最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
神薙ユウが隊長になるまで持った二次創作は少ないとされており……つまり偉業だということです。
フェンリル極東式新型神機使いの経過報告
報告者:加納ニーナ偵察少尉兼神機デザイン課長兼アラガミ生態調査課長
審査者:ペイラー・榊極東支部技術統括部長・雨宮ツバキ中尉・楠リッカ神機整備職長
承認者:ヨハネス・フォン・シックザール極東支部長
本報告書はフェンリル極東式新型神機使い(以後極東新型)の経過観察の報告および、戦力計算の概算を出したものである。
①健康面について
②人格面について
③当該適合者の戦力計算について
上記の順に報告していくものとする。
①健康面について
極東新型の適合者神薙ユウの健康状態は、起床時、戦闘前、戦闘後、就寝前といった度重なるメディカルチェックの結果問題無し。
オラクル細胞の侵食は見られず、神機解放状態になっても体内のオラクル細胞が活性化すれど、侵食率の変化は無かったため、少なくとも第一例の当該人物の臨床試験では問題が無かったといえる。
②人格面について
適合率は極東内でも高い水準にあるが、適合率の高い者が稀に発現する精神状態の変化は確認されていない。
人格面も善良で、周囲の雰囲気に打ち解けやすい人当たりの良い気風に悪性な変化は見られなかった。
※元より精神的に不安定であったロシア式新型のアリサ・イリーニチナ・アミエーラにはその精神異常が増大した可能性も懸念されるが、これは別途報告書にある大車ダイゴの影響が大きいと予想されるため、この場では省略する。
また、一部旧型神機使いにわざと強い当たりをさせるなどの協力いただいたストレス実験にも適応し、逆にそういった人物と親交を深める等のコミュニケーション能力を発揮していた。
③当該適合者の戦力計算について
極東新型は本来、報告者の加納ニーナ偵察少尉が使う前提で組んでいた強化型神機であるという前提をとっても、当該適合者神薙ユウの神機の出力は異常であり、整備班の職人が稀に口にする「神機が神機使いを助けようとしている」状態に近いものが起きていると予想される。
神機使いであればアラガミの弱点部位を見抜き、最小労力で仕留める。というのは熟練になれば必須スキルとして誰しもが覚えていることだが、大型種の攻撃が通りにくい所──ボルグカムラン神族の騎面盾に対する斬撃等も相性不利──でさえ攻撃を通し仕留めることが出来るというのは、基本的にバスターブレード種によるチャージクラッシュのみであったが、当該人物はそれをロングブレードの通常攻撃で成しているようだ。
上記の事柄から中型接触禁忌種であれば既に単騎討伐可能な人材であると判断する。基本的に見たことのない新型アラガミは誰であれ事故率の高い物だが、当該人物を順調に育成することで、報告者の加納ニーナ偵察少尉につづく新種殺しとなりうるものと予想する。
また現状の他支部であれば、支部の規模によるが当該人物で1人で1支部の全神機使い分の働き~2班分の働きまでを保証するものであると概算する。
※概算式は1アラガミに対する討伐時間と、索敵能力、地域ごとのアラガミ強度から算出したモノである。
「さて、これが現状のキミに対する評価となる。理解してくれたかね」
先の第1部隊での任務終わりに支部長さんから呼び出しを受けたオレは、急についさっき突貫で書いたであろうニーナ先輩の報告書を見せられていた。
なんかすごい持ち上げられてた気がするな……。ていうか当たりの強かった人たちってわざとだったんだ。そこが一番びっくりなんだけど。確かになんか仲良くなってから「あんなことしたくなかったんだよ」とか言ってたけど、アレがマジなことってあるんだな……。
「えっと、過分な評価で痛み入ります?」
「フッ、無理にとりつくろわなくて構わない。ここは公の場ではないからね。
本題に入ろうか。聞いての通り、キミにはこれから第1部隊の隊長として動いてもらう。それに伴って権限の強化として、ターミナルのデータベースであるノルンの情報開示、およびリーダー専用の個室が与えられる。場所は前任のリンドウ君の部屋を引き継いでくれ」
「おお、ありがとうございます」
「これらは我々フェンリルからの”信頼”の証だ。くれぐれも裏切らないでくれ。
また、キミには権限だけではなく前隊長のリンドウ君が行っていた秘匿任務、特務を割り振っていくつもりだ。詳しいことは追って伝えるが、期待通りの働きをしてくれることを祈っている」
「了解です?」
「フフッ今は分からないことだらけだろうが、ニーナ君がキミを助けてくれるはずだ。彼女は、非常に”優秀”だからな。
……今日はここまででいい、時間を取らせて悪かったな。下がりたまえ」
「し、失礼します!」
緊張のままなんとか敬礼を返して支部長室を後にする。
なんというか、激励? もあった感じだったのかな? 堅苦しいというか、オレが勝手に緊張してたから全然頭に入ってこなかったけど……。初期のメディカルチェック以降ロクに話したことなかったけど、意外とイイ人なのかもしれない。まあ悪人だったら支部長なんてやってないだろうけど。
ともあれまずは部屋の引っ越しからだ。荷物は少ないけど服の類は移動させなきゃいけない。現在時刻は1900、荷物の運搬だけなら30分くらいで済みそうかな。あとはそのあとご飯食べて、お風呂入って、ターミナルの更新すませれば今日は終わりかな。
そういえば結局ニーナ先輩は感応現象についてなんも教えてくれないな。いつ教えてくれるんだ? 忙しいからか知らないんだけど、「内緒ね」っていうから黙ってるけど全然会えないんだよな。
そんなことを考えて自室に向かっていれば、ニーナ先輩が壁にもたれて立っていた。
「お、戻って来たね。やっほ、お疲れ様」
「お疲れ様です、どうしたんですか?」
「リンドウさんの部屋に引っ越しするでしょ?
