最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう 作:勝てなくても努力して勝つのが好き
ここからは特異点編改め特異点調整編です。
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加納ニーナ第4隊長の身体異常による緊急メディカルチェック結果報告書
本書は加納ニーナ第4部隊隊長(以下患者)のメディカルチェックの結果を記したものである。
患者は主に第4部隊の基本任務であるフェンリル上層部から指定された対象の捜索・回収の任務に就いているほか、神機デザイン課及びアラガミ生態調査課の課長職を兼任するなど、現場の外勤の他に内勤も並行して行っている極めて悪質な労働環境に置かれている、または本人の意思の元この環境で働いています。
医療班の立場から休暇を取らせ、業務の再分配を行うことを進言します。
前回受けたメディカルチェックの際からの変化点は神機への適合率の上昇、つまるところオラクル細胞の侵食率増大の一点のみ。
以下は蒼穹の月出撃メンバー救助後に受けた、2071年6月8日のメディカルチェックデータと、今回の2071年6月30日に行ったメディカルチェックのデータである。
加納ニーナ パーソナルデータ
性別:女性
血統:極東を中心とした多国籍の遺伝子がアリ
本人の自認はハーフとのことだが、クウォーターと推定。
年齢:20歳
生年月日:2051年5月18日
身長:167cm
体重:45kg(外形的体格の変異は見受けられていない)
視力:0.07(2年前と比較し異常な低下の確認)→0.01以下(手動弁による確認の実施)
特異性:ユーバーセンス保有者、異常な喰欲持ち
前回のメディカルチェックとの変化点
①視力の更なる低下
②適合率の上昇
前回同様視力の低下は適合率の上昇の反動と予測し、患者の神経系までを含む検査を実施、視神経の大部分が2年前のメディカルチェック時に比べオラクル細胞に転換していたのは前回からそうだったが、視神経はほぼすべて、眼球の7割がオラクル細胞に転換し、安定していることを今回新たに確認した。
急な適合率(侵喰率)の増大の原因は不明。患者には何か心あたりがありそうだったが、患者は黙秘を続けている。
医療班が診る前に起きていたとされる頭痛及び錯乱は、このオラクル細胞の侵喰が原因であると推定。通りがかりのヨハネス支部長が偶々持っていた。汎用性偏食因子が患者の体内のオラクル細胞の非活発化させたことで安定したかわりに、ユーバーセンスの出力が激減したことで患者は一時的に依存していたユーバーセンスがもたらしていた視界がなくなり、光源の有無程度しか確認できない本来の視力に落ち込んだ。
※こちらは現在回復済み
患者自身はユーバーセンスを常用しているため、現在は私生活に問題無しと言っているが、暴走の危険性もあるため患者の神機使いとしての運用はリスクを孕んだものになると医療部からは進言。
また適合率について、前回時点で身体の81%、頭部92パーセントがオラクル細胞に転換しており、理性を保ったままアラガミ化した神機使いという見方も可能だったが、今回のメディカルチェックにて身体が84%、頭部95%まで進んだ。
当人からの自覚症状と詰問の結果、担当医が現状と前回のメディカルチェックデータを患者に脅し取られているため(正確な権利ではある)、本人の対応を善意のメディカルチェックデータを用意するように前回指示されたペイラー・榊統括部長に依頼する。
「ですって榊博士。酷いですねぇ。あんなに腹を割って話して協力してあげてるのに。なんで私に、私の身体のことで隠し事するんですか? 悲しくて悲しくて、この部屋の秘め事を含めて全部”台無し”にしてしまいそうですよ」
ぶっ倒れてから翌日、私は榊博士のラボラトリにあるソファに背中を預け、机に脚を上げる。こういう威圧は目で見てわかる形にしないと意味が無いから。対面には榊博士が少し冷や汗をかきながら座っていた。
うん、メディカルチェックの報告書には適合率の上昇とか書かれてるけど、簡単に言えばアラガミ化の進行かな。それのおかげか前よりよく榊博士とか周りのことが視える。感じれると言ってもいいのかもしれないけど。
