最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
超絶繋ぎ会Part.2
「あくまで私のやりかただから、2人の出来そうなことからやってみてね」
そう言ったニーナ先輩がまずコウタとサクヤさん、ソーマの4人で組んだ状態でオレとアリサに見せた贖罪の街でのシユウ討伐の”お手本”。初見の感想としては「こりゃ無理だ」だった。
「コウタ君は2歩下がってシユウの頭!」
「ハイ!」
よく訓練された兵士みたいな威勢のいい声を上げたコウタは、ニーナ先輩の指示に従って2歩下がる。すると、シユウの腕を叩きつけた後の衝撃波がコウタの目の前で消えて、隙だらけのシユウの頭をコウタがアサルト特有の連射で打ち抜いた。
「ソーマは4歩右斜め前に進んでチャージクラッシュ用意! サクヤさんはそこから貫通弾で横合いから起きたシユウの両手を抜いてください!」
「ああ」「毎度毎度ニーナは要求レベルが高いのよね」
コウタのバレットで怯んだシユウの前に陣取り、神機の捕喰形態を起動したニーナ先輩が二人に出した指示。怯みから復帰したシユウが目の前のニーナ先輩を包み込むように上げた両手をサクヤさんが打ち抜き、その凶手がニーナ先輩に当たる前に妨害。ニーナ先輩はその隙をついてシユウの左翼腕を捕喰し、たまらずシユウはたたらを踏んだ。そして、そのよろけた先に、チャージクラッシュを構えたソーマのバスターブレードが頭から右腰までを切り落とした。
『目標の討伐を確認。お疲れ様です』
通信から聞こえるオペレーターの声で、戦っていた全員が周囲を一瞥してから肩の荷を下ろす。
神機解放状態になっているニーナ先輩だけがどこか遠くを見つめるようにしているけど、それもすぐに終わり、こちらに手を振ってきた。
「ちゃんと見てたー?」
「真似は無理で~~~す! ……アリサはどうだった?」
「凄い。というのが本音ですね。リンドウさんとはまた違った、他人を活かすのが上手いというか。指示が的確ですね。歩数の移動距離なんて人によって変わる筈なのに、その人ごとの歩数まで計算して指示を出していたように思います。コウタのは攻撃範囲の把握に自信がつけば私でも似たようなことは出来るかもしれませんが、ソーマのは意味が分かりません。アラガミがどの様に怯むかどうかなんて、わかるわけがないのに……」
優等生らしい的確な分析をアリサがしていた。
実際にオレも概ね同じ意見だ。というかサクヤさんとソーマはともかくとして、コウタはホントに2歩しか下がらなかった結果衝撃波が神機の射出口スレスレまで来てたし、ニーナ先輩に至っては、シユウの腕によって鯖折り、あるいは頭部欠損の寸前だった。
この二人に恐怖とかが備わってないのか?
特にコウタなんてニーナ先輩との特訓前までは、もう少し無駄な動きが多かった気がするのに、お手本的な動きで、アリサが少し悔しそうだし……。
「素直な感想どうも。これが私なりの部下の活かし方だよ。といっても向き不向きはあるから真似はしなくていい。アリサちゃんは目指してもいいかもしれないけど、ユウ君はリンドウさんみたいな道を切り開いて部下を活かす方がいいんじゃないかな」
「加納隊長」
「はいアリサ君。呼び方はニーナでいいよ、それでなにかな?」
「ではニーナ隊長と。
ソーマのチャージクラッシュは隙が大きいですが、当てれれば絶大な効果があるのは分かります。最後にシユウをソーマの射程範囲に誘導したのはどんな手品ですか?」
「う~ん、簡単に言えば経験則に基づく勘なんだけど……怯み値があるわけじゃないから言語化が難しいな。
アラガミには行動にパターンがあるのは分かるよね? そんでそれは基本的に外的要因がないとキャンセルされない。シユウ神族なら腕を叩きつけた後衝撃波を出し切るまでがセットだったり、小火炎弾を放つときは必ず連発して、一発でやめたりはしないとか。
それと似たようなことで、結合崩壊が起きた時、ダメージが閾値を超えた時、アラガミは必ず怯むように”星”にデザインされているんだ。
今回ので言えば、コウタ君が頭を結合崩壊させて怯ませて、サクヤさんは攻撃の起点を潰してキャンセルをさせて、私が翼腕を喰い千切ることで結合崩壊。その喰い千切る時に上手いこと引っ張ったり押したりすると、シユウはその方向にたたらを踏んで、ソーマに脳天をカチ割られる……みたいな?
最後の誘導はどっちかって言うとユウ君がアドリブで出来るようになってくることだろうし、アリサちゃんの場合は参考にするのはコウタ君やサクヤさんへの指示出しまでを参考にしてほしいかな」
怒涛の勢いで説明される情報に脳が焼かれる。
アラガミって行動パターンがあったんだ。っていうか星にデザインされてるってなに?
