最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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感想、評価、ここ好き、誤字報告に感謝します。

ようやくここまで来たか、といったところです。
原作だとリーダー就任したらあっという間にエイジス編に行った気がしてたんですけど、意外とそんなことないっていうね。

また、今話もになりますが、独自設定ありきの描写があります。
独自設定自体は今後明かされる内容にはなりますが、ご承知おき下さい。



4-14

 朝起きて一番にターミナルでメールの確認をする。

 雑談交じりのモノやツバキさんや榊博士とかの上官からの指令もあるので、まずはこれを見ないと始まらない。見てませんでしたなんて言い訳にもならないしね。と言っても最近は指名依頼とかが多くて、アリサのリハビリがてらこなしていればあっという間に一日が過ぎるなんてことが大半なんだけど……? 

 

「第1部隊は通常装備を整えてエントランスに0800に集合……?」

 

 ツバキさんから出されていたメールはそれだけだった。

 宛先は第1部隊全員で、CCに第4部隊のニーナ先輩にエリックの2人が入ってた。

 このメンツを見るとなんかデカいアラガミでも討伐に行くのかなと思うけど、決戦装備じゃなくて通常装備ってことは、あっても普通の大型種レベルの討伐のはず。まあ、リンドウさんが亡くなったとされて以降なんとなく全員で顔を合わせたことがないんだよね。

 一応、アリサのリハビリ中にはニーナ先輩が連れまわして鍛えてた? コウタ以外個別で任務を手伝ってもらってたけどさ。

 

「っと、もう行かないとか」

 

 時計を見れば7時半。別に時間に間に合えばいいけど、一番下っ端なことには変わりないし、最後につくよりは最初につくくらいの時間で動くべきだよね。

 フェンリル制服に袖を通しボタンを締めて、寝癖を直せば準備完了だ。

 

 エレベーターに乗り、エントランスまで向かう。

 時間的に一番早いかなと思ってたんだけど、二番手だったらしい。

 

「あ! ユウ、おはようございます」

 

「おはようアリサ、早いね」

 

 アリサはここ最近のリハビリ特訓任務中にいろんな人と話してたおかげか、そこそこ回復したみたいだ。

 前はツンケンしてたからピリピリな雰囲気を出してたんだけど、今は雰囲気も大分丸くなってとっつきやすくなった。今ならコウタも大分やりやすいんじゃないかな。

 

「私今日初めて加納第4部隊長に会うので、遅れたらまずいなと」

 

「オレと同じ気持ちってわけか。といってもオレは数回会ったことあるんだけどね。怒ったら怖そうだけど、気さくな人だから全然大丈夫だと思うよ。

 そういえばコウタと会うのも久々じゃない?」

 

「ええ、一週間ぶりですかね」

 

 集合場所のエントランス出撃ゲート前でアリサと話していれば、どことなく晴れやかな顔をしたコウタが、何時もの通り身だしなみを整えたサクヤさんが、エリックとソーマが話しながら、時間通りにツバキ教官とニーナ先輩がやってくる。

 

「全員揃っているな、本日正式な辞令が上から降りた。

 本日の任務終了後に神薙ユウ、貴官をフェンリル極東支部保安局第1部隊の隊長に任命する」

 

「え?」

 

「マジかよ、出世じゃん! 大出世じゃん! こういうのなんだっけ下剋上?」

 

「それ、裏切りですよ。まあでも、これからもよろしくお願いします。ねえ? サクヤさん」

 

「……えぇ、そうね。ほんっと、いつの間にか頼もしくなっちゃったんだから。君になら背中を預けられるよ」

 

 余りにも急な任命に思わず呆けた返事をしていれば、オレより先に我に返ったみんなが口々に祝ってくれる。

 隊長、リンドウさんやニーナ先輩、タツミさんみたいなことするのか……オレが? 