シオは奥の部屋に入れ込まれていた、まぁ確かにシオの前でこういう話をするのは教育に悪いかな。アレにはいい子に育ってもらう必要があるしね。
「まずは謝罪させてほしい。人命などと言って君に協力を取り付けておきながら君の身体について黙っていたこと、すまなかった」
頭を素直に下げてくるあたり、やっぱり善人なんだなという感じはする。
ヨハンさんだったら「聡明な君なら理化していることだと思うが必要なことだった」とかいって謝んないだろうし。まあそれはそれとして根には持つけど。
「はぁ……私が逆の立場なら私のことを黙って使うでしょうから気持ちも考えもわかりますけどね。で、今回のメディカルチェックのデータの現状の展開範囲とペイラー・榊統フェンリル極東支部技術括部長殿の私の身体の見解は?」
大きなため息を吐きながら、情報の把握に努めようと切り出せば榊博士は胡散臭い顔を上げて話し始めた。
「もともとのメディカルチェックのデータは私、医療班上層部と君の担当医とエリック君しか知らない。エリック君が知っているのはキミの部下として行動することが多いから、彼を死なせないように、そして君の容態把握のために協力してもらっていた。
私で留めていた筈だったが、キミが今回暴走しかけていたのをヨハンが止めれたのを見るに、彼は彼でどこかからこの話を掴んでいたんだろうね。
今回の件を知っているのはソーマと私、医療班上層部と君の担当医、ヨハンだけだけど、ソーマはまだメディカルチェックのデータは見てないはずだ」
おいおいおいおい、凄い情報量で殴ってくるなこの人。
ていうかエリック君が知ってんだ。相変わらず彼も隠し事が上手いな。
やっぱりエリック君とソーマが榊博士と仲良しなのは間違いないね。だけどソーマはこっち側に引っ張れるか戦力外に出来るだろうし、原作との相違点はソーマout、エリックinってところかな。大分マシになるね。エリック君は強く育てたけど、戦いになった時どうせ私を殺す気になれないだろうし。
「情報の広まりは把握しました。ソーマ以下その他の人たちには今回の件は過労ってことに調整して伝えてください。
それで、私はまだまだ現場出たっていいですけど、貴方の判断は?」
「私としてはやはりここまで侵喰がすすんだ以上、これ以上神機を持つのはお勧めできない。が、今キミに表立って抜けられると現場の指揮の方にも大きい影響が出るだろう。だから、一旦しばらくは内勤の方の仕事やシオの面倒に注力してくれないかと考えている。ヨハンにも昨晩シオのことは抜いて伝えたが同じ意見だったよ」
「ふぅん?」
榊博士の言葉に相槌を打って考え込む。確かに現状サクヤさんの部屋に忍び込んでディスクの回収を行うんだったら内勤化しておくのは非常に都合がいい、場所自体は割れてるんだし、変わってなければ10秒そこらで回収できると思う。適当にアナグラのカメラ系統を1分近く止めてもらえるようにヨハンさんにお願いすれば、翌日以降ならすぐ対応できるだろうしね。リンドウさんが生存していることは報告していないが、処分したのはどうせ支部長がノアを見られたからだろうし、その記録媒体の存在を掴んだと言えば、協力してくれるだろう。
「周りには溜まりに溜まった有給の消化を命令されたといっておけば、みんな納得して数週間は休ませてくれるだろう? それにアリアくんとの時間も朝からとれるんじゃないのかい?」
「分かりました。じゃあ第4部隊隊長権限は限定的にエリック君に引き継ぎますが、彼の負荷は私が管理しますので命令系統はこれまで通り、ツバキさんから私、私からエリック君は徹底してください。
それから私は基本的に通信はいつでも出れるようにしておきますので緊急出撃は可能ですが、通常出勤時刻をしばらく0800~1700をベースとさせてもらいますね。連絡は基本その時間内で返しますが、なんかやばそうな案件あったら教えてください。
シオへの教育はアリアが学校に行ってる間を主に行います。よろしいですね?」
アリアとの時間できると言われちゃったら引き下がるしかないね! いや~! みんなに現場任せっぱなしになるの辛いなぁ! でもしょうがないよなぁ、健康は現場の人間の義務だもんな~! 辛いけどしょうがないか! これを機にいっぱい休んでいっぱい働いちゃうぞ!
