最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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前話でうろ覚え知識のアーサー王伝説で恥晒したので初投稿です。

感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます!

※大車ダイゴにたいする独自設定があります。(ノッキンヘブンが手に入らないため)


4-5

 ソーマを適当に誤魔化して神機の整備順を最優先に急遽変更してもらって、サバイバルキットとかの用意と、使う予定のヘリに少し小細工して、アリアに出張伝えて……とかなんやかんやしてる間にあっという間に大車ダイゴを本部に更迭するタイミングになってしまった。

 

「おお! これはこれは、加納ニーナ少尉が本部まで私を送ってくれるとは光栄ですな」

 

「超回復明けなんで出撃禁止措置が取られてますからね。時間の有効活用というわけです。

 あぁ、戦闘に支障はないのでアラガミからはばっちりお守りしますよ!」

 

 先にヘリ前で待機していれば、慌てて荷物をまとめたんだろう。書類は無さそうだが、記録端末類がごちゃごちゃに入ったカバンに無理やり着替えとかも詰め込んだ様子で、少しばかり不衛生な風体の大車ダイゴと握手する。

 挨拶もそこそこに二人して乗り込んでヘリの自動操縦を起動する。これでヘリは最初に設定したルートを辿って本部に向かうってことになってるわけだね。

 

 私としては目標地点まで特にすることもないし、仕事道具やデータをロストするわけにもいかないから、いつもみたいに仕事も出来なくて暇だから外の景色を眺めてるんだけど、大車はチラチラと忙しなく私を見てきて鬱陶しい。

 

「なんですか? 大車先生」

 

「ああいや! 何でもないのだが、その、……私に何も言わないのかと思ってね」

 

「なんか言うことありましたっけ? 私は何も聞かされなかったことに苛立っていましたけど、貴方のやったことに腹が立っているわけではないんですよね。ああいや、やったのはアリサちゃんなわけですがね? 言葉の綾です」

 

 やけに小動物みたいにビクビクしていると思ったらどうやら私がリンドウさんが死んだ腹いせに今度は自分が殺されるかもと思っているらしい。

 動機の方はまったくもって見当違いだが、その予感は大当たりなわけだね。

 

「そ、そうか。良かったよ。ヨハネス支部長からは驚くほど加納少尉のことが聞けなかったから、本部のお歴々も加納少尉をヨハネス支部長の懐刀としておっかなびっくりなんだ。ほら、君は表向きが【施し】と名がつくほど善良だろう?」

 

「アハハ! ひどいこと言いますね。より大きな善のために、より良い未来を創るために、そういう気持ちで動いてる私たちは表も裏も善人ですよ」

 

「は、ははは、そう、だな。その通りだ。これは失礼した」

 

 大爆笑ネタかと思ったんだけど、ウケが悪いな。大車も緊張してるのかもしれないね。にしても、ヨハンさんがよくわかんないな。私のことは本部に詳しく報告してないんだ。

 本部に対するリーサルになりうると思ってるのか、私程度の個を凄まじい隠し札として見せるようなブラフの政治をしてるのか分んないけど、下手に私を売ってないのはやっぱりポイントが高いかもしれない。

 あの人も色々葛藤してるってことなのかな。意外とソーマとイイ感じなのがヨハンさんのメンタルに効いてる可能性も否めないけど。

 

 さて、大車にはもう少し饒舌に話してもらわないといけないし、お酒パワーを借りるか。ヘリのクーラーボックスに備えておいた配給ビールとウイスキーを取り出して、ウイスキーの方を大車に渡す。

 

「はい、どーぞ。ああ、毒とかは入ってませんよ? 殺すならこんな回りくどいことする必要ありませんから」

 

 ビクビクとおっかなびっくりな感じで受け取った大車は意を決したように一口、しばらくして体調に異変が無いのを確認してから残りも吞みだした。

 私自身もアナグラの街明かりから離れて見えやすくなった星を眺めながら飲む。

 う~ん。やっぱりビールはまずいな。のど越しを楽しむものではあるけど、苦みだけを楽しむことが未だに出来ない。ウイスキーとかはカッと熱くなる感覚があっておいしいんだけどなぁ。

 やっぱ飲むならなハイボールとかに限るかも。

 

 ちびちびとビールを消費していれば、大車が急に肩を震わせ出した。

 

「ク、ククク」

 

「急に笑い出してどうしました?」

 