荷物持ちの手伝いついでに終わったら一緒にご飯でも食べようかなって。色々教えないといけないことがあるし、時間の有効活用ってことで」
どうやら気になってることを教えてくれに来たらしい。
タイミングがイイと感じるけど、まあ準備を手伝ってくれるんなら文句はないし、いろいろ教えてくれるなら願ったりかなったりだ。
「ありがとうございます! あ、でもいいんですか? えっと、アリアちゃん? でしたっけ、妹さんとご飯食べなくて」
「ああ、今日はいいんだよ。なんかリッカちゃん達と神機の話してるからね」
たしか妹さんは10歳かそこらって聞いたけど、そんな子供がなんで整備班のリッカと神機の話……? 狼谷学園主導の職場体験みたいなのってそんな幼年期からやるものなのかな。
「なる、ほど? まあ大丈夫ならいいんですけど、じゃあ、ちょっと荷物持ってくるので少し待っててください!」
「箱詰めとかあるでしょ? 手伝おっか?」
「いえ! 大体の物は最初から箱に入ってるので!」
そう言って部屋の中に入れば、神機使いになるにあたって外部居住区の皆がくれたスーツケースや、大型のボストンバック、後はフェンリルに入隊してから増えた書類やらがつまった段ボールが数個。
精々新たに入れるのは何着かパターンで着まわしてる制服と下着類位なものなわけだ。
「おお、すごいね、ユウ君ってミニマリストなの?」
「みにま? が何はよくわかんないですけど、外部居住区時代からの癖ですよ。何かあった時すぐに移動が出来るように、ある程度物は常に運び出しやすいように収納してるんです」
「へ~、じゃあアレだね。アリサちゃんの部屋辺りとか片づけたくてムズムズしない?」
「自室ならともかく、人の部屋にまでは思いませんよ」
「ふ~ん、ユウ君って感じだねぇ。じゃあこの箱とボストンバッグ持つから行こうか」
ニーナ先輩が荷物の4割くらいを持ってくれたところで、オレも残りの荷物を持って、リンドウさんの……受け継いだ部屋に向かう。
前に入った時も思ったけどかなり広くて、窓みたいにはめられている海の絵が、一気におしゃれな雰囲気を出している。以前はあった煙草の匂いも、すっかり取れていて、若干の寂しさみたいなものも感じる。
「うし、じゃあ先にターミナルだけ更新してくれる? ちょっと更新に時間かかるから更新してる間にご飯食べに行こう」
ニーナ先輩の声にはっとして荷物を一先ず壁際に置いて頷く。
ターミナルに腕輪を接続して所有者権限を更新する。確かに、なんか更新のバーみたいなやつの進みが遅くて結構かかりそうだ。
「これでいいですか?」
「オッケーだよ。ついでに隊長職するときに提出する書類のフォーマットと私が作った手順書、各種情報のショートカットをまとめたファイルがあるから入れといてもいい?」
「ぜひお願いします!」
「アハハ、書類仕事めんどいからね~楽できるところは楽していくと良いよ。ちょっとターミナル貸してね」
更新画面を最小化したニーナさんが記録端末をターミナルに差込み、なにやらデータ移行の作業を始めた。
いつも現場職だったからこういう作業まるでしないから新鮮だ。なんというか企業の人みたいだな。まあフェンリルは元々企業なわけだけど。
「このデータ移行も時間かかるらしいから、ご飯行こうか。ついでに色々教えてあげるよ。何食べたい? 奢ってしんぜよう~」
「ありがとうございます! じゃあ、丼もの貰っていいですか?」
「いいよ~たしか親子丼とかつ丼の配給チケットあったから片方あげるね」
言ってみるものだな……。
配給チケットの中でも丼ものはそこそこレアで値段が高い。このご時世だから家畜が少ないんだよね。ニーナ先輩が良いって言うならかつ丼を貰っちゃおう。いけない、ご馳走のこと考えてたら口の中によだれがたまって来たな。
「ありがとうございます! ニーナ先輩の懐のデカさに一生ついていきます!」
「アハハ! ならついてこなかったら許さないからね~?」
ニーナ先輩の言葉に若干の圧を感じつつ、食堂にてかつ丼を貰う。
なんと、今日のかつ丼は卵とじにもなってるらしい。茶色い衣を纏った肉が煮込んだ玉ねぎと共に黄金色の卵によって融合していた。
湯気がモクモクと立っていて、その湯気に乗った匂いが食欲を刺激する。
……正直話とかどうでもいいから早く食べたくなってきたな。
