最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
アンケート欄にあげてた人達で表を集めつつあるの尽くどっかで一回挟むだろうなってキャラで笑ってます。
今回はコウタ回。
アリサが原隊復帰した。周りの連中は色々と酷いことをブツクサ言ってるけど、俺はそこまでは思わない。
そりゃリンドウさんが亡くなって悲しいのは俺も一緒だし、言っちゃ悪いけどアリサの態度はずっと酷いもんだった。けど、見るからに傷ついてる子に態々聞こえるように言うことじゃない。
俺もアリサを元気づけようと思ったけど……まだ俺の手におえる段階じゃなかったから、そこはアリサ係のユウに任せていったん撤退。
後ろから聞こえてくる話的に、どうやら二人はリハビリ兼アリサの特訓を兼ねて一緒に任務に行くらしい。
ということはしばらくの間俺は自由行動だろう。
ユウは今のアリサみたいに、人に頼られることが滅茶苦茶に多い。アイツ自身気性が穏やかで、盛り上げ上手。そこは俺もあんまり変わんない、ハズだ。
だけど俺は皆の輪に入れてもらうのも、誰かを輪に入れるのも得意だけど、誰かに何か頼まれることは少ない。ちょっとしたミスをすることはあってもこれと言って邪魔してるわけじゃないはずだけど、多分どこか頼りがいがないんだと思う。
まぁ、旧型なりに頑張ってるつもりだけど、新型のユウにはいつだって先を行かれてる。数十分とはいえ、俺が先に適合した先輩。なんて言ってみたこともあったけど、多分初めての実戦段階から俺とユウには差が出来てて、それがグングン広がり続けてるのを感じる。とはいえ、負けてられないんだ。俺は俺で、俺なりに強くならなきゃね。
確か急ぎの任務は教官だったツバキさんから言い渡されてないし、適当なアラガミを誰か誘って狩りに行くか、防衛班の任務にでもお邪魔させてもらおうかな。
そう思ってヒバリさんのとこに向かったんだけど、どうやら先客がいたみたいだ。
「大丈夫だって、私が一緒に居るんだから、多少の無茶はさせなきゃ彼の為にもならないでしょ。向こうにはソーマとエリック君貸すからさ」
「ですから、本人の意思がないとなんとも許可は出しづらいですし……それにまだ接触禁忌種は早いです! 普通は討伐はおろか接触すら禁じられてるからその名が付いてるのニーナさんは時々忘れてるかと思うんですが、アラガミはおやつじゃないんですよ? 後ソーマさんは元々第1部隊なのでニーナさんが借りてる側です!」
どうやらニーナ隊長が接触禁忌種……確か超強いアラガミだっけ。それの討伐に誰かを特訓がてら誘おうとしてるらしい。前一緒に戦ったときに分かったけど、ニーナ隊長は強いし、誤射すら避けてくれる超人だけど、なんていうか、その、人格変わるから少し怖いんだよね……心の中で、一緒に行くことになる人に手を合わせていれば、不意にニーナ隊長と目が合った。
「と、いうワケでユウ君がアリサちゃんと看病特訓デートしてる間、コウタ君暇だよね? 私と一緒にイイコトしよっか♡」
「はい?」
「今ハイって言ったね。じゃ、ヒバリちゃん、コウタ君連れてくからツバキさんに報告しといて~。コウタ君は絶対生きて返すから安心してよね!」
暴風、あるいは津波──まあ津波は見たことないけど──のような強引さで、ニーナ隊長は俺の手首を引き、背後でヒバリさんの叫ぶ声を聴き流し神機保管庫に向かっていった。
ていうか今やけにマズイ言い方しなかったかこの人。ソーマと最近付き合ったって噂だけど、この前ソーマに聞いたらガチっぽかったし、あんな周りに人が居る状態であんな言い回しされたらアナグラの神機使い達が面白可笑しく吹聴するに決まってるわけで、それがソーマの耳に入ったら俺、死ぬんじゃ?
拝啓、母さん、ノゾミ。
俺の命はここまでかもしれません。
短い間だったけど、今までありがとう。
「……ってなるかー! 何が と言うワケ なんですかニーナ隊長! ちょっと強引すぎますよ! チラッと聞いたっすけど接触禁忌種!? 後あの言い方なんですか! ソーマの耳に入ったらどうするんですか! 俺まだ死にたくないんですけど!?」
半ば引き摺られる形だった体勢から腕を振り払い、問いただす。
当の本人はケロッとしていて、払われた手をグーパーして調子を確かめてるみたいだ。
え、さっきのせいで爪とか剝がれかけたりしたかな。だとしたらちょっと申し訳ないんだけど……。
どうやらそうじゃないらしい。
うーんと人指し指を口に当てるなんていう絵になるポーズをして、突然ニーナ隊長の話が飛んだ。
「コウタ君はさ、リンドウさんの敵討ちの作戦が今後行われるとして、参加したくないの?」
き、急になんだ?
