最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
特異点編だけで4-25くらいまで行きそうで焦っている。
何だこのだらだらと続く文章は。
なお今回はニーナ視点の繋ぎ回です。
「あ、もうか。意外と早かったな。もう少し伸びるかと思ったけど」
ツバキさんから私の端末に飛ばされたメッセージには、第1部隊の再始動。つまるところ、ユウ君のリーダー就任の人事発令。もうあと数日は後だと予想してたけど、本部はよっぽど新型のデータが欲しいらしい。
丸一週間。それがコウタ君を連れまわせる限界だった。流石に接触禁忌種の単独討伐はさせてないけど、極東の一人前基準のヴァジュラ程度は単独討伐できるようにした。
これならディアウスピターの戦闘になっても仲間の足引っ張って死ぬことは無いかな。っていうラインまでは上げれたわけだね。
いやはや、エリック君もそうだけどコウタ君もこうも上手に育てられたんじゃ、私の教導能力の高さが見えちゃうね。
まあ、基本的にやったことなんて接触禁忌種の戦いを見せて動きを覚えさせる→通常種と戦わせるの繰り返しだったけど、流石にコンゴウとかの中型種相手につまらない被弾とかはしなくなったしかなりいい具合じゃないかな。もしかしたら原作キャラっていう潜在能力が高い子を育ててるから上手くいってるだけかもしれないけど。
「コウタくーん」
「ハイ! なんでしょう!」
誤算があるとしたらコウタ君がツバキさんからの教導明けみたいな軍人染みた返事をするようになってしまったことだけど……まあそのうち直るでしょ。元からオモシロ枠な子だし。てかそんな怖かったかな。ちゃんと致命傷が被弾しそうなときだけ割って入って防いであげたのに。
「元気だねぇ……アリサちゃんとサクヤさんが調子戻って来たらしくて、そろそろ第1部隊が再始動するってさ。わたしとの特訓はさっき一緒にやったボルグカムランとアイテールで終わりね」
「おお、おおおお! 生き残った……」
「アハハ、大袈裟だなぁ。でもよくついてきたね、エリック君の時は座学込みだったから戦闘訓練の強度はこんなに高くなかったし、ガッツあるぞ~」
ずっと姿勢正しくしていたけど気が抜けたのか、ヘリの座面に倒れこむコウタ君の頭をバンダナ……頭巾かコレ? とにかくそれ越しに頭を撫でる。おーよしよし。コウタ君はなんだかデカい犬みたいで、馬鹿なんだけど愛され力があるよねぇ。ユウ君は気に入られに行くタイプだけど、コウタ君は自然と他人が気に入ってるタイプだ。噛めば噛むほど味がするともいう。
「おお、ニーナ隊長ってホントに距離感近いっすね……コレって俺ソーマに殺されません?」
「されないでしょ。それに感覚としては動物撫でてるわけだから怒られるのも違うかも」
「あ、俺動物扱いなんスね」
「ほら、よく言うじゃん小動物系女子とか。コウタ君は……中型犬系男子だね」
「小動物……? ああ昔は居たらしいっスよね、なんでしたっけ、リス? とかバガラリーに出てました」
おっと、確かに外部居住区に犬がたまに見かけるくらいのこの世界じゃもはや小動物系とかは死語か……? 他人と恋バナあんまりしないから違和感すらなかったな。今はなんていうんだろう。アラガミ系とかか? なわけないか。ほぼ悪口だし。
「そうそれ。コウタ君はバガラリー好きだねぇ」
「そりゃもう! なんつってもピンチを泥臭くても生き残って最後には大逆転! 王道ってやつだからね! じゃなかった、王道ってやつですからね!」
バガラリーを語る彼は目をキラキラさせるから面白い。自分がつらいとき、自分の尊敬する人を思い浮かべてその人ならどうするか。って考えて頑張るのはよくある手法だけど、彼がこの一週間折れそうになるたびに、バガラリーの話を振ると立ち直っていたのは申し訳ないけど少し笑ってしまった。
「にしても、面白かったから言わなかったけど、敬語じゃなくても良いし、隊長呼びじゃなくてもいいよ?」
