最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

38 / 55
仕事の現実逃避してたら書けたので1日2話投稿となり初投稿です?

感想、評価、ここすき、誤字報告ありがとうございます!
なんと評価者があと一人で100人になるんですねぇ。タマゲタケ

なお、本話はめちゃくちゃ独自設定のオンパレードとさせていただきます。


4-6

 故・雨宮リンドウ大尉謀殺事件の報告書

 

 報告者・執筆者 加納ニーナ偵察少尉

 

 西暦2071年6月7日

 雨宮リンドウ大尉(当時少尉)が任務(ミッションコード:蒼穹の月)に赴き、同班員アリサ・イリーニチナ・アミエーラ狙撃上等兵の錯乱により、新種アラガミのプリティヴィ・マータと狭所にて戦闘を強いられる。

 

 雨宮リンドウ大尉は独力でプリティヴィ・マータ撃破後、更なる新種アラガミのディアウス・ピターと戦闘するも、致命傷を負い死亡したものと思われる。詳細は前報告書を参照してもらいたい。

 

 本件には同一区域におけるミッションの二重発注、新種アラガミの大量発生、通信機器の不調など、様々な要因が重なった事故かと思われていたが、犯人はアリサ・イリーニチナ・アミエーラ狙撃上等兵の担当精神科医である大車ダイゴ医師の画策した謀略であることが判明した。

 証拠物件として音声ログ:P00700586を提出する。

 

 本件は現場に出ている神機使い及びアラガミとの最前線である極東支部と、本部を始めとした他支部との軋轢によって生じた可能性があるが、各支部長、および統括官位におかれては、所属職員、隊員のメンタルケア及び、フェンリル組織への反意のキャッチにこれまで以上に尽力していただきたい。

 

 また、音声ログ:P00700586における大車ダイゴの発言から、他に協力者はおらず、居たとしても自覚なき協力者の為、各部の作業におけるマニュアル化の再徹底を依頼する。

 

 大車ダイゴ自身は本部への更迭中のヘリが、嘆きの平原に居たウロボロスを報告者の加納ニーナ少尉にぶつけるため、経口型挑発フェロモンを致死量摂取し心中を図った結果、神機使いでもない人間が堪えれない副作用、あるいはウロボロスの触手に貫かれたことによって死亡した。

 死体はその後の戦闘の余波で消滅したと思われており、回収できていない。

 加納ニーナ少尉はウロボロスを単騎討伐後、丸一日彷徨い、偶々嘆きの平原に群生していたコクーンメイデンの討伐部隊と合流し、アナグラへ帰還した。

 

 以上をもって、雨宮リンドウ大尉の暗殺の主犯と認定し捜査の終了を宣言。

 今後は本部と各支部、独立部隊の更なる協調を期待する。       以上

 

 

 

 ニーナ君が提出した報告書を榊博士はラボラトリにて熟読し、何かを考えこむように目を閉じた。──元々開いてるかわからない糸目なことは置いておいてだ──

 

「ふむ、よくできた報告書だね。キミはどう思うかなエリック君」

 

「それはニーナ君の部下である僕にこう言ってほしいのかな榊博士。出来すぎた報告書(・・・・・・・・)だなと感じたよ」

 

 榊博士に話を振られた僕、捜索・回収班の第4部隊 隊長加納ニーナの部下であり、フェンリルに多大な貢献をするフォーゲルヴァイデ閥の跡取り息子。

 そんな僕からの言葉に満足したのか、榊博士は大きく頷いた。

 

「うん、私も概ね同じ意見だ。ともあれこれで溜飲が下がり、通常通りの業務に付けるようになる人が居るのは事実だろうから、弾劾するつもりは毛頭ないがね」

 

「それについては僕も華麗に同意するよ。

 彼女たちの心の穴がふさがることは無いだろうけど、前へと進むきっかけ位にはなるだろう。

 

 けど、この終わり方ではトカゲの尻尾切りの可能性も否めない。潜在的な極東支部への脅威は残ったままだ」

 

「その通りだね。

 音声ログを聞いた限り、大車ダイゴが主犯なのは間違いないが、彼がこうするように嘯いた存在がいる可能性は大いにある。

 私としても人命がこれ以上無為に消えていく可能性を放置したくはない。

 ……エリック君、君はフェンリルの闇を覗く勇気はあるかな」

 

 糸のように薄い眼を開き僕に問いかける榊博士だが、余りなめられては困るな。

 僕の心の内は決まっているというのに。

 肩をすくめて笑い、自身の胸を軽く拳で叩く。

 