リンドウさんの敵討ちの作戦、黒いヴァジュラ討伐なら勿論参加したいけど……俺なんかが行ったって足手纏いだって前ニーナ隊長が言ってたことじゃんか。
「今の君じゃ足手まとい、無駄に死ぬし、なんなら君を庇おうとした他の人まで巻き込んで死ぬかもしれない。コウタ君が弱いから」
「そ、そんなことは前も言われたから分かってますよ! でも俺はニーナ隊長みたいな特別じゃないし、ユウみたいな新型じゃない! 俺には俺なりのペースってのがあって」
思わず声を荒げてしまうのを、ニーナ隊長が手で制してくる。当たり前だけど、俺を詰りたいっていうわけじゃないらしい。
「ああ、違う違う。ごめんね、君が弱いのを責めてるんじゃないんだ。コウタ君も自覚しているとおりコウタ君は弱くて私は強い。ソーマも強い、ユウ君は凄まじい速度で強くなっていて、アリサちゃんはこれからユウ君の劣化コピーとしてそこそこ以上には強くなる。サクヤさんは別に強くないけど、分相応に衛生兵として死なない立ち回りを完成させてる。これはただの事実ってだけで、ウダウダ言う気はないよ。
それで、ここからは私の印象なんだけど、コウタ君はユウ君の次に第1部隊隊長になれるポテンシャルがあるよ。人を使うのは下手だけど、人に助けられる才能がある。
それに神機への適応率もそこそこ良いし、適応した神機はあのツバキさんの神機だ。潜在能力はそこらの人たちと比較してかなり高いと見積もってるんだよね。
今のままじゃディアウス・ピター討伐作戦にアサインはされなくても、数年後には第1部隊の栄座に就ける。けど、そんな悠長な成長でコウタ君は満足なの? 同期のユウ君に追い付けないのは仕方なくても、今この瞬間も突き放されつづけていることに受容できるの? 才能が無いと思ってるなら、なおさらにもっと本気出しなよ」
開いた口が塞がらない。という慣用句があるらしいけど、きっと今の俺みたいな間抜け面のことを言うのかもしれない。
ニーナ隊長は短い間ながら気持ちのいい人付き合いを常にしてくれてたから。こんな明け透けに、ズバズバ正論で殴ってくるような人じゃなかった気がして。怖いのは戦闘中だけで、日常で、こんなはっきり俺が傷つくようなことを言う人じゃなかったはずだ。
アナグラのみんなもニーナ隊長には信頼を置いてて、みんな優しいって言ってた。それこそ【施し】って呼ばれるくらいに。
「選ばせてあげるよ。雑魚のままでいいなら防衛班の任務でも手伝いに行けばいい。でも強くなりたいなら私の手を取りな。私が、弱い今の君に新たな強さを施してあげる」
手を差し出してくるニーナ隊長の顔が怖くて見れない。母親に子供がしかられている時の様な、オウガテイルがヴァジュラに目をつけられている時の様な圧が今、ニーナ隊長から発せられている。なんで俺がこんな目に遭ってるかはこれっぽっちも分からないけど、一つだけ、気になったことがある。
「……ニーナ隊長についていけば、本当に俺も強くなれるんですか?」
「当然でしょ。次ユウ君とアリサちゃんをミッションで助けたらこう言ってやるといいよ。
『踏んだ場数の質が違う』ってね。
君の階級じゃ本来見れない強力なアラガミの速度を目に慣れさせて、硬度の柔らかいところ見抜いて、味方を活かす射線の通し方を考えて、一撃で致命傷の攻撃を死ぬ気で躱せるようにしてあげる。
たしか、コウタ君も妹居るでしょ。妹ちゃんにカッコいいとこ見せたくない?」
整った顔に三日月みたいな口が張り付いている。
ハハハ、美人が笑うと本当に怖いんだなぁ。バガラリーで見た悪の女幹部みたいだ。手を取ると、俺の中で何かが変わる気がする。
けど、ここで手を引くのはダサいし、俺もなりたい。第1部隊のみんなに仲間だって胸を張れるゴッドイーターになりたいんだ。……第1部隊の隊長っていうのは大袈裟な気がするけど、きっと、ニーナ隊長がここまで言ってくれるのは俺に期待しているからのハズ!
だから俺は、天使みたいにキレイで悪魔みたいに危険なニーナ隊長の手を取った。
「お願いします。もう、アイツに、ユウに置いていかれたくない……!」
「イイ子だね。じゃあこれ上げるからポーチに詰めてから神機を取っておいで。30分後にヘリポート集合ね」
渡されたのは強制解放剤と回復錠の……なんだこれ初めて見るな。俺にそれを渡したニーナ隊長は俺の肩を叩いて神機保管庫にむけて送り出した。
まあまた後で聞けばいいか。やばくなったら助けてくれるのは本当だろうし。
押し出されるまま、整備班から神機を受け取った。
マッドな深緑の装飾が目に付く、ツバキさんから受け継いだモスティブロウを撫でて、気合を入れる。
「よし、今日も頼むぞ」
グリップを握りこめば、俺の気持ちに呼応するかのように、神機のコアが駆動した。
堕ちたか?堕ちたな()
コウタ君はあの極東支部で隊長になるのが確定しているため、ポテンシャルに関してはどんだけ期待してもいいとされています。(ホンマか?)
一人称小説なのであくまで目立たないキャラが多く居ますが、こいつの視点みたいかも!とかありますか?気が向けばそのキャラ視点で一話進行させます
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藤木コウタ
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雨宮ツバキ
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橘サクヤ
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アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
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楠リッカ
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竹田ヒバリ
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大森タツミ
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台場カノン
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加納アリア