「ええ!? 本当に今更!? いやぁ、その、なんていうか、俺の中でニーナ隊長への……なんていうの? リスペクト? みたいなのがあるんでこれで行かしてください!」
「どう考えても怒らせたら怖そうだし、日ごろから出来るだけ意識しないとやばい! ……ってところかな?」
「そそそ、そんなこと言ってませんよ!?」
「アハハ、まあ何でもいいけどね、コウタ君が喋りやすいならそれで」
顔に冷や汗を流しながらしゃべるコウタ君を見ればまさに一目瞭然で、顔に書いてあるってやつなんだけどまあいいか。
弄れば弄るほどいい音が鳴る彼だけど、鳴らしすぎて嫌われちゃ意味ないしね。
「男子三日会わざれば刮目してみよ。なんて諺があるわけだし? 1週間の成果を明日からユウ君たちに見せつけておいで、今のコウタ君はクソ雑魚からそこそこ強いになったからね」
「押忍! ありがとうございました!」
ヘリの到着に合わせて別れを済ませる。
にしても特異点捜索やら大車処分やらで溜まっていた接触禁忌種狩りがようやく終わったな。
コウタ君の教導さえなければもっと早くできたけど、コウタ君の好感度稼ぎは今が一番タイパ良かったからしょうがないね。
「ん~。疲れたぁ」
伸びをしてヘリから降りたら、床面においていた格納状態の神機を引きずり出して、パイロットに手で別れを告げたらアナグラに入る。
一応コウタ君の最低限度の文化的な生活を守るために毎日帰ってきてたけど、今日の仕事は後は神機を預けたら終わりだ。事務仕事もないし、新型神機に関する報告書はまだ何も見てないので書けないわけだから期日は過ぎてるけどスルー。最近はずっと帰りが遅くてまともに会えてなかったけどやっとアリアニウムを摂取できる……!
その前にアリアへ日々の頑張ったで賞をあげるべくなんか買っていこう。先に掘り出し物があるところからかな。
「よ~ろず屋さん! なんかいいものある?」
「おおニーナちゃんか。今日の掘り出し物はなぁ甘味があるぜ! 消費期限は明後日までなんだけどな! ガチの桃が入った缶詰よ!」
「熱すぎでしょ。買います」
やけに割高に感じる桃の缶詰をよろず屋さんの言い値で買う。まあフルーツ缶なんてめったに出回らない激レアも激レアだから多少の出費はしょうがない。
しょうがないったらないのだ。にしてもこんなものどこでくすねてきたのやら……気になっても聞かないのが正しい選択だから何も言わないけどさ。
「ヒヒヒ、毎度アリ~」
眼を¥マークならぬFcマークにしながら怪しげに笑うよろず屋に腕輪のタッチ決済でお金を払い、缶詰を貰う。桃だけで出すのも味気ないし、この前買って余ってるパイシート使って桃のパイでも作ろうかな。幸いにしてアナグラ内でも私は砂糖富豪だし、カノンちゃんから以前分けてもらったシナモンもあるしでコンポートなら簡単に作れるのだ。これは素敵な夜になるなあ。
神機を保管庫に預けて帰る。リッカちゃんとも少し話したかったけど、他の神機の整備の真っ最中だったので忙しそうだし声はかけずに他の人に預けてきた。
「たっだい、ま?」
ルンルンで部屋を開けた私を待っていたのは、そこそこ広い私とアリアの居住部屋を駆けるアリアと、それを追いかけるサクヤさんの姿と、あと、なぜか台所で料理をしているツバキさんの姿だった。
私のアリアと勝手に何してんだこの女共
じゃなかった本当に何してんだこの人たちは。落ち着け。絶対遊んでるだけだ。アリアは笑顔だし、サクヤさんやツバキさんからも害意は感じない。
でも普段は勝手に人を家に上げたりしない筈のアリアがどうしちゃったんだろう。
「ねぇね! お帰り!」
駆けまわっていた勢いそのまま、アリアが飛びついてくるのを受け止める。体重がまた452gくらい増えたし、身長が2mm伸びてるねぇ。幼いアリアの成長は早い。あっという間だ。
「ただいまアリア~! どうしたの? サクヤさんやツバキさんに遊んでもらってたの?」
「うん! 宿題が終わって暇だったからお歌聞いてたら、ツバキさんとサクヤちゃんが来てくれたの!