「無論、僕は貴き者として、ゴッドイーターとして、一人の男として、弱きを助け、理不尽を払い除けるために立っている。最愛のエリナのいる極東を護るためになるのなら、華麗にカッコつけさせてほしい」

 

「よく言ってくれた。現場の神機使いをこういう謀略に巻き込むのは気が引けるんだが、君の能力の高さは一級品だ。頼りにさせてもらうよ。

 

 まずは我々の中でいま最もホットな話題の大前提、終末捕喰(・・・・)について話すとしよう」

 

 榊博士が語るのは終末捕食の概要、地球という星のエコシステム。そしてそれが近いところにまで迫っているという事実。

 とはいえ、特異点の存在は認知されど、現状未だ発見には至っていない。

 ノヴァの姿も確認できていない為、このまま行けばまだまだ先だろうという希望的観測に基づいた推論。

 

 噂では聞いたことがあったカルトの終末思想が、科学的根拠を伴っていたことには素直に驚愕だが、アラガミという超常が存在している以上、あり得ないということはあり得ないといったところだろう。

 

 榊博士自身もこの推論では憂いが消し去れない為、怪しいところを潰していこうと画策した。

 

「まずはエリック君には君の隊長、ニーナ君について調べてもらいたいんだ」

 

「ニーナ君を? 確かに彼女は振り切れた人物だけど……ああいや、失礼、確かに彼女ほど現場の人間で居ながら謀略の場に出てる人間は居ないね」

 

「ああ、彼女自身が良からぬことを考えているかはともかくとして、少なくとも表向きは善人だ。だが、周囲の人間が善人かは別だからね。特にニーナ君はブレーキが壊れ気味のヨハンと仲がいいみたいだから」

 

「なにか道を違えそうだったら止めよう。と言う訳だね? 承知したよ。ニーナ君には世話になった身だ、その時は華麗に導いてみせるとも」

 

「とはいえ何の足掛かりもなく、というわけにはいかないだろうから、これを渡しておこう」

 

 榊博士が僕に渡してきたのは記録端末。ターミナルに接続すれば中身が見える類のものだ。

 

「これは?」

 

「この前ニーナ君が腕を折って帰ってきた日があったろう。あの日のメディカルチェックの結果だ。さしずめ、パンドラの箱級にびっくり箱だから一人で見るように頼むよ」

 

「承知した、じゃあまた何かあったら仕事の相談がてら報告させてもらうよ。榊博士も何かわかったら教えてくれたまえ」

 

 記録端末を受け取って早速ラボラトリを後にする。

 肝心のニーナ君はソーマとデート中の筈だから鉢合わせは無いだろう。

 ……ソーマはちゃんとエスコートできているだろうか。まあ、彼は彼でやる時はやる男なんだから心配は不要だろう。

 ニーナ君がヘリで出る前は随分ブチギレていたように思うけど、流石に落ち着いただろうし、なによりあいまいに言葉にせずに関係性をハッキリさせておかなかったソーマのツケだろうから、あんまり僕としてはニーナ君を攻める気はない。

 むしろ、一般的な男性からしたらある意味最適解の振る舞いをしてくれていただろう。女性目線のウケは確実に悪いだろうが……。

 

 まあそれはともかくとして、ニーナ君が討伐、剥離してきたウロボロスのコアでいま技術部門は大忙しだろうから、今なら僕を訪ねてくる相手はいないし、自室のターミナルをオフラインにすれば、履歴も残らずない。榊博士が言うところのパンドラの箱とやら、恐ろしい気もするが、開いてみようじゃないか。

 

 いつも通りを装って、すれ違った人に挨拶をして自室に入る。

 鍵を閉めて、ターミナルのネット接続を切り、榊博士から渡された記録端末を読み取る。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか」

 

 加納ニーナのメディカルチェック履歴

 

 最新:2071年6月8日(階級:少尉)

 前回:2069年12月10日(階級:新兵)

 

 参考:加納ニーナ偵察少尉のメディカルチェックは新兵時代に特有のスキル『ユーバーセンス』への研究協力が終わった2069年12月10日以降、彼女自身の回復錠では治らない様なケガ、および不調を訴えることがなく、スケジュールの多忙さから行われていなかった背景がアリ

 

 また、2071年の検査データをより深く理解するため、先に2069年の前回データを読み込んだ後、2071年の検査データを読むことを推奨とする。

 

 2069年

 加納ニーナ パーソナルデータ

 