というかオレはニーナ先輩が最後にやったソーマへのアラガミへの誘導が出来るようにならないといけないのか。普通にできる気がしないんだけどな。
いや、オレにはアリサと違って攻撃範囲を覚えるなんてのもなんとなくでやってるから、アリサの方が大変そうではあるけど……。
「おい、コレはまともに聞いても意味が分かんねえだけだ。真似じゃなくてあくまで参考にすることだけでいい。誰もコイツの真似なんざ出来ねえだろうからな。自分に合った戦い方が出来りゃ十分だ」
「あ、ひど~い。まあじゃあ超わかりやすくかみ砕いて言えば、チーム全体で最も火力が出る戦い方が出来てればなんでもいいよ。今回だと通常時の火力はコウタ君、サクヤさんは要所のサポート、ソーマは決戦火力で私がそのほかの調整と指揮。みたいな感じで大まかな役割が全員の共通認識にあると皆が動きやすいでしょ?」
「全員が攻撃できるときに攻撃するの次の段階、連携ということですね」
「おお、偉いねアリサちゃん! 呑み込みが早い! そういうことだね。どうせみんな私よりは弱いんだから、協力ってやつをちゃんとしないとね?」
ソーマの珍しいフォローにアリサがかみ砕いで理解したと思ったらサラッと毒吐かれた? いやそりゃコウタの従順さと成長っぷりを見ればニーナ先輩が強いのは分かるけど、わざわざ言われるほど?
「……確かに私はまだまだ弱いのは認めるところですが、ニーナ隊長はそんなに強いのでしょうか。先の戦闘ではそこまでに見えませんでしたが」
ああほら、負けず嫌いのアリサの悪い癖が出ちゃってる。思わずといった様子で口を開いただけなんだろうけど、口応えが過ぎない? 相手一応偉い人なんだけどな……コウタも目でヤバイ止めろって言ってるし。
「現状の神機使いの中で、用意ドンで広域のアラガミを神機と自分の身体だけで殲滅しろ。そう言われたら間違いなく私が一番早いし、強力なアラガミを討伐するにしても、基本的には私一人でやる方が被害がない。そう断言できる程度には強いつもりだけど、確かに、さっきの戦闘風景じゃチームをうまく使える人だもんね。いいよ、見せてあげよっか。……ちょうどいいのが来たしね。見てて!」
そういって駆けだしたニーナ先輩は贖罪の街の中央教会の出口横を陣取り、神機を捕喰形態に移行し、まだ何も見えない虚空目掛けて神機を突き出した。
捕食形態の顎の先端が、その先に居たアラガミの端を捕喰する。
神機が引き戻されるのと同時に中央教会から引きずり出されたのはサリエルだった。
オペレーターも何も言わなかったあたりニーナ先輩だけが存在を察知できたんだろう。予期せぬアラガミの出現なんて今に始まったことでもないし。
神機解放状態となったニーナ先輩は空を蹴り、サリエルの頭部と同じ高さまで跳び上がると、流れるようにその細い頸に神機を振るう。ショートブレードだからか断ち切るには至らなかったようだけど、重い頭が傾く程度には重傷らしい。
そのまま、もう一度空を蹴り、サリエルの細い腹部を串刺しにする形で地面へと縫い付ける。そのまま再度捕喰形態へと移行、サリエルの頭部にレーザーの光が集まるが、それより早くサリエルのコアを捕喰し分離。サリエル結局何もできずに沈黙した。
完封。そう表現するしかない戦いっぷりだった。
神機に付いた血を雑に振り払ったニーナ先輩が振り返る。
「最低限これくらいできれば強い扱いだな。アリサは……アリサちゃんも新型だしこれと似たようなことを出来るようになってくれたら嬉しいな?」
攻撃的というより好戦的な笑顔でアリサに語り掛けるニーナ先輩だったけど、途中で落ち着いたのか言葉を直してた。……本当に神機解放中だと人格変わるんだな。カノンみたいだ。
にしても神機解放状態の持続時間短い気がするけど、戦闘が終われば切ったりできるのかな?
「……なるほど、尽力します。生意気なことを言って申し訳ありません」
「ああ、いいのいいの! むしろごめんね嫌味みたいな感じになっちゃってさ! じゃあほら、今度はユウ君とアリサちゃん入って、私と……サクヤさんが抜けましょっか! あとはボルグカムランぶち殺せば今日は終わりだし頑張っていこ~!」
「了解でーす! ほらアリサ行こうか。コウタとソーマもよろしく!」
ニーナ先輩による分からせが終わった辺りでようやくオレらの番だった。
見学もいいけどやっぱり身体を動かさないと違和感あるし、待ちわびてるくらいだね。
といっても、オレにニーナ先輩みたいな指示は出来ないし、一先ずはこうかな。
「じゃあコウタとアリサは援護! オレが隙を作るからソーマはいい感じにぶち込んでくれると助かる! リンクバーストもバンバン回していくから、アリサも隙があれば捕喰攻撃を狙っていって、全体の神機解放状態が途切れないことを優先しよっか!」
三人がそれぞれ了承をくれて、ニーナ先輩を確認がてらチラッと見れば後方腕組みでうんうん頷いてるので多分間違ってなさそうだ。
にしてボルグカムランってみてると、なんか旨そうに見えてくるんだよなぁ。外部居住区時代に一回だけ食べたなんとかガニの塩茹でを思い出すんだよね……っていけないいけない。お腹減って来たから集中してさっさと終わらせて帰るとしよう。
ユウ君は無意識に能天気で自分に必要なところだけを吸収するのが上手い認識なので、アリサに比べるとぽけっとしてる結果こんな描写になってしまった。ここはアリサ視点のが良かったなと後悔してます。
次回
ニーナと榊。デュエルスタンバイ!!
一人称小説なのであくまで目立たないキャラが多く居ますが、こいつの視点みたいかも!とかありますか?気が向けばそのキャラ視点で一話進行させます
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藤木コウタ
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雨宮ツバキ
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橘サクヤ
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アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
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楠リッカ
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竹田ヒバリ
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大森タツミ
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台場カノン
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加納アリア