「いや失敬。酒なんて久方ぶりだったから、事務研究職っていうのは命がけじゃない分、基本的に神機使いより待遇が低いから、余りの美味さに笑いが出てしまった。それに、君ほどの美人と吞めるんだ。ここ数年はずっとストレスとの闘いだったから、報われてる感があって最高なのさ」

 

「ふ~んそうなんですねぇ。ていうか、なんで大車さんが今回の実行役の一端を担ってるんですか? 他にいくらでも居そうですけど」

 

「……あまり大声では言えないがね。神機使いの暗殺というのはキミが思った以上に難易度が高いんだ。

 

 特に極東の神機使いで長年生き残ったベテランはね。彼らは事故で死ぬことが異様に少ないから、事故に見せかける人員を配置する必要がある。そして、その人員を育成するには精神的な支配が必要だからね、マインドコントロール、もとい精神医学の分野に長けていた私が起用されたわけだ」

 

「へぇ、じゃあ大車先生の私怨とかじゃないんですね」

 

「私怨も多分に含まれるとも。後付けだがね。

 極東の神機使いは皆が皆というわけではないが、私のようなみすぼらしいものを見るときに多かれ少なかれ侮蔑が混じる。それは極東が最前線であり、衣服や身なりに気を使えるからこそだろうが、どうあれ私は気位が高い人間だ。

 

 そんな中で君たちの中心人物が消えた時の悲壮な顔は……ククク、スカッとするものがあったね」

 

「何も知らない人たちを掌で転がせるのは痛快ってところですか」

 

「そうだね。信じられないだろうが、私自身もオラクル細胞のによる大崩壊が起こる前は、そこそこいい学者だったんだ。だが、オラクル細胞の出現により、既存の学問の多くは陰りが出来た。私自身もその影響を受けた被害者の1人だよ」

 

「受験戦争に勝ち、学閥の争いに勝ち、ようやくいい人生が歩めそうになったかと思えば、理不尽な天災に吞まれてしまったわけですか、よくここまで頑張ってきましたねぇ」

 

「ああ、ありがとう。ヨハネス支部長が主導しているアーク計画とやらがどれほど信憑性の高いものかは知らないけど、これで私も次の船に乗れるというものだ。

 

 そういえば、受験戦争なんて言葉良く知ってるね。大崩壊以降とんと使われなくなった言葉だが」

 

「え? あーそっか。これから気をつけなきゃですね。気にしなくていいですよ。私が大車先生と同じくらい昔に詳しい理由を大車先生は知る必要がないので」

 

 本当に良くない。ちょくちょくこういう失言してるみたいなんだよね。

 旧外部居住区(元スラム)出身の私がこういう旧時代に詳しすぎたり、未来(答え)を知ってるかのように研究を進めたり、勘のいい人が違和感覚えてもおかしくない。

 アナグラに戻る頃にはそろそろ榊博士が動き出す頃合いだろうから、よりしっかりしなきゃな。

 あ、そろそろ目標ポイントか。

 嘆きの平原の竜巻が近くなってきた所で錠剤を1つ、ビールで流し込む。

 

「無体なことを言うね、私たちは同じ船にのる同志じゃないか。教えておくれよ」

 

「いや~マインドコントロールなんてカスみたいなマネをして、しかもそれが感応現象で捲れてる危機管理能力の足りてない悪人を乗せるわけないでしょう?」

 

 大車が間抜けな顔をさらした瞬間、ヘリが大きく揺れる。このヘリは無人運転で決められたルートをたどる。本部への最短ルートを通ることになっていたわけだが、それは嘆きの平原にて中央部の竜巻近辺を通るように設定されている。

 

 そして、嘆きの平原は小型アラガミの中でもコクーンメイデンが湧きやすいジャミング地帯として認定されていて、私は酒を飲みながら先ほど経口型挑発フェロモンを摂取した。

 トドメとしては嘆きの平原の偵察情報として、ウロボロスが上がってきているわけで、つまり、このヘリの揺れは、竜巻に煽られてるのもあるが、ウロボロスの触手が掠めかけてるわけだね。

 

「な、なんなんだ!? 加納少尉! ウロボロスの触手が見えたぞ! 早く撃退してくれ!」

 

「私近距離神機使いなんでヘリからじゃ撃退できないですよ~」

 

「ふざけてる場合か! 私と心中するほど血迷っては無いだろう!」

 