 性別:女性 

 血統:極東を中心とした多国籍の遺伝子がアリ

 本人の自認はハーフとのことだが、クウォーターと推定。

 

 年齢:18歳

 生年月日:2051年5月18日

 身長:167cm

 体重:51kg

 視力:2.5(標準的な神機使いと同程度)

 特異性:ユーバーセンス保有者、異常な喰欲持ち

 

 特異性:ユーバーセンスについての補遺

・ユーバーセンスとはオラクル細胞が持つ捕喰という特性をより効率的に活かすためにオラクル細胞が機能として持っているものの一つである。

※諸説あるが狩りをするにあたって、獲物の把握をするという動物の特性をオラクル細胞が学習したことによって持ちえた機能という説が最も有力。

 

・神機使いに発現した事例は過去に2例。現状の保有者は加納ニーナのみである。

 ユーバーセンスの発現条件として現在有力とされているのは体内の神経分野のオラクル細胞占有率である。

 加納ニーナのオラクル細胞占有率は首から下が69%頭部に至っては87%のオラクル細胞転換率を誇っている。

 適応率は史上最高の雨宮リンドウに次ぐ第2位であるが、雨宮リンドウがユーバーセンスを発現していないことから、頭部や神経分野のオラクル細胞占有率に関わってくるとされている。

 

 特異性:異常な喰欲についての補遺

・加納ニーナは近年まれにみる神機のオラクル細胞によって欲求が影響されている存在である。

 神機使いの配備が安定しなかった時代の神機使いの暴走が多かったころは散見された症状だが、彼女は欲求こそあるものの、理性がなくなることはないようで、エネルギー消費が激しいわけでもないようである。

 論拠は一度本人同意のもと飢餓実験の協力をしてもらった際、常人と同じく脱水は3日、断食は7日ほど維持することが出来たため。

 しかし、飢餓と脱水が進めば進むほど、長距離の水と食料の在処が分かるようになったとの言があった。

 しかし人を食べたいという欲求は起きなかったようであるため、喰欲の暴走の結果、他の食糧がある状態で人を襲う可能性は極めて低いと思われる。

 

 

 

 

 以下は2071年6月8日のメディカルチェックデータである。

 

 加納ニーナ パーソナルデータ

 

 性別:女性 

 血統:極東を中心とした多国籍の遺伝子がアリ

 本人の自認はハーフとのことだが、クウォーターと推定。

 

 年齢:20歳

 生年月日:2051年5月18日

 身長:167cm

 体重:45kg(外形的体格の変異は見受けられていない)

 視力:0.07(異常な低下の確認)

 特異性:ユーバーセンス保有者、異常な喰欲持ち

 

 前回のメディカルチェックとの変化点

 ①体型の変化を伴わない体重の低下

 ②視力の低下

 ③適合率の上昇

 

 ①②ともに③が理由として結びつくと調査の結果判明。

 身体の脂肪、骨、筋肉、神経がオラクル細胞に変わったことで、質量の低下が起きたと推測される。

 また、視神経の大部分が前回のメディカルチェック時に比べオラクル細胞に転換していた。

 当人は常時ユーバーセンスを使用しているため視力の低下を自覚していなかったが、純粋な視力は常人のメガネが必要なランクまで低下していた。

 

 適合率について、強制解放剤の常用により、神機との適合率の上昇を確認。身体の81%、頭部92パーセントがオラクル細胞に転換しており、理性を保ったままアラガミ化した神機使いという見方も可能なほどであるため、本部に送るメディカルチェックデータは基本的に善意の修正をしたものを送るものとする。

 また、この上昇によって雨宮リンドウが殉職しているいないに関わらず、適合率は加納ニーナ少尉が史上最高値となった。

 引き続き彼女自身の言動から理性の喪失がないかは要観察を必要とする。

彼女がなぜ未だに理性を保てているかは不明、本人の自認が理性の存続に悪影響を及ぼす可能性があるため、本人には本情報を秘匿とする。

 

 

 

「理性ある人型アラガミと化した神機使いか……」

 

神機使いとアラガミの境界線は一体何処なのだろうね。少なくとも、僕はニーナ君をまだ人だと思うけれど。

 




本人はもう裸眼でアリアのことを視認できていないのに、ユーバーセンスの発達によって色まで認識できるようになってるから気づかなくて手遅れ感あるの好き

エンディングに影響はないですが調査です。この物語の最後の予想は?

  • アーク計画成功。
  • アーク計画失敗。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。