 今でも思ったことを伝えたりはしてるけど、指示を出す責任は重そうだ。

 

「はしゃぐな。本日の任務が無事に終えれたらと言っただろう。

 ユウ、隊長になればそれ相応の権限が与えられる。だが、それ以上の責任も負うということだ。リーダーには班員を全員生きて返す責任がある。いいな? 

 

 必ず全員で生きて帰れ。これは命令だ」

 

「……はい!」

 

 ツバキさんからのあまりに重たい言葉に、何とか返事をする。きっと、みんな今リンドウさんのことを思い出したと思うから。オレが弱気になってちゃみんなも不安になってしまう。

 

「分からんことがあればニーナに聞くと良い。昨日までにあらかたの業務調整は終えたから、数日は第4部隊が丸ごと第1部隊の補助につく。フェンリル史上、他人を最も生きて帰らせた女だ。学べるところも多いだろう」

 

「はいはーい! じゃあユウ君の新リーダー就任祝いは正式にリーダーになったらするとして、流石に配属されて数ヶ月のユウ君に隊長業、指示や判断基準、あとは特有の書類仕事とか、そういうのの教導係を任されました! 第4部隊隊長【不死身】の加納ニーナ偵察少尉です! ユウ君には新型のデータ獲りの為にしばらく張り付くからよろしく! アリサちゃんは初めましてだねよろしく! コウタ君は私を失望させないこと! ソーマはユウ君の昇進祝いに出席すること! サクヤさんとエリック君には言うことないでーす!」

 

「いやなんか俺だけ違くないですか!?」

 

「アハハ! 冗談じゃ~ん。もうあんまり心配してないよ。出来るでしょ?」

 

「……うす」

 

 ツバキさんに紹介されると、先ほどの重い空気を吹き飛ばすかのように、嵐のような勢いで挨拶するニーナ先輩に、コウタが思わず抗議するように声を上げるけど、一撃で言い負かされてた。きっと本人が思ってる以上に認められたのが嬉しいんだろうな。

 

「つうか今サラッと自分のこと不死身っつったぞ。恥ずかしくねえのか」

 

「やめときたまえよソーマ。怪物自虐のブーメランだ、華麗じゃない」

 

「うるせぇ」

 

 ソーマとエリックの掛け合いはいつも通りで

 

「なんか、太陽みたいに眩しい人ですね」

 

「ふふふ、そうねぇ。後で個人的に話してみたら? 普段は思ったより静かだし、きっと空気を入れ替えてくれてるんでしょ。ニーナなりの気づかいだわ」

 

「ええ、でも何を話せばいいか……」

 

「なんでもいいのよ。試しにソーマとの関係性とか聞いてみたら? アリサも”参考”にしたいだろうし」

 

「なっ……なんのことだかわかりませんね」

 

 サクヤさんとアリサは最近少し親しげになってる。

 新しいけど、これが今のアナグラの日常だ。

 

「危なくなったら助けてあげるから、好きにやりなよ? ユウ君」

 

「ありがとうございます! 胸をお借りしますねニーナ先輩!」

 

 そう言って差し出された手を握ったとき、世界が止まった。

 加速された一秒の中に膨大な情報が詰め込まれるかのような感覚。これは、アリサの時と同じ感応現象!? なんでニーナ先輩とも起きるんだ? 

 

 ……だけどおかしい。ナニも見えてこないし、ナニも聞こえないし、ナニも伝わってこない。どこか遠いところからナニカがあるのは感じる。そこにあるのにどこにもない。ような、目隠しと耳栓をして放り出されたような、そういう暗中のイメージだけが伝わってくる。

 違う。これは明かりのついていない。カーテンの閉め切られて、換気もしばらくしていないような部屋の中だ。

 それと目の前、足元になにかの画面がある。明かりの無い暗い部屋で、電源を点けてないナニカの画面がそこにある。

 どこかに電源が無いか探そうにも、感応現象は光景を見れるだけで体を動かせるわけじゃない。

 不意に、おそらく横に寝転がっていたであろう誰かの手が、画面の淵を触ってる? 画面の大きさは掌より大きくて、両手で保持するようなサイズ。カチというよりポチという感触の後、電源が入ったんだろう。画面に贖罪の街と似た背景に文字が浮かんだ。

