーキングのように胸元で頭をこすりつけてくる。
ツラが良けりゃ性格もいい、相手に気使いながら話せて、頭が良くて戦闘も強い。戦闘中はちとアレだが、そこを加味しても距離感がイカレてるのも相まって第一部隊所属の女連中同様にモテる方だ。
強いのが最低条件とか言ってやがったが、実際の所の強さのラインがわからねえ。膂力だけなら俺やリンドウの奴以外にもブレンダンやら2年前まで組んでたハルオミの奴のが上の筈だがそうじゃないらしい。アラガミの討伐速度、生存率、総合的な面での判断だとしたら、ニーナの特異性の根拠のユーバーセンスと同等のモノがない限り、コイツより強いというのは不可能だ。
他に気に入られる面があるとしたら、ユウとコイツが初めてあった時のヘリでの会話にあった【主人公感】ってやつだが……。それが俺にあるとは思えねぇ。
「なぁニーナ。なんで俺を選ぶ」
「え~、顔が良くて性格も本当はいいのにぶっきらぼうなせいで競合相手が少なくて、基本的には私が守らなくてもいいくらいには強いから心配しなくていいし、今は仲悪いだろうけど家族は太くて、私に何かあったらアリアを安心して任せれるし、なによりソーマって、主人公だからね。主人公が味方に付いてくれたら、私のいろんなことが成就しやすそうかなって」
「俺は主人公何てガラじゃねえぞ」
「アハハ! 大体主人公は自身が主人公だっていう自覚が無いものだよ。でもほら、仮にこの世界が創作物だと仮定したとき、ソーマは誰よりも主人公っぽいと思うけどね」
ニーナは時々こうやってコイツ自身にしかわからない感性を持ってる。それでこっちが対の意見を持ってりゃ否定はしなくても、絶対に容認しない。
良くて笑って流して終わりだ。
こっちが目を細めてこいつの言葉を吟味してる間に、間延びした声でたとえ話を考え付いたらしい。
「ソーマは確か見た目以上に教養があったよね。使う機会なんてほとんどないフランス語喋れるし、旧ヨーロッパ地方のイギリスのアーサー王伝説は知ってる?」
たしか、聖剣に選ばれた騎士王の話だったか。
「絵本程度ならな」
「流石だね。ソーマは私から見たらアーサー王なんだよね、聖剣がアーサーを選んだように、ソーマはオラクル細胞に選ばれた。実態として裏でどんな調整があろうと、運命には違いない。なんせ、【始まりのゴッドイーター】でしょ? あまりにも主人公属性じゃん」
「神機が聖剣だったらどれほどよかっただろうな」
「そこはまあたとえ話のご愛敬ってところで、私はね、ソーマに巨悪に立ち向かう王になってほしいんだ。だからアーサー王伝説でいうところの私の役割はマーリンかな」
「妃のグィネヴィアじゃなくていいのかよ」
「ランスロットに私を寝取られたいわけじゃないでしょう? 頼れる人材枠に居てあげるって言ってるの。
……まあ、ソーマは嫌いな過去かもしれないけど、私はそういう過去を含めてソーマのことが好きなんだよね。今の私があるのも、ソレのおかげだしね」
マーナガルム計画のことを知ってることに驚きはない。
神機開発に深くかかわったりしてるコイツなら知っているだろうと思ったし、俺と支部長の関係性も、誰も口にしないだけで、ターミナルを見りゃ1発でわかる公然の秘密だ。
どっちかというとなんで旧時代にこんなに詳しいのかっていうところのが気になるな。
俺の思考を割くように、ニーナが口を開いた。
「まあ、これまで通り私の言うことは都合よく扱ってよ。関係性に名前はいらないから好きにして。ただ、もし私のこと気に入ってくれてるのなら、選択肢に上がったときに私を選んでくれると嬉しいね」
言われた言葉に思わず思考が止まる。
コイツは今何を言った? 都合よく扱って、だと?
「は? おいなにを」
俺の言葉を待たずに離れて、ドアを開けて外に出る。
気づかなかったが、足音が聞こえる。エリックが戻って来たらしい。
「やっほ! エリック君昨日はありがとうね! 榊博士に相談行ってたみたいだけど、資料進捗はどう?」
「やぁ、ニーナ君。さっき榊博士の元で修正も済ませて提出したよ。審査のニーナ君の上が榊博士だから問題無いかと思ってるけど、大丈夫かな?」
「ええ! もう終わったんだ! マジで天才じゃん……。榊博士がオッケー出したなら大丈夫! また後で資料共有だけしといてね。そんなに出来がいいなら次の仕事だね。あとでターミナルに詳細送っとくから、それ終わったら帰っていいよ! 一週間くらい謀殺しようと思ってたけど、2日で終えれそうなのは流石だね!
じゃ! 私この後神機保管庫いかなきゃだから、また5日後にね。本部の方行ってくるから、その間はツバキさんの指揮下でよろしく!」
やけに忙しなく一方的にまくしたてると、ニーナはエレベーターに乗り込んでいった。
ようやく俺にづいたエリックが気まずげな顔をする。
「あー、ソーマ? もしかして邪魔しちゃったかい?」
「チッ、そんなんじゃねえよ。……エリック」
「なんだいソーマ」
「ニーナの中で、どうやら俺はとんでもないカス野郎で、アイツは自分を都合の良い女とするのを是とするバカ女らしい」
「ソーマ。落ち着こう。僕の仕事を手伝いながら話しを聞かせてくれ。幸いにも今日で仕事は片付けれるはずだから、作戦会議と行こうじゃないか」
堪忍袋の緒が切れるとは昔の極東の諺だったか。
そんなにキレることができるなんておめでたい世界だと思っていたが、なるほど、ふざけたことを言われるとこうも効くものか。あるいは俺がおめでたい頭になっちまったのか知らねえが、とにかく次あった時は容赦しねえ。
肩を組んで抑えようとするエリックの腕を解き、アイツの執務室の高い茶菓子と高い飲み物を開ける。
「エリック、人はキレると一周回って冷静になるらしい」
「そ、そうかい? そうは見えないが」
「さっさとターミナルにつなげ。まずはニーナが振ってきた仕事をさっさと終わらせるぞ」
にしても、心配してるんだ。無理するなと伝えるだけでこの文字数?笑
エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?
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アーク計画成功。
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アーク計画失敗。