ニーナ先輩が親子丼と、ジャイアントトウモロコシ炊き込みご飯と、なんか体に悪そうな色をしているレーションと、なんらかの魚の開きを焼いたモノに、餃子にビールの大ジョッキを卓に置いたところで……
「めっちゃ喰いますね!?」
「だって今日アラガミ討伐してないんだもん。しょうがないじゃん。あと今日までが期限のもあったからね」
「アラガミ討伐してないなら普通食べる量が減るのでは?」
「燃費が悪いんですぅ~。ほら、さっさと喰べるよ」
「「いただきます」」
手を合わせて感謝したら卵と玉ねぎ、それとご飯を一緒に口に運ぶ。出汁が効いていて滅茶苦茶うまい。まだ肉を食ってないのにこの旨味か……最高だ。
満を持して肉を齧れば、筋もなくスッと歯が通る噛み応えで、肉の旨味と出汁の旨味で最高のハーモニーが形成されていた。シンプルに美味すぎて若干涙が出てくるな。
「イイ食べっぷりだねぇ、餃子を少し分けてあげよう」
「! ありがとうございます!」
餃子を取り皿に3つ程取り分けて渡してくれるニーナ先輩。普段からいろんなところでジャイアントトウモロコシを齧っているのを見てたから、食いしん坊キャラなのかと思ってはいたけど、意外と食い尽くし系じゃないんだ……。
「ああそうだ、感応現象のことだけど、アリサちゃんが早期復帰したってことは、榊博士から概要は聞いてるよね?」
「んぐ、はい、オレからは言ってないですけどアリサから報告が行ったみたいです。なんでしたっけ、なんか新型同士にのみ起きるとされているアレなんでしたっけ」
「そーそー。まさか私相手にも起きるとは思わなかったよ。私はユウ君の普段の感情? みたいなのが流れてきたけど、ユウ君は何が見えたの?」
「オレはなんか暗い部屋で、なんかの画面に誰かが電源? つけたのかな。その画面にGOD EATERって出てきたのを見ましたね。アリサの時は過去のことだったんですけど、ニーナ先輩のアレはなんなんです? ろくに感情的なのも感じなかったんですけど……」
「あ~……なるほどね、それだけじゃよくわからないけど、アレじゃない? 結構前の新型神機開発期の頃に最初のタイトルがそんなんだった気がするね。ほら、労働がブラックすぎて虚無だったから全然覚えてないけど」
「ああ、なるほど……お疲れ様です」
感応現象の内容については思ったより大したことが無かった。と言うより、ニーナ先輩の真顔怖いな。虚無だったってなに? もしかしてニーナ先輩ってみんなと話すときはこんなに明るいけど、事務研究系の仕事するときは人格が冷える感じなのかもしれないな……
主人公って服と神機関連の買い物しかしてなさそう(小並感)
あらゆる娯楽品は他人から借りてるだけか、原作にあったノルン(ターミナル)からみる過去の映像で暇つぶしてそうだなって。
一人称小説なのであくまで目立たないキャラが多く居ますが、こいつの視点みたいかも!とかありますか?気が向けばそのキャラ視点で一話進行させます
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藤木コウタ
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雨宮ツバキ
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橘サクヤ
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アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
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楠リッカ
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竹田ヒバリ
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大森タツミ
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台場カノン
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加納アリア