「……やはりこの手は効くね。ともかく分かってくれたようでなによりだ。
で、医療班の報告書から上がっているとおり、今回の適合率の急な上昇に心当たりがありそうと書かれているけど、心当たりがあるのかい?」
感応現象のことはどうせユウ君とアリサちゃんから遅かれ早かれ漏れるだろうし、言ってもいいのかな。けど再現性の調査が問題……いや、ユウ君とは神機の駆動波形が同じものが適合してるから、A=B=CならA=Cの理論で、ユウ君とは問題無かった可能性がある。確かめるには人体実験しかないけど。ってことには榊博士もたどり着くはず。言っても問題ないね。
GEBURSTでユウ君がリンドウさんの神機握ってアラガミ化した腕でコア叩いたら感応現象起きてたし、確かめられないだけで新型と旧型での再現性も存在はする。
「直前にアリサちゃんと私の間で起きた感応現象ですね」
「なんだって!? アレは新型同士でしか、いや……そうか、ユーバーセンスの受発信能力の影響かな?」
流石は原作における一番の頭脳面での天才だ。原作ありきの私よりも辿り着くまでが早い。一を聞いて十を知るっていうのはこういうことを言うんだろうね。
原作という答えを知ってズルしてる私が並ぼうって考え自体が烏滸がましいのかもしれないけど。
「私の予想ですけどそう見てますね。過去にユウ君との接触でも発動しましたが、その時に適合率が進行しなかったのは、おそらく私とユウ君の神機の駆動波形の同一性から考えて、私たち自身の親和性あるいは類似性が高いからでしょうかね。
……流石に次も進行しない保証がない中でもう一回はやりたくないですよ?」
「当然だ、大崩壊当初ならばともかく今はある程度倫理観を取り戻せた時代だ。そんな危険な実験を君の様な優秀な人間では行えないからね。
暫くはキミは新型との身体的接触は禁止だ。というか、感応現象が起きたんだったら報告をしてほしかったんだけどね?」
「ソレはお互い様ですよね? それに今回の感応現象は恋バナしてた兼ね合いで、アリサちゃんのちょーっとセンシティブな問題でしたからね。何が視えたかを報告するのは憚られますから……」
セクハラを匂わせればさしもの榊博士も肩をすくめて素直に引いた。
さて、私は今日はこの後支部長ともお話しして明日からまた内勤を頑張ればいいかな。なんせ現場の時間がごっそり消えるんだから、私の仕事の能率が上がらないわけがない。私の身体を代償に風がこっちに吹いてきた感じがするね。
「じゃあ博士、シオの教育は明日から始めます。教育しながら仕事もしますけどタブレット持ち込んでやるので基材の用意とかは気にしなくていいです。それでは、わたしは支部長から権利を今の話の内容でもぎ取ってくるので!」
言うが早いか、榊博士の返事を待たずに私はラボラトリを後にした。口ぶり的に私はまだ榊博士からは人間判定を貰えてるらしいけど、支部長的にはどうだろうなぁ。
加納ニーナ、支部長が打った偏食因子により人間性の保持に成功。
みんなはハッピーエンド好きですか?
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ハピエン厨ですけど
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どっちでも美味しく食べれます
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いや、バッドエンドの曇り顔が輝くね