「大車先生には残念ですが、ヘリの墜落と共に死んでもらいますよ。リンドウさん殺害のあらゆる罪を背負ってね。

 幸い先ほど私怨も多分にある。と話していたのが録音できたので、後はいい具合に編集破損させつつ提出すれば及第点にはなります。私はヘリが落ちるときに飛び降りるので、まぁ、善因善果、悪因悪果ってことで受け止めてくださいよ」

 

 ヘリのドアを開けるまでもなく、ウロボロスの触手がヘリに迫るの知覚する。微かでも良心があれば別だったかもしれないが、やっぱり大車は箱舟に要らないこともわかったし、心が痛むがここでさよならだ。

 

「待ってくれ! 何でもするから助けてほしい! 今後は本部ではなく君自身に忠誠を誓う! どんな扱いでも受け入れるから頼む!」

 

「じゃあ、今からリンドウさんの暗殺は全て自分の手で行ったと演技してください。私が激昂するので。そしたら大車ダイゴはココで死にますが、外部居住区のさらに外、フェンリルの保護外でだったら生きてていいですよ? 出来ますか?」

 

 ブンブンと首を縦に振るのを確認したら、レコーダーのスイッチを再度押す。

 

「正直に言ってください! なんでリンドウさんを殺そうと画策したんだ!! 黒幕は誰! 黒幕さえ言えば命だけは助けてやりますよ!!」

 

「はは、はははは! 黒幕なんていないさ! むかついたんだよ! 極東の連中が! こっちが日頃からひもじい思いをしながら汗水たらして研究してるのに、極東にだけは物資も娯楽も嗜好品も豊富だ! そんなお前らの中心人物が死ねばどれだけスカッとするか、考えただけで最高だった! 殺したきゃころすといい! 【極東最高の神機使い】雨宮リンドウのKIA報告されたお前らの顔が見れただけで私の本懐は果たされてるんだからね!」

 

「ふざけんな! アンタには一生独房で飢餓と脱水に苦しみながら生きながらえてもらうよ!」

 

 レコーダーのスイッチを切る。ふーん? 意外といい感じに話してくれるな? 

 余程死にたくないと見える。にしても、大車も本部も私へのプロファイルが足りてないな。私が助けてる人員は全員【将来的に私を助けれる可能性がある人】だけなのに。いまの証言モドキだけで大車の未来の価値は終わった。

 何が言いたいかって言うとつまるところ、私もただの悪人ということだね。

 

「はい、ご協力ありがとうございます。じゃ、私が殺すことは無いので好きに逃げてくださいね? まあ、アラガミから逃げれたらの話ですけど」

「話が違う! 助け」

 

 大車が激昂し、声を荒らげた所でウロボロスの触手がようやくヘリを捕らえた。というより、大車がいた位置を貫いた。

 さて、あとはこのヘリが地面に叩きつけられる前に脱出だね。

 絶賛ジャミング地帯だから、討伐部隊がコクーンメイデン狩りに派遣されるだろうし、それの帰りに乗せてもらおう。

 まあ、その前にウロボロスの討伐だけでもしといてあげようかな。

 

「原作の頃はなんとも思わなかったけど、ほんとにデカいなぁ」

 

 神機を励起し、久しぶりにバスターブレード(鮫刃ノコギリ 真)を構える。盾もタワーシールド(臥龍大甲 硬)でかなり重い。

 いちばん扱い易いのはショートブレードなんだけど、流石にウロボロスみたいな巨体を小型ナイフみたいなショートブレードでチマチマ削るのは大変だし、なにより触手がの当たり判定がデカすぎてバックラーじゃ全身守りきれないんだよね。

 

「さて、過去イチ大きな食事の時間だ。張り切っていこうね」

 

 強制解放剤を飲み下し、神機が解放状態に移行する。

 

『悪女、良クナイ。真っ当ニ生キロ?』

 

「よく喋る子だね。実体化まではいかないだろうけど、神機の分際で邪魔だけはしないでよね」

 

 神機を構えて、ヘリから飛び降りる。

 空中で落下しながら神器を振りかぶり、力を溜める。ウロボロスの背に着地した所で、頭目掛けてチャージクラッシュを振り下ろした。




GEプレイ経験者あるある「なんで大車は死なんねん!!!」を折りたかった

エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?

  • アーク計画成功。
  • アーク計画失敗。
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