ねぇねに用事だったみたいなんだけど、いつ帰るかわかんなかったから、遊びながらねぇねを待ってもらった!」
サクヤちゃんなんだ……さんじゃなくて? いやまあそれはいいけど。なんか昔からの先輩に急に子守を頼んでたみたいになってて気まずいな。
「なる、ほどね?
いや~サクヤさんもツバキさんもなんかスイマセン。ありがとうございました?」
「フフフ、良いのよ。小さい子って可愛いしね。特にアリアちゃんしっかりニーナと姉妹なのね、どことなく似てるし、楽しませてもらったわ」
「それに我々が無理に押し入ってしまったところもあるからな。寧ろ家主のニーナがいない間に入ってしまってすまない。食材はこちらで持ってきたので料理という形で赦してほしい」
「食費浮くのは素直にありがたいんでいいですけど、どうしたんですか? いつもならターミナルにメール送ってくれるか、エリック君に言伝てくれてたと思いますけど……」
急に家訪ねてくることは今の時代は別によくあることだからいいんだけど、私を尋ねに来る人ってほぼ居ないんだよな。基本的に寝る前位しか家に帰れてないから。
つまり、予測されるのは他のメンツがいるときに話せない会話になる。即ち大車死亡の経緯とか、かな。一応あの報告書は尉官じゃなくても曹長クラスから見れるはずなので、その時のことを聞きたいのかもしれない。
特に忙しすぎて、というか普通に忘れてて回収できてないけど、サクヤさんは絶対にリンドウさんが残してるであろう腕輪のロックがかかっている記録端末は見つけているはず。腕輪が見つかっていない以上今のうちに回収しときたいんだけど、無理に回収したら疑念が深まるし、かといってディアウス・ピター討伐後に腕輪で端末を開けられちゃったら、ワンチャン私のことまで仄めかされたアーク計画の内容が書かれてるかもしれない。
つまり、私がすべきなのはサクヤさんから私なら開けれるかもといって端末を回収。外見の同じ別物を用意して中身のデータをアーク計画ではないそれっぽいフェンリルの闇を入れとけばいい。それこそ大車が関係していたであろう過去の暗殺の記録とか。
「なんだか難しい顔してるようだけど、私たちは単純に最近ニーナとあんまり話せてなかったから一緒にご飯食べに来ただけよ?」
「……え?」
「ふっ、何を想像しているか知らんが、もし仮にお前の考えるような怪しい話をするならアリアの前で話などしようとしないさ」
「ねぇねまた危ないことする? ダメだよ! メー!」
アリアに額をぺしぺし叩かれながら、頭に回していた血液を体に降ろす。確かに、よくよく考えればこの人たちは直情型だし、アリアを人質に取りながら話すようなタイプでもない。第1部隊に居た頃はよくメンバー同士でご飯も食べてたし、オペレーターだったサクヤさんとツバキさん、私で女子会……っていうか食事会? みたいなこともしてたのをすっかり忘れていた。ヨハンさんや榊博士に合わせて話す機会が多かったから政治脳になってたのが原因かな。反省だ。
「そんなことしないよアリア。大丈夫だから叩くのやーめーて、あんまり叩くと喰べちゃうぞ~!」
頸筋に齧りつくふりをすれば腕の中でキャーキャー騒ぐアリアを下ろし、部屋を駆け回らせる。
「いやぁ最近お歴々と話すことが多すぎて変なこと考えてましたスイマセン。そういうことでしたら、ご飯できるまでに軽くシャワーだけ浴びてきますね。返り血は浴びなかったはずですけど、砂埃は浴びてるので」
「ああ、ゆっくり入ってこい」
「アリアちゃんと遊んでるから気にしなくていいわよ~」
桃の缶詰を戸棚に軽く投げ入れて、私は脱衣所に向かった。
……にしてもなんか最近私のメンケアしようとしてる人が多い気がするのは気のせいかな。
一人称小説なのであくまで目立たないキャラが多く居ますが、こいつの視点みたいかも!とかありますか?気が向けばそのキャラ視点で一話進行させます
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藤木コウタ
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雨宮ツバキ
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橘サクヤ
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アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
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楠リッカ
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竹田ヒバリ
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大森タツミ
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台場カノン
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加納アリア