最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
超絶繋ぎ回
時刻は0145。大体の人は眠りに落ちた深夜の時間に、私はベッドの上で眠るアリアを抱きつつ、タブレットでユウ君のターミナルに仕込んだバックドアから彼のメッセージ履歴を確認していた。
サクヤさんからユウ君へのメッセージ
コウタ君からユウ君へのメッセージ
アリサちゃんからユウ君へのメッセージ
ヨハンさんからユウ君へのメッセージ
榊博士からユウ君へのメッセージ
エリック君からユウ君へのメッセージ
カノンちゃんからユウ君へのメッセージ
リッカちゃんからユウ君へのメッセージ
ヒバリちゃんからユウ君へのメッセージ
防衛班の人からユウ君へのメッセージ
偵察班の人からユウ君へのメッセージ
よろず屋さんからユウ君へのメッセージ
アリサちゃん、コウタ君、エリック君、リッカちゃん、榊博士、サクヤさん。よくメッセージを送るのはこの人たちで、大体は仕事の内容+雑談。
怪しいのはやっぱりエリック君と榊博士かな。基本的に呼び出して用件を伝えてるみたいだし、内緒話なのか、それとも本当に面直じゃないと伝えづらい内容なのかが迷うところだね。特にエリック君は妹の自慢話みたいなメッセージがほとんどだし……この妹バカは私との愛妹談義じゃ足りないっていうのかな。
ユウ君からの返信は基本的にスタンプだけで、偶に意見を求められたら会いに行ってるみたいでメッセージでやりとりするのは苦手みたいだ。まぁ相手がどんな顔でメッセージ送ってるか分からないし、アナグラだからみんな距離近い寮生活みたいなものだから会うハードルみたいなのが低いんだよね。私だって基本的にそうしてるしなぁ。話の分かる人って少ないし、話が分かりすぎてやりすぎちゃう人もいるからね。
ていうかユウ君メッセージ来すぎだろ。学園の人気アイドル宛てのラブレターかな?私でも流石にここまで来てないぞ……待てよ、これは既に私のの人気がユウ君に負けているということになるのでは?
「ねぇね?」
カチりと、つけていたタブレットの画面の電源を落とす。
いけないいけない、アリアにこんな悪~いお姉ちゃんを見せるわけにはいかないからね。アリアからしてもびっくりでしょ。お姉ちゃんが起きたら後輩のメッセージログ漁ってるなんて……いやほんとに私何やってんだろうなぁ。虚しくなってきた。
「ごめんねアリア。起こしちゃった?」
「おしごとだぁめ」
同じ布団の中で私の肢体にギュッと抱き着いてくる小さな天使をそっと抱く。
この子の安全で安心で健康で幸福で平和で健全でちょっとしたスパイス程度の理不尽と挑戦にみちた文化的で文明人な未来を勝ち取るためにこんなことをしてるんだから、この子の健全な育成に悪いものは排除しないといけないからもちろん夜更かしもだめだ。
アリアが完全に寝てから仕事はするけど、この子に余計な負担はかけないようにしないとね。
「お仕事なんてしてないよ?ちょっとお友達のメッセージ見てただけだよ」
「……ぅ~」
寝ぼけ眼をこすったアリアが私の顔を唸りながらじっと見る。こういう時に嘘ついてると何故かアリアは見抜いてくるから絶対嘘は言えないんだよねぇ。
数秒間見つめられたが、お眼鏡にかなったらしい。胸元にて抱かれてたアリアはぐいぐいとわたしの頭の方までベッドをよじ登り、私の頭をその小さな身体で抱きかかえる。
「アリア?ちょっと息苦しいかも」
「うそ。こんなんじゃごっどいーたーさんは窒息しないもん。おやすみ」
「えぇ……しょうがないなぁもう、おやすみ」