 

【GOD EATER】

 

 その文字を認識した瞬間にオレの目が覆われる。なんだ。目の前から光景が消えて、前に引き寄せられるようにして現実に戻ってきた。耳元に小さな声でニーナ先輩が囁く。

 

「驚いた。私も対象とは随分な節操無しだねぇ」

 

「え、あ、今のは、なんで」

 

「狼狽えないの。隊長でしょ? 今度ちゃんと教えてあげるから。待っててね」

 

 混乱する頭でニーナ先輩の小声に頷き、周りを……ニーナ先輩に引き寄せられて頭抱かれてる!? 

 思わず手を挙げてバッと離れる。ソーマの方が怖すぎて見れないけど、なんであんな風に、ああいや違う。

 感応現象から現実に反応が戻る時に引き寄せられた感覚があったけど、アレは現実で引き寄せられたってことか! おちつけ、別になんか疚しいことをしたわけでもないし、されたわけでもない。堂々としてればいいだけだ。

 

「アダッ! ちょっとソーマ! なんで叩くの!」

 

「うるせぇ痴女が。恥ってもんを覚えろ」

 

「痴女ぉ!? 中二病拗らせボーイが舐めた口きくねえ!」

 

「あぁ!?」

 

 前を見ればソーマがニーナ先輩の頭を叩いていた。

 傍目から見るとニーナ先輩が突然オレを引き寄せたように見えたんだろう。平和な痴話喧嘩を興じてくれる辺りオレに矛先は向かなさそうで助かるけど……。

 それをボケッと眺めていれば腕を引かれて振り向かされる。

 

「ユウ! 加納隊長と顔を合わせた回数が少ないというのは本当の話なんですか? あ、あんなハグまでする仲なんて、は、破廉恥です!」

 

「いやアリサの格好の方がよっぽど破廉恥だろ」

 

「コウタ! うるさいですよ!」

 

 思わずコウタの援護にそうだそうだという同意の声を上げそうになるのを堪える。

 後で教えてくれるらしいし、今は適当に誤魔化しておく方がいいだろう。

 

 

 

だまれ

 

 

 

 全員の声がツバキ教官の3文字でピタリと止まった。

 油を差さなくなったブリキ人形みたいにギギギと話を聞く姿勢になり、全員が静まったところでようやく口を開いた。

 

「まだブリーフィング中だったはずだが、そんなことも認識できなくなるような軟弱物を育てた覚えはない。とっとと今日の討伐対象の元へ迎え! ユウ、アリサ、コウタ、サクヤの4人小隊だ! ……さっさと走らんか!」

 

「「「ハイぃ!」」」

 

 堪らず、ツバキ教官の怒声から逃げるように駆けだす。

 これから騒ぐのはブリーフィングが終わってからにしようと、心に刻んだ。

 名前を呼ばれなかったエリック、ソーマ、ニーナ先輩はツバキ教官と後ろで何か話してるけど、今は置いておく。

 アリサとの感応現象についても、結局アリサ経由で榊博士にバレて榊博士に説明してもらっちゃったから、ニーナ先輩からは詳細な説明はまだしてもらってない。それも含めてまとめて今度説明してもらおう。そのためにはさっさと今日の目標を討伐しなきゃだ。

 

 あれ……今日の目標聞いて無くない? まぁ、ヘリで聞けばいいか。

 




※私の中では納得行く設定の下本作は執筆しています。

一人称小説なのであくまで目立たないキャラが多く居ますが、こいつの視点みたいかも!とかありますか?気が向けばそのキャラ視点で一話進行させます

  • 藤木コウタ
  • 雨宮ツバキ
  • 橘サクヤ
  • アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
  • 楠リッカ
  • 竹田ヒバリ
  • 大森タツミ
  • 台場カノン
  • 加納アリア
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