アリアに視界をふさがれたところでべつに画面は確認できるけど、妹がこんなに心配してくれているんだから応えてあげるのもお姉ちゃんの務めだからね。今日ばかりは折れてあげようかな。どうせほとんど収穫はなかったしね。
どうせ数日~2週間以内には特異点捕獲に動き出すだろうから、あとは秒読み状態。ヨハンさんはそこまでは分かってないだろうけど、特異点が極東にいるのは私の報告から確認済みだから、原作みたいに海外に特異点かもしれない強力なアラガミのコアの存在~なんて嘘で騙されることはないだろう。
榊博士はどうやってヨハンさんを出張させる気なのかな。
もしかすると私とヨハンさんの2人を飛ばそうとするかもだからその時は戻り次第の強奪でいいとして、私が極東に残ってる場合の事を考えなきゃだよなぁ。
考えられるパターンとしては、
①私を他の皆同様特異点捕獲に巻き込む。
②特異点発見から捕獲、育成の事を隠し続けようとする。
③どこかのタイミングから私も特異点擁護側に巻き込む。
の3パターンかな。①②ともに問題ないけど、問題があるとしたら③のパターンだけだ。どこかの段階から巻き込むにしても、巻き込むということは私がどんな立場か榊博士側から明確になる、あるいは誤認する。もしくは正しく認識した上で私をヨハンさんから裏切らせるだけのナニカを獲得するしかないわけだ。
そして、そのナニカっていうのは今私の頭に抱き着いて寝息を立てるアリア以外ありえない。だけど現状、アリアの存在は既にヨハンさんに首輪をつけられていることは狼谷学園に通ってる以上明白だし、なによりソレは私にとっての逆鱗だということはアナグラに居る全員が理解してるリスキーな手だから、まず無いとみていいだろう。仮に私のことが捲れるとしたら、それは私たちが政治で負けた時と、リンドウさんの腕輪回収後、私のことが記載されていればの話だ。リンドウさんと最後にあった時の反応から見ても、私がフェンリル上層部と悪いことをしている確証はないはずだしね……。
いずれにしても、榊博士の出した手に後出しじゃんけんで勝てることには変わらないんだから焦る必要はまったくない。
だから、今日はこの天使を抱いて眠りにつくとしよう。
「愛してるよアリア。健やかに育ってね」
翌日、アラームが鳴る4秒前に身体が目覚めた。
アリアを起こさないようにそっと抜け出し、朝ご飯を作る。時刻としては朝の0600で、久しぶりに4時間も寝たな。おかげで頭が冴えている気もする。
冷蔵庫に入れていたヨーグルトを器に移して、本物のバナナを切り分けてその器に差す。ライ麦パンを食卓に出して蚊帳を立てて埃が入らないようにすればアリアが食べるご飯は出来た。
私は自分が食べる用のジャイアントトウモロコシを茹でて、その間に着替えと歯磨きだ。
今日はユウ君たちの観察を兼ねて任務だったかな。アリサちゃんとユウ君の接触には注意しないとね。前回の感応現象でおそらくだけど前世の記憶抜かれてるわけだし。もはや私が知識としてしか覚えてないことまで抜いてるっぽいから侮れない。次起きたら原作知識を抜かれるかもしれないし、アーク計画を抜かれるかもしれないし、私の悪事が抜かれるかもしれない。
接触するときだけはユーバーセンスを弱めておけば大丈夫だとは思うけど、出来るだけ触れずに済むならそれに越したことはない。
最近着ることが多くなったブルゾンを羽織り、ジーンズを履く。最近、私が露出多い時にソーマがめんどくさいんだよね。やれ腹をしまえだの、肩を見せるなだの。昭和の親父か?サクヤさんと一緒に働いてるくせによくそんなことが言えたものだよねぇ。まあ露出好きな訳じゃないから別にいいんだけど、この格好ハルオミさんの
ソーマが変とかそういうわけではなく、海を越えたグラスゴーからセクハラがされている気がする。許せないな?
まあ冗談はともかくとして、どっかのタイミングでハルオミさんとその彼女……奥さんか?籍は居れてないと思うけどまあ、ケイトさん、あと保険でギルバート君の3人は船に乗せたいし、招待したいよなぁ。この世界のネームドには善人が多いけど、モブには善人だらけな訳じゃないから出来るだけネームドを船に回収するのが次の世界を良くするためには効率が良さそうなんだよなぁ。
「いってきます。遅刻しないようにね」
寝ているアリアの額に唇を落として、布団をかけなおしてあげる。
茹でたジャイアントトウモロコシを引き抜き、柔らかくなった芯まで齧りながらタブレットを携えて執務室に向かう。
時刻は0630と少しいつもより遅い時間に入れば、既にエリック君がいた。
「
「おはようニーナ君。飲み込んでから挨拶したまえよ。不快ではないが、華麗じゃない」
「ンぐ……もういるとは思わなくて、ごめんごめん。エリック君がなんか早出してする仕事なんてあったっけ?」
「いやなに、キミにばかり仕事が偏っていては僕の立つ瀬がないと、最近のソーマを見ていたら思ってね。僕なりに、君の仕事を減らせるように努力をしようというわけだ」
例えばこの特異点の位置把握の為のアラガミ出消情報まとめとかね。そう言って彼がピラピラと書類の束を見せて来た。ジャイアントトウモロコシの残りを口に放り込み手を布巾で拭ってからそれを受け取る。
内容をざっと目を通せば、榊博士がやると思って最近私が投げ出した──というか、榊博士が内緒でアラガミを狩らせるせいで私は正確な計算ができないので諦めた──それらは一目見ただけでおそらくミスがないくらいに完璧に出来ていた。私が作っても同程度のモノしか作れないだろうなという確信があるくらいには出来がいい。なんだこれ、本当にコレはすごいぞ。
「ち、ちなみにこれは一人で作ったの?」
「概ねはね。とはいえ榊博士に直に訪ねたりして助けてはもらったけどね。最近は神機使いの捜索や回収任務がリンドウさんのモノ以外存在しないから暇もあったから出来た事だよ」
「へぇ、榊博士に」
じゃあこれは榊博士が作った可能性もあるわけだ?ああいや、榊博士なら自分で作ったら自分で動くか。わざわざエリック君経由で私に見せる意味がない。
じゃあこれはエリック君が純粋に力になろうとやってくれたってことか?ダメだな。どうしても信用が出来ない。
「まあいっか、作ってくれてありがとう。おおよそ問題ないっぽいからこれは榊博士に提出しといてくれる?審査欄には私の電子印打っといていいからさ」
「承知した。今日の予定は?」
「ユウ君とアリサちゃんの戦力的強度測定の続きと、ユウ君に現地で指揮の手本を見せるための任務が入ってるのと、エリック君とソーマに特異点のことを勝手に話してる榊博士に詰問かな」
「……なるほど。ずっと話に行かないからもうスルーしてるのかと思ってたよ」
「アハハ、技術統括の立ち位置にしても私の部下を巻き込むの越権行為だからね。忙しさもあって行けなかったけど、ケジメはいるでしょ。
エリック君はどうする?頭は下げさせる気だけど、巻き込まれた慰謝料になんかもらう?」
「まさか。僕としては巻き込んでくれて嬉しいとさえ思ってるくらいだ。事態を知らなければ華麗に協力も出来ないだろう?」
「……優しいね。キミたちは本当に」
「ニーナ君ほどではないさ。キミに比べれば頼りないかもしれないが、ニーナ君はもっと周りを頼ってくれたまえよ」
微笑みながら優しい声音でそう言ってくるエリック君に目が眩む。彼もまた序盤で脱落さえしなければ優秀な結果を残せるネームドなんだと実感する。この世界を見てる誰かがいるのなら、きっと彼もまた多くの人を惹きつける。私と違って、根の善良さが滲んでいる。そんな彼が、私を謀ろうとしているだなんて考えたくもないなぁ。
「アハハ、ありがとね。そういうことなら次新種が現れた時はその素材からどういう神機を作るのがイイか、デザインの方も頼もうかな。アラガミの生態調査の方は結構覚えれたしね?」
「ふむ、機能美と素材を活かした外見のこだわりの両立か、腕が鳴るね」
一人称小説なのであくまで目立たないキャラが多く居ますが、こいつの視点みたいかも!とかありますか?気が向けばそのキャラ視点で一話進行させます
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藤木コウタ
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雨宮ツバキ
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橘サクヤ
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アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
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楠リッカ
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竹田ヒバリ
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大森タツミ
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台場カノン
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加納アリア